2004年4月のdiary
■2004.4.4 初白星/『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
■2004.4.8 大遅刻+四連勝!?/『ジハード 1 猛き十字のアッカ』
■2004.4.12 美容院で涙目/『日曜日には探偵を 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』
■2004.4.14 診察三時間待ち/『伯爵と妖精 あいつは優雅な大悪党』
■2004.4.19 /『空ノ鐘の響く惑星(ほし)で』
■2004.4.22 PMSなのか持病なのか/『キーリ 3 惑星へ往く囚人達』
■2004.4.28 記憶力の減退を実感するとき/『「中つ国」歴史地図』
■2004.4.30 出先でも忘却/
図書館行き。
名残を惜しみつつ『「中つ国」歴史地図』を返却して参りました。
『SFマガジン』のジェフリー・ユージェニデス『ミドルセックス』[Amazon][bk-1]についての文を読み、興味をひかれたものの、書架にはナシ。予約もけっこう入っている模様。おなじ作家の別の本も貸し出し中ということでひとまず保留。
『指輪物語』の再読で「旅の仲間 下1」まで読み終えたのでつづきを購入(感想をぜんぜん書いてませんが「はてなダイアリー」にてメモをつけてます。ほんとうに単なる覚え書きで、感想ともいえないシロモノです)。
児童書コーナーでドラゴンの大きな挿画の入った表紙の本に目を惹かれるが、題名を覚えていられず。うーん、なんだったか……『エラゴン』(合っていた!)[Amazon][bk-1]。ものすごく分厚いわりに『ライラエル』などと比べれば幾分お安い気もするが、やはり図書館待ちします。
と、フラフラした後、ここ数日恋いこがれていた「コーヒーと焼きたてパンの昼食」をとるべく、駅前のパン屋へ。
サンドイッチセットをオーダー。久しぶりにインスタントではないコーヒーを飲んで、大満足状態で店を出たのですが、スーパーのエレベーターに乗ったときに内部据え付けの鏡を見て、愕然。パン屋のテーブル下の物置(窓に向かって座るカウンター席にかけてた)に日よけ帽子を置き忘れてきた! いったん五階まであがった後でとって返し、お昼時の大混雑するパン屋に周囲に迷惑かけながら入り込み、無事帽子発見。
なにやってんだ、私は…。
疲れて帰宅して、賀東招二『戦うボーイ・ミーツ・ガール』(また借りた)を再読したり。そうえいば最新刊『音程は哀しく、射程は遠く』[Amazon][bk-1]がY書店の文庫売り上げベスト2になってたのを見ました。図書館に入るの待ってます(笑。
また、やってしまいました。
新刊だと思ってなんの疑問も覚えずに借りてきた、佐藤亜紀『鏡の影』[Amazon][bk-1]を、三分の一くらい読んだところでいやーな予感。「なんか、この話読んだことあるかもしれない……」。
おそるおそる読了本データベースを検索すると、やっぱり…。1993年に一度読んでましたよ、よよよ。なんだって覚えていないんでしょう。佐藤亜紀は寡作な作家で、競馬シリーズみたいな判別するのに苦労するような似たタイトルを違う本につけたりもしていないのに。
あー、がっくり。自分にがっくりです。三分の一も読まないと気がつけない、というのもなんだよと思うけど、そのうえに話の行くさきを思い出せないのにまたがっかり。
言い訳の余地があるとすれば、私が読んだ以前の版は絶版になってて、今回借りたのは別の出版社からめでたく新たに再刊行されたものでした。奥付には以前の版のことは何一つ書かれていず、装丁もおそらく違います。しかし、絶版になった経緯を私はぼんやりとですが知ってはいたので、そのうえでなお、新刊と間違えたことについてはもう弁解のしようもなかったり。
念のために書いておきますが、この本はおもしろいです。以前に読んだときもおもしろかったという記憶だけは残っています(なのにどうして忘れる)。でも、すっかり気分が萎えてしまったので貸出期間内には読みきれないかもしれない。がっかりすると気力が落ちるのです。
カレン・ウィン・フォンスタッド(琴屋草訳)『「中つ国」歴史地図』(評論社.2002.226p.3800円+税)[Amazon][bk-1]。
ウィスコンシン大学で教鞭を執っていた著名なアメリカ人地図作家がトールキンの創造した世界を詳細に読み解いて、地図化したもの。ものすごい労作ですが、それもこれもトールキンによる詳細な設定・描写があったればこそ。いまさらですが、そのものすごい創造意欲には頭が下がります。
