2004年2月のdiary
■2004.2.5 /『バッテリー 4』
■2004.2.8 来週までに体調をととのえること/『バッテリー 5』
■2004.2.11 世間は休みですが/『猟犬クラブ』
■2004.2.14 /『魔法がいっぱい 大魔法使いクレストマンシー外伝』
■2004.2.16 『王の帰還』/
■2004.2.19 痛みでぼんやり/『女王と海賊 暁の天使たち5』
■2004.2.22 流行に手を出すな/『嘘つきは妹にしておく』
■2004.2.24 左目だけ/『狐笛のかなた』
■2004.2.29 高いハードル/
いまさらですが、携帯電話を購入しました。
いままでPHSを使っていたんだけど、家族割その他割引サービスを併用した場合、携帯+PHSより、携帯+携帯のほうが安上がりということに気づいたのです。
もともとそんなに出歩かないので携帯端末を持つ意味自体をもう少し考えてみるべきのような気もするのですが、持って歩かないと「出先でつかまらない」と文句を言われる。どうせ持つなら安い方がいいでしょう。
数日ネットでいろいろと検討した結果、まわり中で使用しているという理由でA社のものにし、機種は新規一円のものから不器用者にも扱いやすいものを選んでもらい(他力;)、サービスはもっとも基本料金の安いのにしてもらいました。店員さんには、「○百円分しか無料通話がないのに、いいんですか?」と念押しされましたが、いいのです、持っていることにだけ意義があるんだから。
しかし、なにかのときのためにメール機能は申し込みました。…ぜったいに自分からは送らないと思うんだけど。
帰宅して設定もしないうちに、ちょうど来ていた妹が自分の番号とアドレスを入力してくれました。打ち込みながら、自分のより使いにくいと何度も訴えるので、かなり不安になりました。扱いやすい機種じゃなかったんかい、おい。
あとでメールアドレスの変更をしなければと、自分で基本機能に挑戦しましたが、やっぱり使いにくかった。そもそも、こんなに小さいボタンで指一本で文字を入力しようというのが、まちがっている。親指でうつしかないのに、親指が腫れあがって痛んでいる現在、電話番号の入力すら苦痛です。いちいち蓋を開けなくちゃならないのも、面倒。いかにも、私がそこらに落っことしたまま気づかずに電車に乗ってしまいそうな手触りだ。ああ、どうしてPHSには割引がないんだ……。と、ぶつぶつ文句をつぶやきながら、ようやくメールアドレスの設定のためのサーバーにつながった、と思ったら「メンテナンス中」……。
この分の接続料も、差し引かれるんでしょうかね、やっぱり。……無料○百円分の中から。しくしく。
視力が落ちてました。
ドライアイ用の目薬が切れたので眼科に行ったのですね。
で、久しぶりなので視力チェックと診察も受けたのです。
そしたら、どうも左の方が見えにくい。
検査技師さんのお言葉によれば、「右目は変化なし。だけど左目はレンズで三段階ぐらい落ちている。しかも、乱視の度も大きくなっている。いまは右目が頑張っている状態。さらに、右目と左目の乱視の入り方が違うので、余計に見にくいのかもしれない」……。ショックだ。
たしかに、この間の映画の字幕は少し滲んでいるような感じがした。
でも、ふだんはそんなに気にするほどでもない。
疲れるようならメガネを作り直しといわれましたが、ちょうど一年しか経ってないってことを考えに入れなくても、もうすこしこのままでもいいか。でもでも、どうして左ばかりそんなに急に落ちるんだ? 納得行かないです。しくしく。
とはいえ、このまま視力が落ちてゆくとものすごく困るので、とりあえず、パソコンを見る時間をさらに減らすことにします。夕食後はつけないことにしていたが、夕方もできるだけやめます。休憩時間も入れる(←これが一番大事かも;)
上橋菜穂子『狐笛のかなた』(理論社.2003.342p.1500円+税)[Amazon][bk-1]読了。戦国時代ふうの日本のどこかを舞台にしたファンタジー(伝奇?)小説。
