2000年9月のdiary
■2000.9.2 /
■2000.9.3 /
■2000.9.4 /『タートル・ムーン』
■2000.9.5 /『仮面の島 建築探偵桜井京介の事件簿』/『超少年』
■2000.9.6 /『女王陛下の薔薇2 秘めたる花園』
■2000.9.7 /『天翔けるバカ We Are The Champions』
■2000.9.8 /『犬が来ました〜ウェルカム・ミスター・エカリタン〜』
■2000.9.9 /
■2000.9.10 /『ペリペティアの福音 中 聖誕編』/『ペリペティアの福音 下 聖還編』
■2000.9.11 /『夢の守り人』
■2000.9.12 /『昏き神々の宴 封殺鬼シリーズ21』
■2000.9.13 /
■2000.9.14 /
■2000.9.15 /『NAGA 蛇神の巫』/『女王陛下の薔薇3 棘の痛み』
■2000.9.16 /『火蜥蜴(サラマンダー)の生まれる日 足のない獅子』
■2000.9.17 /
■2000.9.18 /『古城の迷路』
■2000.9.19 /『ユニコーン・ソナタ』
■2000.9.20 /『リングテイル2 凶運のチャズ』
■2000.9.21 /
■2000.9.22 /
■2000.9.23 /
■2000.9.24 /『巷説 百物語』
■2000.9.25 /『麦の海に沈む果実』
■2000.9.26 /
■2000.9.27 /
■2000.9.28 /『「乗ってきた馬」亭の再会』
■2000.9.29 /
■2000.9.30 /『豊穣の角 足のない獅子』
はうう。ようやくここまで漕ぎつけました。あっちこっちのファイルを開いて作業しているうちに、なんだかあたまがこんがらがってきました。ちゃんとリンクしているのか不安なところもありますが、とりあえず、改装は終了です。
著者名索引はひと月に一度くらい更新したいと思います。ついでといってはなんですが、サーバーも移転しました。これでレスポンスがよくなってくれるといいのですが。
駒崎優『豊穣の角 足のない獅子』(講談社X文庫ホワイトハート.2000.222p.510円+税)読了。13世紀イングランドを舞台にしたミステリシリーズの五作目。
ギルフォードの母親キャサリンの従姉妹ヘレンが、十ヶ月になる長女をブラッドフィールドに預けに来た。彼女の婚家では悪質な風邪が流行っており、それがおさまるまで赤ん坊を遠ざけておきたいらしい。赤ん坊をめずらしげに見守るリチャードとギルフォード。そこに小姓のトビーが別の赤ん坊をかかえてやってきた。森のなかでみつけたのだという。困惑しつつ、ふたりめの赤ん坊をうけいれたブラッドフィールドに、誘拐された主人の子供を捜しているという男が現れる。赤ん坊は「豊穣の角」の紋章を縫い取られた産着にくるまれていた。しかし、ここにいる赤ん坊にそんなものは付属していない。そうこうするうちに領主の隠し子だという三人目の赤ん坊がブラッドフィールドに押しつけられた。
たのしい。三人の赤ん坊たちにとりかこまれて奮闘するギルフォードとリチャードが。なんだかだといいつつ、ちゃんと世話をしているところがふたりの育ちの良さか。物足りないのは、ミルクを飲ませるところがないことですね。おしめは何度もとりかえてるんだけど。
読書量が落ちてますが、これはリニューアル作業とオリンピック(シンクロ、惜しかった)に加えて、涼しくなってきたことが原因としてあげられます。ひたすら本を読んで暑さを忘れようとしていたのです。その必要がなくなると、とたんに(苦笑)。
マーサ・グライムズ(山本俊子訳)『「乗ってきた馬」亭の再会』(文春文庫.1996.538p.本体680円
Martha Grimes "THE HORSE YOU CAME IN ON",1993)読了。スコットランドヤードの警視リチャード・ジュリーを主人公とするミステリシリーズの12作目。
転職先を探していた休暇中のジュリーは、気分転換に寄ったテート・ギャラリーで老婦人の死体と出会う。管轄外であることと休暇中であることから、ゆきずりの事件のはずだった。しかし、旧知の貴婦人が亡くなった老婦人の友人であったことからお呼びがかかり、しかも、老婦人の甥がアメリカで殺害された事件を調べてほしいと依頼される。ウィギンズ部長刑事と友人のメルローズ・プラントとともにボルティモアへと飛ぶジュリー。
と、ここまで進むのに本の四分の一は費やされておりました。ストーリーの進み方はあっちへ行ったりこっちへ来たりで、短気な方はお怒りになるかもしれません。じっさい、読んでいるうちにどういうふうに物事が進んでいるのか、わからなくなってしまったことがありました。骨太で無駄のない話を好んでいるとき、時間と心に余裕のないときにはとてもつきあいきれない、無駄の積み重ね。謎解きの驚きといったものもあまり期待できません。
だけど、本筋には関係ないような細々としたエピソードをクスリとわらって楽しめるときは、とてもゆたかな時間を味わえる。これがこのシリーズの魅力だと思っています。
この本は出たときにすぐ買ったはずなので、もう四年以上寝かせていたことになりますね。それだけ気持ちにゆとりがなかったんだ…まだあと一冊、読んでないんだけど。
今回は、元貴族のメルローズ・プラントが物を書くことにとりつかれ、いろんなところで隠れて書いてるのがとてもおかしくて、しかも身につまされました(苦笑)。そのせいか作家の話がたくさんでています。本筋に関係してるのはポーなんですが、ウィギンズがエド・マクベインの「87分署シリーズ」を読んでいたり。そういえばあのシリーズともずいぶんご無沙汰してるなあ。
つけ加えておくと、イギリスを舞台にしてイギリス人が活躍しているシリーズなのに、書いているのはアメリカ人なんですね。とてもイギリスっぽい雰囲気だと日本人の私は感じるのですが、イギリスではあまり評判がよろしくないようです。
今月いっぱいで期限が切れる映画のタダ券を消費するため、でかける。
図書館を経由して繁華街へ。例によって本屋を巡り、
- 青池保子『エロイカより愛をこめて 26』(プリンセスコミックス)
- 榛野なな恵『Papa told me 23』(ヤングユーコミックス)
- 茅田砂胡『桐原家の人々 3』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia)
- 荻原規子『西の善き魔女外伝2 銀の鳥 プラチナの鳥』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia)
- トマス・バーネット・スワン『薔薇の荘園』(ハヤカワSF文庫)
- ゼナ・ヘンダースン『果しなき旅路』(ハヤカワSF文庫)
を購入。
映画館にたどりつくがとりたてて観たいものがなく、一番早く始まる『U-571』を選んで入る。第二次世界大戦の潜水艦ものだった。なんどもやってくる爆発シーンにひいひいしたけど、登場人物の存在感が希薄な映画だった。ところで「ジョン・ボン・ジョヴィ」が出ていたと後で知ったのですが、観ているときはまったく気づかなかった。いったいどこにいたのでしょう。私の目が節穴なだけ?
