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2000年7月のdiary

最新の日記インデックス
2000年 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 >>
2000.7.1 /『革命はお茶会のあとで 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』
2000.7.2 /『ロンリー・ファイター』
2000.7.3 /『誰そ彼れ(たそがれ)心中』
2000.7.4 /『ウィーン薔薇の騎士物語1 仮面の暗殺者』
2000.7.5 /
2000.7.6 /
2000.7.7 /『最強のプロ野球論』
2000.7.8 /『塗仏の宴 宴の始末』『猫は泥棒を追いかける』
2000.7.9 /
2000.7.10 /『ペリペティアの福音 上 聖墓編』
2000.7.11 /『バガージマヌパナス』
2000.7.12 /
2000.7.13 /『楽園の魔女たち〜大泥棒になる方法〜』『風舟の傭兵 月光界秘譚1』
2000.7.14 /『XAZSA メカニックスD』
2000.7.15 /『エリコ』
2000.7.16 /『リングテイル 勝ち戦の君』
2000.7.17 /『地上最大の魔道師 グイン・サーガ73』
2000.7.18 /『摩天楼ドール』
2000.7.19 /
2000.7.20 /
2000.7.21 /『レシピに万歳』
2000.7.22 /『ウィーン薔薇の騎士物語 2 血の婚礼』
2000.7.23 /『十一月の扉』
2000.7.24 /
2000.7.25 /
2000.7.26 /『花を運ぶ妹』『西の善き魔女 外伝1 金の糸紡げば』
2000.7.27 /『楽園の魔女たち 〜課外授業のその後で〜』
2000.7.28 /
2000.7.29 /『スカーレット・ウィザード 3』『凍てゆるむ月の鏡 五 月の系譜』
2000.7.30 /『龍と魔法使い 外伝2』
2000.7.31 /
 2000.7.31(月)

 ようやくすこしは暑さになれてきた…と思ったが、今日の暑さはまた格別であった。湿度が高いのが不快の主原因ですね。
 友人からようやくサイトのアドレスを教えてもらいました。行き当たりばったりにここを作っている自分がはずかしくなるようなサイトです。コンテンツはフィギュア・スケートとゲームソフトの「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」。リンクに追加してあります。しなくてもいいと言われたけど、なぜ?(^_^)

 2000.7.30(日)

 榎木洋子龍と魔法使い 外伝2(集英社コバルト文庫.2000.250p.476円+税)読了。
 中編ひとつと短編ふたつを収めた本。どれも魔法使いタギが龍の娘シェイラギーニの行方を探す旅をしていたときのお話。
「時の魔法陣」は、シェイラの痕跡を求めていたタギとレンが「常若の村」を訪れ、村を覆っていた複雑かつ高度で巧妙な魔法陣の中に見いだす、不思議で悲しい幻獣と人との物語。
「友からの便り」は、フウキ国に残っていたレンが、旅先からのタギの手紙を受け取るために多大な苦労を強いられるという小品。
「幻想祭」は、アンデルセン童話を思い起こさせる、寒く厳しい冬の暗さと短い夏の晴れやかさとがうつくしい対比をなす物語。
 榎木洋子の折り目正しさがよくでた、すっきりとまとまっている児童文学のような番外編集と思います。とくに最後の「幻想祭」がすきです。

 2000.7.29(土)

 暑さ復活。本屋に頼んでいた『マビノギオン』が三日前自宅に届いていたことが判明。なぜ気づかない、自分(T.T)。

 茅田砂胡スカーレット・ウィザード 3(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2000.248p.857円+税)読了。
 怒濤のハーレクイン・スペースオペラ(?)の三作目。短編つき。

 クーア財閥総帥ジャスミンに罠にかけられ、夫=副総帥になってしまった海賊のケリー。あるとき、クーア財閥の宇宙船ででかけたケリーは、突然攻撃をうける。相手は最近名を売りだした田舎者の海賊。乗務員の安全とひきかえに拉致されるケリー。宇宙船ダイアナとジャスミンは、行方のわからなくなったケリーを追いかける。

 いままで一冊ごとに話が完結していたのに、今回はつづきます。このあと、ぶち切れたケリーがなにか恐ろしいことをしてくれるんだろうなと予想はつきますが…。生まれたばかりの子供の将来がこわい(^_^)。やっぱり豪快な人物に育つのだろうか。
 相変わらず、どんなキャラクターにもひとくせがあって楽しい。おじさんたちにもそれぞれ個性があるし。
 短編は感応頭脳ダイアナが主人公。彼女の生い立ちがわかります。一本筋は通っているものの、なにかがちがう人物を描かせると天下一品でございますね。

