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2001年11月前半のdiary

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2001.11.1 iTunesを使ってみる/『聖杯伝説』
2001.11.4 やっほー/『ちょー海賊』
2001.11.6 「ソードフィッシュ」
2001.11.7 逃避行動/『ソドムの林檎』
2001.11.8 試練の時
2001.11.9 /『えんの松原』
2001.11.10 /『サラシナ』
2001.11.11 読んでいる
2001.11.12 /『虚空の旅人』
2001.11.13 ペースが落ちる
2001.11.14 不覚/『サトクリフ・オリジナル4 トロイアの黒い船団』
2001.11.15 風邪は治った
風邪は治った 2001.11.15(木)

 行こうかどうしようか迷ったのですが、一度に九冊抱えて行く自信がなかったので、とりあえず読み終えた分を持って図書館へ。
 予約した本は、二冊、それも文庫本だけ到着してました。あー、よかった。これでまた六冊来られた日には、もう取捨選択するしかないと思っていたので。

 夕刊で知ったマルハの横浜ベイスターズ株譲渡…。うーん、なんといってよいものやら。

 野梨原花南『ちょー火祭り』[Amazon][bk-1]を読む。

不覚 2001.11.14(水)

 寝ているあいだに「なんか、さむいな〜」とぼんやり思っていたら、重ねている上掛けの一枚があらぬところへと飛んでいたのでした。
 起きたら、風邪ひいてました。鼻風邪。くしゃみがくり返されるのと、鼻水が出るのと鼻がつまるのとで、落ち着いた行動がとれません。うう、酸欠状態。涙目。

 ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)サトクリフ・オリジナル4 トロイアの黒い船団(原書房.2001.278p.1800円+税 Rosemary Sutcliff "BLACK SHIPS BEFORE TROY",1993)[Amazon][bk-1]読了。表紙にはさらに、「ギリシア神話の物語・上」とついている。アラン・リーの挿画がとてもうつくしい。

 ホメロスの『イーリアス』をもとにしてサトクリフが若い読者向けに書いた物語、と解説に記してあります。『イーリアス』を読んだことはないのですが、そうとうコンパクトにまとめてあるのではなかろうか。やはり解説には、名場面とされていることろはきちんと描かれていると書いてありますが、いくら名場面でも名場面ばかりでは疲れるのです。たぶんこの本は、一章一章をていねいに味わいつつ、挿画を堪能しつつ読むべき本で、期限に追われてせかせかと読んではいけないのですね。しかも、細切れ読み。最低な条件でした。

 それにしても、ギリシア神話の話は神さまが勝手なんですよねー。というか、ギリシア人はなんでも神さまのせいにしていたといった方がいいのか。それから私情で他国を侵略しようとする王様たちについていく人たちも大変。だいたいこの戦は、トロイアの王子パリスがギリシアの王妃と駆け落ちしたのが発端なわけで、こんな理由で戦争を始められてはたまらないよなーと、思うのでありました。しかも、パリスのことごとくに無責任な様子に、惚れていっしょに逃げたはずのヘレネが愛想を尽かしてしまって、まったくどうしようもないのです。こんな男のために悲劇がつぎつぎに生まれていくなんて、納得いかないなー。
 もともとの話がそうなので、しかたないといえばしかたない読後感ですね。もっとひとつのエピソードを深く掘り下げた物語を読みたかったような感じでした。

ペースが落ちる 2001.11.13(火)

 仕事です。毎日きちんと働きつつ、本を読み、なおかつサイトを運営されている方を尊敬します。私には不可能だ。

 サトクリフの『トロイアの黒い船団』[Amazon][bk-1]読んでます。群像劇というのか。細切れ読みだとものすごくわかりにくい。ギリシアの名前がまた、判別つけにくくて。読んでいるっていうより、アラン・リーの挿画を楽しんでいるという感じ。ジョーン・エイキン作の絵本『月のしかえし』[Amazon][bk-1]の絵は、とても好きです。こういう本こそ、書影を載せたいのですが…。どこにもないじゃん。

 2001.11.12(月)

