2004年11月のdiary
■2004.11.4 /『NO.6 #1』/『NO.6 #2』
■2004.11.5 図書館+買い出し/『海の上の暗殺者 コラリーとフェリックスのハネムーン・ミステリー』
■2004.11.6 掲示板アドレス変更/『楽園の魔女たち〜楽園の食卓 後編〜』
■2004.11.10 飽きた/『風の王国』
■2004.11.11 通院そのほか/
■2004.11.12 /『彩雲国物語 はじまりの風は紅く』
■2004.11.14 四万ヒット/『暗き神の鎖 前編 流血女神伝』/『暗き神の鎖 中編 流血女神伝』/『暗き神の鎖 後編 流血女神伝』
■2004.11.17 CGI化は無理っぽい/『キーリ 5 はじまりの白日の庭(上)』
■2004.11.21 エディタを試す/『ねこのばば』
■2004.11.22 /『蝶のめざめ』
■2004.11.25 「ハウル」見てきたよ/
■2004.11.27 サンタクロースの記憶/『マリア様がみてる レディ、GO!』
先日、妹とお茶してたときに出た話題。
もうすぐクリスマスだけど姪っ子はまだサンタを信じてるのー、と尋ねたら信じてるよーという返事が返ってきたので、そういえば私はサンタを信じてた記憶がないんだよーと言ったら、妹は真顔で言った「私は五歳ぐらいの時にお姉ちゃんにサンタはいないと断言されて大泣きした」。そのほか「そのとき弟も泣いていた」「おかあさんに、いるよね?と尋ねたのにフォローしてくれなかった」と憤慨しながら語ってくれました。あはははは……ぜんぜん記憶がないんですけど(汗。
でも、ということは五歳時に私に否定されるまで妹はちゃんとサンタを信じることができていたってことだから、それはそれで幸せなことなんじゃないかと思うわけです。私なんか、信じたことないんだから! きっとクリスマスとサンタクロースを知ったのとサンタが非現実であることを知ったのとが同時なんだと思うわ、私の場合。なんだよ、夢も希望もないじゃん。おんなじ家に住んでおんなじ親に育てられていたのに、この違いはなに? というか、うちみたいに季節の行事に無関心な家で、どうしてサンタを信じるなんてことができたんだろう。クリスマスパーティーなんて、ほとんどしたことないのに。考えてみればそっちのほうが不思議かも。ある意味すごい人物なのかもしれない、妹は。
今野緒雪『マリア様がみてる レディ、GO!』(集英社コバルト文庫.2003.213p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。由緒正しいお嬢様学校に通う少女たちのゆれうごく心を描く、シリーズ十五冊目。『マリア様がみてる 涼風さつさつ』のつづき。
マリア様がみてる―レディ、GO!
今野 緒雪
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なんと、前巻を読んだのが去年の九月。一年以上もつづきを読んでいなかった。そのうえ読んでから一週間以上感想書かずにほうってあった。スミマセン。
花寺学院の学園祭の後はとうぜんリリアンの文化祭だろうと思っていたのに、みごとに肩すかしを食わされました。おまけに、祐巳ちゃんが仲直りをしたいと意気込んでいる一年生の可南子ちゃんとやらの存在をきれいさっぱり忘れている私は、いきさつがおぼろにしかつかめないままに体育祭へと突入。釈然としなかったけど、話自体はよくある行事ものといった趣で読んでいて気楽に楽しめました。今回は全体的にかるめでしたね。由乃さんの勝ち気ぶりが楽しかったです。
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タダ券で『ハウルの動く城』を見てきました>贅沢(?)。混雑しそうな週末とレディースデーを避けて、ずっと前から妹と見ようねーと約束していたので妹の都合をいれて、見たのは朝の一回目。九時半からの上映なのに九時になっても映画館は開いてなくて、でも行列はちゃんとできていた。開館と同時に妹に券を持たせて席取りに直行させ当日券を買いに行った私の前で、おなじようにチケット買う人びとが口にするタイトルはすべて「ハウルの動く城」。平日の早朝で客層は中高年以上がほとんどだったのに。すごいよ、ジブリ、と感心した。でも席はどまんなか後ろ寄りの特等席をふたりぶん楽々ゲット。『ロード・オブ・ザ・リング』のときの教訓が生きました。あとは、いくら混んでいるとはいってもやっぱり平日なので(笑。