うう、手がだるい。
サイトリニューアル作業に入れ込んで、根をつめすぎたようです。
手をつけてからめちゃくちゃ後悔してるのは、「著者名索引」。いつになったらできあがるんだろう…。こんなに面倒な作業だなんて、予想はしてたけど予想より疲れます。もう今日はやめよう。
いまサイトのリニューアルをしようと画策中です。面倒な作業ですが、統一感のない画面が嫌になってきたのと、『ノンデザイナーズ・ウェッブブック』(毎日コミュニケーションズ)などを読んでいるうちに、見やすいデザインというものについて考えたりしたためです。
それで少し前の雑誌付録CD-ROMに入っていたMacromediaのDreamweaverのトライアル版を使ってみることにして、いま、いろいろ試しているところ。
いままでタグを自分で書いてたんでまどろっこしいところもあるのですが、テーブルによるレイアウトをしようと思ったら、アプリケーションソフトを使った方がずーっと簡単だ、ということがわかりました。
でも、ということは一度フォーマットを作ってしまえば、あとはタグ書きの方が楽ってことなんだよね。
それに、アプリでつくったソースを見ると、必要のないタグが延々と入っていたり…。こんなもの、いつ湧いて出てきたの?
もっとうんと安いソフトなら買ってもいいかと思ったけど、ここまでいろいろな機能が入ってても使いこなせそうにもないですし、Dreamweaverは豚に真珠ってところでしょうか。
恩田陸『麦の海に沈む果実』(講談社.2000.418p.1800円+税)読了。
学園ミステリ?
十四歳の水野理瀬はひとりでトランクを持って電車に揺られていた。彼女はこれから全寮制の学校へ入るところだ。駅では学校関係者が待っているはずだが、いまは彼女ひとり。にわかにトイレに行きたくなった彼女が自分の席に戻るとき、長身の男がトランクを提げて歩いていくのが見えた。駅に着いた理瀬は、それから重大なことに気がついた。トランクがなかった。
駅で待っていた初老の学校関係者は、もとは修道院であったという北の湿原につくられた学校へと彼女を連れていく。
読んでいるときはこのうえなくリアルなのに、離れてしまうと説明が非常に困難。恩田陸の本で読んでほしいところはストーリーではなく、その描き方で醸しだされる雰囲気なので、あまりストーリー紹介に意味はないと思えるからかもしれません。枠だけわかればいいかなと、こんな書き方をしてみました。
前に読んだ『ネバーランド』といろいろと小道具や舞台装置に似たところはあるけども、あちらはしっかりと外の世界とつながっている印象がありました。今回は状況的にも地理的にも、そして、物語の世界としても「密室」のなかでくりひろげられる、精神的に抑圧されたおはなし。「塔晶夫」の推理小説が何度か文中にでてくるのも、そのためなんでしょう。
とてもおもしろくてどんどん読み進みました。癖のありすぎる学校のひとたちと、存在感のない理瀬のスクールライフに、こんな仕掛けがあるなんて、想像もしてませんでした。楽しんだだけにもうすこし後味がよければなあ。この毒が恩田陸、なのかもしれないけど。『ネバーランド』がさわやかすぎたのか。
マーサ・グライムズ『「乗ってきた馬」亭の再会』を読み始める。
京極夏彦『巷説 百物語』(角川書店.1999.511p.1900円+税)ようやく読了。
江戸時代を舞台にした「必殺仕事人」みたいな連作短編集。いや、私は「仕事人」を見たことは一度もないんですが。
題名からわかるように、そこは京極夏彦、かならずある妖怪に絡んだストーリーが展開いたします。ただ、京極堂のシリーズが憑き物落としをしてゆくのに対して、こちらは「物を憑かせて悪をあぶりだす」みたいな展開をしていくのです。
ひとつ読み終えるたびに満足感があって、おかげで読み終えるのに時間がかかってしまいました。蘊蓄もいつもより控えめだったので読みやすく、とてもおもしろかった。
のぞいてくださる方に言い訳の日記をアップロードしようとしているのに、なぜサーバーにつながらないの〜。掲示板に書こうとしても、サイトの方にもアクセスできない。これで二度目です。
アクセスできないのは、来てくださってる方も迷惑ってことだから、考えものですね。サーバーを変えた方がいいのかな。でも快適なサーバーって、端から見てるだけじゃわかんないですよね。しかも求めているのはタダ。贅沢を言っちゃいかんとはおもうけど。いちいち試すのも面倒だし。うーん。
