Reading Diarydiary最新)・books
last update 2001.5.1

2001年4月後半のdiary

最新の日記インデックス
2001年 1月 2月 3月 4月・後 5月 6月
7月 8月 9月 10月 11月 12月 >>
2001.4.16 没頭
2001.4.17 /『黄昏の岸 暁の天 十二国記』
2001.4.18 /『ネシャン・サーガI ヨナタンと伝説の杖』
2001.4.19 /『フィーヴァードリーム 下』
2001.4.20 波留がトレード?
2001.4.21 一転、三月の気候
2001.4.22 道のりは長し
2001.4.23 /『ファンタジイの殿堂 伝説は永遠に 3』
2001.4.24 /『EDGE3 〜毒の夏〜』
2001.4.25 アンケート
2001.4.26 不安定な春
2001.4.27 薬のせいかも/『上と外 4 神々と死者の迷宮(下)』
2001.4.28 勝ったのはいいけれど/『屍体配達人 上 プロファイリング・シリーズ』
2001.4.29 /『屍体配達人 下 プロファイリング・シリーズ』
2001.4.30 今季初/『どすこい(仮)』
今季初 2001.4.30(月)

 午後から中日×横浜のテレビ中継を観戦。
 なんだか横浜の選手を久しぶりに見たような気がする。ずっと西のほうで試合をしていたからですね。
 昨日までしか予想できなかった先発投手は、そうか、こいつがいたのかという若手で、けっこう生きのいいピッチングをしてくれたので、ほっと安心。めずらしく壊れない試合でしばらくぶりに勝ち試合を見られて、気分がいいです。そして、今シーズンになって初めてのカード勝ち越しが嬉しい。なんてささやかな幸せなのでしょう。昔の気持ちを思い出しますねー。連敗が止まっただけで嬉しかったあのころ(^_^;)。

 京極夏彦どすこい(仮)(集英社.2000.516p.1900円+税)読了。

 うーむ。何を書けばよいのやら。
 ホラーやミステリーのベストセラーを下敷きにしたと思われる「力士」もしくは「デブ」をテーマにした短編集。ベストセラーは『四十七人の刺客』(池宮章一郎)を皮切りに、『パラサイト・イヴ』、『すべてがFになる』、『リング』・『らせん』、『屍鬼』、『理由』、『ウロボロスの基礎論』となっています。が、べつに原本を読んでいなくてもかまわないのではないでしょうか。たしかに、読んだ本に関しては「ああ、あのあたりのことだな」とわかるのですが、読んだものと読んでいないものとのおもしろさに、それほど差があったようには思いませんでした。いちばんおかしかったのは、最初の「四十七人の力士」でしたし。

 なんだか実験小説みたいでしたね。冗談小説をいかに書くか、小説にどれだけの仕掛けをつくれるかという。わかりやすいところでは、短編の作者が次の短編の登場人物であるという、何重もの入れ子構造。最後には「京極夏彦」ですら、とある作家の作り出した人物ということになってしまいます。
 というわけで、仕掛けを楽しむ小説なのでしょうが、そういうのって、私としてはあんまりおもしろく感じない。やっぱり、「妖怪シリーズ」のほうが好きだなあと思いました。

 2001.4.29(日)

 ブライアン・フリーマントル(真野明裕訳)屍体配達人 下 プロファイリング・シリーズ(新潮文庫.2000.394p.667円+税 Brian Freemantle "THE PROFILER",1997)読了。『屍体配達人 上 プロファイリング・シリーズ』のつづき。

 クローディーンは、コンピュータ専門家のフォルカー、法病理学者のロセッティという人材を得て、連続猟奇殺人犯人のプロファイリングを進めていく。ユーロポールは権威失墜の危機を彼女の出した予備的なプロファイリングによって乗り越える。クローディーンはユーロポール内での地位を確実なものとしていくが、それは理事サングリエにとっては意にそまぬことだった。