 金蓮花凍てゆるむ月の鏡 五 月の系譜(集英社コバルト文庫.2000.254p.476円+税)読了。
 〈月の系譜〉シリーズの完結編。これは…伝奇小説というのでしょうか幻想小説というのでしょうか。とにかく、当初コバルト文庫のキャッチフレーズにあった「戦慄のホラー」とはまったく別のものであることは間違いありません。ひとならぬものであるはずの山吹泉という少女が、「常世姫」である自分を受け入れ、その記憶を受け止めて、真実「常世姫」としてよみがえる、黄昏の物語…ということになるのかな。描写が丁寧で、文章に気品があります。
 私は一作目の『瑠璃の音』が一番妖しくて好きです。ホラーっぽい雰囲気も漂っていたし。その雰囲気がどんどん薄れていくのがちょっと悲しかったですねえ。常世姫の一の従者である榊の信用できない感じも終わってみれば、なんだ、かわいいものではありませんか。
 これでシリーズが終わりなら、常世姫を封じ込めた櫻の巫女の出番はもうないのでしょうか。これがものがたりの終わりとして悪いとは思わないけれど、もともと櫻の巫女と対決するのがクライマックスと信じていたので、ちょっと物足りない気分であることは確か。

 2000.7.28(金)

 茅田砂胡『スカーレット・ウィザード』第三巻を読み始めたら、姪がやってきて、なんにもできない状態に…。はあ。

 2000.7.27(木)

 昨日の余韻か、まだほんの少し涼しさが残っているみたい。このままで過ぎてくれないかなー、今年の夏。返却期限を越えてしまったものを含む本を返しに図書館へ。帰りに本屋に寄って新刊書を購入。

 『楽園の魔女たち』を買うのは気がひけたんですが…ここまで借りて読んでいたので。こんな調子で購入本を増やしているとまた困ったことになりそう。
 それで借りたほうの楽園の魔女たち 〜課外授業のその後で〜(集英社コバルト文庫.1999.298p.533円+税)を読了。
 今回の主役は、サラ・バーリン。学院時代の友人の求めに応じ、どーしよーもないくらいに荒れた私立男子校の教師として赴き、学長殴打事件の犯人を捜すことになるのだが…
 サラの生い立ちが過酷なことはこれまでにもほのめかされていたことではありますが、感情をいっさい表さないことと、酒を飲んだときなど理性のたがが外れたときにあらわれるブラック・サラのあいだにこんな関係があったとは。ファンタジーを読んでていきなり流行の現代文学のテーマにぶちあたったようなかるいショックを受けました。いままで気づかない私が鈍感なのだろうが。それがお話の中にしっくり収まっているところが、この作者の懐の深さでしょうか。

 出かけて疲れて、本を読む。そして残ったのは冷房病と、関節の痛み…。湿布薬だらけで眠る夜。

 2000.7.26(水)

 涼しくてウレシイのに眠くてたまらないのはなぜ。あー眠い。血圧が下がっているのかなー。

 ころがったまま、池澤夏樹花を運ぶ妹(文芸春秋.2000.422p.1762円+税)読了。
 インドネシアのバリ島でヘロインの不法所持で捕まった兄を、妹がつてを頼って死刑の危機から救うというお話。理性的でしずかな描写はいつも通り。兄の哲郎の章と妹のカヲルの章を交互につみかさねていくという構成。
 始めのうち心配された留置所(まだ刑が確定していないのだから刑務所ではありませんでした。失礼)の描写はそれほどつづかず、どうやら読み切ることができました。ただ、やっぱり哲郎の章は二人称で語られるという距離を置いた描写をされていてもなんだか観念的で、ヘロイン中毒になる発端、過程の経過がかなり読みづらかった。文章ではなくて内容が。読んでるこっちが「ヘロインなんて」と思っているのでよけいにそう感じてしまうのでしょう。カヲルの章の方は楽に読めた。こちらはストーリーを追っているような展開だったからかな。
 バリという島の特異性というかそういうものもけっこう重要な要素なんでしょうね。バリ風にいうと魔女に捕まった兄を助けに行く妹の話になるのか。水気を含んだ大気でないと描く気がしないという画家の哲郎の言い分は、いろいろなところでたちあらわれるヨーロッパとの対比ともあいまってなんだかぐるぐるとしてしまいます。私だって湿気た風土にすんでいる日本人なので、なにごとも論争して決着をつけるやり方にもなじめないですが、決定的に哲郎と意見が分かれるのは湿気た状態がとても嫌いなところですかね。大気が水を含んで滴が落ちてきそうな状態を想像すると、背筋がぞーっとします。ああやだ。だから夏だって嫌いなのよー(>_<)。はやく湿度が50%くらいになってくれないかしらん。

 荻原規子西の善き魔女 外伝1 金の糸紡げば(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2000.230p.850円+税)読了。
 これもまた購入してずいぶん時間が経ってます。全五巻の『西の善き魔女』よりさかのぼり、ヒロインのフィリエルが八歳を迎えるころの生活を、『小さい牛追い』などのように描いた番外編。
 ていねいに描こうとしているのはよくわかるんですけど、これだけのページ数に見合う話のようには感じられませんでした。あとがきで予告されている「アデイルとヴィンセントの珍道中」のほうが期待できそう。