 上橋菜穂子虚空の旅人(偕成社.2001.358p.1500円+税)[Amazon][bk-1]読了。豊饒な世界が堪能できる読み応えのある異世界ファンタジー。

 サンガル王国は王家と、王家の女をめとった島守りたちとが力を合わせて築いてきた、商業と海産物の国だ。
 年明け、ヤルターシ海にサンタライが産卵にやってきた。漁師たちがサンタライを焼いての大宴会を楽しんでいた夜、カルシュ島の島守りアドルは謀反をそそのかす異国の客人と会っていた。アドルの妻カリーナはサンガル王の長女だが、アドルはつねに王家を第一に考える妻に不満があった。いまも、カリーナは新王即位の儀のために王宮へ一足先に出かけていた。彼は他の島守りたちにも声をかけ、反王家の輪はひそかにひろがりつつあった。
 密会は〈ナユーグル・ライタの目〉が出たという知らせに中断される。ヤルターシ海の底にあるという異世界の住人ナユーグル・ライタの民に魂を吸い取られた少女は、習わしに従って島守りがサンガル王の王宮へとつれていかねばならない。呪術の心得があるというアドルの客は〈ナユーグル・ライタの目〉となった少女に興味を示す。
 新王の即位の儀をひかえた王宮には、各国の要人たちがつぎつぎに訪れていた。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、相談役のシュガとともに帝の名代としてやってきた。

 あらすじを書くのに一時間費やしてしまった。なのにラッシャローのけなげな女の子スリナァのことが抜けてる。すみません〜。
 「守人」シリーズではどちらかというとお荷物的な存在だった、新ヨゴ皇国皇太子のチャグム君の成長とサンガル王家の姉弟との友情と、サンガル王国にのびる南の大国からの魔の手と、サンガル王国国内の統治システムと個性的な文化風俗と、海の底の異世界ナユーグルと現実とが重なる幻想と。
 この一冊になんといろいろな要素がつめこまれていることか。つめこまれているという言い方はあんまりよくないですね。とにかく、濃密です。読んでいるあいだはあっという間だったんですが、説明しようとするそばからどんどんこぼれ落ちていく感じです。

 「守人」シリーズの番外編みたいな紹介のされ方をしていたのを見た記憶があるんですが、もしかして、これって「旅人」シリーズの開幕なんじゃないかと思ってしまいましたよ。タルシュ帝国の侵攻とか、近隣諸国の王様たちとのやりとりとか、サンガルの王女サルーナとの関係とか、いろいろ気になることが残っているので。バルサがチャグムの追想の中にしか出てこないのは寂しいですけどねー。個人的にはとくに生命の輝き豊かな海底の描写が印象深かったです。

読んでいる 2001.11.11(日)

 個人的図書館本読書推進週間。現在は上橋菜穂子『虚空の旅人』[Amazon][bk-1]を読書中。
 残りはあれとあれとそれとこれと…考えないようにしよう。

 2001.11.10(土)

 芝田勝茂サラシナ(あかね書房.2001.318p.1400円+税)[Amazon][bk-1]読了。中学生の少女が奈良時代にタイムスリップするファンタジー。カバーと挿絵は佐竹美保。

 とつぜんガーデニングに目覚めた両親につきあって園芸店でサキが選んだのは、ひょうたんの種だった。幼稚園に通っていた頃の楽しかった思い出にでてくるひょうたん。サキは母親に眉をひそめられながらもひょうたんを育てた。ところが、一株だけ残してあったひょうたんのつるを、誤って切り落としてしまった。思いもかけず、ショックに打ちのめされるサキ。しかし、ひょうたんはサキの夢の中で育ちつづけた。夢の中では時間が経つのが速いのか、梅雨入りの頃、夢のひょうたんは実を結び、サキは中身を加工して部屋に飾った。もう、ひょうたんの夢は終わるのだろうと思っていたある朝、めざめる直前の一瞬に、ふしぎな感覚がサキにもたらされた。ひょうたんの匂いとともにやってきたそれは、物語がほんとうになる瞬間。サキはひょうたんをてにとり、そして飛んでいた。

