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2001年5月後半のdiary

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2001.5.16 /『魔女の結婚』
2001.5.17 お知らせ、その他
2001.5.18 /『星界からの報告』
2001.5.19 /『ぼくはこうして大人になる』
2001.5.20 読んだことを忘れる/『サトクリフ・オリジナル2 アーサー王と聖杯の物語』
2001.5.21 ふんだりけったり
2001.5.22 仕事中日記
2001.5.23 雨降りに外出
2001.5.24 個人書店/『MAZE[めいず]』
2001.5.25 Winパソコンを拝借/『庭に孔雀、裏には死体』
2001.5.26 はやくも泣き言/
2001.5.27 /『ダイスは5』
2001.5.28 Osaka、18ポイント
2001.5.29 /『月の石』
2001.5.30 冷蔵庫
2001.5.31 CD-Rを焼く/『陰陽ノ京』
 2001.5.31(木)

 CD-Rを焼く作業をしました。iTunesのサンプルファイルを試しに。
 前回はiTunesから直接しようとして、音楽CDをつくってしまい、700MBに入りきらなくなって失敗だったので、今回は単純に「ドラッグ&ドロップ」でコピーしました。
 意外に簡単だし、すぐ終わるじゃん、と思ったのもつかの間、取り出そうとしたら「CDを焼きますか?(だったかどうだか、定かではないが)」と問われ、「はい」をクリックしたら、それからが長かった。二十分くらいかかりましたねー。そして書き込み不能のCD-ROMができあがったわけです。もしかして、あのとき「キャンセル」とかを選んでいたら、追記ができるCD-Rのままだったのかなあ。

 渡瀬草一郎陰陽ノ京(メディアワークス電撃文庫.2001.356p.610円+税)読了。魑魅魍魎のはびこる平安朝を舞台に陰陽師たちの戦いを描く。

 慶滋保胤(よししげやすたね)は、陰陽師の家柄賀茂家の次男でありながら家業とは別の文章の道を選んだ。現在は一文章生の身の上である。しかし、生まれ育った環境から抜けきることはできず、ときおり鬼を封じに出かけることもある。
 その保胤に師である陰陽師安倍晴明から依頼がきた。都に現れた外法師を調べてくれというのだ。彼の名は弓削鷹晃。播磨の陰陽院から放逐されたものだという。

 第七回電撃ゲーム小説大賞〈金賞〉受賞作、『平安京八卦』を改題したもの。
 おもしろかったですー。糸目の保胤をはじめ、むさい男たちも、時継ちゃんみたいな気の強い美少女も、人間じゃないものたちも、きちんと愛情を持って描かれていて、読んでいてたのしい。ストーリーもだれることなく、仕掛けもいろいろあり、最後までひといきに読めました。
 保胤の正体にもちょっとびっくりさせられました。
 蘊蓄もわずらわしくない程度に、物語世界の深みを増す方向で、如才なく仕込んでありますし。ただ、お茶ってのは、このころにはもう客が来ると出すものだったのかなあというちょっとした疑問は残りましたが。
 あと、美形の誉れ高い弓削鷹晃が、お姫様役しか演じていないのがちょっと物足りないですねー。
 しかし、新人の一作目にしてはホントに完成度高いです。おすすめ。

 というわけで、霜月書房の「最近のおすすめ」で購入できるようにしておきました。

冷蔵庫 2001.5.30(水)

 映画を観に出かけました。
 外はすこし蒸し暑いかな、くらいの気候で、とりたてて「暑くて死ぬ」ようなものではなかったと思います。
 一回目の上映だった館内は、すこし湿気ている感じはしましたが、ムシムシするようなこともなかった。
 なのに、途中からガンガン効いてきた。それは冷房です。
 はじめのうちは「どうして今日はこんなにからだがきしんで痛いのだろう? やはり湿気のせいだろうか」などとぼんやり考えていたのですが、さすがに一時間もしたら気づきます。
 効きすぎです。
 涼しいとおりこして「寒い」。
 冷房対策に薄手のジャケットを着ていたのですが、そんなものでは追いつかないほど寒かった。映画の途中で帰ってしまおうかと真剣に悩みました。温かい飲み物を飲もうかと思ってみたが、こんなに冷えるのではトイレに行きたくなりはしないかと考えたりして、腕をさすり、足を組みかえ、姿勢を変えしつつ、欲とふたり連れで最後まで乗り切りましたが。
 終わったところでクレジットも省みず、一目散に外へと逃げ出しました。出てきた人たち、みんなからだをさすっていた。寒かったのは私だけじゃなかった。

