2000年12月前半のdiary
■2000.12.2 チャンピオンシップとフィギュアスケート/『ぼっけえ、きょうてえ』
■2000.12.3 ムクムクを探して/『サマー・キャンプ』
■2000.12.4 風邪の予感
■2000.12.5 マスク/『輝く平原の物語』
■2000.12.6 古い「最新号」/『上と外 2 緑の底』
■2000.12.7 /『楡屋敷の怪人』/『楽園の魔女たち〜星が落ちた日〜』
■2000.12.8 沈没
■2000.12.9 幻想水滸伝2ようやくクリア/『ベウラの頂 ダルジール警視シリーズ』
■2000.12.10 順調?
■2000.12.11 大都会/『魔の聖域 グイン・サーガ76』
■2000.12.12 郊外型パソコン店/『リングテイル3 グードゥー狩り』
■2000.12.13 泥沼
■2000.12.14 はじめてのI/Oエラー/『神威抱く者 新・ゼンノーヴ異聞2』
■2000.12.15 Outlook Express5
■2000.12.16 ようやく一週間/『陋巷に在り 11 顔の巻』
今週は忙しかった。きょうは暖かくて、おかげでずっと眠かった。
おそらく一般の方々にとっては、なんてことのない、ふつうのことばかりだろうとは思うのですが。(システムの再インストールはそうでもないだろうけど。)体力がないなー、私って。
とくに風邪をひいたのが誤算でした。あれでなけなしの体力貯金がはたかれてしまったのだと思う。
酒見賢一『陋巷に在り 11 顔の巻』(新潮社.2000.298p.1500円+税)読了。儒教の始祖とされる孔子の、自分の理想を魯国に実現するために戦う政治家としての姿を描く歴史小説幻想風味。
中国の歴史をあつかった日本語の小説はいろいろとありますし、そのうちの数冊は私も読んだことがあるのですが、この本がほかのものと違うのは中国人の信仰というか精神世界の歴史みたいなものも取り込んで描いているところでしょうか。
儒教の土着信仰とのかかわりがおもしろいです。いまでは単に人間関係の作法のように扱われている「礼」は、そもそもは霊的存在と人とのあいだの作法であり、母親の一族顔氏の守り伝えてきた巫祝の「礼」を、顔氏のみならず一般普遍に耐えうるものとして体系化しようとした孔子は、顔氏の保守的な体制派から疎んじられるようになる。といったあたり。
孔子には思想は政治を通して実現されるべきものという信念があるため、かなり強引なことをあちらでもこちらでもやろうとし、実際にやっており、物語はけっこう波瀾万丈。登場人物も大勢。どこからどこまで史実として認められているものなのかは、歴史に明るくない私としてはまったくわかりませんが、とてもおもしろいことは確かです。
ストーリーとは別に、いろいろな登場人物のなかでも読んでて楽しいのが顔氏のひとたちなんですよね。こんなこと書いてもいいものか、私は孔子のストーリーよりも弟子の顔回と顔氏のストーリーの方に興味があるし、じっさい、孔子のエピソードは読み流しているという自覚があります。
ところでこの巻は尼丘(顔氏の本拠地)にたいへんな試練が訪れます。太長老〜。
ひきつづき、復旧作業。
どうせ全部まっさらになったんだからと、ついでにメールソフトをバージョンアップしてみようかと思いたちました。
Outlook Express5 Macintosh版。これがリリースされたのって、もう一年以上前なんですよね。いままでバージョンアップしなかった理由は「アイコンのデザインが気に入らなかった」からの一言につきます。
4.5のアイコンが気に入っているわけではないのですが、5のアイコンは子供の絵みたいで、あまりカッコよくないと感じました。
でも、一年も経ったんだから、いい加減アップした方がいいのかなと思いまして、雑誌付録のCD-ROMからインストールしてみたんですけども。
インターフェイスがずいぶん変わってて、これは慣れるしかないと思いますが、でも、メール作成に当たって自動的に改行してくれる機能がどこを探しても見つからないのが困った。
さらに文字化けしたメールをテキストエディタで変換して、もう一度ペーストしたらば、メールが途中でちょんぎれてしまうのは何故なのか。
Mac版とWin版では違うと思うけれど、触ってみた感じはあまりいいとは思えなかった。
でも、もとの4.5に戻そうとしたら、アカウント情報が5に吸い出されて真っ白けになっていたのには、参りました。アカウント情報のエクスポート機能なんて、Outlook Expressでなくてもないですよねえ。設定のしなおしだー。
設定しなおしてから気づきました。バックアップしてあったデータをそのままコピーすればよかったんだ…。無念。
朝起きて、「さあ、はやいとこメールをチェックして、サイトの更新をしとかなきゃー」とPowerBookを立ち上げたら、なんだか動作が変だった。
でもいちおう動いているしと、このファイルの点検をして、メールの点検をしようとしたらOutlook Expressが立ち上がらなかった。
「I/Oエラーです」とPowerBookは告げた。
なんや、それ?