 これって裏カバーに書いてあるとおり「サイコスリラー」なのか?
 読み進むにしたがって疑いがつのっていく本でした。
 上巻と比べても事件に関する記述は増えないどころか、むしろ減っていくようだし、サングリエの暗躍(?)はますます混迷の度を深めて行くし、クローディーンのチーム以外の登場人物はみんな無能だし。
 プロファイリングものに期待している緊迫感とか知的興奮とか衝撃とか、そういったインパクトある素材がひとつもなくて、なんだか「心理分析官クローディーン・カーターの毎日」と題した方がいいような、のんびりした雰囲気が蔓延していて、なんだかなーという感じ。
 サングリエの内幕は、喜劇だと思うことにしてようやく読み進みました。自殺した夫関係の事件なんて、笑止のひとことにつきます。べつの事件を挿入するなら、猟奇事件に少しでも関わりのある形でしてほしかった。話が分散した時点で収斂していく過程を待っているのに、いっこうにその気配なくひとつひとつこぢんまりした結末を迎えるのって、力が抜けます。

 あとがきを読むと、フリーマントルというのは「〈有能な一匹狼の捜査官〉対〈無能な上司や同僚〉」という図式の話を書くのが得意な作家であるらしい。私は求めるべきものを間違えていたというわけです。
 『屍泥棒』はおもしろかったんだけどなー。あちらは短編だからよけいなことが書かれていなかっただけなのでしょうか。無能な人間ばかり読まされて、非常にストレスのたまる本だった。この本の収穫は、フリーマントルは私には合わない、ということがよくわかったこと。

勝ったのはいいけれど 2001.4.28(土)

 世間ではゴールデンウィークの初日。プロ野球は九連戦の初日です。

 午後からダイエー×近鉄のテレビ中継を見ながら本を読んでいました。浜松からの途中経過報告を期待してという、両チームのファンの方にははなはだ失礼な観戦者です。そしてその失礼な態度のせいか、情報は大して入ってこなかった。先発がエースでまだ失点もなかったのに、二回から継投状態になったという、非常に気になる経過報告がありましたが、なにゆえ、エースが降板したのかはとうとう最後まで不明。
 「先発投手が足りないから、負担をみんなで分け合おうという精神だろうか」という愚にもつかない予想は、あとで判明した最悪の事実の前に消し飛びました。肩に違和感って、どういうこと?

 それからずっと考えているのです、これからの先発ローテーションを。明日までしか浮かばないんだけど(^_^;)。あとは昨日昇格した小桧山とか?
 ダイエー×近鉄は、懐かしい人たちが投げているところが見られたので、それなりに楽しかったです。点もたくさん入ったし。

 ブライアン・フリーマントル(真野明裕訳)屍体配達人 上 プロファイリング・シリーズ(新潮文庫.2000.374p.667円+税 Brian Freemantle "THE PROFILER",1997)読了。欧州連合版FBIユーロポール特捜班所属の女性心理分析官クローディーン・カーターの活躍を描く。

 セーヌ川の遊覧船の舳先に飾られていた若い女性の首。それを皮切りに欧州各地でバラバラの死体が相次いで発見される。各国の警察による捜査が難航するなかで、発足したばかりのユーロポールに協力が要請された。
 イギリスから派遣されてきた心理分析官のクローディーンは、フランス理事のサングリエからじきじきに特捜班に入ることを要請され、ふたりの捜査官たちとチームを組んで事件に当たることになるが、一方では自殺した夫の友人関係について、イギリス内務省所属の特別調査員から確たる証拠も示されないまま事情聴取を受けるという不愉快な事態に立ち向かっていた。

 ふー。
 ようやく上巻を読み終えました。
 心理分析の専門家としてのキャリアを積むことに熱心な、女性分析官クローディーンが主役の「サイコスリラー」。
 『屍泥棒 プロファイリング・シリーズ』の続編だと思って借りてきたのですが、時系列的にはどうやらこちらのほうが過去。クローディーンはユーロポールに赴任してきたばかりで、前作で強力なチームを組んでいるコンピュータの専門家フォルカーと法病理学者のロセッティとの出会いが描かれています。
 凄惨な連続殺人事件の捜査とともに、目的意識と互いの力量への敬意にもとづいた強い信頼関係が生まれていく過程が読んでいて楽しい。事件の背後に隠された真実をさまざまな情報により推理していく過程もおもしろいです。