 外気に当たってひとここちつきましたが、くずれた体調は元に戻らず、火照る関節をなだめながら用事を済ませてすぐに帰宅しました。
 どうやら風邪もひいてしまった模様です。
 暑くなると寒いときよりも体調を維持するのに苦労しますが、まだ梅雨にもなっていないのに冷房にやられるなんて、この夏がとても思いやられます。

 ところで、観たのは『ハンニバル』でした。
 映画の内容も心温まるというわけにはいかず、観るまえに食べたおにぎりがさいごまで消化されなかった。寒さに震えながら観る『ハンニバル』…。うなされそう。

を購入。

 2001.5.29(火)

 トールモー・ハウゲン(細井直子訳)月の石(WAVE出版.1999.327p.1600円+税 TORMOD HAUGEN "TSARENS JUVELER",1992)読了。『夜の鳥』などが紹介されているノルウェー作家のファンタジー。

 モンゴルの高地にある半月宮。ここでは月はみずから輝くもの、太陽を輝かせるもの、人々の夢をはぐくむものとして敬われていた。修行中の巫女エリアムが月鏡に月が映らなくなったことを発見する。彼女の相談を受けた大巫女と大祭司は、月の力がよわまっている証だと結論づけた。
 ノルウェーに住む十二歳のニコライは、古美術商を営む父親と母親との間で、傍目には豊かで幸せな生活を送っているように見えた。しかし、最近両親は自分のことに精一杯で息子のことは滅多に思い出さないようだ。
 たったひとりで家にいるニコライの目の前には、ときどき不思議な幻影がたちあらわれる。ニコライは恐怖と孤独でいっぱいになるが、相談できるひとはだれもいないのだ。
 そのころ、ニコライの曾祖母、ロシア人でモンゴルの血を受け継いでいるフロリンダは、忘れたと思っていた少女時代の出来事を思い出すようになっていた。

 「ロシア皇帝の宝石」と呼ばれる「月の石」の伝説が壮大なのと、モンゴルの高地にあるという半月宮での出来事が幻想的。孤独な少年ニコライの周囲で繰り広げられる不可思議なできごととどう絡んでいくのか、読んでいる途中はとても楽しかったです。
 曾祖母の忘れかけていた記憶や、行方不明の祖母のことなど、謎だらけの展開がかなりツボ。
 でも、読み終えたときには、拍子抜けしました。
 壮大なスケールの話が、いつのまにか身内の事件になってしまったんですよねー。
 たしかに、話としてまとまってはいるのですが、半月宮の巫女エリアル側の視点がもうすこし大きな役割を果たしてくれるのではと期待していたので、ちょっとがっかり。

 ともあれ、おもしろかったことには間違いないです。
 曾祖母の病気に対するおそれを表している非人間的な描写がなければ、もっとよかったのに。

Osaka、18ポイント 2001.5.28(月)

 原因不明の不調から、システム新規インストールにいたって、そのあとあせったお話。

 マイパソコンの修理のために、一時的にネット接続を仕事用PowerMac7600/120(古い)、MacOS8.1(古い)でネット接続を余儀なくされていたワタクシ。
 仕事用Macは不調に陥ると非常に困るので、ずっとおなじ環境を維持しつづけていたのですが、おなじ使用状況も維持するべきだったのでしょうか。

 朝、立ち上げたときからおかしかったのは、ウィルス検知ソフトを外す(!)となんとかまともに動きました。しかしその後、プリントし始めたときに発生した不可解なエラー。Osakaフォントを18ポイントに設定してある箇所だけ、印字されない。なにゆえ?