 2000.7.25(火)

 いきなりの大雨で洗濯物をとりこむのに大騒ぎ。涼しくなるのはいっこうにかまわないが、強風とともに吹き荒れるのはやめて欲しかった。窓が開けられない〜(T.T)。

 2000.7.24(月)

 いままで音沙汰がなかったのに、なにゆえこの暑い時期になってやってくるのでしょう、お仕事。汗をたらしながらコンピューターに向かっていたら、肘の内側のくぼみにあせもを発症。かゆい。
 池澤夏樹『花を運ぶ妹』を読み出した。しかし、第2章に入ってとたんに「なんでこの暑く苦しいときに南の島の暑苦しい刑務所の描写を読まねばならんのだ」という不満が。いままで読まなかった自分の責任なのだが、この調子ではとても返却期限までに読み終わりません。好きな作家にあげていたのにこのていたらくでは気がひけます(T.T)。看板を下ろすことにしました。

 2000.7.23(日)

 高楼方子十一月の扉(リブリオ出版.1999.334p.1900円+税)読了。

 その建物の名は「十一月荘」。中学2年の爽子は父親の転勤に伴い転校するのを二学期までの区切りをつけるということでひとり残ることにする。あこがれの「十一月荘」での暮らしに、心躍らせる爽子。住人は女性ばかりでみなあたたかい気さくなひとたちばかり。彼女はノートに自分の作った物語をつづることにする。

 素敵な建物や家具への、それに付随するちがうライフスタイルへのあこがれや、心温まる年長女性とのふれあい、取っつきにくいかと思われた少年に心ならずも抱くあわい恋心など、赤毛のアンや昔の少女マンガのようなテイストにあふれた少女の成長物語です。
 上品な描写なので昔の本かと思うくらいなんですけど、ちゃんと(?)現代物である証拠もちりばめられています。むしろない方が違和感がないくらいなんですが。作中特に記されていないのですが、著者は札幌在住とのこと。クリスマス前に雪が積もるなんていう描写はやはり北国の感覚なんだなと思います。暑さの中で汗にまみれて読む本ではありません(^_^;)。もっと優雅にページをめくりたかった…。
 児童文学として出版された本とライトノベルの違いは、ラストあたりにあらわれているのかなと思いました。

 2000.7.22(土)

 またもや頸が痛む。今回の原因は映画館。真ん中の通路よりも前に座ってしまったのが敗因。スクリーンを見あげながら「やばい…」と感じてはいたのだが、途中で席を替わるわけにもいかないし。
 高野史緒ウィーン薔薇の騎士物語 2 血の婚礼(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2000.226p.857円+税)読了。

 ジルバーマン楽団に雇われて数ヶ月。楽長の「薔薇の騎士四重奏団」構想もあって、フランツ君は初のソロデビューを飾ることに。しかし、そのめでたい舞踏会の席で、婚約をする予定の若い令嬢が突然失神。さらには死に至るという凶事が発生。どうやら演奏した曲目にはいわくがあったらしいのだが…。

 舞台は19世紀末のウィーンとハンガリーの首都ブダペシュト。とくればもう吸血鬼ものと決まったようなもの(?)。前回のコメディ路線からすこしはずれて、今回はお耽美路線。絶世の美少年やら暗い情熱を従順の仮面で覆った妙齢の女性にハイテクかぶれのおじさんなど、よりどりみどりで出てきます。そしてもちろん吸血鬼も。
 前回よりも肩から力が抜けて、少し読みやすくなっているような気がします。それに、これだけの筋書きを追いながらハンガリー人とオーストリア人の微妙な力関係なども表現されていて、そこらへんはさすが。
 底知れぬスーパー美少年のエゴン君にも興味はありますが、個人的にはラファエル副楽長がお気に入り。ハンサムでやさしくて才能があって脇役というのがなによりいいですね。それに三十をすぎてるというのが。
 ほんとはノベルスじゃない新作も読みたいです。予定はないのでしょうか。

 2000.7.21(金)