あいかわらずオリンピック中継を見ています。しかし、きょうは野球が負けるし、サッカーも負ける。どちらもあとすこしだったのでストレスの溜まる敗戦であった。たかぶった神経を静めるため、『巷説 百物語』を少し読んでから寝る。ふう。
すみません、姪が泊まりに来てるせいでなにもできません。パソコンは使えないし、本も読めない。おまけにひっくり返って頭を打ち、後頭部にでっかいたんこぶをこさえたり。うう、厄日。
京極夏彦『巷説百物語』を一章分読む。
オリンピックサッカー日本代表の試合。テレビ観戦してて、力入りすぎて疲れた…。やっぱりブラジルは強い。前を向いてのプレーがなかなかできなくて、ぐるぐるまわっているうちにボールを捕られたり、つい相手にパスしちゃったり、しかもそれがすぐピンチになっちまったり。息つくヒマもありゃしません。中村俊輔のフリーキックもあとすこしのところでゴールにならない。これもブラジルのプレッシャーだったのかなあ。負けちゃったけど、決勝トーナメントに進めてよかったです。スロバキアのがんばりのおかげですね。
「IEはColorSyncに対応しているから、使用にチェックを入れて正確な色で画像を表示させよう」という記事を読んで、早速チェックを入れてみた…するとこのサイトの色が劇的に変化したのです。うーむ。こんなにどぎつい色になってしまうとは…。もしかして皆様のモニタではこんな色で表示されていたのでしょうか。いままで私の環境ではパステル調で見えてたんですが。
モニタの環境は機種によってそれぞれ違うということは理解していたつもりでしたが、標準に近づける努力はしたほうがいいですよね。すこし色を変えたほうがよろしいかも。
円山夢久『リングテイル2 凶運のチャズ』(メディアワークス電撃文庫.2000.244p.510円+税)読了。ファンタジーシリーズの二冊目。
『リングテイル 勝ち戦の君』から半年後。
魔道師見習いのマーニは、魔道師で絵師でもあるチェント師のお供でオクタを訪れていた。オクタ公の依頼ではるか昔にオクタを襲った「魔の冬」の壁画を描くため、チェント師はマーニの連れている怪異、銀目オルビスが必要だったのだ。しかし、オクタでは怪異は人に危害を加えるものと恐れられており、つねに監視しておくことという条件つきで滞在を許可されていた。
オクタでは夏至の祭りが催されていた。浮き立つマーニに彼女の銀目が勝手に出歩いているという知らせが入る。銀目を探すマーニの前にオルビスではない、白い銀目があらわれる。いにしえの白き魔物は柘榴色の目で彼女を見つめて言う――来ヨ、と。気を失ったマーニがめざめたとき、そこは見知らぬ場所だった。
つづく。長いものを読む気力がなくて、手頃な薄さのものを求めて手を出したんです。つづくのはわかってたんだけど、ホントーにつづいてますわね。なのに引きは弱い。どうして。
前の話で魔術師と認められたはずじゃなかったのかい、マーニは…。まあ、見習いとか徒弟とかのお話は好きだからいいけど。でも今回は魔法の存在感がうすいです。それに、マーニの鈍感さにもすこしばかりイライラします。
しかし凶運の「チャズ」…。どうしてもタニス・リーを思い浮かべちゃいますよね。それを狙っているのかもしれないですが。
疲労とあちこちの痛みでダウン。ほぼ半日、オリンピック中継を見て過ごす。その感想。
野球 ジョニーの投球にすこしハラハラ。オーストラリアのユニフォームはちょっと色が違うけど西武のビジター用に似てる。
ソフトボール 日なたと日影のコントラストがきつすぎて、目がヘンになりそう。
柔道 見ていると歯医者で診察されているときのように足まで力が入ってしまう。
最終的にはテレビ画面の見すぎで頭が痛くなってきてしまった…不毛な一日。
ピーター・S・ビーグル(井辻朱美訳)『ユニコーン・ソナタ』(早川書房.1998.214p.1600円+税
Peter S. Beagle "THE UNICORN SONATA",1996)読了。現代のロサンジェルスと異世界とを行き来する不思議にみちた物語。
13歳の少女ジョーイは、毎日学校帰りにパパス楽器店に立ち寄るのが日課。そこでギリシア人経営者のパパスとすごす時間は、彼女にとってなにより大切なひとときだった。ある日、いつものように店にいると、見慣れない少年インディゴが訪ねてきて、角笛をとりだした。角笛からつむぎだされる音楽は、この世のどんなものとも違う調べだった。少年は角笛を金とひきかえに売りたいというが、パパスが見せたものではとうてい足りないと言って立ち去ってしまう。それからジョーイはこのとき聞いた音楽を時々耳にするようになる。あれはどこから聞こえてくるのだろう?