 別のソフトのおなじ設定でも印字されないことを確かめ、再起動、デスクトップファイルの再構築、ディスクメンテナンスソフトの検査、PRAMクリアと、いろいろやった末、フォントが壊れているのかとOSのCD-ROMからフォントだけ入れ替えてみましたが、やはりだめ。

 ため息つきつつ、システムファイルの新規インストールに踏み切りました。これはハードディスクを初期化せずに、いまのシステムとは別にあらたなシステムフォルダをつくってシステムをインストールするというもの。上書きインストールとも違って、いままでのシステムは「古いシステムフォルダ」と名を変えてそのまま残っているので、機能拡張やら初期設定ファイルやらをあらたにインストールや設定しなおす手間が省ける、「少しは」ラクかなーという感じの手段です。

 マイパソコンのシステム再インストールは嫌というほど経験しているし、その基礎となったのはこのパソコンの再インストール経験なので、やっぱり軽い気持ちでいたことは否めません。
 やることはわかっているさーと、うんざりしながらも先行きに不安をおぼえはしなかったのですが、あとでインターネット接続の設定がなくなっていることに気づいて焦りました。

 考えてみたら、もとのシステムは8.1だったけど、新規でいれたのは8.0。アップデータの入ったCD-ROMを探すのが面倒で、「もういいや、8.1だって8.0だって大して変わらんだろ」としたのがまずかったらしい。初期設定ファイルはきちんと元に戻したけど、形式がちがったのでしょうか。
 そのときすでに午後6時を過ぎ、たったひとりで作業をしていたのですが、放置するのが気持ち悪くて、プロバイダのおしらせを引っぱり出してきて設定をし直しました。

 その後、テストをしてみたところ、「Osaka 18ポイント」はちゃんと印字できました!
 これでうまくいかなかったら、半日分徒労ですが。
 けっきょく、システムそのものが壊れていたのか、フォントが原因だったのかはよくわからないけれど、Osakaはシステムフォントであるから、やっぱりシステムがおかしかったのだろうか。
 壊れる原因は…思いつくのは「iCab」を入れたことくらいなんだけど…。でもすぐに削除したはずなんだけどなー。

 仕事用Macに快適ネット生活なんぞを期待してはいけないということを肝に銘じました。
 修復不能になったときのことを考えると、恐ろしいです。プリンタはシリアル接続だし、スキャナやZip、外付けハードディスクはSCSIIだ。ソフトウェアもまったくパージョンアップをしていないから(データに互換性がないとかいうし、古いマシンにはきつそうだったから。だいたい、PageMakerっていまも売っているのだろうか?)、きっといまのMacには使えないし…。危険回避のために投資をするほど儲かる仕事でもないしね。

 マイパソコンが帰宅するまで、大人しくしていよう(^_^;)

 トールモー・ハウゲン『月の石』を読んでおります。

 2001.5.27(日)

 松井千尋ダイスは5(集英社コバルト文庫.2001.248p.476円+税)青春サスペンス小説。

 親友と思っていた茜からも心ない言葉を聞かされ、佐倉尚美は学校に自分の居場所がないことを強く感じた。
 クラス中に無視される孤独な日々を耐えていた彼女のもとに、ある日、奇妙な手紙が舞い込む。
 「あなたには、この遊びに参加する資格があります」
 サイコロを振って「加害者」と「被害者」を決める、異常な遊び。選ばれたのは学校も性格も異なる6人の高校生。手紙の最後に添えられた脅迫とも警告ともうけとれる不吉な言葉。「気をつけて! この遊びのことを他の人に話したNくんは、一ヶ月後に死にました」
 逡巡しつつ、尚美は指定されたビルの部屋まで出かけていく。

 前作『犬が来ました〜ウェルカム・ミスター・エカリタン〜』がおもしろかったので、借りてみました。
 おもむきがまったく違うので少々とまどいましたが、筆力があるので読ませてくれます。いじめ…というかシカトされている側の心理状態とか、かなり息苦しいところもきちんと描かれていると思います。
 ただ、読み終えたところで心理面とは別に「おや?」と思うところがなきにしもあらず。希望のもてる展開が共感というか納得できただけに、すこしもったいないような気がしました。

はやくも泣き言 2001.5.26(土)

 いちおう、ネットに接続できる環境はあり、日記もなんとか書けるようになってきましたが、本の感想文をものするほどの快適な状況ではないなーと、ここ数日感じています。
 文章の直しくらいならできるけど、それ以上のことをしようとすると頭が空回りします。背後霊がいるからだと思うけど。
 はやくノートパソコンが戻ってきてくれないかな…。十日から二週間ってとても未来のことのような気がする。