映画の印象は、カラフル。『千と千尋』の時にもそう思ったけど、あっちは原色のカラフルで今回のはすこしパステルカラーなカラフルかな。あと、全体的に“宮崎アニメとしては”いくぶんこぢんまりとしている印象を受けました。爽快感が比較的日常規模というか。うーん、もともと原作自体そんなにスペクタクルというものじゃなかったような気がするので(読んだのがずいぶん前なので記憶が曖昧)、当然なのかな。でも、ラブストーリーとしてもちょっと物足りないなーとか思いましたが。とくにヒロインの描写が上品すぎて生々しさに欠ける気が。突然九十歳になったら……あんなもんで収まるだろうか。私なら皺だらけの手を見るたびに泣けてくると思うのですが。でもこれは全世代で安心してみられるジブリの持ち味だからな。あと、動く城のなかをもっとみたかったなーというのは、やっぱり『千と千尋』のときの湯屋のときにも思ったことだった。
でも、ハウルはなんだかすごくチャーミングだったですねー。木村くんの声も違和感覚えないどころか、かっこよいと感じてしまった。今回印象に残ったのはハウルの初登場シーンだったり、ハウルが鳥に変態するところだったり、ハウルがどろどろに溶けてしまうところだったりしました。いつもは光景の場合が多いのになあ……(埃だらけのテーブルとかカビだらけの風呂場とかも印象深かったけど。引き出しから出てきた肉は食べても大丈夫なのかと心配してしまったぞ)。
むしろ、声はソフィーのほうに違和感ありました。おばあちゃんでぶつぶつ言ってるときはぴったりなんだけど、正直若い方にはむりがあるような気がしたし、感極まったときの演技で無意識にセーブがかかってるようなのがもどかしい。見ながら「もっとはじけろ!」となんども心の中で叫んでしまいました。
オキニイリはヒンです。あのハンディーモップみたいな犬! 妹はひんひんいう声が「ケンケンみたい」と言ってました。あと、妹はマルクル役の男の子が声を聞いたとたんにわかったらしいです。甥っ子がファンなんだって(甥っ子はヨンさまとチェ・ジウもしってる三歳児)。荒れ地の魔女は階段のぼってるときの迫力シーンが絶品。カルシファーも楽しかった。薪にもたれているとこがかわいい。
というわけで、映画全体としては大変楽しかったです。腰痛持ちの私が、ひさびさに二時間も姿勢を変えるの忘れて見続けた。おかげで終わったときには相当疲れていましたが……満足の二時間でした。
以上、購入。
「ハウル」の後、昼食を食べてふらふらと繁華街をうろつき、夕方に最寄り駅まで戻ったところでお茶をして、もう夕飯をつくりたくないと妹がいうので、その後妹一家とともにファミリーレストランで夕食を一緒に食べて帰宅しました。日中出ずっぱりで大変疲れましたが、精神的にはものすごくリフレッシュできたので嬉しかった。あしたからまた頑張ろう。
ダリアン・ノース(羽田詩津子訳)『蝶のめざめ』(文春文庫.2001.469p.667円+税
Darian North "VIOLATION",1998)[Amazon][bk-1]読了。アメリカのミステリーサスペンス小説。
蝶のめざめ
ダリアン ノース Darian North 羽田 詩津子
by G-Tools
カリフォルニアの原生林のある街ユーリカ。元警察官のジャックは、店子のオーベン親子のうち、十三歳の少年デイヴィッドから母親についての相談を受ける。デイヴィッドの母シアは確かに変わり者だ。シングルマザーであり、息子をひとりで育てているが、近所とは没交渉で仕事も家のパソコン経由で行っている。外には滅多に出てこないし、出るときは必ず息子とふたりで他人とは交わらない。デイヴィッドは母親のそんな生活態度を不審に思い始めており、自分の父親についての話――父は死んだのだという話――はまったくの嘘だったとジャックに訴えた。
積ん読本消化活動の一環として読了。この本を買ったのは、たしか同著者の他の本(『骨のささやき』とか)がおもしろかったのと、題材に惹かれたためだったと思うのですが、そのうちに興味が薄れてしまっておよそ三年間ほったらかしとなりました。
三年ほったらかして言うのもなんですが、ノンストップで読み続けました。この本はけして就寝前に手を出してはいけません。
