2004年5月のdiary
■2004.5.13 寝冷えと腹痛の果て/『ハートレス・ハート』
■2004.5.17 健康いろいろ/『シールド・リング ヴァイキングの心の砦』
■2004.5.23 曇天続き/『天使の舞闘会 暁の天使たち6』
■2004.5.26 隣がうるさい/『魔女の結婚 女神の島よ眠れ』
隣というのは小学校のことです。
今年から二学期制を導入したこの市の小学校では、休みの関係で運動会を五月の末に行うことになったので、その練習がいま、花盛りなのでありました。校内放送で流されるBGMに、ラフマニノフがすっかり負けている。
運動会はいつやったって運動会なのに、「スプリング・スポーツ・フェスティバル」なんて名前で呼ぼうというのが片腹痛いです。略すとSSF。もうスプリングじゃないと思うのだが。
しかし、姪っ子が入学してから初めての運動会なので、おそらく見に行くことになるでしょう。隣でやってるのに、行かないわけにはいかない(幼稚園よりずっと近い;)。
谷瑞恵『魔女の結婚 女神の島よ眠れ』(集英社コバルト文庫.2003.282p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。『魔女の結婚 哀しき鏡像の天使』のつづき。中世ヨーロッパのあちこち(時代も場所も)を行ったり来たりする、巫女と黒魔術師のロマンティック・ファンタジー。
黒魔術師である自分にこだわりのあるマティアスは、《流星車輪》を宿すエレインを守るためにもみずから距離を置く決心をする。ステファンとの幸せを願い、エレインをバーミュラー公爵家に置いて去ろうとするマティアスだったが、エレインが荷物に紛れてついてきてしまう。しかたなく依頼人の城館にエレインを同伴したマティアスは、感傷的な別れの雰囲気にひたっているエレインの見る幻の林檎の木に、行方不明の令嬢をさがす糸口を得る。その娘は、あるはずのない風景を映しだす泉のそばで消えてしまったといわれていた。
一方、エレインとの強引な結婚に踏み切れないでいるステファンは、聖ヨセフ修道会の総長フリードリヒから彼女を尼僧院に預けることを提案される。
説明文の多いお話だなあ……と今回あらためて思いました。理屈っぽいと感じるのはそのせいなのかも。
恋愛ものとしては、ふたりの間にどんな小さな齟齬もなくなるまでやってやろうとでも言いたげな、微にいり細を穿つような突きつめぶりで。それだけに、このまどろっこしくて面倒な性格のマティアスが最後に開き直ったかのごとく巫女に宣言してみせたときには、おお、とひとしきり感動してしまいました。しかし、エレイン……(苦笑)。
ファンタジーとしては、今回は聖なる女神の島としてアヴァロンが登場し、聖槍と聖杯、そして《流星車輪》の関係が判明してきます。聖ヨセフ修道会のルーツもあきらかに。
なぜかエレインに固執して(理由を忘れた)やけっぱちになっている、ドルイドのダイルくん。しつこいですね。
そして、今回の最大の驚きは、マティアスの使い魔の正体でした! いや、このシーンだけでもこの本を読んでよかったと、ちょっとだけ思いましたよ。
この話における時系列はいったいどうなってるんだ……と混乱しつつ、そういうわけで次巻も読むことにいたします。
・Amazonでサーチ>>「魔女の結婚」シリーズ既刊
↑先週の購入本。
梅雨寒のような曇天続きで、頭を上から抑えつけられているような憂鬱な気分です。
頑張って飲んでいる豆乳のおかげか不眠にはならずにすんでますが、頭の回転が悪くなっているのがそこはかとなく感じられる。
しかし、新刊を二冊も買い損ねたのは雨のせいです。出ていることを忘れて、入荷確実な本屋まで脚をのばさなかったという過失はあるけれど、それはやっぱり雨が降っていたからだ。いや、出ていることを忘れたのが一番の過失か。
そういえば、今回は木曜に図書館に行きました。
そこで『SFマガジン』の森奈津子インタビューを読んでいて、「セカイ系」なる言葉を初めて目にする(森奈津子さんもご存じなかったようですが)。
その後、つられて森奈津子の本を読みたい気分を思い出し、図書館で検索をかけたら、エラーが出てデータが出てこない。他の著者や書名だと平気なのに、なぜか森奈津子だけ(しかもその館限定で。全館検索だと平気)。しかしなんとなく職員に申し出るのがはばかられて、そのまま帰ってきてしまったのでした。
茅田砂胡『天使の舞闘会 暁の天使たち6』(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2003.226p.900円+税)[Amazon][bk-1]読了。破天荒なキャラクターの活躍するスペースオペラ。ひとまずの完結編。『女王と海賊 暁の天使たち5』のつづき。
大変楽しく読んだんですが、もはやストーリーをまったく把握していない状態だったり(^_^;)