 ながながと書いてしまいましたが…ネタバレになっては、いないよね(おそるおそる)。
 で、飛んでいった先が奈良時代だった、というわけなのですが。その時代が、先日読んだ森真沙子『青衣童子』のすぐあとだったりするので、なんとなくつづきのような気分になって変な感じでした。お話のテーマも雰囲気もまったく違う(対象年齢も違う。こちらは児童向けだし)のですが、舞台がおなじだというだけで混乱する私って。
 基本的には恋する少女の「あいたい」という気持ちに支えられているファンタジー。厳しい現実も書かれているのに、どこかほのぼのとした雰囲気なのは、ひょうたんのおかげでしょうか。おもしろかったです。匂いとか、蝉の声の描写とかが印象に残りました。
 日本の古典には無知な私なのに、読んでいる途中で「なんかこんな話を読んだことがあるような…」と感じた理由は、荻原規子『薄紅天女』[Amazon][bk-1]とモチーフがおなじだったせいでした。とうぜん、違う作家の書くものですので、味わいはまったく異なりますが。そういえば、物語の中の竹姫本人はどういう存在だったんでしょうかね。

 おなじ著者の本はずーっと以前に『ドーム群ものがたり』『虹へのさすらいの旅』(二冊とも福音館書店だったとおもう。たぶん絶版)を読んだことがあるんですけど、あのころ私は翻訳ものの中世風ファンタジーに夢中だったので、あんまりぴんとこなかったんですよねー。読む人の心の環境はそのときどきによって違うから、ぴったりの時期にぴったりの本に出会えることは貴重だなと思います。この本は中学生あたりで読めたらうれしかったかも。

 2001.11.9(金)

 伊藤遊えんの松原(福音館書店.2001.408p.1500円+税)[Amazon][bk-1]読了。平安朝を舞台にした児童文学ファンタジー。

 平安時代。藤原氏が権勢を誇り、その影でたくさんのものたちが恨みとともに消えていった。都は栄華をきわめてはいたが、疫病や災厄は後を絶たず、すべては藤原氏を祟る怨霊たちの仕業だとおそれられていた。
 内裏の伴内侍に仕える女童・音羽は、じつは音羽丸という少年である。叔母が迎えに来るまでという約束で女童として伴内侍に仕えている。三種の神器のひとつ神鏡をまもる温明殿がかれのいるところだが、もちろん、音羽はその中身を見たことはないし、見てはいけないときつく言い渡されている。
 ところがある夜、皆が夕餉をとりにでていった殿舎に、だれかが忍び込んだ。水くみをしていて取り残されていた音羽が、好奇心に負けて賢所へ踏み込むと、小さな女の子がこちらを見ていた。いや、音羽の前にいたのは、女ではなく、男の子だった。しかも、音羽が女装していることも見抜かれてしまう。憲平と名乗った少年と音羽が神鏡をもちあげようとしたとき、厳しい声とともにやってきたのは伴内侍だった。音羽を激しく叱責する伴内侍だったが、「憲平」の名を聞いて顔色を変える。それは、生まれたときから怨霊の祟りに苛まれつづけている当代の東宮の名前だったのだ。

 『鬼の橋』[Amazon][bk-1]で第三回児童文学ファンタジー大賞を受賞した著者の、二冊目の単行本。
 前作は小野篁を主人公にした平安朝幻想物語でした。
 今回は舞台はおなじ平安朝でも主役は女装の美少年・音羽。そして病弱な憲平親王。さらにあやしい僧、阿闍梨。ものがたりは内裏のなかにある不吉な「えんの松原」に集う怨霊たちの存在を描きつつ、憲平に祟るものの正体をめぐって、進んでいきます。
 児童文学らしく、怨霊たちのおどろおどろしさにはちょっとものたりないところもありますが、少年たちの成長に重きをおいた簡潔な描写で、ひとびとの立場、関係をそれぞれきちんと書いてあるのでけっこうおもしろかったです。
 「怨霊に祟られる世の中は不幸だけれど、怨霊を見ることのできない世の中はどうなのだろう」という問いかけには、なるほどと思わされました。すべてが自分だけで完結した世界で暮らしていると、そういうことになるんだろうなー。
 音羽の監督責任者で保護者の伴内侍が、筋の通った大人として物語をひきしめてます。
 憲平を祟っていたものの正体が、あんまり平安朝っぽくないような気がしましたが、ま、いいか。

 この道具立てで、対象年齢を上げて艶っぽく書いたらちょっと楽しいんじゃないかなと、よこしまな想像をしてしまいました。音羽は美少年なのに、そういう描写が少ないんだもの。児童向けだから仕方ないんでしょうけど、もったいない。

試練の時 2001.11.8(木)