現在『指輪物語』の再読をしている途中とは以前にも書きましたが、この地図のおかげで物語がさらに立体的に把握できるようになりました。勢力範囲を書いたものから地形図や気候図、フロド達の旅程を日付ごとに書き込んだ地図なんかもあって、まさに至れり尽くせりです。
再読で原作の雰囲気がよみがえり、地図が頭に叩き込まれてきたことにより、映画を観る眼もすこし変わりました。旅程自体は原作と映画とで違うところもあるんだけど、映画では一見場面転換のようにしか見えないシーンの背景まできちんと地形にあった場所が選ばれていたんだなーということに気づきまして。うわー、細かいよーと感心。それにしても、ニュージーランドってほんとになんて中つ国にそっくりなんだろう。
ここ一週間ほど、イライラしたり、集中力が散漫だったり、眠れなかったり、あちこち痛かったりして、イソフラボンを補充しようとして豆乳に挑戦して挫折したり、自棄になってコーヒーをがぶ飲みして余計に眠れなくなったり、妹一家がハマってる『特捜戦隊デカレンジャー』について調べたり、横浜×読売戦に過剰に感情移入して、叫んだりわめいたり悲鳴をあげたりバンザイしたりしてました。
年末から二月くらいまでは異様にチョコレートケーキが食べたかったのだけど、今は焼きたてパンとコーヒーの昼食が食べたくて仕方ないのはなぜ?
そしてやっぱり、プレドニゾロン減らしは止めようかな〜と思案中。関節の腫れがひどくなってきたし。腫れてるせいで靴がきちんと履けなくなってきたし。
それにしても、暑い。まだ四月なのに連日最高気温摂氏二十五度以上というのは、つらいです。
もしかすると不調の一番の原因は、寝冷えによる風邪なのかもしれない。現に喉は痛い。
壁井ユカコ『キーリ 3 惑星へ往く囚人達』(メディアワークス電撃文庫.2003.299p.550円+税)[Amazon][bk-1]読了。ノスタルジックな雰囲気の遠未来SFファンタジーシリーズの三冊目。『キーリ 2 砂の上の白い航跡』のつづき。
大戦争の後に荒廃した植民惑星で、霊の見える少女キーリは〈不死人〉ハーヴェイとラジオに宿った幽霊・兵長と旅をしていた。
炭坑の街にしばし腰を落ち着けた三人。親切な食堂の経営者と知り合って、キーリは初めてのアルバイトを始めたが、ハーヴェイはまるで出歩かず、かと思うと理由も説明せずに外へ出て遅くなったり、ふらりと戻ってきたりする。十五才の誕生日、キーリはハーヴェイに今夜は家にいるという約束を取りつけるが、アルバイトから戻ってみると姿は見えないのだった。
幽霊という過去と、生きている人間の現在とが重なって、未来へとつづいてゆく物語。
今回はキーリの未来と自分の未来が等質のものではないことに悩むハーヴェイと、あくまでも現在を大切にしようとするキーリの心が行き違うさまが、大昔に墜落した宇宙船が墓標のようにたっている炭坑の街を舞台にえがかれてます。
いままでのような幽霊譚のイメージが薄いのは、キーリに霊障による生命の危険がなかったせいかな。冒頭の一場面からつながっている宇宙船の乗組員の幽霊がその存在で惑星の歴史を語る場面は、まさにSFだとおもいました。物語世界の背景が長い時の経過としてつたわってとても詩的で、しみじみとするシーン。哀切という感情に広がりを感じるというか、世界は広くて、時間は滔々と流れていくけれど、人々もそれぞれに生きつづけてきたのだなという感じ。なんだか意味不明ですが(汗。
ハーヴェイの昔からの知り合いである女性の〈不死人〉ベアトリクスが登場してキーリの心を不安にさせますが、自分では語ろうとしないハーヴェイの苦悩の理由を代弁したり、いろいろと大活躍でした。彼女がベッカに似ている理由を知りたい。
キーリがアルバイトをする〈バズ&スーズィーズ・カフェ〉の主人、バズ氏がいい味だしてます。
・Amazonでサーチ>>『キーリ』既刊
渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星(ほし)で』(メディアワークス電撃文庫.2003.301p.550円+税)[Amazon][bk-1]読了。『陰陽ノ京』の作者の、SFファンタジーシリーズ、開幕編。
『御柱(ピラー)』と呼ばれる、宙に浮いた巨大な柱がある世界。世の中では御柱を祀る神殿が大きな権力を持っていた。