1998年に購入した本。読み始めるまでにも時間がかかったけど、読み出してからも時間がかかった。そんなに大作というような本ではないのですが。体調のせいかな。
ビーグルといえば『最後のユニコーン』がとくに有名ですね。しかし、私は読んだときあんまりぴんときませんでした。友人が強引にすすめてくれたので読んだというとっかかりがまずかったのかもしれないけど、まだそんなに読書に習熟していなかったころなので、今読むとどう感じるかは不明です。
つぎに読んだのは『風のガリアード』で、説明しがたい物語がなんだか不思議な雰囲気に包まれつつすすんでいくという形がツボに入りました。
そのつぎが『心地よく秘密めいた場所』で、これも好きです。(私のなかでは竹下文子の『アイヴォリー』とひとくくりに「お墓もの」とされています。)昔話、おわり。
それでこの本ですが、これまで読んだビーグルのどの本よりもページ数がすくなくて、物語の厚みみたいなところでは物足りなさがあります。けど、短い分いいたいことをストレートに表現しているという点で、いちばんわかりやすい物語になっているような。
幻想の表現などは、異世界シェイラの存在が音楽でたちあらわれてくるところなどの描写もとてもうつくしい。実際に音にふれられているような感触があって、うっとりします。そしてインディゴの孤独と苦悩のことばには思いもつかなかった方向からの考えを教えてくれました。変わらず存在しつづけるということがどういうことなのか、生きて変化しつづけ死を迎えることの意味をゆっくり考えさせられる一冊。
大都会へ通院する日。
願いがききとどけられたのか、予想外にカラリとした天気になってました。しかし暑いのはかわらず。それに電車の冷房のキツいこと。風邪をひきそう。
本屋に行ったが、なかなか読みたいものでなおかつ購入を許せるものを見つけられず。そのまま待合室に突入して、二十分ばかり無駄な時間を費やす。
帰りの電車まで無為に過ごしたくないので、処方箋を出して待ってるあいだ薬局の隣の本屋に駆け込み、「そういえばこのあいだだれかがレビューを書いてた」と思い出したドロシー・ギルマン『古城の迷路』を購入。
帰りにすこし余裕があったので、カメラ量販店をうろつく。めあては新しいiBookとPower Mac G4 Cube。iBookはタンジェリンの方がかわいかったと思う。Cubeは液晶のApple Studio Displayと一緒だとホントにカッコいいなあ。ほれぼれ。でもうちに置いたところでこのクールさは演出できまい
たんに愛でるだけのために十数分売場をさまよったあげく、精神的にも肉体的にも疲れて駅へ。
ドロシー・ギルマン(柳沢由実子訳)『古城の迷路』(集英社文庫.2000.282p.552円+税
Dorothy Gilman "THE MAZE IN THE HEART OF THE CASTLE",1983)読了。魂の遍歴を寓話ふうに描くメルヘン。
十六歳になったばかりのコリンは、突然両親を失った。天涯孤独になって途方に暮れたかれは、修道院に住む父親の幼なじみの修道士に助けを求める。コリンの孤独と怒りの感情にふれたブラザー・ジョンは、レーンベック山の古城に住む老人のことを話してくれる。もしかすると、老人がかれを救ってくれるかもしれない。老人は魔法使いなのではないか。
コリンは老人に会う決心をし、古城を訪ねる。老人は、古城の中心には迷路があり、自分は迷路の番人だと名乗る。迷路の先は到達するのが難しいある国に続いている。そこに到達できれば、コリンの抱いている問いの答えが少しは手にはいるかもしれない、という。
ああ、いやだ。こういう寓話性のつよい物語って、ストーリーを説明しようとすると全部を書いてしまいそうになるんだよねー。
かる〜いスパイミステリ「ミセス・ポリファックス」シリーズの著者の、まったく趣向の違う一冊。
「ミセス・ポリファックス」シリーズはひと頃つづけて読んでたこともありましたが、はじめのうちは好ましかったかるさにそのうち飽きてきて、途中でやめてしまいました。既刊十三冊のうち、九冊読んだらしいです。
こちらのお話は、訳者あとがきによれば「中世を舞台にしている」らしいですが、そんなふうに思って読んでるといろいろ疑問が山のように出てくるので(ジャガイモや紅茶は中世のヨーロッパにあるのかとか)、昔のおはなしってことで読めばいいのでは。
迷路に入っていったコリンがさまざまな経験をしていくという、遍歴の物語であります。しかし、迷路を抜けた先にある集落の人たちがみんな脱落者とは…。なんで境界のすぐそばまでいけるのにその先に踏み込まないんだろう。それにみんながめざしてた目的地はどんなふうなところだったんだ? 最後まで疑問の尽きないお話ではありました。とりあえず、帰りの電車プラスバスで読み終えたぞ。
はー…負けちゃいましたね、野球日本代表。延長戦に持ち込んだところまででいっぱいいっぱいだったような気がします。そのあと点の取れそうな気配がまったくなかったもんね。やっぱりチームとしての完成度がまだまだって感じですが、まだ予選なのでこれからがんばればいいのさ。
それにしても…蒸し暑い。雷もつづいてるし、雨も降り放題だし、すごい湿気。きのうから持病が悪化しており、やる気が減退しています。スカッとカラリとなってくれないかな。
ピーター・S・ビーグル『ユニコーン・ソナタ』を読む。
朝からずーっと雷が鳴りつづけています。ときおりふりだす雨もすごい。この状態、いつまでつづくのでしょう。パソコンをうごかしても大丈夫なのかな。いまはバッテリーで動いていますが。うわ、停電した。
シドニーオリンピックが開幕しましたね。ナイターの合間に見た開会式の日本選手団の姿にあぜん。どこのいかれた人たちかと思ったら…。
駒崎優『火蜥蜴(サラマンダー)の生まれる日 足のない獅子』(講談社X文庫ホワイトハート.1999.220p.510円+税)読了。
『一角獣は聖夜に眠る』につづく「足のない獅子」シリーズの四作目。
十三世紀イングランド。ブラッドフィールド領主の息子ギルフォードと甥のリチャードは騎士見習いである。ある日ふたりはシェフィールドの執行長官から呼び出された。おびえて出頭する彼らに長官は意外なことを言い出した。彼の友人の子息について頼み事があるというのだ。その子息は錬金術に入れあげたあげく、家出をしてシェフィールドにやってきていた。なんとか彼を改心させて、家に戻るように説得してくれれば、それなりの報酬を約束するというのだが。