 疲労がとれない…夏の外出はこれだから困ります。冷房後遺症で体中がぎしぎし。
 アリサ・クレイグ(森下弓子訳)レシピに万歳(創元推理文庫.1998.334p.560円+税,Alisa Craig "THE GRUB-AND-STAKERS SPIN A YARN" ,1990)読了。
 かつてコージー派のミステリばかりを読んでいた時期がありまして、いまでも名残でときどき思い出したように読んでいる。図書館でほかに借りたい本が見つからなかったときなんかに。
 この〈ディタニー・ヘンビット・シリーズ〉もそのひとつでこれで4作目。アリサ・クレイグはシャーロット・マクラウドのもうひとつの筆名で、こちらの名義ではおもにカナダを舞台にしたかるいミステリを書いてます。
 しかし…シリーズものの気軽さはあるものの、どんどんお気軽ばかりになりつつあるなーというのがマクラウドのすべてのシリーズにいえるのが悲しいところ。
 シリーズ始めの頃はいろいろと趣向を凝らしてあって、けっこう楽しめたんですが。最近はできあがった舞台でおなじみの人たちが掛け合い漫才をしてるだけのような。おなじような趣向の日本のライトノベルの場合、主人公の恋愛関係などの進行がからめてあったりするけど、それもないしー(^_^;)
 このシリーズは訳をタニス・リーの翻訳も手がけた方がされているのでまた読んでみたのですが、暇つぶし以上の意味はなかった感じ。ヒロインの夫の叔母で摂政時代悪党ロマンス作家のアレシューザのキャラクター以外に楽しむところもなかったし。

 2000.7.20(木)

 友人と『MI2』を観に行く。夏休みがはじまり海の日も重なったせいで、どこもかしこも混んでいた。ただでさえ暑いのに…。浴衣を着ている人がめだつなと思ったら、花火大会だったのでした。そんなものは家のテレビで観ました。
 映画はトム・クルーズを見せます、という感じのアクションてんこもり、内容なしの映画だった。たしかにトム・クルーズはかっこいいですけど。アクションもすばらしいですけど。

 2000.7.19(水)

 引っ越しの手伝いで姪を預かる。なにもできない。
 アリサ・クレイグ『レシピに万歳』を読み始める。

 2000.7.18(火)

 谷瑞恵摩天楼ドール(集英社コバルト文庫.2000.264p.514円+税)読了。
 続編が出たのであわてて読む。発売日には購入してたんですが。

 近未来。人工島オムル地区は本国日本からも切り離された法の目の行き届かぬ犯罪者の巣窟。誘拐された社長令嬢藤沢きよらは、犯人たちによってオムルに連れ込まれる。そこで出会ったのはオムルの〈掃除人〉を請け負う悠という少年だった。

 近未来SFというよりは近未来ファンタジー。ドールというのはオムルに自然発生した都市伝説のような、神のようなもの。バイオテクノロジーみたいなものに関する設定もいろいろあるんですが、基本的にはファンタジーなんだと思います。
 コバルト文庫の少女むけという縛りから来るのか、文章や登場人物の独特さが薄れてるような気がして残念。私は前々作の『夜想』がとても好きなので、ああいうのを読みたいんですけど。

 2000.7.17(月)

 とうとう梅雨明け。リミッタが外れたように気温があがるあがる。
 栗本薫地上最大の魔道師 グイン・サーガ73(ハヤカワ文庫JA.2000.300p.540円+税)読了。
 月一の通院の友〈グイン・サーガ〉。途中で購入して待ち時間と帰路の電車で一冊読み終わります。最近、月刊化しつつあるのでその点もちょうどよくて、もっと早めに本屋で見つけても買わず、病院行きまで待ってます(^_^.)。買った本を持っていくと荷物が増えるから。どうせ途中で増えるんだけど、行きの電車ではたいてい寝てるので、それならすこしでも軽くしようという心がけ。
 で、お話ですが、闇の司祭グラチウスがようやく表舞台にあらわれてまいりました。このじいさんと淫魔のユリウスは漫才コンビのようですね。ヴァレリウスも悲惨な目にあっていたはずなのに、三人でいると妙に明るい雰囲気だ。
 それにしても通院は疲れる。夏の通院は普段の五倍増しで疲れます。冷房がギンギンに効いたところと炎天下のアスファルトの上を交互に歩いて、気が遠くなりそうだった。風呂には20分も浸かってましたが、それでもまだ冷房から来た疲れがとれません。私、冷房が駄目なんで、夏はゾンビと化してます。

 2000.7.16(日)

 円山夢久リングテイル 勝ち戦の君(メディアワークス電撃文庫.2000.298p.550円+税)読了。
 第6回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作。という冠から受けるイメージよりももっとずっとファンタジーな一冊。

 魔道師工房の見習い少女マーニは、ある日、街に立ち寄った王の一行に〈九都市〉最高の魔道師フィンダルの姿を見て胸を高鳴らせる。彼女は偶然からフィンダルに認められて弟子に取り立てられ、王の軍と行動をともにすることになる。
 若い王の求めているのは〈勝ち戦の君〉として語り伝えられる〈九都市〉の救世主。かのものは全身をくまなく甲冑で覆った無面の騎士。かれの来た戦は負け知らずであったという。〈勝ち戦の君〉を召還するため、王はナラスの都へと進軍する。だが、フィンダルは頑なに反対し、ひとびとの忌む怪異とよばれる生き物を利用しようとしたため、王と魔道師の対立は深まる。
 はたして〈勝ち戦の君〉とは実在するのか。その正体とは。

