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2001年6月後半のdiary

最新の日記インデックス
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2001.6.16 さぼっていたような気分/『ドラゴンの眼 上』
2001.6.17 /『ドラゴンの眼 下』
2001.6.21 週の前半
2001.6.22 絶版ばかり/『銀のキス』
2001.6.23 /『スタジアム 虹の事件簿』
2001.6.24 高湿度/『閉じたる男の抱く花は』
2001.6.25 寒冷前線のむこう側/『天帝妖狐』
2001.6.26 あこがれの品々/『鏡 ゴースト・ストーリー』
2001.6.27 今日も真夏日。
2001.6.28 オールスターファン投票をする/『開かれぬ鍵 抜かれぬ剣 上 足のない獅子』
2001.6.29 かゆくて眠れない
2001.6.30 ひといき
ひといき 2001.6.30(土)

 ちょっとだけ、涼しくなった。ほっ。
 湿度が高いので、室内にこもった熱気を追い出すのが大変です。
 日記をぼんやりながめて、誤字を訂正。
 もう少し建設的なことはできないものだろうか。
 伊東京一『BIOME 深緑の魔女』を読み始めました。

かゆくて眠れない 2001.6.29(金)

 毎年、この時期になると眼がかゆくなります。
 なにが原因だかわからないけど、とにかくかゆくて、思わずこすりすぎ、腫れぼったくなってしまいます。アレルギーかなと思ったりしますが、この時期だけにとくにアレルゲンとなりそうなものって、なにかありますかね?

 突如真夏のような暑さがやってきたので、たぶん身体が追いついていないのでしょうけど、ここ数日汗まみれで暮らしています。
 汗をかくとイヤなのは、べたつくこと、それとかゆいことです。
 とくに頸周りはひどくて、毎年あせもになってしまいます。いろんな条件がかさなり、このあたりの皮膚がとくに弱くなっているせいだと理解していますが、わかったところでかゆみはおさまったりしません。
 寝苦しい夜は汗のにじむ夜でもあるため、バリバリとかきむしりたいという欲望と戦うためさらに眠りが浅くなりがち。

 眼のかゆみと、肌のかゆみは、いつもならべつべつの波としてやってきたはずなのに、なぜか今年は手を携えてやってきました。かゆみ同士仲良くなったとでもいうのでしょうか。まったく嬉しくありません。
 せめて、はやいとこ眼のかゆみだけでもおさまってくれー。

オールスターファン投票をする 2001.6.28(木)

 ゆうべはなかなか寝つかれず、輾転反側して、布団のまだつめたいところを探しつづけました。
 暑さに耐えかねてとうとう窓をほんの少しあけたのですが、そしたら今度は反対から風呂場の湿気がどっと押し寄せてきて、死ぬかと思った。
 どうして湿度が高いと関節は痛むのでしょうね。
 炎症を起こして熱を持ち、ねちねちと痛むので、身体はよけいにあつくなるし。

 しようしようと思いつつ、毎日忘れていた「2001サンヨーオールスターゲーム」のファン投票にようやく一票を入れる。
 今年は、メジャリーグのオールスターファン投票の話題が毎日のようにニュースで流れるせいで、すっかり影が薄くなっているのですが、新聞に載った中間発表をみて、これはいかんと思っていたのです。
 できるだけ、今活躍している選手を選ぼうとしましたが、けっこうポジションが重なっているので悩みました。そういうときは私情がかなり交じってしまうのですが、まあ、いいか。球団が申告した選手は名前を選べばいいのですが、そのほかは自分で入力しなくてはならないので、それもちょっと面倒。
 写真の顔ぶれを見ていると、期待に応えているかどうかが一目瞭然です。横浜の先発投手はほとんど一軍に残っていません(T.T)。そういえば、今回、中継ぎ投手の投票欄というのがあるのですね。ちょっと驚いた。
 投票は六月いっぱいまでです。

 駒崎優開かれぬ鍵 抜かれぬ剣 上 足のない獅子(講談社X文庫ホワイトハート.2001.226p.530円+税)[Amazon][bk-1]読了。中世イングランドを舞台にした…うーん、ミステリのような冒険活劇のような、そんなシリーズの八作目の上巻。『狼と銀の羊 足のない獅子』のつづき。