それから再起動、Outlook Express起動、I/Oエラーですを三回ばかり繰り返して、このまま使うことをあきらめた。
ディスクメンテナンスソフト、ノートンユーティリティーを起動。診断させようとするが、異常に時間がかかる。あまりに長いので考えを改め、途中で中断して、CD-ROM起動でもう一度診断。
そのあいだに『Macのお医者さん』で「I/Oエラー」について調べてみた。それはハードディスクのトラブルであるらしい。メンテナンスソフトで解決できると書いてあったので一安心…したのもつかの間、いったい診断に何時間かかるのだー。
午前九時過ぎにスタートしたノートン先生の診断は、お昼ご飯の時間を迎えても続いていた。
お昼が終わっても続いていた。
おやつの時間になってもつづいていた。
午後五時。とうとう、私はあきらめた。とりあえず、診断が終わったところをみてみると、かなりのファイルのリソースが壊れているらしいので、それを消去すればなんとかなるのではと考え、診断を中断。壊れたファイルを取り除こうとしてみた。
だけどこれができなかったのですね。つくったエイリアス(winならショートカット?)から本体を探そうとするのだけど、探す課程で凍りついちゃう。
これはもうだめやー。
ということで、結局、救い出せるファイルをバックアップした後、何度目かもわからぬハードディスクの初期化に挑んだ私であった。
もう取扱説明書なんか見なくてもリストアできちゃう自分が悲しい。時間はかかるけど、復元の優先順位なども結構把握しているのにがっくりする。とりあえず、インターネット接続環境を整えたところで一日が終わった。
五たびめくらいに生まれ変わったPowerBookは、とても快調。ハードディスクの変な音もしなくなった。だけど、なにが原因だったんでしょう、今回のクラッシュは。思いあたらないので繰り返すかもしれないという不安が脳裏を去らないぞ。
一日、無駄につかっちまったという気持ちと、でもちゃんと復旧できたという達成感がないまぜになって複雑な一日だった。
前田珠子『神威抱く者 新・ゼンノーヴ異聞2』(小学館パレット文庫.2001.206p.467円+税)読了。
異世界ファンタジー。「1」が出たのは去年の十一月。同じ出版社のキャンバス文庫から出ていた『歌姫の宝玉 上中下 ゼンノーヴ異聞』とつながっている模様。
アシュレーダ女神の支配する世界の西半分。重罪を犯した一族の娘ペパラーダは、一族の存続をかけて聖地フラエンスをめざす少女ファティシャラダとなりゆきから旅をともにすることとなる。しかし、彼女の目的地は神殿ではあり得なかった。聖痕を持たぬ身でありながらふつうではない力をふるうことのできる自分が、どれだけ罪深い存在であるか、セクィール神の支配する東方でよばれる「魔女」というものなのではないか…。
船旅で夜中に人気のない甲板で出会った青年は、どうやら彼女の素性を疑ってしまったらしい。できるだけ目に留まらぬように船室にこもろうと決意するペパラーダ。ところがファティシャラダが体調を崩してしまう。
ノートン先生に働いてもらってる間に読んだ本。
一年以上前に「1」を買ったにもかかわらず、すっとなじんでいったのは、たぶん、病院で合計四時間くらい待たされたときに読んだからでしょう。ほかにすることもなくて何度も読み返してたから。
でもさすがに、というかやっぱりというか、前の巻では出てこなかった新じゃない方の「ゼンノーヴ異聞」のキャラクターや人間関係は、ほとんど覚えていなかった。「ヴェネツィア(共和国)風の話」というイメージが残っていたので、社会機構は思い出せるんですけどね。
そして以前の話は、これって異世界だけどファンタジーではないでしょ、と思ったのですが、今回はちょっとそれらしき雰囲気があるかなと感じました。
でもペパラーダの性格がうっとおしいです。