海賊と女王の復活劇にふりまわされていた面々がようやく話の本筋に復帰して、暴走する黒天使を止めに行くお話……と要約すればいいのか。そういえば、もともとはこちらが主筋だったような気が……。ええと、黒天使はいつの間に《ダイダロス・ワン》にやってきたんでしょう? 全然話を覚えてないということを露呈してますが、それでも楽しいのでまあ、いいか。それにしても。キレた黒天使は怖いですが、ヴェラーレン氏のある意味しぶといまでの頑迷さにも感心させられました(苦笑。
・Amazonでサーチ>>「暁の天使たち」既刊
蒸し暑さに愚痴を口にしはじめている、今日この頃。
下剤を使いはじめて四日目です。
おそらく、便秘はかなり解消されているんじゃないかなーと思います。
体重が前触れなしに1キログラム弱、減ったのはそういう事じゃないかと。
しかし、体脂肪はまったく減っておりません。というより、若干増え気味。というより、ダイエット始めたときより多くなっている。
なんだかショックな今日この頃。
ところで、また懲りずに豆乳に挑戦しています。
この間は、成分調整豆乳を飲んで気持ち悪くなりましたが、成分無調整豆乳の方はまあまあいけそうです。
なんとなく湯葉を飲んでるみたいな気分ですが……。とりあえず、気持ちは悪くなりません。200ミリリットルパックを飲みきった日は、不眠になりませんでした。と、一日だけの経験で結論するのはどうかと思うけど(苦笑。これでイソフラボンが吸収されてくれるといいなあ……と期待しています。
ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)『シールド・リング ヴァイキングの心の砦』(原書房.2003.376p.2300円+税
Rosemary Sutcliff "THE SHIELD RING",1956)[Amazon][bk-1]読了。11世紀末から12世紀にかけてのイングランド湖水地方を舞台に、侵略者ノルマンの軍隊に立ち向かうヴァイキングの入植者達の姿を描く、歴史小説。
サクソン人の農家に生まれた少女フライサは、五歳になる前にノルマンの攻撃を受けて家を焼かれ、家族を失った。羊飼いのグリムに連れられて逃亡生活を過ごした末、彼女がたどりついたのは、湖水地方に住みついたヴァイキング達が築いた、〈盾の輪〉の中の村だった。フライサは族長と並ぶ有力者であり歌人でもあるハイトシンに受け入れられ、その養子である少年ビョルンとともに、ノルマンとの戦いのつづく村で成長していった。
殺伐とした時代のなかで懸命に生きていく少年少女の成長を、さりげない日常と地続きの戦、さまざまな情景を織り交ぜながら描いてゆく物語。文章に無駄な装飾はなく、展開にも冗長なところはいっさいなく、だけど目の前にあらわれる臨場感たっぷりの情景に、ふるえるような思いを味わうこと幾度か。今までに読んできたサトクリフの話と少しだけ雰囲気が違うのは、芸術家肌の少年ビョルンの個性をフライサという少女の視点から描いてみせているところでしょうか。ものすごく淡々と描かれているのに、ふたりの感情的な交流が痛々しいくらい伝わってくる。フライサにあまり癖がないから感情移入がしやすくて、ロマンス小説というにはちょっと骨太ですが、これなら少女むけ恋愛小説の読者にもわりと読めるんじゃないかなあと、ふと思ったり。
〈盾の輪〉を構成するヴァイキング達それぞれの絆にも熱いものを感じましたが、個人的にハイトシンとビョルン、創造するものとして描かれるふたりの親子の描写がとても印象に残りました。同著者の『ケルトの白馬』を思い出した。
終わり方が前向きなのも、後味がよくてよかったです。
・Amazonでサーチ>>「ローズマリ・サトクリフ」
毎晩寝冷えをして、体調は低空飛行です。
寝てるときに暑くて剥ぐから、と薄掛けで寝ると寒くて喉が痛くなってるし、やっぱり寒いからと思って多めにかけると、飛びだして寝ていてやっぱり喉が痛くなっている。
家族は、ゴールデンウィーク前にひいた風邪をこじらせて寝込んでしまいました。
そして私は増えた家事を懸命にこなすあいだ、便秘と下痢が交互にやってくる、いやんな状態に陥っておりました。明け方に腹痛で目覚めて、小一時間もトイレの住人になったときのわびしさときたら(T.T) しかも、ここ一ヶ月でこれで二回目なんですよー。以前は便秘もなかったのにー。
そのことを本日の通院時に医師に伝えたら、胃腸科に紹介状を書いてくれたので、おなじビル内のとなりの病院にそのまま行って、検査を三種類受けました。レントゲンで便秘の状態がわかるなんて、初めて知りましたよ。そういえば病院には長いことお世話になっているけど、胃腸科に行ったのは初めてだ。それから、胆石があるようだとも指摘されました。それまでなんの症状も感じていなかったのに、そういわれるとそのあたりに違和感を感じる気がするのは、どういうわけだ。とりあえず、私の基本症状は便秘らしいです。下剤を処方されてあとは検査の結果待ち。