話はデイヴィッドが家出をしたのち、元警官のジャックがはじめた捜索によって、シアが抹殺しようと努力してきた「衝撃的な」過去が浮かびあがっていき、その過程で人間不信のシアと、やはりつらい過去から隠遁生活を送ろうとしていたジャックの孤独が次第にいやされていく姿が描かれていきます。しかし、そのあいだずっとふたりはデイヴィッドを捜し続けているわけで、さらにはすでに決着がついていると思われていた過去の事件にいまだに謎の部分が残されていること、デイヴィッドの家出を手伝っているのは誰かという謎、などがどんどん重なって、ずっと緊張感を持続したままラストへとなだれ込んでいきます。
後味は、『黒い未亡人』のやるせなさと比べると、なんというかハリウッド映画的で浅い感じがするのは否めないんですけど、そこにいたるまでの過程のスリリングな展開にぐいぐいとひきこまれてしまいました。
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G-Toolsがらみの件でエディタを変更してみようかと、Jeditを試しにインストールしてみた。
Jeditはフリーだったときに使用していたことがありまして、じつは最初にサイトを作り始めたときに使っていたのがJeditだったりしたのですが、今回あらためて使ってみると、あいかわらずの高機能で使いこなせなさそうな予感がひしひしといたします。HTMLタグとかコメントとかを色分けて表示してくれるのはたいへんありがたい。しかし、miにあった「ブラウザで表示」機能がないのがちょっと痛い。
冷静に考えてみたら、単に日記を書いてるだけの場合、いちいち表示してたしかめる必要はないのかもしれないが、でも私は一日分の記事を書くのに十回は表示させてみる癖があったりするので、これがあるのとないのとではかかる労力がかなりちがうのですな。
しかし、G-Toolsを安心して使えるというところはポイント高いしなあ……どうしよう。ああ、優柔不断。
畠中恵『ねこのばば』(新潮社.2004.246p.1300円+税)[Amazon][bk-1]読了。身体の弱い若だんなと妖の兄いふたり、そしてたくさんの妖怪たちの活躍する「人情推理帳」の短編集。『ぬしさまへ』のつづき。
ねこのばば
畠中 恵
by G-Tools
ほのぼのした雰囲気ながら、人の世のつらさ厳しさもおりこんで、地に足のついた妖怪推理ものの第三弾。
お茶とまんじゅう、甘々だけど妖なのでちょっとピントのずれているふたりの兄い、面相はこわいけどちいさくてかわいい鳴家たち。読んでいてたいへん気持ちのよかった短編集……なのですが、読み終えてちょっと時間が経ってしまい、本も手元にないので詳しく感想が書けません、申し訳ない。
とりあえず、寝る前に読んでも眠るのにまったく支障のない、心穏やかになれる本でした。
月曜日に更新したときトップページが途中までしか表示されない現象が発生し、なんどもファイルの訂正、アップを繰り返して、えらい目に遭いました。原因は、G-Toolsで取得したテキストを、文字化けしたにもかかわらず強引に貼り付けたせいで、ファイルが部分的に壊れてしまったことであった模様です。
それから更新作業がもっと楽に安全にできるような方法はないもんかと考えることしばし。ためしに、ブログなどよりも格段に簡単そうなnicky!を設置して、ページのカスタマイズなんかをしてみたり。その結果、このページのレイアウトはほとんどいままで通りに再現できることがわかりました。が、書名リストや著者名索引をどうしたらいいのか、皆目見当がつかない。索引とリストだけを自前でつくるとなると、よけいに作業がややこしくなりそうだ。そもそもnicky!は画像がアップできる日記CGIなので、本の感想みたいなある意味データベースのようなサイトには向かないのだろう。とすると私にはやっぱり無理なのかなあ。
ところで、G-Toolsがどうして文字化けするのかは理由がなんとなく判明しました。どうも使用しているエディタのバグのようです。べつのエディタを試したらちゃんと文字化けせずにペーストできました。しかし、miのHTML+cssモードはとっても便利なので手放せません(涙。エディタの機能に頼っているうちにタグの打ち方もスタイルシートの書き方もほとんど忘れてしまってるし。
壁井ユカコ『キーリ 5 はじまりの白日の庭(上)』(メディアワークス電撃文庫.2004.245p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。『キーリ 4 長い夜は深淵のほとりで』のつづき。