アンジェラお祖母様が病に倒れて始まる物語、それが意外なところで事件とからんできて、最後のお祖母様の一喝につながったところは、拍手でした。リチャードの人の悪さも巻を追うにつれ拍車がかかっているようだけど、お祖母様の迫力の前には無力ですね。あっぱれ、アンジェラお祖母様。
蒸し暑い…いったいいつになったら秋になるの。
妹尾ゆふ子『NAGA 蛇神の巫』(角川春樹事務所ハルキ文庫.2000.316p.700円+税)読了。現代日本を舞台にした日本神話ベースのファンタジー。
中森涼子は毎年年始には母の実家である守宮家に訪れることになっていた。
守宮家は、代々「おナガ様」と呼ばれる神を祀りつづけてきた家系だった。守宮家には現在、母の姉とその息子である渉がいるだけなのだが、正月には口うるさく厳格な母の叔母が九州の婚家からもどってくる。正月にはいろいろと特殊な段取りがあって、それをとりしきっているのが大叔母なのだ。しかも、いってみると今年は三十年に一度の神事を執り行う年なのだという。
儀式に必要な本家の長女が存在しないために、涼子は渉とふたりで巫をつとめることになってしまう。その晩、蔵のミカイヘと呼ばれる大甕の前で待ち受けるふたり。渉はミカイヘを封印していた紙をやぶってしまう。なかから現れたものは…
うーん。なんだか説明しすぎの紹介文になってしまったなあ。しかも、なんだかこれだけ読んでるとホラーっぽいお話のような。たとえば加門七海の『呪の血脈』は、ファンタジー要素のかなり濃いホラーでしたが、こちらはホラー要素は全くないファンタジーです。
私はこの作家の、不思議の気配とか異なる大きな力をもつ存在の気品とかをしっかり伝えてくれるところが好きなのですが、今回は現代日本が舞台だった分、不思議な雰囲気がすこし減ったようです。
日本固有の文化を舞台にしたものって、どうも暗くて湿っぽくて、淫靡な雰囲気を漂わせているような気がするんですが、だいたいそれはホラー作品で描かれることの多い世界だからでしょうか。
するとファンタジーで日本神話を表現するとこうなるのかもしれない。イメージの印象がきれいなんです。じとじとべたべたしてなくて、さらりとしている。テーマもおナガ様と言織比売の解放の物語ですもんね。王道です。
この湿気のない日本の感じはなにかに似ていると思ったんですけど、荻原規子の『空色勾玉』が近いかもしれないなー。ロマンス要素をかなり減らした。
三浦真奈美『女王陛下の薔薇3 棘の痛み』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2000.222p.857円+税)読了。
がんばる女の子たちの物語。
今回は第一巻ではあきらかに敵役だったリディアさんが大活躍。勝手に挑みかかってきながらひとりで打ちのめされて、あげくひとりで悟ってしまったような、はた迷惑なパワフルさ(^_^;)。
このお話、展開がスピーディーすぎるのが難かなあ。異世界を舞台にするならその世界ならではの体験をしたいと思うのは私だけ? ディテールを書き込む暇もあらばこそって感じで、エスティたちはどんどん前進してます。やっぱり、朝の連ドラっぽい。おもしろいけど。
「ローズ、横浜退団」を報じる神奈川新聞を見て、ショックのあまりぼんやりとしたまま、よろよろと出かける。他紙には載っていないようですが、まさか嘘を書くことはないだろうし…。嘘であってほしいけど。
図書館を経由して繁華街へ。
- 妹尾ゆふ子『NAGA 蛇神の巫』(角川春樹事務所ハルキ文庫)
- 水樹和佳子『イティハーサ5』(ハヤカワ文庫JA)
- 彩花みん『赤ずきんチャチャ13(完)』(集英社りぼんマスコットコミックス)
- 吉田秋生『YASHA8』(小学館フラワーコミックス)
を購入して帰宅。へろへろ。
『赤ずきんチャチャ』は最近惰性で買ってたので、終わってくれてホッとした。巻末の番外編は、…なにもいうまい。
あいかわらず、外気温とビル内の気温差は激しいです。からだじゅう、痛くなった。はやく暖房の季節にならないものか。
殺風景なサイトを、もすこし見栄えのするものにしようと思いついたのが運のつき。
タグを書き、IEで点検、をくりかえすことほぼ半日。ようやく「これですこしはまし」と思えるものができあがった。しかしそこで思い出してNNで開いてみると…。苦心したテーブルレイアウトがすっぱり、崩れているではないですか。
がっくり〜。
頸がまわらなくなるほど一生懸命やったのに、すべてが徒労とは。
ピーター・S・ビーグル『ユニコーン・ソナタ』を、ほんのちょっとだけ読む。
全国的に大雨になっているようです。うちのまわりでは今日はあんまり降っていないんですが。
ただ、風が強まっていて壁に掛けてあるカレンダーが何度もふきとばされて落ちてくるのがなんとも。窓を閉めたりすると蒸し風呂になってしまうし。
きのうの夕刊(読売だったかな)で「WEB本の雑誌」が開設されたという記事を読んだので、さっそく行ってみました。トップページは『本の雑誌』のテイストそのまんまでした
WEB本の雑誌 URL http://www.webdokusho.com/
霜島ケイ『昏き神々の宴 封殺鬼シリーズ21』(小学館キャンバス文庫.2000.250p.524円+税)読了。
千年を生きつづける鬼ふたりの伝奇アクションロマン(なんかヘン)シリーズの21作目。
東方木気の地、鹿島の霊力が、いかなる理由でか回復しない。焦りを覚える中央は、『本家』に使役鬼を派遣するように要請してきた。『本家』の筆頭、神島家の次期当主にして現在は代理をつとめる神島達彦はこれを了承。弓生と聖は鹿島神宮へとむかうが、そこで待ち受けていたのは、中央の術者の不審のこもったまなざしと、天狗がしくんだと思われる様々な怪異だった。
古代にうまれて現代を生きつづける聖(酒呑童子)、弓生(雷電)の二人の鬼と、かれらを使役する阿倍晴明を祖とする陰陽師の一族『本家』の術者が、さまざまな事件に出会うシリーズ。
巻を重ねるにつれ、『本家』をも抹殺して体面を保ってきた中央とか、ひとを滅びの道へといざなうことをゲームのようにたのしんでいる天狗とか、敵味方入り乱れてなかなか複雑な物語となってきています。
文章がひきしまっていてしばしばでてくる異常現象の描写が、さりげないのにひたひたとしみとおってくる。人物描写もしっかりしていて、いい意味で大人の作家が書いてるという感じが好きです。
今回は聖がけっこう深刻な事態に陥っていて、鬼ふたりのこれからが危ぶまれるのですが、聖の能天気なリアクションがおかしくて…。弓生の心労いかばかりってところですか。胃に穴があいてそう。