きょうは図書館帰りに妹の家に寄り、パソコンのセットアップにつきあってきました。
ものすごく疲れて、もの言うのも億劫。
午後から妹一家のパソコン購入につきあった。疲れのとれないままだったので、へろへろになりました。
郊外型のパソコンショップは、平日の昼間ということで人がかなり少なかったのがせめてもの救い。
駅近くのパソコンショップには在庫がなかったので、おっかなびっくり出かけたのだけど、けっこう広くて、品数も揃っているようだった。あんまり安くはないような印象を受けたけど、目当てはiBookなんで、どこで買っても値段は同じ。
メモリを追加して、外部記憶装置についていろいろ検討した結果、USB接続の100MB用Zipドライブを購入。あと、入門書を一冊、買いました。
そこは二階建ての建物の二階がパソコンショップで、一階の半分は100円ショップ。のこりは安売り生鮮食料の店だったもよう。私がかつて通っていた高校へ行く途中、分かれ道で反対方向に曲がるとたどり着くところなのだが、めちゃくちゃ不便なところなんで、昔ならこんなところに店を建てようなんてだれも考えなかったと思う。いまだって、そんなに客が来るのかちょっと不安。すぐに潰れたりしなければいいのですが。
そういえば、すぐそばにユニクロもあるらしかったが、時間がないので寄らなかった。日本も車社会になりつつあるんだなー。最近、新しい店はみんな郊外型なんで、免許のない人間はチラシを眺めるだけしかできないのが悲しい。
帰りに年賀状用家族写真のカメラマンまでつとめてきた。寒くてさらに疲労が増した。
円山夢久『リングテイル3 グードゥー狩り』(メディアワークス電撃文庫.2000.226p.530円+税)読了。『リングテイル2 凶運のチャズ』のつづき。異世界ファンタジー。
大昔の世界に迷い込んでしまった魔道師見習いの少女マーニ。行きがかりで盗賊〈凶運のチャズ〉と行動をともにすることになるが、チャズは任されたなわばりを王に叩きのめされた責任をとるために、首領から新羅の森でのグードゥー狩りを命じられた。
まだつづいてますー。
もしかして、この話はとてつもなく長いのだろうか。それなら最初からそう断ってほしいなー。無理か。
リングテイルというのは「円環の物語」はじめの状況に戻ってくる物語なんですね。いまさら題名の意味を理解している自分が…。
というのは通院するときに行くところ。
なんとか体調を整えて無事たどりつき、帰って参りました。
行きのバス中で気分が悪くなりかけてちょっと不安になったところで、いつもなら絶対あり得ない「席が空く」というありがたい出来事があり、腰を下ろして気をとりなおせたのがよかった。ものすごい渋滞にハマったせいで、急ぐ人々がバスを見捨てたというのが事実でしたが。
少し早めに家を出ていたおかげで、予約時間には間に合いました。
ところで、バスも電車もビルの中も、暖房が効きすぎだと思う。汗をかくとまた風邪をひいてしまうじゃないの。
以下の本を購入。
- 栗本薫『魔の聖域 グイン・サーガ76』(ハヤカワ文庫JA)
- 水落晴美『夢界異邦人』(メディアワークス電撃文庫)
- 円山夢久『リングテイル3 グードゥー狩り』(メディアワークス電撃文庫)
『夢界異邦人』はそのとき目的のブツがなかったために、つい買ってしまった本。
その後、別の本屋で『リングテイル』を発見して購入したので、自分としてはちょっと…。おもしろい本だといいなあ。
きょうはわりと早く診察が終わったので、本も一冊見つからなかったことだしと、何年かぶりに駅の反対側まで足を延ばしたのですが、ちょっと見ないうちにまた店並びがずいぶん変わってて。本屋じたいもかなり模様替えしていた。都会は新陳代謝がはやくてついていけない…。
栗本薫『魔の聖域 グイン・サーガ76』(ハヤカワ文庫JA.2000.296p.540円+税)読了。『大導師アグリッパ グイン・サーガ75』のつづき。