ところで、ひきつづき忘れ物が多くて困ります。本日は手帳と携帯を持たずに家を出てしまい、バスの中で「あちゃー」と思っていたのに、その後、病院のレントゲン室に腕時計を置き忘れるというボケっぷり。さいわい、すぐに気がついたので受付に申し出て、事なきを得ましたが。このごろ出かけたときには、どこかで必ずなにかをうっかり忘れてくるんだよなー。自分が心配になってきます。
- ツィマーマン、ボストン交響楽団『ラフマニノフ ピアノ協奏曲第一番・第二番』[Amazon]
↑『のだめ』で千秋先輩がミルヒーと競演した曲(は二番)。なにを選べばよいのか皆目分からず、もっともコンパクトそうなものを選択。クラシックは「ニーベルングの指輪」を大学の時聴いて以来です(^_^;)
七尾あきら『ハートレス・ハート』(角川スニーカー文庫.2002.282p.533円+税)[Amazon][bk-1]読了。アクション満載の伝奇ファンタジー。
何者かに追われる少女が命からがら逃げ込んだのは、墓地だった。そこで出会った白銀の髪をした少年は少女を追いかけてきた化け物を食らった後、彼女を生き霊と見抜き、このまま肉体から抜け出てすごせばそのうち死ぬだろうと告げる。しかし、少女は記憶を失っており、自分が何者なのかも思い出せない。少年は――その正体は暗黒神スサノオノミコトであったが――少女を自分の餓えを満たす絶好の獲物と認識する。スサノオは少女の活きをよくするためにその身体の在処を探し始める。
通院に持参して読んだ本。
超常現象を含むアクション描写の冴えが素晴らしい。この著者の本はいつも描写の丹念さと密度の濃さにうならされます。視覚的にだけでなく、感覚的に質量や速度を実感できる描写というのでしょうか。ときどき、あまりの力の入りようにもうすこし緩急をつけてくれるともっといいのにと思ったりもするのですが。とにかく、目に見える、肌で感じる描写はすごいです。
ストーリーもコンパクトにまとまっておりますが、私は気弱でもってまわった性格のヒロインにまったく感情移入ができなかったので、途中までかなり流し読んでしまいました。スサノオがいわば人間性に目覚めるのがこの話のテーマかと思いますが、たぶんヒロインはそのテーマに添ってつくられた人格なのでしょうねー。ヒロインの性格にもっと深みがあると、説得力が増したのではと思います。そのスサノオの転換期のシーンにはかなりぐぐっと来ましたので、よけいに流し読んでしまった前半部分がもったいない気が……。
渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星(ほし)で 2』(メディアワークス電撃文庫.2004.313p.570円+税)[Amazon][bk-1]読了。SFファンタジーシリーズの二冊目。『空ノ鐘の響く惑星(ほし)で』のつづき。
『御柱(ピラー)』と呼ばれる、宙に浮いた巨大な柱がある世界。世の中では御柱を祀る神殿が大きな権力を持っていた。
フォルナム神殿でおこなわれた祭儀の最中、御柱から突然あらわれた来訪者(ビジター)たちにより、アルセイフ国王と皇太子が惨殺された。アルセイフ国内は第二王子レージク派と皇太子の息子派のふたつの勢力に別れ、内乱の危機を迎える。それまでのけ者とされてきた第四王子フェリオにも、両派からの誘いがかかるようになるが、フェリオは純粋にアルセイフのために尽力するバランス感覚に長けた外務卿ラシアンと親交を結び、事の収拾にむけて努力することを誓う。一方、ウィータ神殿の司教であるカシナートはおのれの目的のために利用すべく、逃亡した来訪者たちの後を追いかけていた。
前巻の衝撃のラストを受けて、来訪者達の実態に迫るのかと思いきや、一転して陰謀渦巻く激動のアルセイフ王宮編といったおもむきの第二巻。
二派閥の権力闘争に絡めた第二王子レージクの悪意が炸裂。しかし、これだけ複雑な人間関係を背景にして、さらに複雑な陰謀劇を展開させてるのに、こんなにコンパクトに仕上がっているのがすごい。アルセイフ国内だけではなくて国外の動きも連動してからんでて、さらに御柱の来訪者関係の動向も忘れずに差しはさまれて。それでも緊張感は失われず、さらに緊迫の度を深めていくストーリーテリングに脱帽です。
主役のフェリオ君はこれといって個性的とは言えないヒーローですが、素直で懐深く、冷静な観察眼もあり、将来が楽しみといったところ。しかし、自分のことに関しては鈍い。本文にもそう書いてありますが、ホントに鈍い。やはりかれはリセリナのことしか考えてないのだろうか。ウルクちゃんの利発さの影に隠れた初々しさ愛らしさが、ほんとうにいとおしげに描かれているのでときどき可哀想になります。
アルセイフの内乱はどう展開してゆくのか。来訪者達はこの土地にどう関わってくるのか。御柱とはなんなのか。そして、リセリナの正体は。考えてみると前巻の疑問はほとんど持ち越しのまま。つづきを読みたい。
・Amazonでサーチ>>『空ノ鐘の響く惑星で』既刊