夜名ノ森の端に〈とりあげ女〉の祖母と二人きりで住む少女、小夜。彼女は人の〈思い〉を聞いてしまうという性質を持っており、そのことは誰にも話してはいけないと言い聞かされて育ってきた。ある日の夕暮れ、小夜は小さな子狐と出会った。犬に追われているそれを懐に隠して逃げはじめた小夜は、走っているうちに自分が森陰屋敷の方向へと進んでいることに気づく。森陰屋敷は里人の出入りをかたく禁じている。呪いをかけられた子供がひっそりと隠れて暮らしている、という噂のある屋敷だった。迫る犬たちに追いつめられた小夜は、板垣の前でうずくまってしまう。噛まれる。そう覚悟したときに、頭上から男の子が矢を射て、小夜と子狐を救ってくれた。かれは、森陰屋敷にひそんでいる呪われた子であるのに違いない。だが、小夜は小春丸というその少年とまた会う約束を交わしていた。
「守り人」シリーズの著者の、日本を舞台にしたファンタジー。伝奇ものという言葉からイメージされる、アクやどろどろを濾過して、少女と霊狐の純粋な想いだけをすくいとって見せたような、美しくせつない物語。
描写もたたずまいもとても上品で、もうすこし突き抜けたところや情の爆発するようなところがあってもよかったかなあと思うほど。でも、切なさというのは淡々とつづられてこそ素直に受けとめられる、という面もあるのでこれでよかったのかも。
物語の終わりの、寂しさと安堵がない交ぜになったような、淡くてあたたかな情景が印象的。こういうしみじみとしたラストシーンも、いいなあ。
・Amazonでサーチ>>「上橋菜穂子」既刊
最近、物事に飽きてきたのでなにか新しいことをしたい気分なのですが。
Weblogなんかに手を出したら、他にはなんにも手に着かない状況になりそうで躊躇している。いろいろと巡ってみたけど、やっぱり、むずかしそうだなー。わけのわかんない用語がたくさん出てくるしなー。それに、「何に使うんだよ?」という心の声が聞こえてくるし(苦笑。
清水マリコ『嘘つきは妹にしておく』(メディアファクトリーMF文庫.2002.249p.580円+税)[Amazon][bk-1]読了。ふしぎな味わいの青春ファンタジー。
高校二年生のヨシユキは、ある日自分のカバンの中に見覚えのない本を見つけた。登場人物と出だしの他はほとんど真っ白なページ。カバーをとると、作者もタイトルもなにもついていない。気味が悪くなったヨシユキは、旧校舎の一年生の教室へゆき、昨年自分が座っていた机のなかに本を入れてしまおうとする。「――何してんの」かけられた声に驚いてふりかえると、そこにはあざやかな緑色のTシャツを着た小柄な女の子が立っていた。彼女は「ヨシユキが本を捨てようとするのを止めるために」「出てきた」のだと言い、自分は「本の妖精みたいなもの」だと主張する。バラバラになって失われた物語を取り戻さないかぎり、彼女は消えてしまうというのだ。ヨシユキは女の子を手伝って物語をしらずに持っている人物達を探すことを約束する。
さらりとした文章で描きだされる、リアルと幻想の狭間の物語。使われている言葉は普通の感覚でちっとも派手ではないのに、こういうのをセンスがいいというのでしょうか。高校生の少年のまだ将来のわからない中途半端さと、物語と現実がない交ぜになっているようなあいまいな雰囲気が、ほんのわずかな猶予期間のいとおしさみたいなものを感じさせてくれるお話。著者は劇団を主宰されている方と言うことですが、現実と虚構の地続きで一緒くたな感じが、なるほど舞台劇っぽい感じです。読後の印象は「日々の幸せは一瞬のつみかさね」。
・Amazonでサーチ>>「清水マリコ」既刊
非常につらい通院日でした。こんなにひどいの何年ぶりだ、ってぐらいにお腹が痛くなって他のことが考えられない。おかげで行きも帰りも注意力散漫なまま、たくさん余っている薬を停止してもらうのも忘れ、貼り薬の量を減らしてもらうのも忘れ、『指輪物語』文庫新版を買うのも忘れ、ただひたすらに病院と家だけをめざして移動しているだけの一日でした。あんなところまで出かけたのに、ものすごく虚しいです。しくしく。
茅田砂胡『女王と海賊 暁の天使たち5』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2003.206p.900円+税)[Amazon][bk-1]読了。破格のキャラクターの活躍を楽しむスペースオペラ(?)。『二人の眠り姫 暁の天使たち4』のつづき。