今回は、診察前、清算前、薬待ち、帰りの電車の中と、細切れに読んでいたので、しおり代わりの「新刊案内」の位置を入れ替え忘れたりして、同じところを二度読んでしまったり、読んでいたところがわからなくなってしまったり、いろいろと事件が起こりましたが、どうやら帰り着くまでに読み終えました。
たぶん、この巻に漂うただならぬ雰囲気が集中力を切らさずにすんだ原因と思います。「登場人物」表のところにヴァレリウスの名がなかったので、またナリス様まわりの人間関係描写かとすこしげんなりしたのですが、緊迫したシーンがつづいてておもしろかった。でもどんな邪悪な存在も、登場シーンが増えて未知のヴェールが剥がされるにつれ、だいぶ恐ろしさが減ってきてしまうのは仕方ないことなのでしょうか。なによりも「わからない」ことが怖さのスケールにも影響するのだなと思いました。
ほぼ一週間におよぶマスク生活と、そのほか諸々の精進(うがい薬によるうがいを日に三回とか、ビタミンCをとるとか)の結果、どうやら風邪は快方に向かっているもよう。
体温はずっと平熱だったんだけど、喉・鼻の違和感・喉の痛み・鼻水・咳と症状が変化し、これが今年の風邪の傾向なのか、まわりもそういった経過をたどっているようなので、あと一踏ん張りかなと勝手に想像しています。
これで明日の病院行きはオッケー。しかし、病院に行くために体調を整えるなんて、本末転倒のような気がしないでもないなー。
酒見賢一『陋巷に在り 11』を読みはじめる。
風邪で頭が働かないことを理由にゲーム三昧のここ数日。
その甲斐あって、ようやくようやく『幻想水滸伝2』をクリアできたぞー。
ちゃんと、ベストエンディングも見たし、特殊エンディングも見たし、王様になるバージョンも見たし、分岐したコースはとりあえずやってみました。すべてのバリエーションは面倒すぎるのでパスしましたが。
このゲームで感心するのは、「なんだいその言い草は」というような木で鼻をくくったようなセリフがないことです。ちゃんとシナリオが練ってあるんですね。ドラマ部分でけっこうじんときた場面がありました。
戦争イベントのシステムをもう少し理解できていたらば、もっと楽しめたんではないかと思うと、かなり残念。ああいうシミュレーションバトルってけっこう好きなんですよね。ぜんぜん強くはないんだけど。『ファイアーエムブレム』とか、『タクティクス・オウガ』とか、『ファイナルファンタジー・タクティクス』とか。『伝説のオウガバトル』は私には少し厳しかったな。その程度のレベルなんですが。
レジナルド・ヒル(秋津知子訳)『ベウラの頂 ダルジール警視シリーズ』(ハヤカワミステリ.2000.550p.1800円+税
Reginald Hill "ON BEULAH HEIGHT",1997)読了。イングランド中部ヨークシャー州警察の警視アンディ・ダルジールの活躍するミステリシリーズの十五作目。邦訳としては十三作目。
暑い夏の日、ダム工事のために水没する村デンデイルで三人の少女が行方不明になった。警察は犯人を見つけられず、捜査中に犠牲者が増えたこともあり権威は失墜。さらに最有力の容疑者と思われていた変わり者のベニーを一度は取り調べたものの証拠不十分で釈放し、行方不明にしてしまったことで捜査は行き詰まった。
十五年後、村人たちのほとんどが移り住んだ町ダンビーで、また少女の失踪事件が起きる。昔の事件を担当していたダルジール警視は苦い記憶を思い出しながら捜査の指揮を執ることになった。そして、向かった町のあちらこちらにはペンキで「ベニーが帰ってきた」という落書きがされていた。はたして、今回の事件と十五年前の事件はつながっているのだろうか。