 しかし、短編と違うのは、殺人事件以外の要素がかなり大きなウエイトを占めているところ。
 クローディーンの自殺した夫関係のごたごたは、やってきた調査員がもったいつけて話さないので、なにが問題なのかもずっと不明です。そして、クローディーンの上司であるユーロポール理事のサングリエも、彼女に対して含むところが大ありのよう。こちらについても遠回りのほのめかすような記述ばかり。かれの腹にいちもつの暗躍ぶりと、私生活の不穏ぶりが、なにを示唆しているのかなかなか判明しないので、非常にいらいらしました。手先として使っている捜査員が無能で不愉快なやつなのもイヤ。
 さっさと猟奇殺人の捜査へ話をもどしてほしい、と何度思ったことか。ユーロポールでの権力闘争なんて、私は興味ありません。
 というわけで、その関連シーンになるととたんに読むスピードが落ちてしまうのでした。それならそんなとこかっ飛ばして、先を読めばいいんだろうけど、なんとなくそれができない自分が哀しかった。

 下巻では、この消化不良のような状況が少しでもクリアになってくれると嬉しいのですが。

薬のせいかも 2001.4.27(金)

 先日、調子が悪いと訴えたら、「ならば薬を増やしなさい」と医者に事も無げにいわれたので、素直に従っていたここ数日。
 確かに痛みは和らいだけど、しばらくお別れしていた額の吹き出物が復活。
 だからヤなんだよー、副腎皮質ホルモンは。少しバランスが崩れるとすぐこれだ。
 そこで、はたと思い当たることが。
 最近、だるかったり、イライラしたり、無気力だったりするのもこれのせいかもー。季節の変わり目に責任転嫁していたけど、そう考えるとつじつまが合うような気がする。

 恩田陸上と外 4 神々と死者の迷宮(下)(幻冬舎文庫.2001.156p.419円+税)読了。『上と外 3 神々と死者の迷宮(上)』のつづき。

 家族旅行で訪れた南米のG国でクーデターに巻き込まれ、ジャングルをさまよい歩いていた楢崎練・千華子のきょうだい。救助の目印になりそうな古代遺跡にようやくたどり着いたものの、原住民と思われるニコという少年によって離ればなれにされてしまう。千華子を人質に取られた練は、ニコの要求通り「成人の儀式」に臨むことになるが、それは文字通り生死をかけた厳しい試練だった。

 うわー。これは大変。いったいどうなるの、このヒトたちはなんなの、ホントにこの次で完結するの、とさまざまなことが頭をよぎる読後感。
 それにしてもー。千鶴子さんの新しい恋愛とG国の状況とは、なにかつながりでもあるんでしょうか。最初から気になっているんですけど。

不安定な春 2001.4.26(木)

 なんだか最近、読書が進みません。きょうも図書館へでかけて借りてきたけれど、この中のどれくらいを読み終えて返却できるだろうか…と、ちょっと弱気。
 書架のたくさんの本を見たときには、「あれもこれも読んでみたい」気分にとりつかれるんだけど、家に帰り着いてみると、なんだか「読もう」という気持ちがもりあがらない。どうやら気力が落ちているみたいなのですね。セ界の借金丸抱え、ぶっちぎり最下位、のチームのせいじゃないとは思うけど。
 それでづれづれに落書きなんかをしてみたりするのですが、もともと下手の横好きの域を出ていなかったレベルが、ブランクの間にさらにどーんと落ちていて、よけいに落ち込んだり。落ち込みやすい精神状態なのかなあ。

 とりあえず、恩田陸の『上と外 4』だけは読まなくちゃ。

アンケート 2001.4.25(水)

 無料プロバイダを使用しているので、しばしばアンケートに答える必要が出てきます。
 しかし、明らかに自分とは別の層を対象としてつくられたアンケートが多いので、最初の設問で「いいえ」を選んだだけで「送信」をクリックすることが妙に多くて、義務にしては気楽です。

 しかし、そんないい加減な気持ちで回答してはいけないアンケートが、先日通院した際に手渡されました。「健康状態をよりよく把握することにより診療に役立てる」ことを目的としたもので「診療に役立てることを目的とした研究に利用されることもある」アンケート。
 昨年から実施されるようになり、これが二回目なのですが、目的が目的だけに設問の細かさが他の追随を許しません。つまり、面倒。