『スカーレット・ウィザード』の登場人物の復活編、ラストを飾るのはダイアナ・イレヴンス。破天荒な三人の活躍を、けた外れではひけを取らない面々が感心しながら眺めているという、ある意味しようもない展開ながら、これがものすごく面白いので、やっぱり困ってしまうお話。キャラクターの吸引力が並じゃないんですね。この夫婦の息子である人物がものすごく可哀想になってきました(苦笑。
・Amazonでサーチ>>「暁の天使たち」既刊
高校時代の友人と『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』を見て参りました。
上映開始が10:25ということで、9:45に駅で落ち合って映画館に行ったのですが、月曜日だというのにけっこう人が来ていて、入場券売場に長い行列ができていたのを見て「あー失敗した」と思いました。以前におなじ友人と別の映画に行ったときに「集合時間がぎりぎりすぎる」と言われたので、これでも早めに設定したつもりだったのに……。
館内に入ると中央付近の通路側の座席は完璧に埋まっていたので、壁際の通路側に座りました。何しろ長丁場なので、途中で絶対にお手洗いに立ちたくなるに違いないと半ば思いこんでいたのです……。しかし、事前にこんな事を考えてしまったおかげで始まってからずっと自分の身体を意識しつづけてしまい、一時間ちょっとしか経たないうちにもう行きたいような気分になってしまい、大変困りました。上映が始まってから延々とCMと予告編がつづいたことや、となりに座っていた人がずーっとスポーツドリンクを飲みつづけていたのも精神衛生に悪かったです。結局、クライマックスで行くよりはと、早めに席を立ちました(嗚呼)。今回、エンドマークが出た途端に席を立った人がものすごく多かったのですが、それはやはりおなじところをめざしていたのではないかと…(笑(でも、クレジットで素敵な絵がたくさん見られるので、状況が許せば最後まで席にいたほうがいいと思います)。
おにぎりも持参したんですが、時間が早すぎて食べておく気になれず、しかしやっぱり腹が減り、でも、暗闇では海苔がきちんと巻けそうもなかったので、一緒に買っておいたビタミンキャンディーをむさぼることになりました。静かに緊迫している場面でお腹が盛大に鳴ったのが恥ずかしかった…(汗)。
以下、箇条書きで映画の印象。ネタバレ少々。
・ペレグリン・トゥック、大活躍!
・もしかして、魔法使いはみな目をあけたまま眠るのか。怖い。
・サルマンとグリマは、あの後どうしたのだろう。
・ミナス・ティリスって高所恐怖症には住めない都だ。
・デネソールはどうしてプチトマトばかり食しているのか。
・狼煙、あんなところにすべて人が常駐しているのでしょうか。
・ホビットが群衆シーンにちょこちょこでてくると、とても可愛い。
・ファラミア、重体なのに誰も助けてくれない。かわいそう。
・デネソール、悲惨。
・翼竜に掴まれ落とされて死ぬ馬と兵士。高所恐怖症には耐えがたい光景。
・石の建物の一部が投石機で投げ込まれる。松井秀喜のバッティング練習ですぐそばに飛び込んできたボールを思い出した。こわかった。
・開戦直前のセオデン王。かっこいいー。セオデン王はものすごく格好良かったです。
・エオウィンとメリー、息がぴったりですね。このシーンは胸が熱くなった。
・レゴラスはさすが身軽なエルフだった。
・じいさんだけど体力勝負のガンダルフ。魔法は使わない。
・崖に刻みつけられた急勾配の階段をのぼりつづけるフロドとサムとゴラム。目がまわりそう。こんなところで格闘なんかするなー。落ちるじゃないかー。高所恐怖症には、うう。
・背後に迫るシュロブをフロドの足元から仰ぎ見るシーン、怖い。
・蜘蛛の糸に雁字搦めのフロド。まるでエジプトのミイラのよう。
・何日も飲まず食わずのわりに、痩せてないフロド。
・それをいうなら、サムもか。
・滅びの山にたどりついたら、わざわざ崖の突端まで行かずに、ちょっと出たところで指輪を捨ててくればいいのに……。高所恐怖症には……。
・黒門にやってきたアラゴルンの軍勢。途中で馬があれ?