巨漢、太っちょアンディ、神様、かつてのラグビーフォワードの肉体に贅肉をできうるかぎりくっつけているのに敏捷なデブ。中部ヨークシャー警察でその存在を知らぬものとてない傲慢なブルドーザー、アンディ・ダルジール警視のシリーズも十三冊目…そんなに読んでたっけ、と思って調べてみたら、一冊読んでない巻がありました。うーん、どうりでときどき意味の通じない場所があると思った…って、そんなのいつものことじゃないかという気も。
このシリーズは主役の粗暴さとは無関係に教養にあふれていて、今回は『天路歴程』とマーラー、その他いろいろ。浅学な私はいつも解説にある説明を読んで知識を得ているのですが、今回は訳者あとがきも解説もナシ。(シリーズのリストだけはついている。)ページ数が足りなかったのでしょうか。おかげで予備知識なしで読まなくちゃならなかったんで、いまいち理解が追いつかなかったような。
でも、いつもの三人組(ダルジールに大学出のパスコー主任警部、それにゲイのウィールド部長刑事)を外から見るシャーリー・ノヴェロ刑事の視点が加わって、とてもおもしろかった。
いつもとは違う感情的なダルジール警視の一面がみられたり、ウィールドがすこし明るくなってきたり、パスコーにはまたも試練が訪れたり、事件以外の展開もなかなか興味深かったです。とてもボリュームがあるので、これでしばらくは満腹、ごちそうさま、という感じでした。
きのうは二冊の本の感想を書いたところで果てました。
読むのは楽なんだけど、まとめるにはやっぱり普通の本とおなじ程度の労力は必要です。
風邪が日増しにひどくなってきて、頭脳労働がつらいです。
水曜日に繁華街に出たのがまずかったかなー。マスクしていったんだけど。
レジナルド・ヒルの『ベウラの頂』、読み始めたけどなかなか進みませんー。
橘香いくの『楡屋敷の怪人 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』(集英社コバルト文庫.2000.268p.495円+税)読了。『ローランスは猫日和』の続編。シリーズ十作目。
サン・プルー村に住むフェリックスの伯母コンスタンスが怪我をした。コンスタンスの同居人ボネ夫人からの知らせで見舞いに赴くコラリーとフェリックスだったが、伯母と甥は会ったとたんに険悪な状況になり、ふたりは家を追い出されてしまう。コラリーは途方に暮れた。サン・プルー村は風光明媚な観光地の中にあってぽつんと隔絶したど田舎だったので、ほかに泊まるところがないのだ。
責任を感じたボネ夫人は、以前ラスパイユ伯爵が住んでいたが、いまは使用人だった老女がひとりで寝起きしているという楡屋敷を世話してくれた。ところが、楡屋敷は七年前にラスパイユ伯爵一家が一人娘を残して惨殺されるという凄惨な事件の舞台だった。事件は未だ解決せず、重要参考人は行方不明だという。そして屋敷には幽霊が出るという噂があった。
先月も『上と外』の直後にこのシリーズを読んでいました。内容に関係はないけど。
あいかわらず暴走機関車のコラリーと生きた地雷踏みのフェリックスくんですが、今回はフェリックスの伯母さんのコンスタンス教師六十四歳がふたりに張り合ってて楽しい。強気で口達者な老嬢って、けっこう好きなんですよねー。もちろん、ちゃんと自分の生きてきた人生に自信があるからのふるまいなのがいい。
事件はありふれた展開なのですが、ここにもまた怪盗シュシナック氏の姿が。しかも青春の影なんか見え隠れさせちゃって。
樹川さとみ『楽園の魔女たち〜星が落ちた日〜』(集英社コバルト文庫.2000.268p.495円+税)読了。シリーズ十三作目。
ヨンヴィル王国虹の谷にある魔法使いの塔T楽園Uに隕石が落ちてきた。建物は倒壊。エイザードと四人の娘たちは、塔の存続と自分たちの処遇が決まるまでとの期限付きで、魔術師組合の本部チャクン・ハリに留め置かれた。弟子たちは師匠のエイザードとの接触を禁じられ、つねに監視をつけられるという待遇に不満を抱く。そのうえ、「特別扱い」されていると思われた彼女たちは、容赦ない嫌がらせにさらされることとなった。