 とくに薬の服用に関する項目は、長期にわたる服用で副作用が懸念されるため、ことこまかに設定されています。
 前回やったときは病状が安定しており、何年もおなじ組み合わせおなじ分量の薬を飲みつづけていたため、楽勝にちかい気楽さで書き込めたところなのですが、今回は薬の変更や分量の変更が重なったため、かなり苦労することになりました。いつから薬を変更したのか、まったく覚えていないところが苦戦の原因。薬局でもらう薬の説明書をみても、分量は実際飲んでいるのと違ったりするので、また混乱。

 おなじことばかり続くからと、書くのをやめてしまった「療養日記」の必要性を痛感したことはいうまでもありません。やっぱり書くべきなんだよな…。でも、書いたとしてもごくたまーに出てくる変更箇所をあとから探し出すのがとっても面倒くさいんだよね。
 アメリカなら患者自身がカルテを保存しているから、わざわざ自分で書かなくていいのにー。と、わけのわからない愚痴をこぼしながら、アンケートはほぼ半時間かけて回答し終えました。あとは郵送しなくては。

 ついでといってはなんですが、麻弥さんの書評/日記系サイト「Books by 麻弥」リンクに関するアンケートを実施中です。サイトを運営なさっている方、参加なさってはいかがでしょうか。

 2001.4.24(火)

 とみなが貴和EDGE3 〜毒の夏〜(講談社X文庫ホワイトハート.2001.284p.570円+税)読了。「美貌の天才プロファイラー大滝練摩の事件簿」。『EDGE2 〜三月の誘拐者〜』のつづき。

 警視庁刑事部捜査共助課の刑事である松波から依頼された連続毒物混入事件を、練摩は断りつづけていた。記憶を失い、生まれなおした人生を生きている藤崎との生活を、警察のために乱されることを嫌っているのだ。
 何度めかのすげない交渉の後、依頼を断るかわりに松波の私事につきあうことになった練摩は、待ち合わせの場所に行く途中で青酸ガスの発生現場に居合わせることになる。被害者の中には会う予定だった松波の旧友がいた。

 『EDGE』も三作目。事件はひとつひとつ完結しているけど、共通した大きな流れがあるので刊行順に読んだ方がいいと思います。
 この本もひといきで読めました。おもしろかった。この分量でこれだけのことを過不足なく詰め込んで、ドラマとしての読み応えもあり。事件のこともしっかり書いてあるけれど、練摩と藤崎の関係が宗一郎の成長によって変化していくあたりが興味をそそるし、練摩の過去も絡んだこれからの展開が楽しみです。

 けど、評判を聞かないで(読まないで)読んだ方がよかったかなーという後悔が少し。期待しすぎたという面がなきにしもあらずだったので。プロファイリングものとしてよりも、練摩関係のドラマのほうに重きをおいて読めばよかったのでしょうが、つまりはそういう読み方をしなかったせいなのですが。欧米翻訳ミステリを読みつけているとねー。その種の驚きに鈍感になってしまうのですよね。事件に関する記述で納得できないとか、そういうことはなかったですが、前二作よりもインパクトが足りなかった気がする。つまり私は驚きたかったのかな。

・著者ご本人のサイト EDGEfollowing

 2001.4.23(月)

 ロバート・シルヴァーバーグ編(斉藤伯好,等訳)ファンタジイの殿堂 伝説は永遠に 3(ハヤカワ文庫FT.2000.486p.860円+税 Robert Silverberg(ed.) "LEGENDS",1998)読了。異世界ファンタジーシリーズの外伝アンソロジー。三分冊の最終巻。

 『ファンタジイの殿堂 伝説は永遠に 2』を読んでから二ヶ月半も経ってしまった。アンソロジーだから別々に読んでもかまわないのですが。第三巻には四シリーズが収録されています。

 ロバート・ジョーダン(斉藤伯好訳)「新たなる春」〈時の車輪〉
 アーシュラ・K・ル・グィン(小尾芙佐訳)「ドラゴンフライ」〈ゲド戦記〉
 タッド・ウィリアムズ(金子司訳)「灼けゆく男」〈オステン・アード・サーガ〉
 テリー・プラチェット(矢口悟訳)「海は小魚でいっぱい」〈ディスクワールド〉

 ロバート・ジョーダンの〈時の車輪〉は、原書の一冊が日本では分冊して刊行されるという、長大なシリーズ。いつ本屋に行っても棚においてありますね。最近のハヤカワ文庫FTの稼ぎ頭なのでしょうか。私は第三作の『神竜光臨』の一冊目(シリーズ全体では11冊目)まで読んで中断しています。こういうシリーズって、図書館で借りて読む場合はよほどおもしろく感じないと続かない。刊行中のシリーズだと、なかなかつづきが読めませんしね。(予約が込んでて)