壁井ユカコ〔著〕
出版社 メディアワークス
発売日 2004.07
価格AA ¥ 578(¥ 550)
ISBNAA 4840227284
bk1で詳しく見るAA
不死人の噂を聞いて、植民祭でにぎわうウエスタベリの街にやってきたキーリとハーヴェイ、そして兵長。かれらは偶然出会ったハーヴェイの知り合いの興業団にしばらく厄介になることになった。それからベアトリクス探しにハーヴェイは毎日街へと出て行き、キーリはなぜかキャンプで留守番に。不満ながらも子守や洗濯など興行団の手伝いをするキーリの前に、意外な人物が姿を現す。
上下つづきものとわかってしばらく予約をせずにいたのですが、どうせ二冊同時には到着することはないのだからさっさとしておけばよかった。
今回は“不死人”ハーヴェイの治癒力が落ちてかれの時間に限りが生まれつつあることを示唆しつつ、死と同時に失われたはずだったエイフラムとしての過去との関係が意味深な一冊。生者と死者のあいだで宙づりになっている不死人の特異な位置が、これまでよりも深く書き込まれていたような気がします。現在と交錯する過去がこの物語の大きなウエイトを占めてますが、それを見てしまうだけのキーリよりも、そこに自分も含まれているハーヴェイのほうが、より存在的にはあやういんでしょうねえ。
映像的でありながらどこか皮肉をふくんだ、淡々とした文章。叙情的な物語に次第に結末の予感が漂いはじめたような。
ところで、“不死人”という用語なんですが、字面はいいんだけど声に出したときになんとなく間が抜けているような気がする。
ぼんやりとつづけているうちに、カウンターの数字が四万に達していました。……感慨はなにもわかないのですが(いい加減に運営しているからだ。苦笑)、ご訪問いただいた方々には感謝です。これからも、適当につづけていくつもりですので、よろしければおつきあいくださいませ。
須賀しのぶ『暗き神の鎖 前編 流血女神伝』(集英社コバルト文庫.2004.245p.476円+税)[Amazon][bk-1]
須賀しのぶ『暗き神の鎖 中編 流血女神伝』(集英社コバルト文庫.2004.267p.495円+税)[Amazon][bk-1]
須賀しのぶ『暗き神の鎖 後編 流血女神伝』(集英社コバルト文庫.2004.333p.571円+税)[Amazon][bk-1]読了。
異世界大河ロマン小説「流血女神伝」シリーズ、ザカール編。時系列的には『砂の覇王 9 流血女神伝』のつづきだけど、外伝『女神の花嫁』は読んでおくべきかと。
エティカヤ王バルアンの正妃となったカリエ。しかし世継ぎを生むという第一の責務は未だ果たせずにいた。そんなおり、妾妃ナイヤが懐妊。親友の幸運を喜びつつも心は晴れないカリエに、バルアンはオル教の聖地オラエン・ヤムへの巡礼へ同行を命じた。慣行を破り頂上までカリエをともなったバルアンはいう。「おまえは俺が伴侶と決めた、唯一の女だ。他の後宮の女達にはできないことをやってもらう。だからおまえは、おまえにしかできぬことをやれ」 それでも子を産みたいと願うカリエを、バルアンは要衝ヨギナの総督に任じた。半年後、ヨギナ総督として多忙な毎日を送るカリエは、体調の変化に懐妊したことを知る。
あいかわらずの怒濤の展開。荒々しくも濃密な世界に息つく間もなく引きずり込まれました。
読み終えた後でしばらく放心してしまい、その後感想を書こうとしたら話の具体的な内容が思い出せないのに困った。なんか、のめり込みすぎたらしい(苦笑。
話はカリエちゃんの身体が満ちて、ついにザカリア女神の娘としての資格を満たしてしまったところから急展開。いままで本伝では表に出てこなかったザカールが、突如として不気味な姿を現します。このザカールの長リウジールってのがラクリゼの弟なわけですが……人間じゃないよってくらいにぶっとんでましたね(笑。けどその裏には壮絶きわまりない生い立ちがあるわけでして。この話の裏テーマはかれの生と死だったのかなあと、最後には思いました。