Winパソコンを拝借 2001.5.25(金)

 霜月書房の本に「すこしだけ」レビューをつけました。ストーリーを覚えていない人間にしては、かなり頑張ったつもり。
 古いMacの動作の重たさに耐えかねて、他人のWinパソコンで接続して、ようやくのこと実現した作業です。
 いろいろと棚に置く本なども考えていたのですが、かなりが「絶版、重版未定」で、寂しい思いをしました。そういうのは読書歴のなかに置いておきましたけど、やっぱり私の趣味はマイナーなのだろうか。
 読書歴の記述については、読んだ年がホントに思い出せないので、かなりいい加減なことになってます。とくに二十代から。記憶代わりのデータベースも、ノートパソコンがないから開けないしー。しくしく。
 あとは書影。これも無い本が大多数。絶版の本は棚に並べないようにしてますが、書影がないものは…。やっぱり並べてしまいます。でもあったほうが画面が華やかですよね。「Now Printing」というからには、そのうち整備されるのでしょうか。期待しています。

 Winパソコンで作業をしていたら、入力文字種の切換の際に反射的にMacキーボード仕様の手順を踏んでしまうせいなのか、途中からちゃんと入力できなくなって困りました。「る」を入れたいのになぜか「.」になっちゃう。ちゃんとカナ入力モードになっているのに。
 ちなみに私はローマ字入力をしてません。右手も左手もゆび1本でキーを叩いているので、たくさん押す必要があるローマ字入力ではかなり負担がかかるので。
 なんかヘンだなと、切断して再起動しようとしたら凍ってしまったので、青くなりました。『パソコンで困ったときに開く本』を読みながらなんとか終了させることができましたが、知らないパソコンでエラーが出ると恐怖だ。それにしても、どうして入力がおかしくなってしまったのか、わからない。なぜなのでしょう?

 その後、またエラーを出すのが怖くてMacに戻り、たらたらと書店の更新をつづけました。気がついてみたら、IEの「お気に入り」とネスケの「ブックマーク」の内容が、もうぜんぜん違っていて、現在巡回しているサイトを探すのがとても面倒だったので、ほかのサイトを探す旅をあきらめた。自分のサイトがメンテナンス中なのも災い。ネスケのブックマーク、ちゃんと作り直さなければ…。

 ドナ・アンドリューズ(島村浩子訳)庭に孔雀、裏には死体(ハヤカワミステリ文庫.2001.516p.900円+税 Donna Andrews "MURDER,WITH PEACOCKS",1999)読了。アガサ賞、アンソニー賞、マリス・ドメスティック・コンテスト受賞作。

 メグは三十四歳。職業は鍛冶職人。
 ヴァージニア州の小さな田舎町出身の彼女は、ふだんは別の町に住んでいる。とびきり変人揃いの一族から少しでも離れていたいがためだ。しかし、この夏にはどうしても帰省しなければならない。母親と弟、さらには親友の、三つの結婚式で花嫁付添人をつとめることになってしまったからだ。しかも、この花嫁たちはみんなメグの有能さを当てにしきっていて、結婚式の段取りをすべて押しつけてくるうえに、突拍子もないアイデアを実現させるための圧力までかけてくるのだ。
 体はひとつしかないのに、やることは山積。そのうえ、母親の再婚相手である男性の不愉快な義理の妹が、家の裏で死体となって発見されてしまった。

 愛すべき無能者ばかりの中で、しっかりもののヒロインが悪態をつきながら事態を押し進めていくさまがおかしい、コージーミステリ。
 母親が旅先で怪我をしたおかげで店番をつとめる仕立屋の息子かつ、大学の演劇教授、ゴージャスなマイクルの町の噂などはすぐに仕掛けがばれるし、謎解きもぜんぜん意外性がないけど、キャラクターたちの傍若無人ぶりと、気に入らない人間を平気であしざまにいうヒロインがほんとうにおかしいです。アメリカの結婚式では、花嫁付添人てこんなにたいへんなんですね。こういうのはドラマにするといいんじゃないかなー。翻案すると大変さがあんまり伝わらないかもしれないけど。

個人書店 2001.5.24(木)