あと、鹿島神宮の要石ってこのあいだ読んだ加門七海の『呪の血脈』にもでてきたような。終わりの方でちょっとだけだったと思うけど。
寝苦しい夜が明けたら、一日雨ばかり。蒸し暑いです。
上橋菜穂子『夢の守り人』(偕成社.2000.310p.1500円+税)読了。
「人の世界と精霊の世界が混在するハイファンタジーシリーズ」の三作目。
呪術師の弟子で薬草師のタンダは、眠ったまま目を覚まさぬ姪のカヤの魂が体から離れてどこかにとらわれていることを見抜いた。
タンダの師匠トロガイは、自分のつらい過去にまつわる不思議な話をする。それは実を結ぶために人の夢を必要とする異世界の〈花〉についての物語。〈花〉は人を捕らえるかわりに幸せな夢を見せてくれるらしい。夢を見つづけることを選んだ魂は、そのまま〈花〉のもとに捕らわれつづけるのだという。カヤは十五年上の男との結婚が決まっていたが、ひとときやってきて去っていった歌い手にほのかに思いを寄せていた。彼女の魂はその〈花〉にとらわれているのではないかというのだ。
おりしも新ヨゴ皇国の一の妃も、目を覚まさず眠りつづけているという。共通するのは、現状の自分を憂えていたこと、そしてある歌い手の歌を聴いたこと。
タンダはひとりで〈魂呼ばい〉の儀式を行い、カヤをつれもどそうとしたが、〈花〉の罠にかかって、花に操られる〈花守り〉にされてしまう。
タンダの幼なじみ短槍使いのバルサは、追われている歌い手ユグノを救う。かれと〈花〉との深いつながりとは。
けして複雑なお話ではないのに、なんでこんなにあらすじを書くのに苦労するのでしょう。私。
あのひとがいてこのひとがいて、それでこういうお話、というふうにわりきれない。お話と人物についての複雑な背景が、ほんの少しの描写でくっきりとたちあがっているからでしょうか。どの人物もたいせつに描かれているのです。
たんに私の能力不足ということもありますけどね
シリーズ三作目ともなると、前提としている設定もかなり重層的になってきています。
シリーズ通しての主役は、女用心棒の短槍使いのバルサ。若くなくて暗い過去があって、しかも強い。すばらしいヒロインですね。
バルサの過去は二作目の『闇の守人』を読んでくださればわかります。年増が主人公の児童書というのも、めずらしいかも。
今回はいままで優しいわき役だった幼なじみのタンダにより多くスポットがあたっております。一作目の『精霊の守人』に出てきた新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムくんも、すこし成長してけっこう大事な役割を果たしています。
ヨーロッパ的でない独特の世界を表現しているファンタジー。作者は文化人類学でアボリジニを研究している大学の先生。そういった背景も、この世界を豊かにするのにおおきく貢献しているのでしょう。むかし、興味があったんですよね、文化人類学。自分がフィールドワークに向いてないのはわかりきっていたので、選択肢に入れたことはなかったけど。
秋山完『ペリペティアの福音 中 聖誕編』(ソノラマ文庫.1998.334p.550円+税)と、
秋山完『ペリペティアの福音 下 聖還編』(ソノラマ文庫.1999.478p.657円+税)読了。
『ペリペティアの福音 上 聖墓編』につづくスペースオペラの続編と完結編。
惑星ペリペティアの壮大な秘密にたどり着き、怒濤の大団円を迎えるまで、いやー長かった。登場人物は多いし、そのひとりひとりに背景がある。なんか思いついたものをすべて書き入れているような気さえするくらい。エピソードはおもしろいし、とても興味をひくのだけど、「これって、いつ本筋にむすびつくの」という感じが、読んでいるあいだじゅう離れない。とくに中巻。
その原因はティックがストーリーの中心にいないせいかも。かといってほかに主役らしい人はいないのですが。主役の存在感の薄さというか求心力のなさにおもわず「とほほ」と思ってしまうのも確かなのでした。
でも、ヴァルキノ・コロニーのエピソードには涙が出ました。おかげでこの引きずられまくり状態も、これはこれでいいかと思えるようになった。
いろいろ不満はあれど、読み終えた感想は、「おお、壮大なSFを読み終えたぞ」というもの。いろいろなアイデアが惜しみなく披露されていて、そこらへんはとても楽しかったです。
午後から夕方まで、「幻想水滸伝2」に費やす。ミューズの街でアニタを仲間にしようとして何度も話しかけたが、わがままをなかなか言ってくれないので(わがままを何回か聞くと仲間になるらしい)、かなり時間をロスした。しかも、ミューズ陥落までに仲間にできず
キャラクターのセリフが説明っぽくないのはいいけど、必然的にセリフの量が増えてるのが、やり直して二度目ともなると面倒に思える。ユーザーって勝手だ。
秋山完『ペリペティアの福音 中 聖誕編』を読む。
蒸し暑いなあ。一度涼しさを体験するとすぐに忍耐を忘れます。
きのうの「サーバーに接続できない」件は、サーバー側に原因があったらしい。またもファイルが壊れたかと焦ったよ…。今日はちゃんと接続できました。
松井千尋『犬が来ました〜ウェルカム・ミスター・エカリタン〜』(集英社コバルト文庫.2000.248p.476円+税)読了。
なんとなく買ってみた本。
1999年度ノベル大賞読者大賞受賞作品をふくむ三作品を収録したデビュー作。設定は奇抜ながら地に足のついた筆致で読ませる、さわやかな作品でした。
ミスター・エカリタンの特異体質以外は、笑わせておいてほろりとさせる青春コメディー小説です。
「ウェルカム・ミスター・エカリタン」
受賞作品。イギリスに留学中の兄、東吾から、夏休み中日本を訪れるという友人のイギリス貴族「サー・ウォルター・エカリタン」の世話をするように命じられた16歳の圭吾。家を訪ねてきたミスター・エカリタンとの衝撃の出会いとは。ホームコメディー。
「カラコロ」
「ウェルカム・ミスター・エカリタン」の続編。圭吾の幼なじみいずみは、冬休みにスキー場そばのペンションでアルバイトをすることになった。圭吾の放蕩ものの次兄、眞吾の紹介だったのに、一緒に行くはずの圭吾は欠席。やむなく眞吾と二人で出向くが、いずみはそこで客の女性と知り合う。どうやら彼女は眞吾となにか関係があったらしいのだが…。青春恋愛編。
「緑の犬」
ミスター・エカリタンのご先祖様が登場。時代は中世のようですが、よくわかりません。いわくつきのエカリタン家に嫁がされてきた少女ドルーのお話。
いきあたりばったりで買ったわりに、けっこうおもしろかったので得した気分。