・アラゴルン、髪はざんばらな方がかっこいいような。
・さらに、きれいにととのえない方がいいのではという気が。
・降りそそぐ花びらは白の木のものなのかと思ったのだけど、出てこず。
・レゴラス、王子様の礼装が……。
・アルウェン……。
・ファラミアとエオウィンはいつ仲良くなったのですか。
・メリーとピピンの誇らしげな騎士装束。かわいい。
・灰色港ってこんなところだったんか。
・みんな一度に旅立ってしまうんですね。それにしては舟が少ない気がしますが。
・ガラドリエルさまの微笑は、最後まで謎めいていた。
・おお、美しのエラノール(だよね?)。
結局、この冒険を一番楽しんだのはピピンだったのでは、という気が。
見終わった後、昼食を食べながら友人とふたりでしゃべりまくりました。
例によって原作をおさらいせずにのぞんだ私は、『二つの塔』以上に話を忘れきっていたので、いろいろと友人に教えていただきました。デネソールのおかしくなった理由とかですね。やっぱり、映画はアクション中心にまとめてあるから、人間ドラマが手薄になってしまうのですね。戦闘シーンは、ほんとうにものすごい迫力でした。
最後の崩壊シーンで、ゴンドール軍が大地に飲み込まれたらどうなっていたんだろう?と言ったら、「悲惨すぎる」と言われてしまいました。いや、だってあんまり不自然だったから……(苦笑。あれはガンダルフが魔法で守ったのだとか、アラゴルンの大地の力とかとう説が出ましたが、たとえあそこで全員死んでしまっても、人間の国はちゃんとつづいてゆくと思いますわ。でも、話としてはやっぱり悲惨か(^_^;)。
いろいろとつっこみどころがありましたが、大変楽しく見た三時間半でした(途中ぬけたところがありますが。しくしく)。全部先入観なしで見たので、気持ちもあらたに原作を読みなおそうと思っていたのですが、新版の文庫を買って帰るの忘れました。ので、このあいだ買った追補編を読んでました。うう、そうか。人間の国って最初はふたつあったのね。そんで、デネソールって優秀な執政官だったのね。アラゴルンってあちこちの国でいろんな事をしてたんだー。なるほど、なるほど。
『王の帰還』のために、DVDで復習中。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(田中薫子・野口絵美訳)『魔法がいっぱい 大魔法使いクレストマンシー外伝』(徳間書店.2003.232p.1500円+税
Diana Wynne Jones "MIXED MAGIC",2000)[Amazon][bk-1]読了。たくさんの並行世界を行き来するファンタジー「大魔法使いクレストマンシー」シリーズの短編集。
「妖術使いの運命の車」
「キャットとトニーノと魂泥棒」
「キャロル・オニールの百番目の夢」
「見えないドラゴンに聞け」
の四編収録。
短編とはいえ、どれもDWJ印の一筋縄ではいかないお話ばかり。話の仕掛けもそうだけど、「妖術使いの運命の車」にでてくるどこまでも憎たらしい女の子とか、ほんとうに子供を書くのがうまい作家です。それも大人から見ると愛らしくない、醜いところまできっちりと描いて、共感できる。「キャットとトニーノと魂泥棒」のちやほやされなくなって面白くないキャットの心理とか、わかるなあー。
どの話もとっても楽しかったのですが、なかで私が好きなのは「見えないドラゴンに聞け」かなー。このフレーズが好きです。見えないドラゴンに聞け。
ところで、あいかわらず派手派手なクレストマンシーの格好。たのしい。これ、映像で見たらもっとインパクトありそうなんですが。
・Amazonでサーチ>>「ダイアナ・ウィン・ジョーンズ既刊」
姪と甥がやってきたので、我が家は平日以上に平日でした。
というか、やってきたとたんに日常が吹っ飛んで、異空間になるのです。ある意味、これもハレの一種かもしれないですが。
うう、予定がなにも消化できなかった。めずらしく予定を立てたのがまずかったのかも。
ピーター・ラヴゼイ(山本やよい訳)『猟犬クラブ』(ハヤカワミステリ文庫.2001.598p.940円+税
Peter Lovesey "BLOODHOUNDS",1996)[Amazon][bk-1]読了。イギリス人作家の英国推理作家教会賞シルヴァー・ダガー賞受賞のミステリ。バースを舞台にした「ダイヤモンド警視」シリーズの四作目。
犯罪防止のプロジェクトを推進している警察に、バース市の所有財産を狙う悪事がたくらまれているという密告が入った。ヴィクトリア美術館所蔵のターナーの絵画を守る警備を配置した矢先、マスコミ各社に奇妙な謎かけが届く。謎を解けぬまま、ひたすら警備を強化した警察だったが、その間に郵便博物館からは世界最古の切手が盗まれていた。その後、ミステリ愛好会〈猟犬クラブ〉の会合で、ひとりの会員が持参した本の中から盗まれた切手が発見される。
読みはじめてしばしの違和感。あれ、このシリーズってこんなに明るく軽やかだったっけ?