 個人的興味を充足させるために開設した霜月書房ですが、あいかわらず低レベルなまま、ちびちびと棚に本を増やしている状況です。
 とにかく困るのが、接続環境の低下による表示時間の遅さ。
 最初に本屋がブラウザに表示されるのに1分。「店長さん編集画面」にたどり着くのに5分弱。ここまで来たところでだいぶやる気がそがれていますが、せっかくアクセスしたのだからと、ようやく本を一冊増やして、オーバー(ゲームか(^_^;))。というようなことを繰り返しています。
 もともと、表示の遅さに辟易して、いつも見に行くサイトにもご無沙汰をしているような状況なのに、いかにもデータ量が多そうなシステムにアクセスしようというのが無謀なのですが。でも、公表してしまったからにはすこしでも改善しなくては良心がうずくのです。小心者です。
 とにかく、こつこつと品だけは増えていくはず。問題はレビューがないことですね。やはり。今度は本じゃなくて、文字を増やさねばとは思うけど、これがいちばん苦手なんですよねー。

 恩田陸MAZE[めいず](双葉社.2001.245p.1500円+税)の感想。超自然現象の謎に挑むミステリ?

 アジアの西の果て。山岳地帯のかつては湖があったと思われるところに、四角い白い建物がある。現地の人間ですら滅多に訪れないというそこは、「あるはずのない場所」などという名前で呼ばれ、人間が消えるという噂がささやかれていた。
 アメリカの製薬会社に勤める中学時代の友人神原恵弥から仕事の誘いを受けた時枝満は、理由を説明されないままにここに連れてこられた。野営地を設営し、他のスタッフふたりを紹介された後で、満はこの不可思議なアルバイトの内容をようやく明かされる。恵弥はかれに、七日間の間に、白い建物の中で人間が消える、その現象の法則を考察しろというのだ。手渡された資料には、数百年間に行方不明になった人間の事例がことこまかに記されていた。

 アジアの西の果て、奇岩の景観。トルコのことかなー?
 ちょっと『puzzle』に似ているなーというのが第一印象。不可解な出来事が記事のように並べられていて、それを基礎資料として謎に挑むというかたちが。
 ただ、話の展開はまったく違っていて、この話は怪談みたいに後味がすっきりしないのでした。じつは…という種明かしのあとでも、人間の都合なんてまるで関係なく謎は謎として存在しつづけている。こちらの解決は話の肝ではないのだろうけど、でもちょっとすっきりしないです。不気味なまんま終わるこの感触は、『月の裏側』に似ているかも。
 恵弥のキャラクターとか、あいかわらず細部はうまいのだけど、ストーリー的にはもの足らない感じでした。

雨降りに外出 2001.5.23(水)

 午前中、図書館に本を返却がてら繁華街まで出てきました。雨降りの外出はひさしぶり。傘を持って歩くのって、なんて面倒なのでしょう。

 を購入。どっちもマンガです。桑田乃梨子もずいぶん久しぶりだ。カバー折り返しの既刊リストを見たら、読んだことのある題名がひとっつもなかった。私の記憶はすでに絶版の世界…。
 それから新居昭乃さんの新譜『鉱石ラジオ』も買ってきました。
 いまは仕事中なので、あとでゆっくりと聴くつもり。

 帰宅したら、PowerBookG3はすでに旅立った後でした。
 はやく戻ってこいよー。

仕事中日記 2001.5.22(火)

 ノートパソコンは壊れましたが、ちゃんとネット接続はできます。メールも読めます。動作がサクサクいかないのと、およそ日記を書くような場所じゃないとこにマシンがあるのでストレスたまりますが。

 この日記ファイルはサーバーからダウンロードしてきました。マシンから消えたデータが別の場所に保存されている…。なんとなく、うれしい。

 古いマシンで書いてますが、キーボードのタッチの違いと、CPUの遅さと、ハードディスク容量の小ささに泣いています。
 マシンにインストールしてあるネットスケープコミュニケーター(4.7)の動作がもたもたと重たくて苛つくので、iCabをインストールしてみたのですが、なんとこれが使用期限四月末まで。今月18日発売の雑誌付録CD-ROMに収録されていたものなのに。
 最新版がダウンロードできるようになっていましたが、それがすぐにできるようならこのソフトをインストールしようとは思わないわけだ。モデム速度も遅いんだからさー。ウェブ上での作業がまだまだ必要な個人書店は、しばらく整備に時間がかかりそうです。
 またこういうときに限って、仕事がやってくるんだよな…。とかいいつつ、その仕事中にこれを書いてたりするわけだが(^^)