しかし、湿度があまりに高いため、文庫本のコーティングしたカバーが反りかえってしまって、何度も変に挟み込んで折り目をつけてしまい、悲しいです。
昨日分の日記をアップロードしようとしてるのに、サーバーにつながりません
もしここが読めていたら、ちゃんとつながったということなので、ここで愚痴を書いても仕方ないといえばいえるけど。
須賀しのぶ『天翔けるバカ We Are The Champions』(集英社コバルト文庫.2000.262p.495円+税)読了。
『天翔けるバカ flying fools』につづくシリーズ第二弾にして最終巻。
第一次世界大戦中のイギリス空軍にあった傭兵部隊が舞台。婚約者と喧嘩をした勢いで入隊してしまった飛行機バカのアメリカ人リック。エース(撃墜王)になったら機体に白鷲をマーキングしようと息巻いていた。ところが五機を落とした記念にと描かれたのは白鷲どころか爆笑ものの○○○だった。○○○マークのおかげでリックは一躍有名人になるが…
個性的なキャラクターにしっかりとした文章と展開。第一次世界大戦の厳しい現実もさりげなく織り込んで、なおかつしっかりコメディーに仕立ててあります。リックのバカさ加減はとどまるところを知らないし、クールな態度を崩さぬロードの思わぬほころびぶりや、陽気なピロシキの胸のうちにしまいこまれたロシアでの過去など、どれもこれもさりげないのに心に残ります。うまいなあ…。
ロードの妹のエピソードを読んでいるとき、ルース・エルウィン・ハリスの『海を渡るジュリア』(岩波書店)を思い出しました。「ヒルクレストの娘たち」シリーズの三冊目。このシリーズは第一次大戦前後のイギリスに生きる四姉妹を、それぞれの立場から描いた作品ですので、このあたりのイギリスのことに興味を持たれたら読んでみても損はないと思います。児童書だからすらすら読めてしまいます。
本日の大失態。
財布を忘れて家を出て、バス停に着くまで気づかなかった。
バスがなかなか来なかったので、何気なく袋の中身を見たら…。あわててその場を離れ、公衆電話に走った(ケータイは持ってない)。
そのまま出かけても図書館までは行けたが、きょうは買うつもりのものがあったので、家から持ってきてもらった。朝っぱらから…すまん。
本日の小失態。
図書館帰りにバスに乗って都会へでた。本屋を巡って物色し、最終目的地へいざ、というところで、駅ビルのショッピング街が全店休館ということを知った。なかに二軒あるCDショップももちろん休み。
たどった道をひきかえして(バカ)、最初に入った本屋の前の小さなCDショップにこわごわ入る。目標物(サラ・ブライトマン『ラ・ルーナ』)を見つけて安堵。これが買えなかったら、出てきた意味がないのよ。あー…っ、よかったよう。
本日の中失態。
頼まれていた吉田秋生の『YASHA』最新巻を購入するのを忘れた。大きな本屋に二軒も行ったのに。思い出したのはもよりの駅にたどり着いたとき。小さな駅前の小さな本屋には、やっぱりもう売っていなかった。
しかたないので(?)平積みされていた清水玲子『輝夜姫』最新巻を、頼まれるのを見越して買っておく。しかし…何巻が最新巻なのかぜんぜんわからなくなっていることをあらためて実感。だから買い逃してしまうのだが。
本日の購入本
- 須賀しのぶ『天翔けるバカ We Are The Champions』(集英社コバルト文庫)
- 松井千尋『犬が来ました 〜ウェルカム・ミスター・エカリタン〜』(集英社コバルト文庫)
- 霜島ケイ『昏き神々の宴 封殺鬼シリーズ21』(小学館キャンバス文庫)
- 茅田砂胡『王女グリンダ』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia)
- 清水玲子『輝夜姫 第16巻』(白泉社花とゆめコミックス)
帰宅後、サラ・ブライトマンの歌声を堪能する。
三浦真奈美『女王陛下の薔薇2 秘めたる花園』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.1999.222p.850円+税)読了。
うーん。この話をひとことでまとめるにはどうしたらよいものか。歴史物とも違うし、ファンタジーでもないし、もちろん、SFでもないし。若い女性の成長物語、かなあ。
前巻で婚約を一方的に破棄され植民地パガンの藩主の息女ブランカとともに本国に戻ってきたエスティは、案の定、旧弊な世間の目となにより家族の無理解に出会い、失意の毎日。そんなある日、女王セシリアの招待で宮中に赴くことに。女王として緊張した毎日を送るセシリアは、宮廷や議会などとのかけひきのほかにもなにやら隠した心痛の種があるようで…
でました。「世間がゆるさない」。少し前まではリアルに感じられたこの言葉も、いまじゃ、まったく実体のともなわない「古語」になってしまいましたねえ。
エスティが直面する周囲の無理解は、かつては「そんなんジョーシキ」だったはずなんですが、現在の感覚からいくとまったく理不尽そのものなんで、このギャップをどうやって読み手にリアルに理解させるか。自由な社会(建前だけでも)でドラマを書くって、なかなか大変ですね。ここらへんは社会のひろがりとか生活の厳しさをもすこし入れてほしかった。新聞のコラム一つで生活費すべてまかなえるのだろろうか…と少し心配してしまいます。ま、女の一代記じゃないんだから、ストーリー展開上そんなにページ数を費やしてられないんでしょうけど。
それはともかく。あのおかたの秘密って、やっぱり、アレなんですかね。
篠田真由美『仮面の島 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社ノベルス.2000.342p.900円+税)読了。
建築探偵シリーズの八冊目。ヴェネツィアを舞台に、桜井京介、蒼、神代教授というおなじみの三人が未亡人の住まう小島で出会う、不可思議な事件。
このシリーズはいつ読んでも書くことを思いつかない。なぜなんでしょう。
今回はトリックの謎解きなどはあまり主眼ではなく、未亡人の存在そのものの謎がメイン。エドガー・アラン・ポーの詩と秋のヴェネツィアの陰鬱な感じとあいまって、なにやら血塗られた雰囲気が漂います。神代教授の「イタリアの隠し子」アントネッラの明るさが、話が陰々滅々となるのを救っている。
ところで。未亡人に献身的に尽くすスウェーデン人の彫刻家スフィンジュの本名、「セルマ・ラーゲルレーブ」ってどこかで聞いたことあるんだけど…。作家の名前だったっけ?