あとがきから読んで、「そんなにシリアスなのか」とちょっとびびりながら読み始めたのですが、いつものペースががらりと変化したということはなく、バカ話の根底にしずかに流れていた伏流が、いつもより表面に現れたといった感じでした。エイザードが自虐的なのもいつものことだけど、今回は度を超していた気はしますね。かれが「子ども」であるという言葉は、とてもうなずけます。意外にも支部長どんがとてもたのもしい。
きょうは図書館へ行って本を返却。いつものように雑誌コーナーに行き、『週刊ベースボール』を読もうとして、「最新号」として先先週号が置かれているのを発見。(ここの図書館では雑誌をちょっと硬めのクリアカバーで保護してありまして、最新号にはそのカバーに「最新号」というシールが貼ってあるのです。)
そもそも『週刊ベースボール』は水曜が発売日なので、水曜日に図書館に通う身としては最新号でもすでに一週遅れ。それなのにその週遅れの号も置いていないとは。
面倒なのと時間がないのとでなにも言わずに出てきたけど、図書館での楽しみが半減した気分。すると、私は『週刊ベースボール』を読むために図書館へ通っているのでしょうか。
予約した本は一冊も届いてないし、発売日から時間が経っててコバルト文庫を買うために遠出しなくちゃならなくなるし、なんだかついてない今日一日。
以下の本を購入。
- 橘香いくの『楡屋敷の怪人』(コバルト文庫)
- 谷瑞恵『摩天楼ドール ハイブリッドハンター』(コバルト文庫)
- 樹川さとみ『楽園の魔女たち〜星が落ちた日〜』(コバルト文庫)
- 前田珠子『神威抱く者 新・ゼンノーヴ異聞2』(パレット文庫)
私の本を買う基準がめちゃくちゃなのは、自分でもよくわかっているのですが、ときどきほんとに情けなくなることがあります。なぜ、アレを借りて読んでコレを買って読むのか? なりゆきとしか説明できません。
恩田陸『上と外 2 緑の底』(幻冬舎文庫.2000.162p.419円+税)読了。隔月連続刊行全五巻の二冊目。
中米のG国に父親を訪ねて出かけた楢崎練の夏休みの旅は、突然のクーデターの発生により予想もしなかった状況に陥った。
日本の祖父たちは、かれらの方法で練たちの安否をつかもうとする。子どもたちを見失った父と母は、反乱軍の監視下で不安と後悔に苛まれていた。
そして、妹の千華子とともにヘリコプターから転落した練は、高温多湿の密林を放浪していた。
楢崎家の男性陣は、有能でなおかつ、信頼できる粒ぞろいでいいなあ。性格的にも安定しているようだし、タフだし。…愚にもつかない感想ですみません。話の途中すぎて難しいんですよ。とてもおもしろいんだけど。
今年は恩田陸の本がほんとにたくさん出ましたが、今月も出るらしくて、しあわせだけど、ちょっと心配。
朝起きてみたら、昨日よりも喉が痛くなっていた。せっかく加湿器にはりついていたのにと裏切られたような思いがしたものの、仕方がないので次の策を実行。それがマスクというわけです。
マスクをしていると確実に咽喉部の湿り気が維持されているのがわかります。乾燥した空気をじかに呼吸するよりはるかに楽です。
だけど、息をするのに努力しているような気分になるんですよね。体感的には鼻が詰まっているよりはマシ程度。心肺機能を高める訓練としてはいいかもしれません。
ウィリアム・モリス(小野悦子訳)『輝く平原の物語』(晶文社.2000.246p.1900円+税
William Morris "THE STORY OF THE GLITTERING PLAIN, OR THE LAND OF LIVING MEN",1891)読了。ウィリアム・モリス・コレクション全七巻のうちの三冊目。中世ロマンスふうのファンタジー。装幀と、ウォルター・クレインの挿画がとても美しい本。