ふんだりけったり 2001.5.21(月)

 とは、こういうことをいうのでしょうか。
 しばらくぶりにゆっくりとネット接続する時間がとれて、ならばとやってみたかった個人書店に手を染めました。
 それは直接関係ないんだけど、やっぱりかなり時間がかかりまして、作業の途中でお昼になってしまったので、そこでいったんとめて、残りは午後やりましょう、とパソコンの電源を落としたのです。
 それから、パソコンは二度とまともに動作しなくなりました。
 症状が示していたのは「システムファイルの不調」だったので、ハードディスクを初期化すればなんとかなるだろうと、今までの経験から高をくくっていたのですが、今度はハードディスク初期化もうまくいかない。うまくいったように見えるのですが、そののちのシステム再インストールが途中で滞ってしまうのです。
 ハードディスクは空回りをしているようでした。
 いままでは不調に陥った後でもファイルのバックアップだけはなんとかしてきたのですが、今回はそれもできず。
 当日いただいたメールは、私の頭の記憶のみとなってしまいました。いちばん信用できない記憶媒体だ(^_^;)

 仕方ないのでまたもやアップルサービスセンターに電話しました。
 保証期間を過ぎているので、今度は自費です。5万円ちかくかかりそう(T.T)

 個人書店ですが、書棚に本を並べたところで作業中断しています。レビューはほとんど書いてません。あまりにも工事中で気がひけるのですが、せっかく開いたのでリンクしときます。
霜月書房

 恩田陸『MAZE[めいず]』読了しましたが、もっと落ち着いてから感想書きます。細かいデータをメモしとかなくちゃ。

読んだことを忘れる 2001.5.20(日)

 読んだ本の内容を忘れてしまうことは日常茶飯事で、嘆きはしますがもういちいち驚かない。
 けれど、読んだことすら忘れてしまったとなると、自分の記憶がきちんと日々繋がっているかどうか、不安な気持ちになってきます。
 読んだかどうか、題名を見て悩むならともかく、「読んでない」と思って借りてきた本を「はじめて」の気持ちで読み通してしまい、あとでかつて読んだ記録に出会ったという場合は、なおさらです。
 いままでに二回、そういう衝撃をあじわったことがありますが、それがここ一、二年の間に集中しているのは、やはり老化現象のきざしなのでしょうか(T.T)。
 ちなみにその二冊は以下の通り。

 とくに、水杜明珠の本は、出版時に買って読んでいたにもかかわらず、すっかり忘れて図書館で借りてきたという、まぬけな一件。読んだ後もしばらく気がつかなかったという悲しい出来事。
 あとは初読時も借り物だったため、精神的な打撃以外には実害はありませんでした。
 が、このままでは買った本をまた買ってしまうという事態も、そのうち訪れようかというものです。
 とくにコミックスの長くつづいているシリーズなどは「この巻は新刊だと思うんだけど、いまいち、自信が持てない」という不安とともに購入したりしている。だからちゃんと新刊をチェックしようと思うんだけど、チェックしてもなかなか本屋に行けないし、そうこうするうちに新刊じゃなくなってよけいにわからなくなっちゃう。困ったものです。

 ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)サトクリフ・オリジナル2 アーサー王と聖杯の物語(原書房.2001.266p.1600円+税 Rosemary Sutcliff "THE LIGHT BEYOND THE FOREST by Rosemary Sutcliff",1979)読了。

 けっきょく、買わずに借りて読むことにしました。どうもこの訳文の雰囲気が全面的に受け入れられなくて。『サトクリフ・オリジナル アーサー王と円卓の騎士』よりは、立ち止まる箇所が減りましたけど。