 この中編は、シリーズが始まる前、アエズ・セダーイと呼ばれる絶対力を操る魔法使いのような存在となったばかりのモイレインと、彼女の護衛士となるランの出会いを描いています。
 ところで、この話、何故かわからないけど読みにくかった。物語中の慣例事項として説明が流される度合いが高いからなのか、それとも、登場人物の思考過程が見えないからなのか。
 とりわけ、新米アエズ・セダーイの行動には疑問だらけでした。モイレイン様の気位の高さはよおくわかりますが、なんでゆきずりの人にそんなに過剰反応してしまうわけ? 修行中でもないのに…。
 それから、作品にはまったく関係ないけど、アエズ・セダーイの種類(?)である赤アジャとか緑アジャとかの言葉から某女子プロレスラーを連想してしまう私。どうすればやめられるのでしょう?

 アーシュラ・K・ル・グィンは、大御所のSF作家。〈ゲド戦記〉は、岩波書店から児童書として刊行されています。私も読んでいますが、四巻目の『帰還』については、???な読後感でした。この短編は、『帰還』と同じ時期の話であるように思います。
 名前の持つ力というのが重要なキーワードであるこの世界では、原書でもちいられた言葉がもっている意味と、移し替えられた日本語の意味との微妙な齟齬すら、作品を味わううえで意味を持ってくるような気がします。
 この物語の主人公の呼び名は「トンボ」だけれど、原語では題名とおなじ「ドラゴンフライ」。受ける印象がまるでちがう。そして物語の結末を読んだ後では、「ドラゴンフライ」のほうの意味が大きく感じられたのですが。それにしても私にとっては難解な話で、これを読むのにもやたら時間がかかってしまった。

 タッド・ウィリアムズは、解説によると『テイルチェイサーの歌』で長編デビューした作家であるらしい。じつは私は『テイルチェイサーの歌』を読んでいるのですが、読んだということしか覚えていなかったりする。たしか、猫たちが出てくるファンタジーだったような気がするけど、定かではありません。
 ここに取りあげられている〈オステン・アード・サーガ〉は、巻末解説では〈記憶と哀しみ、苦痛の種〉三部作と紹介されていて、しばらく同じ作品のことだと気づかずにいた。英語の表記を見るとすぐわかるんだけどさ。英語は苦手です。

 シルヴァーバーグの作品解説に「プレスター・ジョン」なる言葉をみつけたときに、伝説のキリスト教国の王プレスター・ジョンを連想したのですが、どうやらそれはあたっていました。
 舞台となっている世界が、ほとんどヨーロッパ中世という感じ。信仰されているエイドン教も、この話を読む限りではキリスト教に酷似しているように思えますし、人々が〈聖なる木〉を描くのは、十字を切っているとしか思えない。妖精の王なども出てくるようなので、それだけではないけれど、キリスト教のあれこれなら、べつに異世界ファンタジーでなくても読めるのにと思わないでもありません。
 話そのものは、雰囲気も登場人物もけっこう好みだったので、他人からすればたぶん些末なのであろうことにひっかからなければもっと楽しめたのにと思います。

 テリー・プラチェットの〈ディスクワールド〉は、名前だけは聞いたことがありましたが、読むのは初めて。
 この話は魔女のウェザーワックスばあさんのキャラクターが楽しいのですが、外伝というわけで世界を飲み込み、キャラクターを飲み込み、人間関係を飲み込みしたうえで、ユーモアをたのしむのは、ちょっと面倒な気分だった。世界に馴染んでしまえば、けっこうおもしろいのではと思います。このユーモア感覚が嫌いでなければ。

 三分冊、すべて読み終えて、かなり濃密な構成であったなーと思いました。私としては、二巻目が一番おもしろかったかな。

道のりは長し 2001.4.22(日)

 iMac関係の野望実現は、まだまだ先のような気がします。

 CD−Rを焼く体験をする前に、『ASAHIパソコン』に「iTune(付属音楽ソフト)のサンプルデータは、リストアCDに記録されていないので、バックアップがてら試し焼きしてみるといい」と書いてあったのを読みました。ふむふむと思い、ブランクCDを買ってきた(何をどう選べばよいのかわからなくて悩んだ)のはいいのだが、いざバックアップしようとしてサンプルデータを見てみたら、650MBのCDじゃ入りきらない容量だった。しーん。
 些細なことでヘコむ私は、そこからまた一歩も進めずにいるのでした。はあ。