アルセイフ王国の後ろ盾のない第四王子として生を受けたフェリオは、幼いころから王族という身分をみずからを縛る枷のように感じていた。かれの位置は王位継承権から遠く、下級貴族出身だった亡き母親が正妃たちに疎まれていたため、王宮には居場所がなかった。王宮騎士団のウィスタル卿が目をかけてくれた以外、フェリオに友と呼べる存在は親の都合で王宮に滞在していた神官一族の少年、ウルクひとりきりだった。別れの時を迎えた少年は、フェリオに輝石(セレナイト)のペンダントを贈り、いつか神殿の統率者である神師になってみせると誓った。
長じて、自国領内にあって自治権を持つフォルナム神殿に親善特使として滞在していたフェリオは、世話係としてつけられた少年神官エリオットに御柱についての噂話を聞かされた。深夜、御柱に女の姿が浮き上がって見えるというのだ。事実を確かめに行ったフェリオとエリオットの目の前で、果たして御柱からは見たことのない服を身にまとった若い女――少女の姿が浮かび上がった。フェリオの胸の輝石に反応して、少女の閉じたまぶたがひらかれる。
世界設定の仕掛けと、登場人物の人間関係と性格、心理がバランスよくストーリーをひっぱる、娯楽作品。
平安ものに比べると無機質に感じるところもありますが、用語や言葉の選び方などからは科学の裏打ちのあるファンタジー世界というふうにうかがえるので、話としてはこれでよいのだと思います。御柱を介して異界からやってくる来訪者(ビジター)の言い伝えが、マレビト伝説のようなものかとほのぼのしていたら、あとからやってきた『ターミネーター』を思わせる派手で殺伐としたアクションシーンにビックリ仰天してしまいました。このシーンでの武器の描写からもふたつの世界の関係がファンタジー的な別世界ではないことがわかる……と思う。ちりばめられた要素からどういうパターンなのかを推理してゆく楽しさがありますね。
キャラクターも老若男女バランスよく配置されている感じ。もっとも、フェリオのまわりは若い女性ばかりという気がしないでもないですが。いまふと思いついたんですが、王宮でフェリオのおかれた状況がなんとなく平安朝というか、源氏の君っぽいような……たぶん気のせいですね。
とにかく、つづきが楽しみです。
岩崎美奈子さんの挿画も好き。(ウィスタル卿はもうすこし老けていてもよろしいかと思いますが・笑)
・Amazonでサーチ>>『空ノ鐘の響く惑星で』既刊
火曜日に近所の眼科で診察待ち三時間を食らいました。
もうすでに一日経過した後なのに、いまだに疲れを引きずっているので思わず書いてしまいます。
近所の眼科はとある診療所の一診療科なのですが、ここの医者は院長をのぞいてほぼ全員、近所の大学病院からの派遣。週に三回ある午後からの診療の、三回とも担当者が異なっていて、違う曜日に行くと再診でも発症からの経過を一々説明しなくちゃならない。すごく面倒だが、歩いて五分の所にある利便性の魅力に勝てず、ドライアイくらいなら大したことないし、と去年から通い続けているのですが……説明くりかえし以上に嫌なのが、医師が診療時間になっても到着しないことが頻々と発生すること。遅れてもその理由を説明しないこと。情報公開がこれほど叫ばれているのに、三時間待ちの間、一回も「医師の到着が遅れている」というお知らせがないのはどういうこった。尋ねても「もう少しお待ちください」としか言わないし。
しかも、新年度から派遣される医師の顔ぶれが変わったせいか、医師が到着してもいっこうに診察待ちリストが短くなっていかないのだった。これがまた辛い。待合室が薄暗いので本を読んで時間を潰すにしても目が疲れるし。そもそも目が疲れるから診察を受けに行ってるってのに。薬をもらう必要がなければ途中で帰ろうかと思った。ものすごく不毛に時間を費やしてしまったと、思い出すたびに腹が立つのだった。きい。
谷瑞恵『伯爵と妖精 あいつは優雅な大悪党』(集英社コバルト文庫.2004.278p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。ヴィクトリア朝くらいのイングランドを舞台に、妖精博士の少女と偽伯爵の出会いを青騎士卿の伝説とともにえがくロマンティックファンタジー。