『最後の刑事』『単独捜査』『バースへの帰還』とつづいてきたシリーズの四巻めなわけですが、前作を読んでからずいぶん年月が経っているのでいまいち雰囲気がつかめず、すこしばかり右往左往してしまいました。
基本的には本格ものの筋立て。ピーター・ダイヤモンド警視と警察は暗号文の解読と密室殺人の謎を解くために走りまわります。巻末の解説によると、この話はシリーズ最高の異色作なのだそうで、シリーズ最初はうらぶれたおっさん刑事の悲哀あふれるシリアスな話だったけど、巻を追うごとにいろいろと変遷しているのですね。
というわけで本巻は本格ミステリのパロディーであるらしく、うーん、そうか、だからこんなにあかるいのか、なるほど。文中に有名なミステリ小説についていろいろと語るシーンが出てきまして、さまざまな嗜好を持ったミステリ愛好家達が戯画化されて登場しています。
でも私は、そんなミステリ関係のいろいろよりも、警察内部のダイヤモンド警視とウィグフル主任警部の主導権争いなど、日常のちょっとしたおかしなヒトコマ(ダイヤモンド家にやってきた仔猫のようすとか、ヴィグフルがプードルと帽子を取りあうシーンとか)のほうを楽しんでしまうのでした。密室の謎が解けたときに、「だからどうなんだ?」と思うような人物はちゃんとしたミステリファンとは言えないんだろうなあ。やっぱり。
でも、面白かったのです。ほんとです。
・Amazonでサーチ>>ピーター・ラヴゼイ既刊
↑時流に乗って買ってみた。
昨日妹の代わりに予定外に出かけた疲れがとれず、けっきょく一日だらだらと過ごしてしまいました。
朝から夜までだるさがつづくので、なんだか不安になってくるです。来週の月曜には『王の帰還』を見に行く約束をしているので、それまで自重して体調をととのえなければ。お願いだから、だれも風邪をひかないでくれ<妹一家。
あさのあつこ『バッテリー 5』(教育画劇.2003.232p.1500円+税)[Amazon][bk-1]読了。『バッテリー 4』のつづき。思春期の少年達の葛藤を野球を通して描く。
原田巧と永倉豪のバッテリーはお互いの意志の疎通を欠いたまま、しかし野球をする、ということに対する思いから徐々に向かい合いはじめる。受験シーズンが終わると、中断された練習試合の再試合が、あらためて横手二中野球部OBから新田東中OBへと申し込まれた。試合の準備のために横手二中の瑞垣との会合を重ねるうち、海音寺は相手の態度に不審を覚える。
思春期の、方向定まらぬまま膨れあがるエネルギーが渦を巻くような展開です。
成長過程に訪れる嵐のようなものでしょうか。本人達もコントロールすることはできず、傷がどんどん広がってゆくような、ひりひりとしたやりとり。青春というのは痛いものなのだよなあ……ととうに青春を過ぎた人間は感慨深く思うわけでありますが。
それにしても、これだけ深く描かれる少年同士の人間関係を目の当たりにすると、どうもよこしまな想像力が働きだして困ります。少年マンガのスポーツものとはまったく路線が異なりますね。この本がある一部の方々に歓迎されるゆえんがよくわかった一冊でした(苦笑。
これで既刊分を全部読んでしまったので、あとは新刊を待つしかないんですが、刊行ペースがかなりスローなのがじれったいですね。
・Amazonでサーチ>>「バッテリー」既刊
あさのあつこ『バッテリー 4』(教育画劇.2001.224p.1500円+税)[Amazon][bk-1]読了。『バッテリー 3』のつづき。思春期の少年達の葛藤を野球を通して描く。
保護監督者不在でおこなわれることになった新田東中と横手二中との練習試合。原田巧と永倉豪の一年生バッテリーは、横手二中の主砲門脇を三振に切ってとることに成功する。だがその直後、横手二中の五番打者瑞垣の言葉による攻撃に心を乱された豪に、巧は全力のボールを投げ込むことができなくなってしまう。
相手の考えていることがわからない。自分の球を受けるキャッチャーとして揺るぎない信頼を寄せていた相手の突然の変化にとまどいつつ、自分から歩み寄ることはできない主人公の苦しい葛藤が、中国地方の自然の移り変わりを織り込みつつ、みずみずしく描かれていく青春小説。そうだ、もうこれは青春小説だな。児童書じゃなく。
巧と豪の確執をそれと察しつつ、飄々と軽口を叩きつづける吉貞君の明るいキャラクターが楽しい。チームメイト達もそれぞれに個性を発揮して、真摯な物語の中にもコミカルなシーンがあり、なごみます。