一転三月の気候 2001.4.21(土)

 先日まで「初夏の陽気」だったはずなのに、この寒さはなに?
 体の調子が悪いので、気分が荒みます。薬を増やそうかなー…。

 ロバート・シルヴァーバーグ編『伝説は永遠に 3』の中の、「時の車輪」外伝をようやく読み終えた。なんでかわからないけど、とても読みにくかったのだ。

波留がトレード? 2001.4.20(金)

 きょう、サイト巡りをしていてびっくりしたのは、ニッカンスポーツの記事を見てでした。中日との1対2のトレードらしいです。最近、調子がよくないし、センターのポジションも去年の新人王プラス首位打者にほぼ奪われた形となっていたけれど…。オフのトレード話が立ち消えていたので安心していたのですが、チーム状態がよくないとこうなってしまうのですねー。ローズ退団以来の衝撃です…がっくり。

 というわけで、ロバート・シルヴァーバーグ編『伝説は永遠に 3』を読み始めようとしているんだけど放心状態から立ち直れないのであった。

 2001.4.19(木)

 ジョージ・R・R・マーティン(増田まもる訳)フィーヴァードリーム 下(創元ノヴェルス.1990.316p.480円+税 George R.R.Martin "FEVRE DREAM",1982)読了。『フィーヴァードリーム 上』のつづき。

 夜の民と人間の友好を夢見るジョシュアは、フィーヴァードリーム号の旅で血族を捜し求めていたのだった。不審な死亡記事をたよりに見つけだした同胞たちは、だが、より強い血の支配者(ブラッドマスター)ダモン・ジュリアンの支配下にあった。ジョシュアはジュリアンをフィーヴァードリーム号に招待するが…

 異文化との接触もののような感じのお話だった。吸血鬼もののイメージで読むと肩すかしを食らうかも。
 しかし、途中からダモン・ジュリアンを打倒するのが話の目的みたいになってしまい、ジョシュアの抱いていた高邁なこころざしが棚上げ状態で、そのまま終わってしまった気がします。おもしろかったけど何となく物足りないのは、そういうところだったのかなー。

 2001.4.18(水)

 ラルフ・イーザウ(酒寄進一訳)ネシャン・サーガI ヨナタンと伝説の杖(あすなろ書房.2000.494p.2400円+税 Ralf Isau "Die Träume des Jonathan Jabok",1995)読了。
 ミヒャエル・エンデに見いだされたドイツ人作家の異世界ファンタジー三部作、第一巻。

 1920年代のスコットランド。名家ジェイボック家の跡取りである十四歳のジョナサンは、病気のために足が弱り車椅子の生活を強いられている。寄宿制の学校では物思いにふけると返事もしないことから「夢見人」とよばれ、周囲から浮き上がり、教師からも問題視されていた。
 ジョナサンは八歳のころから不思議な夢をみていた。夢はネシャンという世界で繰り広げられ、かれはそこではヨナタンという漁師の養い子だ。ある日、野原を散歩していて深く暗い穴の底に落ち込んでしまったヨナタンは、不思議な木製の杖を発見する。翌日、ようやく穴から脱出したかれを迎えた養い親のナヴランは、その杖を見て顔色を変える。それは、全能の神イェーヴォーに選ばれた裁きの司の杖、ハシェベトだった。ヨナタンは杖を当代の裁きの司ゴエルに届けるという使命に選ばれたのだとナヴランはいう。半信半疑のヨナタンだったが、その夜、夢にベネルと名乗るイェーヴォーの使いが現れ、明日すぐにも出発し、英知の庭をめざせと告げる。