リディア・カールトンは十七才。ロンドン大学の教授を務める博物学者の父がいるが、ひとりで、いや猫の姿をした妖精ニコといっしょに田舎町に暮らしている。妖精博士(フェアリードクター)だった亡き母親の血を受け継いだリディアには妖精の姿を見、会話をすることができるのだ。母親に誇りを持ち、その思い出を大切にするために、リディアも妖精博士として看板を掲げている。しかし、周囲はそんな彼女を変わり者として遠ざけるばかりだった。ある日、父親と復活祭を過ごすことになり、ロンドン行きの船に乗るべく港へとやってきたリディアに、ハスクリーという男が父親の助手だと名乗り出る。案内された船室で、リディアはクローゼットから出てきた男に突然羽交い締めにされる。男はハクスリーを悪党だと断じ、このままだとリディアもひどい目に遭わされる、出航までに逃げだす手助けをしてくれと頼んできた。
三時間待っている間、しょぼしょぼの目で読まれた不幸な本。
キザで美形の偽伯爵にフェアリードクターとして雇われた少女が、反発しながらも次第に偽伯爵に惹かれてゆくというロマンスにはありがちなお話。それをイングランドやスコットランドに土着の妖精伝説にからめて、伝説にまつわる謎解きと異界との交流がロマンスと同時に語られる。この作者の持ち味であるさりげない幻想描写と少々理屈っぽい心理描写がうまくかみあって、すっきりとまとまったお話だったと思います。派手なキャラクターを配したわりに、インパクトが薄いのがちょっと惜しい感じ。鮮やかというより、淡々という印象がつよいのはいつものことなのですが。
猫の姿をした妖精ニコ、ヒロインのリディア、彼女にからかいぎみに愛を囁く偽伯爵のエドガー、そしてエドガーを慕うアーミン。
読んでいて、この人物配置は『夜想』[Amazon][bk-1]のものに似ているなと感じました。私はやっぱり『夜想』のほうが好きです。仄暗い森の雰囲気の方が作者の語り方には合っている気がする。それと、シリーズものより単発の方が。
個人的にはアーミンの弟、殺戮の精霊に見込まれているというレイヴンがお気に入り。なんか最近ものすごく嗜好がはっきりとしている気が(苦笑。
二ヶ月ぶりに美容院へ行って、髪をカットしてもらってきました。
支度段階で三十分以上待たされなければ気分もよかったのですが……頸椎カラーを外した頸が痛くて泣きたかったです。美容師さんが「お待たせしました」とやってきたときには、「切ってくれれば髪型なんてどうでもいいから」状態になってました。今度から待たされるくらいなら支度してくれなくていいです、ときっぱり言おう。しくしく。
橘香いくの『日曜日には探偵を 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』(集英社コバルト文庫.2004.252p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ロマンティックミステリコメディー(?)、シリーズ十八冊目は番外短編集。
空き巣上がりの探偵ボナバンが風邪をひいた。熱のうわごとに借金取りへの言い訳をくり返すボナバンを助けるために、見舞いにやってきたコラリーは探偵事務所の留守居を買ってでる。客を呼び込むために新聞に広告をうち、やる気満々のコラリーは、祖父からようすを見てくるように頼まれてきたフェリックスに、絶対に口出しするなと命令する。そしてやってきた客は……。迷探偵コラリーの活躍する短編、三編収録。
かるい雰囲気のミステリコメディー。あとがきによると『緋色の檻』と『盗まれた蜜月』の間におきた出来事らしいです。一話完結三十分アニメのストーリーみたいでした。すいすいと読めましたが、短編なので読み応えもかなり薄かった。番外編ならではの意外性が欲しかったかな、と思います。フェリックスくんの変人ぶりは楽しかった。
・Amazonでサーチ>>「有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険」既刊
いつもより予約時間が早かったのに、久しぶりに化粧をしたせいで家を出るのが大幅に遅れ、しかもバスの中で腹痛を起こしたりして、病院にたどりついたときは四十分も遅刻していました。おかげで診察は予約時間より一時間半も遅くなり、当然、昼食をとる暇もなかったので、ものすごーく哀しい気分になりました。腹が減った、腹が減ったと心の中でくり返しつつ、会計を待つ時間。ううう、わびしいのう。
教訓。化粧をするなら、いままでより二十分ははやく起きなければならない。
冬の間サボっていたのでまた要領が悪くなっている。紫外線予防にしか化粧をしないヒトなので、化粧をする習慣が身につきません。このあいだ、うっかり素っぴんで横浜スタジアムのデーゲームに行き、たいそう後悔して帰宅したのが記憶に新しい。塗るのはけっこう楽しいんだけど、落とす手間が面倒なのだ。>やはりものぐさ?