 有名な「聖杯探索」の物語ですが、アーサー王の物語群の中では私にとってはもっともリアルでない部類に入ります。このキリスト教臭さが共感を妨げるのですね。もっとも無垢なものが成功を収め、さらに人には不可能な奇跡を目の当たりにして、そのまま死んでしまうというのでは、生きていく意味が全くないといわれているような気がします。
 王と王妃の間に生まれた善良な乙女の血に価値があるという記述には、身分制度を肯定した傲慢さを感じるし。
 聖杯の価値、ありがたさに納得できないものがあるので、こういう感じ方しか出来ないのかなと思いますが、信じていない人にも幻影を見せられるような、魂の飛翔を感じさせられるような物語を紡いでほしいものだと思います。それをキリスト教を血肉としている西欧の人に求めるのは、酷かもしれませんけど。

 2001.5.19(土)

 長野まゆみぼくはこうして大人になる(大和書房.2000.150p.1200円+税)読了。大人びたふりを自分に強要する少年の、傷つきやすい心象風景。

 印貝一は、中学三年生。十歳離れた双子の兄姉のおかげでいろいろ奇矯な幼年時代を送ってきた。その日も姉である百(もも)の一方的な呼び出しにこたえて出かけた先は、葬儀中の寺。待ち合わせた姉も喪服をまとっている。弁護士の兄、十(みつる)がつきそっている喪主の若者が、どうやら彼女の恋人であるらしい。服雑な事情のあるらしい若者には一と同い年の弟がいる。姉は一に彼をつれかえって、しばらく預かってくれなどと言い出す。
 真意をはかりかねた一は、自分をからかうことにかけては念入りな兄姉の「遊び」なのではないかと疑う。途中でゆきあった弟らしき少年のすがたも見えなくなっていたので、一はそのまま帰宅した。それから十日ほど経ったある日、一の学校に季節はずれの転校生がやってきた。それはあのときの少年、後藤七月(なつき)だった。

 長野まゆみの定番、海と医院と少年たちと悪癖。ものうげで薄暗くて、さらさらとしたつめたい水の流れる世界。
 あいかわらず、微妙な心のひだをすくいあげる描写はこまやか。海辺のさびれた町の陰翳にとんだ雰囲気も、現代物らしいのに中学生のつかう言葉としてはみょうに文語調な言葉の選択も、いつものとおりです。
 今回は幻想的なところが少し減って、女の子とのからみがあるのが意外というか普通っぽいというか。そのかわり一の性的嗜好もいつもよりストレートに描写されていますな。忘れてましたが、著者の作品における異性愛は出現頻度がかぎりなく低いです。
 あと、筋肉が出てきたのはめずらしいような気がします。ボート部という選択がすこし古めかしいか。どうやら七月は野球をしていたらしい。そういえばラグビーが出てきたこともありましたね。しかし、イメージ的にはだれもかれも腺病質な感じがしてなりません。筋肉質の人が繊細でないというわけではないけど。なんとなく、イメージ的に(^_^;)。

 2001.5.18(金)

 池澤夏樹星界からの報告(書肆山田.1995.140p.1942円+税)読了。星と建物に関する文学についてのエッセイ。

 前半は、『るしおる』という雑誌(?)に1989.1〜1992.1にかけて掲載された文学における星についてのエッセイ「星界からの報告」、後半は『悠悠建築』に1993.10〜1994.6にかけて掲載された文学における建築物についてのエッセイ「しなやかな工学」をまとめたもの。

 星に関する項では、ポオの『リジイア』、『アル・アーラーフ』、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、火星を舞台にしたSF、『竹取物語』、H.G.ウェルズ『宇宙戦争』、シェイクスピア『ロミオとジュリエット』などを題材に、文学における星の役割(神秘性や異界をあらわす記号、あるいは宿命など)について考察しています。
 完全に地球から隔たった環境において生まれた知的生命体を、完璧に人類との類似をなくしたうえで描写する小説というのは、いまだ存在しないというあたりには、なるほどねーと思いましたが、しかし、そんな小説をもし書けたとしても、人が好んで読むような作品にしあげることは可能なのだろうかという、疑問も。まあ、これは人間の想像力の限界について考えた文章なので、文学的な価値などは考慮外なんだけど。

 これまで読書中に形にならないまでももやもやと胸にたまっていたことをすっきりとした言葉で表現してくれているところがあったりしました。明晰な文章を読むのも心地よい。専門用語もよく理解できずに読んでいるところもあるのですが、理路整然とした思考が私の対極の存在という気がしてなんとなくあこがれている。つねに平静な感じもです。
 しかし、記録をつけようとして過去のデータを掘り返したら、この本、きっちり読んだことになっているじゃないですかー。あー、自分がイヤになるー。