 「エンデの跡を継ぐドイツファンタジーの旗手」みたいな文句が並んでいるので、すこしおそるおそるという感じで借りてみた本。
 しかも、後回しにしているうちに返却期限が迫ってきていたので、急いで読むことになり、あまり味わうという感じにならなくて、だからあまり大したことは書けません。
 ただ、「ドイツ人作家の作品なのに、スコットランドの少年が主人公」ということと、「女性がほとんど出てこない」というのが気になりました。
 全体的にはRPGみたいだなーという感想。スコットランドの少年が「ネシャン・サーガ」というゲームをしているような印象を受けました。ドイツのファンタジーというとほかにはハンス・ベンマンの『石と笛』くらいしか読んだことないですが、あれほど重厚な感じもしなかったし。ジェイボック家の執事みたいなおもしろいキャラクターもいるんですけどねー。

 2001.4.17(火)

 小野不由美黄昏の岸 暁の天 十二国記(講談社文庫.2001.444p.714円+税)読了。中国風の異世界ファンタジー「十二国記」シリーズの最新刊。

 満身創痍で慶国の禁門を突破しようとした戴国の将軍李斎は、意識を失う直前に胎果の生まれであるという若い女王に目通りかない、戴の窮状を訴えた。
 当極半年の後に反乱の平定中に泰王と泰麒は行方不明となり、王の死は確認されないままに偽王がたった。偽王は国土に荒廃をもたらしているが、不老不死の仙であるために死ぬのを待つこともできない。李斎は謀反の張本人として偽王から追われる立場で、命を賭して慶国まで戴への助力を願いにやってきたのだ。

 「五年ぶりの新刊」だったんですねー。しかし、もっと長かったと思うのはこの話がシリーズ一作目(ですよね)の『魔性の子』(新潮文庫)の十二国側の顛末がようやく判明する話だからです。1991年に読んだのだから、十年近い。はじめは完全にホラーだと思っていた話が、最後に来てなにやら重々しげな年代記の記述に出会って「???」と思ってからもうそんなに経つんだ。うーん。感慨深い。

 お話は待った甲斐がありました(^_^)。泰麒が行方不明になる序でまず状況を思い出せておいて、李斎の飛び込んでくる冒頭から、入り組んだ状況を過不足なく説明していくのと同時に、それぞれの登場人物に気を配った展開をしつつ物語は滞ることなくきちんと進んでいくし、世界の仕組みについての疑問という、これまで表面にはあらわれなかった問題も出てきて、ものすごく盛りだくさんなのに、まったくダレることがない。
 泰麒奪還作戦というのがメインストーリーかとは思うけど、豊穣な物語世界のいろいろな枝葉を知ることが心地よくて、とても楽しい。
 新たに登場した人物たちもまたかなり個性的。その個性も浮き上がらずに作品の厚みを増すのに貢献しています。延王の天敵、氾王と氾麟のコンビがまたでてくるといいなあ(^_^)。楽俊が出てこなかったのがちょっとさびしいかも。

 そして、最初にも書いたけど、不条理なホラー小説と思えた『魔性の子』の、裏にあったからくりが判明します。だからこれは絶対に『魔性の子』より先に読んじゃいけないなと、思います。わからないはずのことがわかるようになると、ぜんぜん怖くないし。

 泰麒が帰還して、これでまた新たな展開に突入していくのかなあと思います。つぎは泰王救出作戦でしょうか。主要登場人物もどんどん増えていくし、読みたい国がたくさんです。できれば、この次はもう少し早く読みたいです。

没頭 2001.4.16(月)

 通院の日。
 今日の楽しみはなんといっても、小野不由美『黄昏の岸 暁の天』。
 病院の前にいそいそと本屋へ行って購入し、診察前に会計前に薬の会計前に読みふけりました。重厚な文章に途中で疲れるんじゃないかと予想していたんですが、そんなこともなく、大変だったのは目の前の現実に立ち戻って財布を取り出したり、保険証を見せたりすることの方でした。帰りの電車はあやうく降車駅を乗り越してしまうところだったし、停留所でバスを降りたときはラスト二ページを残して中断するに耐えられず、立ち止まって読了するまでたたずんでしまった。

 病院に行ったことが夢のように思われる一日でした。
 疲れたので、感想は明日。


Reading Diarydiary最新)・books

当サイトの画像および本文は管理人「ゆめのみなと」に著作権があります。
素材はその作者の方に著作権があります。
本サイト内の画像や文章の無断使用・無断転載はご遠慮下さい。
Copyright(c)2000-2002 Yumenominato. All Rights Reserved.