由緒あるレイヴァン家の若者ホールブライズは、夏至の夜に愛するローズ家のホスティッジと結婚する予定だった。春もまだ浅いある日、かれが家の前で槍の手入れをしていると、馬に乗った三人の老人たちがやってきた。〈輝く平原〉の国、〈不死なる死者たちの国〉を求めているというかれらは、ホールブライズがここはそうではないと告げると焦燥にあふれた悲しげな叫び声を残して去っていってしまう。
ホールブライズはその後、レイヴァン家とローズ家の娘たちが蒼白な顔をして戻ってくるのを迎えた。浜辺でたわむれていた彼女たちに、武器を持った黒装束の男たちが襲いかかり、ホスティッジは連れ去られてしまったというのである。
ひとり後を追ったホールブライズは、海辺でひとりの黒装束の男が小舟に乗っているのに出会う。誘われたホールブライズは小舟に乗り込み、ホスティッジを探す旅に出る。
ウィリアム・モリスは19世紀のイギリス人。カバー折り返しの記事によると、詩人、装飾芸術家、社会主義活動家として活躍した人です。晩年に散文ロマンスと呼ばれる作品群を発表し、今日のファンタジー小説の始祖と称されているそうです。
舞台は北欧のような感じを受けますが、物語はゆったりと進んでいくヨーロッパ中世のロマンスのようです。悠長さにあきれるようなことはありませんが。
理想郷のはずの〈輝く平原〉の国が、心ならずも行かなければならなくなったホールブライズにとって居心地が悪いのはわかりますが、読んでる私もなんか違うぞと思ってしまいました。〈輝く平原〉の王がなんだかあまりに人間的な存在で違和感があります。ホスティッジ誘拐と、理想郷探索と、話がふたつに分裂しているよう。いろいろと理解しがたいところが残るのですが、雰囲気が伝承物語であるおかげか、まあ、いいかと思ってしまうところがあります。
現代小説なら許せませんけどね。
昨日から、鼻、のどのあたりに違和感があったんですが、今日はそれがひどくなってきました。鼻が詰まると酸素不足で意識がぼやけます。目はずっと涙目だし。これ以上ひどくならないように、加湿器のそばで膝掛けにくるまって『幻想水滸伝2』をしていました。ムクムクが見つかって嬉しい。でも、目が疲れた。
ウィリアム・モリス『輝く平原の物語』を読みはじめた。
またまた『幻想水滸伝2』です。物語はようやく佳境に入り、仲間集めも大詰めにさしかかって参りました。残すは、「むささび隊の熱血で正義感あふれるリーダー的存在」であるというムクムク。かれはグリンヒル周辺を五人以下のパーティーで歩いていると、いつのまにか仲間になってくれるらしいのですが、私のところにはなかなか顔を見せてくれません。かれを捜して、グリンヒルのまわりをぐるぐるとなんの用もないのにまわりつづけています。いつまで歩いていたらいいのでしょう。
長野まゆみ『サマー・キャンプ』(文芸春秋.2000.194p.1048円+税)読了。
近未来を舞台にゆれうごく少年の葛藤を描くお話。すみません、あらすじはパス。設定を説明できるほど消化できてないので。けど、『超少年』よりは舞台が現在に近い分、理解せずとも読むことは可能かと。
私は、長野まゆみのよい読者とは言えないなと、このごろしみじみと感じます。この話も、ストーリーの流れは理解できても、作者のいいたいことはいつの間にか指の隙間からこぼれているような気分。それでも読んでいるのは、たぶん、文章が好きなせいだと思うんだけど。それが本当の理由なのかどうかは、自分でもわかりません。
ところでこの本、珍しく女性が、しかも複数登場したので驚きましたが…。
Jリーグのチャンピオンシップとフィギュアスケートアメリカ大会、そしてNHK杯。
テレビのスポーツ中継を三つハシゴして、とても疲れた。すべてNHKだったので休憩がなかったのも原因か。
サッカーとフィギュアスケートを両方見たがる人はあんまりいないかもしれないけど、フィギュアの番組の時間が重なるのはひどい。総合とBSは別物という考えなのでしょうか。NHKの編成はもう少し配慮して欲しいです。
岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』(角川書店.1999.222p.1400円+税)読了。第六回日本ホラー小説大賞受賞作を収録したホラー短編集。
明治時代の中国地方を舞台にした短編が四作。表題作は「岡山弁で遊女が語るホラー小説」というので話題になったので、少し前から気をつけていましたが、ようやく借りられた。
地方の民俗に題材をとるホラーというと坂東眞砂子を思い浮かべますが、あちらにはまだ幻想というか、ヒトならぬものの関与がありました。(最近は読んでないので、初期のころの印象ですが。)こちらにはそういった存在がいそうでいない。でも怖い。超常現象の関係しない恐ろしさというのは、後をひきます。
さらに岡山の寒村のリアルな描写が、筋立てそのものよりもコワイ。話の語り方が上手くて、ついつい読んでしまうのだけど。やっぱり一番コワイのは人間だよ、としみじみ感じる本でありました。
そろそろ年賀状のプランをたてなければ。
いろんなことを考え、いろんなことを試し、あげくに大したものはできずに、半ばやけくそでギリギリに投函する…というのが毎年のパターンになってきています。
作業を始めるまでは、かなりいい加減なことを考えているのに、やり始めるとなんだかムキになってしまうのですな。
今年は年賀状用のクリップアートをCD-ROMに収めたムックを、すでに五回くらいは品定めしているんだけど、ほんのちょっとの気に入った画像のために、いらない画像を山ほど買わなくちゃならない現実に折り合いがつけられずに、いまだに逡巡している。
きょうはWEBでフリー素材を見てまわりましたが、やっぱりギリギリにならないと気分が乗らないなー。
エミリー・ロッダ(さくまゆみこ訳)『ローワンと魔法の地図』(あすなろ書房.2000.216p.1300円+税
Emily Rodda "ROWAN OF RIN",1993)読了。児童むけ異世界ファンタジー。
リンの村に流れる川の水がどんどん少なくなってきた。水はついには干上がってしまい、村は深刻な状況に直面する。井戸の水には塩分が含まれているため、家畜のバクシャーは川の水しか飲めないのだ。
原因は水源の山の上にあるはずだが、山には竜が住むといわれ、人間が迷い込んで帰らなかった話などが伝えられている危険なところだった。村人は、調査のために有志を派遣することにした。しかし、相談をしに訪ねていった〈賢い女〉シバが投げつけてよこした山への地図は、村一番の臆病者と評判の少年ローワンの手の中でだけ、見えるようになった。ローワンは恐怖におびえながらも、バクシャーのために同行を決意する。
佐竹美保さんの挿画に惹かれて借りてきた本。
冒険の道しるべとなる地図や、魔女の予言。そして山頂に住む竜など、ファンタジーらしい仕掛けがたくさんあるお話です。試練とともにあきらかになる基本的な真実と、ローワン少年の成長の物語って感じ。道具立てのわりに異世界ファンタジーの醍醐味には乏しいようですが、物語としては楽しめました。
作者はオーストラリアのひとで、この本はオーストラリア児童図書協会の年間最優秀児童図書賞を受賞しているそうです。いままでにこの賞を五回受賞しているのはロッダだけらしい。ほかの受賞者は、ライトソンとか。
そして、本名のジェニファー・ロウ名義で、一般向けミステリを書いているのだとか。ジェニファー・ロウって聞いたことがある…。そう思って調べたら一冊読んだことがありました。『不吉な休暇』という題名です。どんな話だったか、まったく思い出せませんが、けっこうおもしろかったという記憶はあります。社会思想社から出ていた文庫なんだけど、もう手に入らないかもしれないですね。私は図書館で借りたのですが。