リウジールはまさに神様を絶対と信じるあまり自分の人生を神の付属物ともみなしてしまうザカール人の究極の見本。このシリーズでは人間と神(あるいは運命)との関係が大きなウエイトを占めていますが、運命に対して抵抗をつづけるか、あきらめて受容するか、という選択肢を極限状況で問いかけるのが今回の話だったような気がする。ただ、完璧に望みのない状況というのは本人が希望を失った瞬間に訪れるのだということは、どんな場合にも当てはまるのではないかと。ごく身近であまり深刻でない例でいえば、野球なら九回ツーアウトからでも、サッカーなら試合終了の笛が吹かれるまでなら、まだ勝てる可能性があるってことですね。そのためには普段からの努力と並々ならぬ意志の力と、もしかすると運も必要なわけですが。リウジールはあきらめ、カリエちゃんはあきらめなかった、その違いが人生の分かれ道ってことでしょうか。周囲の助力とかいろいろあったのは事実だけど、その環境をつくってきたのはカリエ自身なわけですから。あー、なにを書いてるのかわからなくなってきたので、もう止めます(汗。
このシリーズが始まったときには、こんなに神様が出張ってくる話になるとは思わなかったな。なんか、民族ごとにそれぞれに信じる神様があって、その神様同士には諍いがあって、歴史があって予言があって、というのはちょっとエディングスの『ベルガリアード物語』を思い出させます。話自体の方向性とか雰囲気とかはまるで違う気がするんだけども。
ところで、エティカヤ編では途中でまったく存在感がなくなってしまったエドが! 今回は大復活ではないですか! エドとサルベーンの掛け合いはおもしろすぎです。そして、トルハーン、賭がこんなところで生きてくるとは。もしかしたら、この物語で最強なのはトルハーンなのかも。バルアンは……この話で一番痛手を受けたのはかれだったのかな。エピローグのヒカイ将軍のエピソードにはしんみりしてしまいました。
こうしてひとりひとりの登場人物にいろいろと感じることができるのも、このシリーズの魅力ですね。今回はかなり話を圧縮したらしくて、そうした部分がすくなくて間合い短かったのが少し残念でした。
忘れかけてましたが、ルトヴィアも先行きが不穏ですね。そのうちに成長したミュカとドーン兄上の対決が見られるのでしょうか。あと、エドもひきつづき(笑)活躍してくれるといいなあ。つづきが大変楽しみです。
雪乃紗衣『彩雲国物語 はじまりの風は紅く』(角川ビーンズ文庫.2003.223p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。中華風異世界を舞台にした、しっかりものの女の子の後宮顛末記、恋(未満)と陰謀付き。ほのぼの風味。
仙人たちの助力の元に建国されたという伝説を持つ国、彩雲国。名家でありながら生活苦にあえぐ紅家の秀麗は、頼りにならない父親を助け、毎日を生活の糧を得るための労働に費やすしっかり者と評判の娘だった。そんなある日、朝廷に出仕する家人の静蘭が、現王の宰相と名高い霄太師(しょうたいし)をともなって帰宅した。太師は秀麗になにやら頼みたいことがあるという。金五百両という太っ腹な謝礼を確約されて一も二もなくひきうけてしまった秀麗は、あとから聞いた仕事の内容に愕然とすることになる。なんと彼女は、後宮に貴妃として入り、王様の教育係を務めることになってしまったのだ――。
やー、この話は大変楽しかったです。
貧乏でも明るく前向きに、現実的ながらも理想を忘れずに。そんな地に足のついた秀麗と、アダルトチルドレンで誤解されまくりの子犬みたい(両刀だけど;)な王様と、まだ王様を評価しきれないやり手だけどそれぞれに性格の悪いふたりの部下とが、すれちがいながらしだいにみとめあっていくようすが楽しいです。それからにぎやかなじいさまたち(笑。影では陰謀が進行してるのにお茶するシーンが多くて、ほのぼの感を増してます。おまんじゅうが食べたくなる(笑。
話は少々込み入っていて、正直詰め込みすぎかと感じるところもありましたが、軽快なテンポのよどみない文章のおかげで、すらすらと心地よく読めました。
つづきも、読みます!
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すみません。きのうワタクシ、日付を一日先取りして日記を書いてしまいました。更新日も未来にしてしまいました。さらに、当日はまったく気づかなかったというおまけ付き。ほんとうに私はこれで大丈夫なのでしょうか。はあ。日付は訂正しときましたが。
魔の都の二剣士 lt;ファファード&グレイ・マウザー1gt;
フリッツ・ライバー 浅倉 久志
以上購入。
今日こそはなにも買わないぞ、と思って病院に行ったのですが、せっかく遠出をして大都市に行っているのだしと思うとやはりふらふらと本屋に足が向いてしまうのでありました。したらば、あの「ファファード&グレイ・マウザー」が新版で!