 物語の世界全体にふしぎな気配がいきづいていること。これが私のファンタジーに対する理想なんですけど、久々に巡りあいましたねー。
 マーニの魔法修行についてのこまごまとした描写が、とても好きです。修行だけをつづけてもらってもいいくらい。
 魔法にくらべて世界の構造についての記述はとても少ないんですけど、続編が出るらしいので追々あきらかになってゆくでしょう。スケールの大きなお話は数あれど、雰囲気で魔法をつたえてくれるお話って、とても貴重だなーと思いました。

 2000.7.15(土)

 谷甲州エリコ(早川書房.1999.510p.2200円+税)読了。
 近未来SF。
 …なんか、書くことに困る話ですね。谷甲州の話としては、だいぶ明るい話だなと思いました。対象年齢を上げた『ヴァレリアファイル』ってところかな。始めのほうは地上で戦って、ラスト近くになると宇宙に出て行くところも似てる。
 ずいぶんいろんなことを書かれていたので、読む前には少し身構えていたんですが、露骨にいろいろ描写してあるほどには、エロティックな感じもそれほどしなかったし。
 ただ、終わり方がすこし性急な感じはしました。いろんな人たちがどうなったのか、わからないまんまだし、エリコがいろいろな苦難を乗り越えて、悪と対決する話かと思っていたのに、なんだラブストーリイだったのか…。それならもっとラブラブなシーンをいれてくれればいいのに、と思いました。しかし、愛甲ヨハネが出てくるたび、中日ドラゴンズの愛甲選手が脳裏にうかんでくるので、中性的な容貌てのがまったく想像できなくなり、ストーリーへの没入を妨げていたので、それはそれで困るんだけど。

 2000.7.14(金)

 暑さのあまり、またもや寝冷え風邪をひいてもうた。今度はひたすらに喉が痛い。とうとうイソジンでうがいまでしてしまいました。
 若木未生XAZSA メカニックスD(集英社コバルト文庫.2000.210p.448円+税)読了。
 とても久々のXAZSA(ザザ)のシリーズ。いつのまにか巻数表示がなくなっている。たしか三巻目です。
 前に読んだのは1992年。だから、以前のお話を忘れていても今度は誰も責めないであろう(^_^;)。天才少女科学者浅見優亜ちゃんがいまは亡き父親と作った機械人間ザザが「人間になりたーい」(なんか…ちがう)とがんばるお話。
 今回は短編集だったので、よけいに細部を思い出すのが大変だった。なんか、贅肉がどんどん削ぎ落とされていってますよね、この方の文章。とぎすまされて歌詞みたい。とくにこの話はメルヘンなので、さらにメルヘン度がアップしてます。作品的には良いことなんだけど、客観的な状況はわかりにくくなったような。

 2000.7.13(木)

 ひきつづき、暑いです。ホントに梅雨明けしたら、こんなもんじゃなく暑くなるんだろうな。だからって今の暑さが和らぐわけじゃないですが。
 樹川さとみ楽園の魔女たち〜大泥棒になる方法〜(集英社コバルト文庫.1998.310p.533円+税)読了。
 シリーズ八作目は、美少年風剣士のファリスとヨンヴィル国騎士団虹の谷支部長アシャ・ネビィが馬術大会に参加する途中、スリにあい、さらに大泥棒と間違われてしまうという災難に見舞われるお話。
 疑問。〈ウォルスの霧〉を騙ってた人物はいったい何者だったの。それに殿下の出番がすくないのがさみしい。

 麻城ゆう風舟の傭兵 月光界秘譚1(新書館ウィングス文庫.2000.224p.580円+税)読了。
 ノベルズから出ていた「天界樹夢語り」シリーズのつづき。
 いままでは登場人物の過去を延々と追っていたんだそうで…これからが本筋なんだそう。登場人物のいろんな過去をそれだけ丁寧に書き表してもらっても、物覚えの悪いやつ(私)には、ぜんぜん役に立ってないです(T.T)。ひとりでてくるたびに薄れた記憶が「なんか、読んだことがあるような気がする…」とささやきますが、はっきりとしたことは思い出せないです。困った。
 いいや、「初めましての読者」になろうっと。

 2000.7.12(日)

 出かけようとしたら、腕時計が九時四十分で静止していた。電池交換のため、足を延ばして繁華街までいった。そして目についたものを買っていたらとんだ散財に。
 購入したのは次の通り。

 麻城ゆうのこのシリーズは、変な買い方をしているのであとで困るなあと思いつつ、また買ってしまった。はじめのうちは近所の本屋になぜか入荷していたのですぐに購入できたのだが、最近ぜんぜん入らなくなってしまって、時機を逸しているうちに都会でも見つからなくなって、結局図書館で借りて読んでたんですよ。だからシリーズ歯抜け状態。
 そしたらもう借りて読むことに決めればいいような気もする。でも、予約してから2、3ヶ月は待たされるしなー。というわけでまた買っちゃったのであります。しかし高いなー、この文庫。