- J.R.R.トールキン『指輪物語 文庫新版3』[Amazon][bk-1]
- 橘香いくの『日曜日には探偵を 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』[Amazon][bk-1]
- 萩尾望都『バルバラ異界 2』[Amazon][bk-1]
- 羽海野チカ『ハチミツとクローバー 2』[Amazon][bk-1]
以上購入。
『指輪』はようやく三冊目。自分勝手に縛りをもうけて読んでるので、読み終えるタイミングまではかっていたりする(苦笑。
「コラリーとフェリックス」は番外短編集。お勉強のために。
『ハチミツとクローバー』は、おすすめによりとりあえず三巻までは読んでみることにしました。
ところで、嘘みたいですが、横浜ベイスターズが四連勝。
毎晩半信半疑で試合を眺めていた私、いまだに夢を見ているのではないかと疑ってしまうのですが……。だって去年ほとんど連勝できなかったチームですよ。連勝ってのは、二回つづけて勝てばそれで一応連勝なんですよ。それもなかなかできなかったくせに、いきなり四つもつづけて勝つなんて……嬉しさ通り越して、かえって不安です。よっぽど阪神に舐められてたってことですかねえ。
定金伸治『ジハード 1 猛き十字のアッカ』(集英社文庫.2003.368p.590円+税)[Amazon][bk-1]読了。十二世紀後半、十字軍の時代を舞台に描かれる歴史キャラクター小説。
キプロスにおいて幽閉生活を送っていた西欧人の若者ヴァレリーは、信仰の名の下にイスラム教徒を踏みにじる十字軍の行いを憂慮していた。唯一十字軍と闘うために立ち上がったムスリムの指導者サラーフ=アッディーン(サラディン)は、公正で慈悲深く、懐の広い人物だと聞く。ヴァレリーは十字軍のこれ以上の蛮行を阻止するため、キプロスをぬけだしてサラディンの元へと向かう。
以前、ジャンプ・J・ブックス(?)にて刊行されていたシリーズを、大幅改稿して文庫化したもの。
実は、私、このJ・ブックス版の第一巻を読んだことあります。そのときは新しいレーベルで、題材が十字軍で、しかも、サラーフ・アッディーンが英雄として描かれる、というのに惹かれて手にとったことを覚えています。読んでいるうちになんともいえない違和感を払拭できず、一巻で挫折したのですが。
この度、「文庫化に当たって一般向けに大幅改稿」という文句に興味を持って、ふたたび手を出してみることにしました。
最初に読んだときよりも、違和感は減ってました。歳をとってこだわりが少なくなり、さまざまな形の小説に対する免疫が、かなり高まってきたのかなあと思われます。割り切るところは割り切って読めば、けっこう面白い話だったんだと思いました。ただ、これを重厚な歴史小説だと思って読んだら、やっぱり物足りないのではないかと思いますが。
ま、そんな些末なことは放っておいて、キャラクターの活躍を楽しみましょうというストーリーです。
ところで、以前読んだ話は、私やっぱり全部忘れてました。新たな登場人物って、誰ですか(苦笑。
巻末にある乙一の連載解説が興味深いです。
2004年のシーズン、横浜ベイスターズにようやく勝利の日がやってきました。
昨日、はやくも二戦目にして必勝パターンがくずれ、今季もまたどんぞこシーズンが続くのだろうかとかなり悲観的になったりしましたが、ひとつ勝ってくれたので気持ちが楽になりました。このあとは同一カード三連敗とか六連敗とかしないで、そこそこ勝ったり負けたりしてくれればそれでいいです。私は多くを望みません。
あっ、でも次は阪神戦か……。はやくも同一カード三タテの危機が(苦笑。
J.K.ローリング(松岡佑子訳)『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(静山社.2000.510p.1900円+税
J.K.Rowling "HARRY POTTER AND THE CHAMBER OF SECRETS",1998)[Amazon][bk-1]読了。『ハリー・ポッターと賢者の石』のつづき。