このシリーズ、むかし図書館で借りて読んだんですけど三巻まで出ていたはずなのに二巻までしか置いてなくて、さらにはいつの間にか書架から消えてなくなって(書庫にも他館にもなく)再読も不可能となり、読みたいよう〜と願いつつ忘れかけていたといういきさつがあり、発見したとたんに手にとってレジに走っておりました。訳者が変わられたのかなと思ったのですが、なんだ、別名を名乗っておられただけだったのですね。これから順次全五巻を刊行予定とか。ああ、財布が(泣笑。
本屋には「炎と氷の歌」第二部もでんと平積みされてましたが、こちらは我慢我慢。
それからカードリーダーをやっと購入。
SANWA SUPPLY ADR-71U2BL USB2.0 10in1カードリーダライタ[Amazon]
帰りにうっかり地面に落としてしまったので、ちゃんとうごくか不安です。
病院では診察前にレントゲン写真を撮影しました。手と足を角度を変えて二枚ずつ、そして胸で計五枚。どれも特別な変化はなく良好とのこと。しかし現在不調なのは頸なのです、と訴えたらこのつぎに撮ることに。うへー、二ヶ月連続か。
別れ際にカルテの下からあらわれた銀色のリンゴマークを見て、おもわず声をあげそうに(さんざん症状を聞きほじった後なので自粛しましたが)。通院経験は長いですが、自前パソコンを診察室に持ち込む医師に出会ったのは初めてです。それがPowerBookG4。私、突然センセイに親近感をいだいてしまいました(笑。
久方ぶりに仕事が入って、二日半。今回はデジカメ写真のリサイズに明け暮れておりました。
解像度とサイズとファイル形式を変えるだけのワンパターンな作業だけど、100枚以上あると本気で叫びだしたくなります。こういうの、ぱぱーっと一気にやってくれるツールとか、どっかにないかしらん……と焦点の合わなくなった目で液晶ディスプレイを眺めつつ、ぼんやりと考える。私にはそんなスキルはどこにもないー。
ストレスたまったのでコバルトその他の読了本がめずらしく一気に増えました。今回ヒット揃いだったのでうれしかったー。でも、目が疲れてるので感想は徐々にということで。
毛利志生子『風の王国』(集英社コバルト文庫.2004.284p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。唐の時代の中国と西域を舞台に、チベットのとある国に嫁がされることになった偽公主と謎の若者の恋を描く、歴史ロマンス小説。
風の王国
毛利 志生子
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唐の皇帝李世民の姪でありながら、商家の娘として育った翠蘭。ある日、宮城に呼びつけられた彼女は、皇帝の娘となり吐蕃に嫁ぐ気はないかと尋ねられた。意向を問われたとはいえ、これは命令である。家族を人質同然に扱われ、他にとる道を断たれた翠蘭はあくまでも自分の意志として吐蕃の王との婚姻を選ぶ。二年後、翠蘭は吐蕃から派遣された随員と唐の随員、そして幼なじみの護衛官とに守られ、正式に公主として吐蕃へと旅だった。
政略結婚で他国へ嫁ぐお姫様の話。定番ですが、たいへんおもしろかったです。ほぼ唐からチベットへの旅についやされた話の中で、気候や自然のうつろいや文化風俗の差異などもとりこんだ描写が、自国を離れてゆくヒロインの境遇を肌で感じさせてくれるあたり、好きだなあと思います。こういう「いままでとは違った場所」がだんだんわかってくるところって、ファンタジーの異世界ものを読むときの楽しさと似てるんですよね。そして、素性のわからぬ若者との予期しない二人旅にあって、警戒心が次第にゆるみ、お互いに心を許しはじめ、惹かれあっていく過程が描かれる中盤以降、とってもお約束なんですがそれゆえに手に力が入ります(笑。
ただロマンスとして甘ったるいだけの展開ではなく、ヒロインの過去や相手側の入り組んだ事情まで書き込んで、筋が通り、すっきりと一冊にまとまっている。鮮やかです。なんで続編があるのと思うくらいです。でも読みますけど(苦笑。
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レンタルしているOTD掲示板がサーバーを移転するため、掲示板のURLが変更になりました。ファイルの書き換えに小半時消費。しかし、別サイトはもっとファイルが多いんだよね〜。作業量を考えただけでうんざりします。だけど、もうずっと使用している掲示板なのでログもかなり多いし、サービスを停止するなんてことにならないかぎり使いつづけることになるのでしょう。環境の変化に弱いのが私なので。
樹川さとみ『楽園の魔女たち〜楽園の食卓 後編〜』(集英社コバルト文庫.2004.284p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。『楽園の魔女たち〜楽園の食卓 中編〜』のつづき。シリーズ、完結編。