 図書館にはけっこう予約を入れてます。用意されるまでに時間がかかるので、自分ではいったい何冊分予約しているのか把握できない状態になっていたりする。
 だいたい二、三冊前後くらいずつでしょうか、手元にやってくるのは。一度に六冊、期限は二週間という貸し出し条件の中で、このくらいのペースを保つ程度になる想定で予約を入れているつもりなのですが、きちんと把握していないから突然しっぺ返しにあうこともあり得るわけで。
 今日は、その日でした。
 きっかり六冊、用意されてたんですよねー。はうう。
 三冊借りたままの私のカードに、家族のカードを追加して、なんとか六冊持ち帰りましたが。
 えーと。全部で九冊。読めるんかいな、これ全部。読みたくて予約を入れたのに、非常に困った状況に…(汗)。

 なのにこれだけ、また買ってきてしまいました。
 『死神〜』は友人がすすめてくれたので。「クリセニアン年代記」は、これを入れてあと二冊で終わりだというので(終わらなかったら、もうやめようと思っていたのだが)。どちらも図書巻本を片づけてから読もうと決めました(とうぜんか)。

逃避行動 2001.11.7(水)

 突然の寒さにストーブを出しました。そんでカーディガンを着て、足にはレッグウォーマー。つい先日まで夏のなごりを着つづけていたというのに。昨日は暑かったのになー。

 突然、仕事がやってきて、それまでだらだらと読んでいた本を無性に「今」読みたくなってくる。
 学校に通っていたときは、定期テストの前になるとやたら分厚いハードカバー本に手を出したりしたものです。ふだんは面倒くさいと思っていることでも、せねばならないことと比べるととたんに魅力的に思えてくるんですよねー。ちっとも成長してないな。

 野阿梓ソドムの林檎(早川書房.2001.286p.1800円+税)[Amazon][bk-1]読了。未来を舞台にしたSF作品集。主役はテロリスト。カバー折り返しには「危険なテロ小説集」と銘打ってあります。

 野阿梓といえば、難解。上梓された本は何冊も読んでいますが、どの本もちゃんと理解できたという気分になったことがありません。語彙の豊富な華麗な文体と、登場人物の危険な魅力に誘われて、熱に浮かされたように読むのですが、読み終えると「はて?」となってしまう。私の頭は単細胞なんで、複雑なほのめかしとか、象徴とか、仕掛けとかは、リアルタイムで意識できないのです。あとでなにかのおりに「解説」みたいなものを目にしたとして、そのときには読んだ記憶の方が薄れているし。(理解していないから、印象しか残らないのです)
 『銀河赤道祭』(ハヤカワ文庫JA・絶版)という本がありましたが、あれはその中の最たるものでした。はっきりいって、あの本を読んでいて私は真剣に気分が悪くなった。不快、というのではなくて、生理現象として気持ち悪くなったのです。おなじような思いをした本には、長野まゆみの『テレヴィジョン・シティ』(上[Amazon][bk-1]・下[Amazon][bk-1])があります。いま考えると、あれは悪酔いのようなものなのかなあと思いますが、消化しきれないイメージに体がついていかなかった、ような気がする。頭が異様に興奮して、夜眠れなくなってしまったことを覚えています。
 そんな思いをしてもまた他の本にも手を出してしまうあたり、野阿梓と長野まゆみは私にとっては似た位置にいる作家なのかも知れない。

 という作家なので、いつも読む前には心構えをしているのですが。
 この本は、なんと、わかりやすいではないですか。
 ストーリーが直線的で、ふつうにSFを読んでいる気分がふつふつと(?)しました。
 文章も華麗という方向ではなくて、鋭さを感じる方向にシフトしている気がする。あいかわらず、どうしたらこんな言葉を血肉にできるのか、というような知らない熟語がちりばめられていて、漢字なのでなんとなく意味はとれるんだけど、いまいち曖昧という意味で、幻想的な印象もあるのですが、基本的に装飾的な文章が少なくて、シャープ。切れ味鋭い鋼鉄のナイフの輝きみたいです。