去年の九月に弟から強奪してきた本をようやく読了。一巻のときほど身構えずに読んだのはいいけれど、途中、いろいろあって中断したため、話がよくわからないところが発生してしまいました。しかし、わざわざ読み返す気力もないので、そのまま前進。
読み終えたあとで感じるのは、きっちりと構成されているお話だなあということ。私が把握しうる限りでは、どこにも伏線の破綻がない。だからでしょうか、この話、私にとってはファンタジーというよりミステリーの感触が濃厚なんですよね。すべてがきっちりと計算されていて、おさまるべきところにおさまって。そのきっちり感が、登場人物の感情的なところにまで及んでいる気がする。生々しさが欠けているというか、すべてが過去の追体験に終わっていて、新たな世界が訪れない感じなのです。それがちょっと残念。
ともあれ、お話としては楽しく読めました。ハリーにとってのいい人はやっぱりいい人で、イヤなやつはやっぱりイヤなやつのままで、話が進んでいくのがけっこう新鮮。敵役にもいろいろと事情があって、そのうち主人公と和解する要素がちらほらちりばめられるのが昨今の話の定石なのに、そんな気配がまるでないというのが。いいひと組のロンの家族は、ほんとうにいいひとたちで楽しいですが、やなヤツ組のダーズリー家、マルフォイ家の人たちもどんどんエスカレートしている気が。
個人的に気になったのは屋敷しもべ妖精のドビー。健気な猪突猛進タイプ? かれが出てくるたびにハラハラしました。ものすごく切羽詰まってて苦しそうなもので。かれはなにゆえそこまでしてハリーを助けたいと思うのか。それは今後へと繰り延べられた謎なのでしょうか。
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四月です。新年度です。ニュースを見ているといろいろと変化があるようです。商品の総額表示化は、あんまり歓迎できないが。
私のまわりの一番の変化。姪が小学生になります。月日の経つのは速いものです。
高野和(たかの・わたる)『七姫物語』(メディアワークス電撃文庫.2003.285p.550円+税)[Amazon][bk-1]読了。巫女姫にまつりあげられた孤児の少女の成長を、後継者定まらぬ国に起きる勢力争いのなかに描く、異世界ファンタジー。第九回電撃ゲーム小説大賞〈金賞〉受賞作。
ある大陸の片隅にある、東和という名の国。直系の絶えた先王の跡継ぎをめぐる問題は、主要都市がそれぞれに隠し子とされる姫君を擁立し、正統を名乗る争いに発展していた。姫の数は全部で七人。カセン市の推す七宮の姫君は、十二才。だが彼女は親を失い施設で暮らしていた孤児だった。九つのときにテン・フオウとトエル・タウというふたりの若い男によって選び出され、空澄という名を与えられるまでは。ふたりは武人と軍師として空澄姫を支える重臣となった。「三人で、天下を取りに行こう」。外の世界を知りたい。そう願っていたカラは、不思議な二人連れに魅せられて、ついていくことにしたのだった。
少女の視点で描きだされる、あたたかな人の存在感と風薫る世界がやさしい物語。
なんとなく酒見賢一『後宮小説』を思い出させられたのですが、なぜだろう。殺伐とした政治や社会とむかいあう、少女のしなやかだけど芯の強い存在感がそうさせるのかな。全体的におだやかな印象の、物事が淡々と繋がっていくような文章ですが、一本筋が通っているという感じを受けます。
身代わりを超えて、架空の姫を担ぎ出して天下をとろうという、とんでもない山師の若者達(カラにはおじさんたちでも、私には若者だ;)はじめ、登場人物がそれぞれとても魅力的。特に私のお気に入りは、カラの身辺警護をうけもったヒカゲ君です。プロフェッショナルで無口で無愛想で、あるところでかなり子供っぽい。というか、本当に子供なんですが(笑。
ついに戦端がひらかれて、自分の運命と正面から向かいあうこととなったカラ。敵であるにもかかわらず、どうしようもなく人を惹きつける一宮との関係。敗者を待ち受ける苛酷な運命。つづきはどうなっていくのやら。とりあえず、予約。
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