図書館の書架にあったので借りてきました。あまりにも展開がはやいのでついて行くのが大変だった。描写が少ないのがこのシリーズの持ち味ですが、それにしてもダイジェスト版みたいなつまみぐいシーンばかりで消化不良気味。シリーズを愛してディテールを深く読み込んだ人には自明の理であることも、いい加減な記憶力しか持たない私には「そんなこともあったっけ」で、中途半端にわかったような気にさせられるだけもの悲しい気分なのでした。大団円のはずなのにカタルシスがあまり感じられなかったのは、エイザードの過去など肝心なところが簡単な説明で終わっているためのような気がします。
これがアニメだったら、この筋だけでも映像の力で十分に説得できるのでしょうが。うーん、そうだな。そう思ってしいて絵を思い浮かべてみると、けっこうスペクタクルなシーンがあるような気がしてきた。ただ、文章を見ただけで映像が浮かぶ、という話もありますからね。樹川さとみの文章は、わたしにとっては浮かばない方の文章のようなんですね。
こんなことを思うのは、最近、読書中にダイレクトに映像が浮かんでこなくなったせいもあるのかもしれません。こういう力って普段から鍛えていないと、衰えていくみたいです。
ところで、ごくちゃんの正体よりも、殿下の求婚相手の正体に驚いたわたしって。もしかすると、それは謎ではなかったのか(汗。
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- ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『聖なる島々へ デイルマーク王国史2』[Amazon][bk-1]
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- 橘香いくの『海の上の暗殺者 コラリーとフェリックスのハネムーン・ミステリー』[Amazon][bk-1]
以上、購入。
さあ、これで「流血女神伝」が読めます。
図書館で『S-Fマガジン 12月号』[Amazon]を拾い読み。「炎と氷の歌」第2部発売記念で、ジョージ・R・R・マーティン特集でした。井辻朱美さんの『ハウルの動く城』評もあり。
カメラ量販店にカードリーダーを眺めにいったけど、あんまり良さそうなのがないなあ……。
海の上の暗殺者
橘香 いくの
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橘香いくの『海の上の暗殺者 コラリーとフェリックスのハネムーン・ミステリー』(集英社コバルト文庫.2004.263p.495円+税)[Amazon][bk-1]読了。ロマンティックコメディー「有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険」シリーズの続編シリーズ。あえていうなら『盗まれた蜜月 後編』のつづき?
コラリーとフェリックスの新婚カップルのハネムーンの行く先は、ファブリア領のアッピア諸島。マリタン港から豪華客船ヴェラ・イコニカ号に乗船したふたりだったが、出発間際に乗船手続きをしたためにバラバラの船室しかとれなかった。おかげで周囲はふたりをなかなか夫婦と認識せず、端正すぎる容姿のフェリックスは船内の女性の視線を釘付けにし、コラリーの気をもませたが、コラリーも夕食の席でGなる人物から誘いのメッセージを送られてしまう。まったく身に覚えのないコラリーはあわてまくるが、フェリックスはいつもどおり、何食わぬ顔でメッセージをびりびりにひきちぎり、海へ捨てたのだった。その夜、嵐に巻き込まれた船上では、ひそかに銃撃戦がおこなわれ……。波瀾万丈のハネムーン、開幕編。
なんとなく買ってきてしまった、コラリーとフェリックスの新シリーズ。相変わらずのフェリックスの変人ぶりが笑えます。すっかりおなじみのキャラクターであるせいか、作者の描き方も、愛情を保ちつつも客観的に突き放しているように感じます。おかしいです。シュシナックはこのシリーズには出てこないみたいですが、フェリックスの士官学校時代の知り合いで先天的ヒモ体質のプレイボーイ、ジュリアンが登場してコラリーを引っかき回し、さらに気むずかしいわりにおもしろがりやなご老人グリマルディ氏がフェリックスに対抗意識を燃やしている模様。
気楽に読むにはちょうどよい、楽しい一作でした。
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NO.6(ナンバーシックス)#1
あさの あつこ
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あさのあつこ『NO.6 #1』(講談社YA! ENTERTAINMENT.2003.210p.950円+税)[Amazon][bk-1]
あさのあつこ『NO.6 #2』(講談社YA! ENTERTAINMENT.2004.206p.950円+税)[Amazon][bk-1]読了。管理されたエリート都市からドロップアウトした少年が遭遇する、底辺の生の厳しさ、猥雑さと、影を持つ謎の少年との生活。『バッテリー』の著者が描く、ヤングアダルト向け近未来SF。