 「ブレイン・キッズ」と「夜舞(やまい)」は、遠い宇宙のある星を舞台にした話。とはいえ、現実の国をイメージモデルにしているのではないかなと思える部分はかなりあります。簡単にいってしまえば、テロリストと少年の交流の物語。
 表題作の「ソドムの林檎」はヒロイン姉川孤悲がひとりでアンタッチャブルをやっているような、派手なアクションと破壊のスピード感のあるストーリー。『バベルの薫り』(上[Amazon][bk-1]・下[Amazon][bk-1])の前日譚、のようです。例によって忘れているので、どこが繋がっているかわかりませんでしたが。たしか、ジョージクという少年には見覚えある気がするんだけど。
 獰猛な肉食獣のような孤悲に圧倒されるおっさんたちがかなりおかしい。
 性愛描写はかなり減っていますが、あることはあるので、気になる人は読まない方がいいと思います。

「ソードフィッシュ」 2001.11.6(火)

 友人と映画を観てきました。
 観たのは「ソードフィッシュ」。選択にとりたてての理由があったわけではなく(いつもそうだけど)、むしろ「今度一緒に映画を観ようね」という約束を果たすために行ったという感じ。
 最初のシーンではかなりびっくりしました。映像的にはけっこうおもしろかったし、展開もスピード感があって、ダレたりはしませんでしたが、見終わったあとで「なんだったんだ、けっきょく」という印象の残る映画でした。
 昼食をとりながら、友人といろいろと話したけど、「よくわからん」という結論に達しただけ。すべてのシーンが理解できたら、納得できるのかしら。
 始めの方で白い字幕が白い画面に入れてあって、台詞の読めないシーンがけっこうつづいたのは、仕掛けとは関係ないでしょうね?
 車もビルもヘリコプターも人も、どんどん壊れていくのですが、こういう映画はこれから少なくなるのかも知れないなと思いました。しかも、ストーリーがテロがらみ。

 ジョン・トラボルタの顎から頸にかけてのお肉が、気になって仕方なかったです。なんだか、見るたびに目が小さくなっていくような気がするな。肉に埋もれて。

やっほー 2001.11.4(日)

 ようやく美容院に行けました。
 すっきりしたー。
 これで帽子でごまかさなくとも、外を歩けるぞ(笑)。

 野梨原花南ちょー海賊(集英社コバルト文庫.1999.196.400円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジーコメディー「ちょー」シリーズ、七冊目。『ちょーテンペスト』のつづき。

 サリタの裏切りに呼応するかのように得体の知れない力の干渉を受けて、散り散りになってしまったジオラルド一家。その裏にはレフーラ王国を牛耳る宰相ユーナーンの姿が見え隠れしていた。砂漠でさまよっているうちに奴隷として売られてしまったジオラルドは、セルネアという麻薬の中毒を起こしていたところを、レフーラ王国の王女オリヴィアに仕えるロビンに助けられ、海賊船に乗せられた。

 美容院にハードカバーを持参するのは骨なので、こちらを持っていきました。
 前の巻も読みにくかったんだけど、これもおなじような感じでつづいておりますね。エピソードが細切れのせいなのか、頭がなかなかついていきません。中近東っぽい舞台背景は、なかなか好きです。いつもの舞台より、雰囲気があるような気がする。
 海賊たちがなかなかいい味だしているので、そこは明るくてよかったんですが。コーイヌール号の船長アルマースの女心のゆれるさまは、のちの展開を予想させてちょっとばかり可哀想。

iTunesを使ってみる 2001.11.1(木)

 iMacにせっかくついてきているのに、いままでほとんど活用していなかったiTunesですが、iPodの記事をみたのをきっかけに、「使ってみようか」と思い始めました。
 で、月曜日にこばやしゆたか『iTunesっぽい生活』[Amazon][bk-1]という本を購入してみたわけです。CDを聴けるのは知ってるけど、それ以上のことを自分で調べるのが億劫だったので。
 読みながら、iMacをいじって、手持ちのCDを読み込んでみたりして、なるほどーと思いましたが、やっぱり、日常的に使用しているPowerBookのほうにこそ、インストールしておきたいソフトだなと、実感しました。しかし、パワーもハードディスクも力不足なんですよねー。

 でも、やってみないで諦めるよりはと、PowerBookへのインストールを敢行しました。
 まず始めにするべきは、MacOSのアップデート。バージョン9.04以上でないとインストールできない(推奨9.1以上)のに、リストアを何度も経験するうちにアップデートをするのが面倒になって、9.0のまんま放置してあったので。
 アップルのサイトからアップデータをダウンロードし、機能拡張を出荷時のものに元に戻して、再起動。アップデータをインストールして再起動。機能拡張を元に戻して、再起動。
 iTunesのデータをダウンロード。これは、アップルのiTunesページからもできますが、今回はiDiskから落としてきました。そしてインストール。
 環境が変わったことによるトラブルは、今回は起きなかったようです。あーよかった。