 2000.7.11(火)

 美容院後遺症(頸の痛み)に苦しむ一日。ようやくフツーの生活を送れるまでに回復したと思ったのに。ちっ。
 池上永一バガージマヌパナス(新潮社.1994.266p.1359円+税)読了。
 あちこちでおもしろいと評判の本。図書館で見つけたので借りてみました。
 沖縄が舞台。登場人物もすべて沖縄人の、沖縄ファンタジー。

 19歳の綾乃はとにかく楽をして生きたいというのが人生の目標というぐうたらな女の子。しかし、その彼女に突然、「ユタになれ」という神様からのお告げが。まっぴらごめんとばかりに拒否しつづける綾乃に、神罰の数々が降りかかる。

 うーん。この主人公のぐーたらさ加減は、私といい勝負なのでは…。こんな感想を抱く自分がちょっと怖い。しかも私のほうがずーっとテンションが低かったりして…。
 本自体への感想としては、とにかく文章が魅力的。汚らしいばーちゃんたちもそれぞれ魅力的だし、ごうつくばりの先輩ユタのおばさんもかわいげがあって、たのしかった。

 2000.7.10(日)

 美容院に行ったらば、かなしい頭になってしまった。ちゃんと望みを伝えられていないのかもしれないけど、かなり悲しいぞ、これは。
 秋山完ペリペティアの福音 上 聖墓編(ソノラマ文庫.1998.268p.490円+税)読了。
 気分がダレダレだったので、作品世界に入り込むのにずいぶん時間がかかってしまった。すべての文章で「SFだ」と叫んでいるような本は、しばらく読んでなかったんだなー。でも、よみづらい文章ではありません。かえって誠実すぎるかなと思えるくらい。ページ数の関係かもしれないけど、セリフの鍵カッコで改行せずに文がつづいていく文章なんて、最近ではお目にかかれませんよ。昔の本はこんなだったよー、という感慨が…
 物語は銀河最大の葬祭社団ヨミ・クーリエ社とか、敵対する医療法人ゲルプクロイツ社とか伝説のフォークト大帝とか、SPF教とか、いろんなことがいろいろ詰め込んであって、まだ始まったばかり。主人公のティック・タック・フィトロム葬祭司補が、フツーの青年なのが好感もてます。ほかの強ーいお姉さんたちとの違いがありすぎで、ちょっとかわいそうかも。

 2000.7.9(日)

 盆にも正月にも帰ってこない弟がとつぜん帰宅。出張だと思いこんでいたのにずいぶんとカジュアルないでたちなので、「あんた、なにしに来たの」と問うてみた。
「B某のコンサート」
「うそ…」
「こんなことで嘘ついてどうする」
 確かにそうだが…。威張っていうあんたも、どうかと思うぞ。
 谷甲州の『エリコ』を読み始める。ひさしぶりの谷甲州は二段組ハードカバー。ちょっとひるむ。

 2000.7.8(土)

 台風一過。晴れるのはいいけど、フェーン現象で気温がずんずん…。暑いー。
 京極夏彦塗仏の宴 宴の始末(講談社ノベルス.1998.636p.1200円+税)ようやく読了。
 …つかれた。途中体調不良でリタイアしかけました。よろよろと読み進んで、鳥口君なら「うへえ」というだろう最後にへなへなと脱力。既刊本すべて読んでいてそれはないだろうとは思うんだけど、堂島大佐ってこれまでに出てきましたっけ? この人が京極堂の宿命のライバルとかいう存在になるのかなあ。

 リリアン・J・ブラウン(羽田詩津子訳)猫は泥棒を追いかける(ハヤカワミステリ文庫.1999.342p.640円+税,Lilian Jackson Braun "THE CAT WHO TAILED A THIEF",1997)読了。
 新聞記者で立派な口ひげがトレードマークのクィラランが、飼っているシャム猫ココの導きにより事件を解決するシリーズ、第14作目。
 舞台はアメリカのどこからも四百マイル北にあるムース郡ピカックス。クィラランは莫大な遺産を相続したのち、記者を引退して移り住み、地元紙にコラムを連載しつつ優雅な生活を送っている。

 鍵などかけたことのないピカックスで盗難事件が多発。前代未聞のできごとに街は騒然。同じ頃、銀行家カーマイケルの派手な妻の従兄弟で、ピカックスの再開発に意欲的な修復コンサルタント、カーター・リー・ジェームズが現れた。噂は噂を呼び、かれの計画は街のひとびとの大きな関心を呼ぶところとなる。銀行家も計画に支援を約束していた。ところが、銀行家が出張先で射殺されたという知らせが届き、さらに盗難事件の容疑者として、誰もが思っても見なかった人物が逮捕される…クィラランはふたつの事件の真相を探りはじめる。