長野まゆみ『超少年』(河出書房新社.1999.178p.1000円+税)読了。
遠い未来を舞台に「少年」たちを独特のことばで描く。
22世紀の三月。ハイパーフットボールの地元開幕戦を観戦にいけなかった菫青の瞳の少年スワンは、少々気分が悪かった。兄が人気選手なのでいつもらくにチケットを手に入れていたのに、きょうに限って届けられる荷物を家で受け取るように兄に命じられたのだ。学校からの帰り道、スワンは見知らぬ少年に出会う。かれは「ピエロ-α」と名乗り、スワンを「王子」だと告げる。さらにスワンが腕に巻いている包帯のしたにあるものを当ててしまう。それはけして人には知られたくないスワンの秘密だったのだが。
長野まゆみの本を読むのは久しぶりです。だけど、設定が未来になっていることを知ってやめればよかったかも、と思いました。
ものすごく独特な設定を、これまたひとことひとことにこだわりのあることばで、さらに、話に不必要なことは絶対に書かないぞという感じのそぎおとした表現で、こだしに説明してくれるから、いい加減な気持ちで読むとあたまが混乱してくるんです。いや、私の頭が悪いからですけど。
それに、『新世界』のときは、登場人物からして人間ではなく、視覚的なイメージが追いつかなくなって、脳が焼き切れそうな思いをしました。
今回は、一応、登場する少年は人間型の生物。でも、「王子」と「ピエロ」の存在がなかなか腑に落ちてくれないので、少年たちのやりとりを追いつつも、「うーん」と考え込むことしきり。
とぎすまされた言葉のつむぎだす、独特の雰囲気は、けっこう好きなんですけどね。
思いがけずとても涼しい。感涙。
アリス・ホフマン(深町眞理子訳)『タートル・ムーン』(早川書房.2000.328p.2500円+税
Alice Hoffman "TURTLE MOON",1992)ようやく読了。
国際推理作家協会北米支部(IACW)が主宰する第二回ハメット賞受賞作品。といってもミステリというより、マジックリアリズムな文学、を読んだような気分です。
フロリダ州ヴェリティーはなぜか男と別れた女ばかりがやってきて住み着く町。ここでは五月になると三十五度をはるかに超える気温と猛烈な湿度におそわれて、すべてがおかしくなってしまう。
その五月のある日、ニューヨーク州から夫と別れて移り住んできたルーシーの一人息子が失踪する。時をおなじくして共同住宅に住む身元不明のシングルマザーが殺害され、赤ん坊が行方不明になった。息子がとんでもない悪ガキであることは知れ渡っていたが、ルーシーは事件と息子は無関係だと信じ、捜索担当の警官ジュリアンにある計画を持ちかける。
あらすじを書いてみると立派にミステリなんですが、犯罪の謎解きを期待すると失望するでしょう。
炎熱に焦がされる町で、このとき自分がまともなことをするわけがないと思っている人間たちをほとんど現在形の魅力的な文章でたたみかけるように描写していきます。
お話は、ルーシーと、赤ん坊と一緒に行方をくらましたルーシーの息子キース(12歳)と、最悪の月五月に死にながら生まれた醜い男ジュリアンを追いつつ、ヴェリティーで起きているさまざまなふしぎな出来事ふつうの出来事を織り交ぜて、かれらの解放と成長をつづっていきます。
ひとつの文も読み飛ばせない、マジカルなものがたり。
この話を読んでるときに気温が35度になりましたが、フロリダの五月ってこんなに暑いんですねえ。そういえば湿地帯が舞台になるミステリを以前に読んだ記憶があるなあ。あのときはこんなに凄いところとは思わずにいたけど。
書きためてあった日記に加筆訂正を施し、さらに書いてなかった日記をつけ加えて、休みの間の一週間分がようやく完成。すっかり半日仕事でありました。ゼイゼイ。
きょうは空気が乾燥していたのできのうよりはだいぶ楽だった。
アリス・ホフマン『タートル・ムーン』をまた読む。
フェーン現象ですね。この期に及んでなんでこんなに暑いのー。
クイックガレージに行ってPowerBookG3を引き取ってきた。環境を元に戻すのにこの暑さの中、CD-ROMをとっかえひっかえしつづけておりました。汗がだらだら。ノートパソコンはどんどん加熱していってまたもや壊れるのではないかと恐ろしかった。しかも、先日から姪(二歳)が泊まりがけでやってきているため、よこからありとあらゆるちょっかいをかけてきて、それだけでもう恐怖。
ようやくインターネットの接続はできるようになったが、これから休みの間の日記を仕上げねばと思うと、すこし気が重い…。
気温はすこし下がったものの、湿度が高くて〜〜。
どこもかしこも「今年の夏は暑かった」などと過去形でふりかえっているけれど、こんなに暑くてなぜ夏が終わったなんて言ってしまえるのか。不思議です。「暑い間は夏だ!」と私は思っているのだが。
アリス・ホフマン『タートル・ムーン』(早川書房)を読む。