 アイコンをダブルクリックして起動させてみました。当然のことながら、サンプルデータはないので、使用するためには自分でデータを読み込まなければなりません。iTunesは、CDを認識するとインターネットに接続し、「CDDB」というところからデータを調べてきて表示してくれるのだそうで、本には「初めはなるべく有名なタイトルのオーディオCDを選んでみよう」と記述されております。iMacのときには、有名どころと念じてコアーズの『in blue』[Amazon]を入れてみましたが、今度はちょっとマイナーなロリーナ・マッケニットの『the mask and mirror』[Amazon]。でも、心配は無用。ちゃんとタイトル名も曲名もちゃんと表示されました。(英語でない文字は半角の四角でしたが。CCDBは英語圏のサービスで、他言語は使えないので、日本のタイトルはローマ字表記になっているそうだ)

 オーディオCDからMP3データをつくることを「リッピング」というらしいです。初めて目にする言葉だ。パソコン歴はけっこう長いけど、いままで音楽関係は疎かったからなあ。感心しつつ、「読み込み」ボタンを押して、リッピング。これだけで終わり。あとはMacがデータを変換しながらCDを演奏するのを聞く。iMacのときは4.xとかの速度だったのですが、PowerBookは2.x。とろいです、やはり。後に判明したのは、演奏と同時にほかの動作もさせようとすると、ときどき演奏が止まる、ってこと。
 音質は、作業中のBGMとしてなら、これで充分だと思いました。データ量は、全八曲、52:47で60.5MB。やっぱり、大量に読み込んでとっかえひっかえは、無理みたいですね、このマシンでは。ハードディスクが4GBだもん(泣)。

 ロリーナ・マッケニットを久々に聴いたので、ついでにAmazonで検索をしてみたところ、またも買っていないアルバムがけっこうあることが判明。ネットですぐに情報が得られるのも、ちょっと考えものかも。欲しいものばかりが増えてしまいます。

 新潮社のPR誌『波』11月号の「十二月刊行予定の本」の中に、プルマンの「ライラの冒険」シリーズの第三巻『琥珀の望遠鏡』が入ってました。たのしみ。私が読めるのは来年の三月くらいかなあ。

 篠田真由美聖杯伝説(徳間デュアル文庫.2001.186p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。星々の荒野に滅んでゆく伝説が哀しい、SF中編二編を収録。

 辺境の遺跡の惑星ヴァルカに、ひとりシーズンだけのガイドとして暮らすヨギ。かれはここで孤独な生活をすでに何十年も過ごしていた。そこに突然訪れた中央からの客は、季節はずれのしかも許可されていない個人の旅行者だ。その目的は、いったいなにか? それまで相手にしてきた旅行者たちとは異なる男に、ヨギはペースを乱され、不安になる。男は言う。「物語の結末を探している」。男の言葉は、ヨギのうちにひそんでいた記憶をゆさぶり始める。

 「ヴァルカ」「母星」というふたつの中編からなる、ひとつのものがたり。
 暗黒期を経てふるさとを見失った人類が、あらたに中央文明と呼ばれる興隆期に入った時代を舞台にした、壮大な宇宙SF。
 といっても、描かれるのは星間戦争のサバイバルなどではなく、強大な文明にのみこまれ、消えてゆく、辺境の星々への哀歌のような、繊細なものがたりです。
 有里さんが書いてらっしゃいますが、私も読んでいて萩尾望都の『銀の三角』などが思い出されました。琵琶のような弦楽器を手にする、シンドゥの歌語りや、中央の住民管理や、チップを埋め込まれてクローンで再生するなどの道具立ての他にも、《物語》を求める話全体の雰囲気なども。
 シンドゥに伝わる「光の泉を求める十三人の勇者」が、とても伝説らしくて魅力的。
 こういう感じのSFって、最近読まなかったので、とても新鮮でした。
 今まで読んだ篠田真由美の本の中で、一番好きかも知れないです。カバーと口絵は水樹和佳子。


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