 このシリーズの魅力はのんびりした田舎生活と、クィラランの金に余裕のあるしかし、節度を持った生活スタイル。そして、ココとヤムヤム、その他の猫たちに関する描写でしょうか。登場人物たちの個性豊かさなどこういった本には必要不可欠な要素もしっかり書き込んでありますし、シリーズ物なので物語世界にはどんどん深みがあたえられていきます。登場人物がほとんど中年以上なのも、安心感があります。
 ミステリとしてみると、犯人はすぐに割れちゃうんですけど、心温まる謎解き物が読みたいときにはぴったりなんじゃないでしょうか。

 2000.7.7(金)

 台風が近づいているらしい。風が北からなのですこし涼しいのがウレシイ。
 二宮清純最強のプロ野球論(講談社現代新書.2000.254p.680円+税)読了。
 家族が買ってきた本。『宴の始末』に疲れた脳にちょうどいい気分転換になった。
 情緒に走りがちなスポーツマスコミとはちがう、技術面から見たプロ野球のすごさが語られています。ジャイアンツの松井とイチローの違いとか、イチローと松坂大輔との対決でなにがすばらしかったのかとか。でも、日本のプロ野球を知らない人は、たぶんおもしろくないでしょうね〜。

 2000.7.6(木)

 ホームページ制作にもだいぶ慣れてきて、日記もひと月分ほどたまったので、「書評リング」に参加してみることにしました。
 京極夏彦『塗仏の宴 宴の始末』を読んでいるうちに、どんどん血糖値が下がっていったらしく、意識がぼんやりしていき、どこを読んでいるのかわからなくなっていった…。だるい。

 2000.7.5(水)

 ゆうべ眠れなかったうえに久々に外出したせいで、眠くてたまらん。昨日までより少しだけ涼しくなってるのが救い。
 紫堂恭子の『癒しの葉』第七巻を購入。私はこの人のマンガをデビュー作からずっと読んでいて、たまたまだけどサイン会に行ってご尊顔を拝したこともあるのに、読んだあとではいろいろとケチをつけたくなってしまいます。愛ゆえか、性分なのか。
 この本は心理セラピーを受けているような気分にさせられて困りました。

 2000.7.4(火)

 高野史緒ウィーン薔薇の騎士物語1 仮面の暗殺者(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2000.208p.857円+税)読了。
 ほぼ発売と同時に購入したにも関わらず、著者とノベルズの関係にとまどって先送りにしていた一冊。

 19世紀末。フランツ・ヨーゼフ一世のオーストリア・ハンガリー帝国の帝都ウィーン。音楽への夢をもとめてやってきた少年フランツは、当代一のシュトラウス楽団と人気を二分するジルバーマン楽団に、幸運にも入団することが出来た。しかし、舞踏場で密談を立ち聞きしてしまったことから、国家を揺るがす陰謀(?)に巻き込まれてしまう。

 古典にはまったく縁のない私。音楽だろうと例外ではあり得ず、オペラももちろん守備範囲外です。そういう人間って、逆に弱いんですよねー。歴史ある風物とか、教養とかに。だから高野史緒の本が好きなのかも。もちろん、そういった雰囲気以外の魅力があるんですけど。
 で、この本ですが、オペラ『薔薇の騎士』を題材にとった三角関係に(そうと解説されなければ絶対に気づかずに終わったことでしょう。ははは)、帝国の皇太子暗殺計画をからめて、ドタバタコメディーに仕上げたというお話。
 ふたつの状況が入り交じると、つじつまや状況をあわせるのに苦労するだろうと思います。しかし、あまり報われてないような気がする。いや、つじつまがあってないというわけではなく、ストーリーとしてはできあがってると思います。でも会話文などにやたら違和感を覚えてしまうのです。コメディーが合ってないのでしょうか。無理してノベルズ用に作ってる感じがします。
 舞台装置は魅力的だし、楽団のみなさんにも興味がもてるんですが、うーん。こういった感じの話は、本来、好みなはずなんですけどね。やっぱり、慣れてないから?
 とはいえ、二巻目も購入済みなのでそのうち読みます。

 2000.7.3(月)

 諸田玲子誰そ彼れ(たそがれ)心中(新潮社.1999.294p.1700円+税)読了。
 図書館で苦しまぎれに借りてきた本。以前に読んだ『まやかし草紙』がけっこうおもしろかったという記憶があったので。

 江戸時代。旗本向坂家の嫁、瑞枝は、ある日、庭のからたちの枝を手折ろうとして指を傷つけてしまう。そのとき、彼女を見ていたのは小者の小十郎。かれはあるじであり、瑞枝の夫でもある宗太郎についての人が変わったようなふるまいへの疑念を彼女に訴える。姑や小姑に疎外され、孤立無援の瑞枝にとって夫は頼みの綱だった。そのときは笑い飛ばしたものの、瑞枝本人も腑に落ちないことをいくつも抱えていたのだ。宗太郎が別人だとして、それでは今いる彼は何者なのか。隠れて調べるうちに瑞枝と小十郎は深い恋に落ちてゆく。