お知らせ、その他 2001.5.17(木)

 トップページにも書いておきましたが、2001年5月25日、28日、29日は、サイトを置かせてもらっているトクトクでサーバーメンテナンスを実施するため、ここにアクセスできなくなります。曜日でいうと来週の金、月、火ですね。

 この日記をご覧になり、もうひとつのほうのサイトも見てくださっているかたは、たぶんほとんどいらっしゃらないとは思いますが、そちらのほうは26日、28日、29日がメンテナンスです。初めの日がちがうので、ご注意ください。

 このお知らせをサイトのあちこちに組み込むのにけっこう手間がかかり、どうして私はサイトをふたつのサーバーに分けたんだろうと、しばし遠い目。トクトクは容量無制限がうたい文句なので、ひとつのサイトで両方のコンテンツを管理してもよかったはずなのです。ファイルのリンクが煩雑さを増しそうなのと、やっていることが矛盾しているからでしょうか。羞恥心というのもあるかな(^_^;)。

 おむらよしえさんの日記でイーエスブックスのシステムを利用した個人書店を開設されたというのを読んで見に行きました。おすすめの本が並んでいて、レビューも丁寧。いろいろと読んでみたくなりました。(ホントは買いたいんですけど、すみません、やっぱり借りてしまいそうです)
 本屋をつくるのって楽しそうです。私もやってみたいなー。
 しかし、これをつくるにはけっこう長いこと接続する必要がありそうなんで、一日十分間接続のいまの状況では無理な気が…。

 ところで、きょうは一日遅れで図書館へ行ってきたのでした。
 先週リクエストを出したローズマリ・サトクリフ『サトクリフ・オリジナル2 アーサー王と聖杯の物語』がもう用意されていて、びっくり。二月に予約を入れて、いまだ届かない本もあるというに…。

 2001.5.16(水)

 谷瑞恵魔女の結婚(集英社コバルト文庫.2001.278p.533円+税)読了。ヨーロッパ中世後期を舞台に、よみがえった古代ケルトの巫女と最後のドルイドの出会いを描く、ファンタジー。

 古代ケルト人の一部族に拾われたエレインは、その結婚願望の強さに関わらず、巫女姫となる運命をあたえられ、ローマ人の軍隊に蹂躙される人々とともに『歓びの野(マーグメルド)』へと旅だった――つまり、自決した…はずだった。
 頬をつねられる痛みに目覚めたエレインはガラス製の棺によこたわっていた。目の前にいたのは、追い剥ぎらしい男と、黒髪の青年。追い剥ぎはエレインが死体ではないと知って逃げ出し、彼女は青年マティアスととりのこされた。自分の置かれた境遇がわからないエレインだがマティアスは冷淡に彼女をふりはらおうとする。
 マティアスがドルイドであることに気づいたエレインが何とか取りすがると、いくつかのやりとりのあとに、ようやく判明した事実。ここは彼女の生きていた時代から千五百年ほども下った時代であり、彼女の部族も文化ももはやほとんど闇に消え失せ、彼女のような存在は「魔女」として忌みきらわれているのだ…ということだった。

 うーん。こう書くと主役はエレインのようですけど、実際は黒髪の青年魔術師マティアスのような気がします。幼いころに姉と慕った年上の兄弟弟子を火刑で殺され、力のためには手段を選ばなくなった、クールな車輪を持たぬドルイドの末裔。
 かれが自分の車輪を見いだすまでのものがたりです。

 『夜想』(とても好き。集英社スーパーファンタジー文庫)よりは時代を下っていますがおなじヨーロッパ中世が舞台ということで、『摩天楼ドール』よりは雰囲気がしっくりしているような気がする。個人的にはこちら(中世)のほうが好きです。
 キャラクターが多くて掛け合いのようなやりとりでストーリーを進めているようなところは、『摩天楼ドール』の流れでしょうか。エレインちゃんが元気するせいもあって、しっとりという感じにはなりませんでしたねー。私は著者の書く少年よりは青年のほうがすきなので、マティアスはけっこう好み。頭が良くて性格が悪いやつです。現実にはそばにいると疲れそうだけど。


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