横手二中の三年生、エリートに対して屈折した感情を持つ瑞垣俊二が異彩を放ち、今後の展開に大きな影響を及ぼしそうな巻でした。私は新田東の海音寺キャプテンのファンですが(笑。
だんだんと野球仲間(?)の同年代の少年達の出番が増え、それにつれて大人の出てくるシーンは減ってゆきますが、さりげない描写にひとりひとりの家庭を想像させるようなところがあって、話にあたたかさと厚みを感じました。
・Amazonでサーチ>>「バッテリー」既刊
1月9日に起きたビデオ・DVDデッキカバー破壊事件のつづき。
こんなに長びくことになろうとは予想もしませんでした。
製造元のカスタマーセンターから代替部品が宅配代引きで届いたのが、次の週の水曜日。それからすぐに作業をすればよかったんだろうけど、やっぱり自分ではできないと妹に頼んだせいでさらに実施が遅れて、結局封をあけたのが届いた次の週の金曜日。そのとき散々試行錯誤をしたあげく、届いた部品がうちの製品のものと違うことが判明。届いたときにさっさと開けてればよかったよ……と嘆いても仕方ないので、またまたカスタマーセンターに電話して、ちゃんとした部品を送ってもらうことに。
その、部品型番違いが判明したときにですね、横から見ていた家族が苛々して手を出してきたのが運の尽き。
ネジをとり、配線を外して、デッキのカバーを外してくれたのはいいけど、それを「どうせまた、開けるんだから」とそのまま放置してくれたので、ビデオテープどころかDVDも見られなくなって、そのまま、また部品が届くまで一週間。
やっと部品が届いたので、落とし前をつけてもらおうと、つづきをやってくれと頼んだら、ちゃんとカバーを取りつけられないばかりか、テレビとの配線もわからなくなって、やけくそに接続してくれた結果、テレビもノイズだらけでちゃんと映らなくなってしまった。
だから、部品違いがわかったときにちゃんと元に戻しておけばよかったのにー、とほかの誰もが思ったが、思っただけで口を閉ざしていたのも悪かったとは思うけど。
けっきょく、もうどうしようもなくなって、またも近所の電器屋さんに泣きついた。
あー、疲れた。製造元のミスにも参ったけど、家族の横槍でえらい面倒が増えた気がする。もう、あの人には絶対に頼まない。やると言われても断ります。
今回の教訓その一、保証書はきちんと保管する。
教訓その二、受け取った荷は、その場で確認する。
教訓その三、どんなに簡単そうでも、電化製品関係は玄人に任せた方がよい。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(浅羽莢子訳)『グリフィンの年』(創元推理文庫.2003.374p.800円+税
Diana Wynne Jones "YEAR OF THE GRIFFIN",2000)[Amazon][bk-1]読了。『ダークホルムの闇の君』の続編。
魔法大学の学長ケリーダが隠居生活に入り、大学はケリーダに選ばれた運営委員会の指揮監督下に入った。しかし、大学は赤字を抱えて学費を値上げしたため、新入生は減り経費すら賄えない。今年の新入生は魔術師ダークの娘で宿舎に入りきらないほど大きなグリフィンであるエルダをはじめ、かなり裕福な家の出であるらしい。運営委員長のコーコラン魔術師は新入生の保護者に無心の手紙を送りつけたが、それが学生の居所を出身地に報せることになり、さまざまな災難が大学を襲うようになる。
魔術師になろうという希望に燃えて入学したはずの大学は、教育機関としてはまったくの役立たずになっていた。無能な教育者の横暴な人格攻撃に、硬直化した役立たずのカリキュラム。ふりまわされる学生達は右往左往しながら一喜一憂。これでもかとくり返される大騒ぎが、まるで日常茶飯事のように淡々と描かれるさまが、なんともいえず可笑しいです。笑いながらもいろいろと考えさせられる話なのが、さすがにジョーンズというかんじ。
グリフィンのエルダがコーコランを気に入る理由とか、新入生達の個性的な面々の一筋縄ではいかない出自。連続し、継続してつづいていくエピソード。あんまり淡々とつづくので盛り上がりに欠ける面もありますが、読んでてとても楽しかったです。最後にはいったい何組のカップルが誕生したのやら(笑。
・Amazonでサーチ>>「ダイアナ・ウィン・ジョーンズ」