 というわけで、題名からおわかりの通りに最後はなるのです。時代物はそれほど読まないんですけど、ほんとに身分上の制約だの立場上の制約だのが多くて、息苦しいですね。それで燃えるんでしょうけど。現代物なら、こんなに濃密な、袋小路な関係にはなれません。死を選ぶしかない状況というのが、ここまで納得できるとかえって疲れます。感情の持って行き場がないというか。
 宗太郎の正体探しのところなどはミステリみたいで、そういえば『まやかし草紙』にもそんなところがあったなあと、ぼんやり思い出しました。あちらは対象年齢を上げた『なんて素敵にジャパネスク』(氷室冴子)みたいだな、と感じたのでした、たしか。

 2000.7.2(日)

 もう熱帯夜…。年々、夏が厳しくなるなあ(T.T)。
 ハーラン・コーベン(中津悠訳)ロンリー・ファイター(ハヤカワミステリ文庫.1999.502p.840円+税,Harlan Coben "BACKSPIN" ,1996)読了。
 マイロン・シリーズの4作目。今回のスポーツはゴルフ。マイロンはゴルフに対する親近感は皆無。なのに全米オープンの会場にやってきたのは、相棒のウィンの勧めがあったから。そして案の定、事件に巻き込まれる。ところがウィンはマイロンを手伝ってはくれないのだった。その理由は…
 というわけで、ウィンの過去が明らかにされる巻。事件そのものはゴルファーの息子の誘拐事件なんですが、そんなん、そっちのけです(苦笑)。しかし、その分ウィンの活躍は減っている。
 かわりに元プロレスラーのマイロンの秘書、エスペランサがどんどんいい味を出してます。共同経営者になりたいという彼女と、マイロンはこれからどのようにつきあっていくのか、これもけっこう楽しみかも。

 2000.7.1(土)

 もしかして、もう梅雨なんて終わってんじゃないの…と疑いたくなるような暑さ。
 橘香いくの革命はお茶会のあとで 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険(集英社コバルト文庫.2000.312p.533円+税)読了。

 テランスの目が、興味ぶかげにきらめいた。
「おやおや。では、あなたはティボー中尉にご不満でもおありなのですか?」
「そんなわけじゃありませんけど――」
「では、何なんです?」
 するとコラリーは、深刻そうなため息とともに言った。
「……ときどき、人間としてまちがってると思いますわ」

橘香いくの『革命はお茶会のあとで』p.159より

 ぷぷぷぷ。思わず引用してしまいました。
 〈有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険〉シリーズ(長すぎる、このシリーズ名)の八冊目は、前作で大けがをしたコラリーが過保護からほとんど監禁状態になってしまった自室を、どうにか逃げ出すところから始まります。そこでまた出会うわけです、殺人現場に(苦笑)。
 このシリーズ、架空の世界(ブローデルのモデルはフランス?)を舞台にしたミステリ風味の冒険ロマンスってことになるんでしょうか。
 正義感いっぱいで困った人を見ると黙っていられず暴走するコラリー(人はいいが、頭は??)が事件のまっただ中にとびこむ。さらに大きくひっかきまわす。とうぜん事態は滅茶苦茶になる。そこで彼女を自分の命よりも大切に思っている幼なじみの近衛騎兵隊の将校フェリックス・ティボー中尉が、仕方なくやってきて、からみあった事件の全容をあばいてくれる。
 というパターンで展開するコメディーです。
 猪突猛進なヒロインを助ける沈着冷静なヒーローというのは、ほんとにありがちなんですけど、フェリックスくんの場合、沈着冷静というよりも冷酷非情。顔は抜群によいけれど無愛想。能力はありあまっているものの(よくもこれで近衛騎兵隊に勤務しつづけられるな、と思えるほど)怠惰。他人に干渉するのもされるのも嫌い。思ったことをいいことも悪いこともすべて口から出してしまう。ときにはコラリー以上に災いの種を撒いてまわる人物なので、周囲の人たちの被る迷惑は多大なものとなっています。
 滅茶苦茶なカップルですな。
 で、このふたりを掌で遊ばせるようなことができる、唯一の人物が、ブローデル国王のテランスなわけで、ここで冒頭の引用になるわけですが。
 読みながら思わず吹き出してしまいました。このあとテランスも爆笑しています。このふたり、おたがいの欠点はよーくわかってるんですよね。自分のはそっちのけだけど。
 ストーリーは、とてもわかりやすい王道のパターン。なので犯人はすぐにわかってしまいます。謎解きが主眼の話ではないと思うし。筆致が安定しているので、安心して読めます。


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