2013年、9月7日。NO.6と呼ばれる管理された都市で、エリートとして認定され特別コースに入学を許されたばかりの十二歳の少年、紫苑は、逃亡中のVCの少年ネズミと出会う。ネズミは一晩紫苑の部屋に隠れ潜んでいたが、翌日には消えていた。しかし、かれをかくまったことにより、紫苑は特別コースの入学を取り消され、母親とともにエリートの住むクロノス地区からも追い出された。四年後、紫苑は公園で働きながら学費を工面して技術コースに学んでいた。その公園で、不審な遺体が発見される。
一部のものにより徹底的に管理された都市と、その都市によって搾取されつづける外の世界。何も知らずにエリートとして都市の中に育ちながら周囲に違和感を抱きつづける少年が、あるとき、異質な価値観を体現する自分と同年代の少年と出会う。それをきっかけにして世界は少年の前にあらたな顔を見せ始める……。
なんだかよく似た話をたくさん読んだことがあるような……という気持ちはするのですが、児童文学出身の著者の書く、少年達の出会い、再会、ふれあいがほんとうにきめ細かく、みずみずしくて、そんなことは関係なく楽しめました。無垢でそれだからなのか気持ちのまっすぐな少年と、困難を自分の力で乗り越えてきたプライドの高い少年。片方は素直に、片方は屈折しながら、次第に相手をかけがえのないものと感じてゆく。なるほど、それをこんなに濃密に書いたら、そういう風にしか読めなくなりますよ(苦笑。
今後は紫苑とネズミが、寄生蜂を巡る事件とNO.6内部の陰謀とにどう立ち向かってゆくか、ということが描かれるのだろうか。すべてにベストな理想的な解決を願う紫苑と、現実的でNO.6に対して個人的な怨恨を持っているらしいネズミ。ふたりの今後が気になります。
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もらいました、Amazonギフト券! アソシエイトはじめて三年目にして、お初です。ほんとにもらえる日が来るなんて思ってなかったのでびっくりです。わー、すんごく嬉しいよう!! 何買おうかなーと思いましたが悩むまでもありませんね、『LOTR 王の帰還 SEE』を購入させていただくことにいたします。あと少しの残りのことは期限までにゆっくりと考えよう。
空の境界 上
奈須 きのこ
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奈須きのこ『空の境界 上』(講談社ノベルス.2004.431p.1100円+税)[Amazon][bk-1]
奈須きのこ『空の境界 下』(講談社ノベルス.2004.473p.1200円+税)[Amazon][bk-1]読了。「新感覚伝奇小説」。
車にはねられた後に昏睡状態に陥り、二年の歳月を経て奇跡的に覚醒した少女、両儀式。由緒ある一族によって生み出された特異な人格である彼女は、事故によって或るものを失った代わりにこの世のあらゆるものの死を視ることのできる“直視の魔眼”を手に入れた。日常が遠く、かつての自分までが他人のようにしか感じられない式。彼女をかたわらから不器用に支え、見守りつづける同級生だった黒桐幹也。式に襲いかかる怪異のうらには、なにが存在しているのか。
同人誌として出版されて話題を呼んだものを、商業出版として再刊行したものであるらしい。たしか、どこかの新聞の記事を読んで興味を持ったのだったと思うのですが、何新聞のどんな記事だったのかは前のことなので忘れました(汗。
導入部を読んでみてあんまり気をひかれなかったので、つい解説から先に読んでしまいました。だから、私の読み方は笠井潔氏の解説に多分に影響されていると思われます。でも、読まなかったらそのあとつづけて読んだかどうだかわからないので。しかし、読み進むにつれて牽引力が増していったのは確かです。
それで、読んだ感想ですが、非常に観念的で無機質で、人間が生物であることをまったく感じさせない話であり、展開であり、登場人物なんだけれど、そのためによけいに痛々しい話であるなあ……といった感じかなあ。文章はとくに読みにくいとかわかりにくいとかいうことはないんだけど、語っている中身に体温や血があまり感じられない印象が残りました。心だけ、思考だけ、肉体はナシ、というか。痛みはそこかしこにあふれているけれど、それは皮膚感覚を通さずに精神そのものに斬りつけてくるような、曖昧さのない痛み。作中で語られている「肉体なくして人格は生まれない」という話にはうなずけるものがありますが、この作品そのものには肉体感覚がものすごく薄いように感じました。伝奇小説というものはもっとどろどろずるべたりとしている印象があったのですが、この話にはそれが全くない。ライトノベルだからかとも思ったんですが、でも、解説が言うようにこれが現代のリアリティーそのものであるなら、それはものすごく危ういことであるような気がするなあ。
おもしろくは読んだのですが、そういうわけでとても気に入ったとは言い難い。複雑。読みながらハラハラドキドキじゃないところで冷や汗かく類の話だったので。ちなみに私がそういうことを感じたのは長野まゆみの一部の本とか野阿梓の一部の本とかです。