 ブラッドフィールドの隣ストックブリッジに所領を持つベインズは、権力志向の強さと他を省みない自分勝手さ、人を人とも思わぬ傲岸さで、近隣の嫌われ者だ。そのベインズが高潔さと融通のきかなさで知られたシェフィールドの執行長官モートンと決定的にことを構えるにいたったのは、自分の事業のために無理難題をふっかけたせいだった。
 リチャードとギルバートは、ベインズはけして正面から攻めては来ないから気をつけるようにモートンに注進に行くが、公正明大な執行長官はかれらの意見に耳を貸さない。そのころ、シェフィールドには国王の血縁であるコーンウォール伯の先触れサー・ウエイドと、ローマ教皇の遣いであるというランドルフが、ブラッドフィールドには二人の小姓をつとめるトビーの伯父と名乗る人物と、旅の途中で病に倒れたという騎士たちが訪れてきた。

 なんて錯綜した展開なのでしょうー。
 導入部だけと思ったあらすじ紹介がちっともまとまりません。
 全部読んでからならもう少し書きやすいのでしょうが、下巻はまだ当分読めそうもありません。
 このシリーズも最終話ということで、いろんな懸案に決着をつけようともりこんでいるのでしょうけどね。
 なかなかお姿を拝見できないコーンウォール伯とやらは、いったいどんな御仁なのでしょう。かれがこの混乱状態に光明をもたらす存在となるのか、興味津々です。
 アンジェラおばあさまも出てきたし、トビーの出番も多くて、うれしかった。

・著者ご本人のサイト「楽園貴族
 シリーズキャラクターの裏話やおすすめ本などが載っています。個人的にはサトクリフの『王のしるし』を推薦してくれているのがうれしいです。

今日も真夏日。 2001.6.27(水)

 とても暑いのでやめようかとも思ったけど、今週も行かないと全部が延滞一週間以上になってしまうので、図書館へ。荷物が重いため、日傘を断念し、帽子をかぶって外出。
 予約本は三冊が到着していた。
 ひさしぶりに『週刊ベースボール』を見て、「札幌ドームは大仏殿をイメージした」という設計者の発言を知る。そ、そうなのか…。
 『SFマガジン』の書籍レビューと京極夏彦インタビューをながめる。
 七月に久美沙織のドラゴンファームシリーズがハヤカワ文庫で出るらしい。題名がちがうので(忘れた…「竜使いの紋章」とかいうのだったと思うが)内容もちがうのか、あるいは改題したのか、知りたいところです。あと、清原なつのの『アレックス・タイムトラベル』も出るそうだが、収録作のどれを読んで、どれを読んでいないかでまた悩みそうな予感がする…。

 本屋の新刊平積みコーナーで『千年医師物語(たしか)』(たしか角川文庫)とかいう本に視線が吸い寄せられる。教養文庫みたいな歴史読み物かと思ったけど、どうやらちがう、大河娯楽小説。手に取ってみたら、まだ続刊がたくさんあるらしいので、図書館で借りてみようかと頭にメモ。
 そういえば、『ラプソディ』の上巻をようやく読み始めたので、下巻を買っておこうかと思ったのですが、小さい本屋にはなかった。

 なるべく体力を消耗しないように気をつけながら、帰宅。
 いつもより三十分早かった。
 でも、へろへろ。

 あとで早川書房のサイトを見たのですが、ドラゴンファームの題名は『竜飼いの紋章』でした…。うーむ(^_^;)

あこがれの品々 2001.6.26(火)

 数週間前にカタログハウスから『ピカイチ事典』が届きました。
 これを眺めながら夢想するのが、毎年この時期の恒例となっています。
 私は物に恋をすることが多いのですが、『ピカイチ事典』はあこがれの品々の宝庫なのでした。
 何年も思いつづけて未だ手にすることのない品々は、これからも手にすることはなかろうと思われる夢のごとき存在です。なにも目の玉が飛び出るような高額な商品ではないのですが、手近にそれなりに使える安い代替品があると、実際の行動にうつるまでに動機をつよめるのはけっこう難しい。
 つまりそれほど生活にとって必要不可欠な品ではない、ということなんですが。

 ちなみに片思い歴の一番長いのは、リボ社のバランスチェア。中学生の頃からあこがれています。つぎはバイオライト(もしくはバイオラクソ)。これは高校の頃から。BOSEのウェーブレディオなんかも長いですねー。これで野球中継ばかりを聴こうというのだから、購入意欲に向かわないのも仕方ないと思えますが(^_^;)。
 どれも『ピカイチ事典』を知るまえからあこがれている物ですが、『ピカイチ事典』のおかげでその価値を再確認した気持ちで、さらにあこがれ度が高まりました。

 例年どおりなら、しばらく眺めつづけたあとで潮が引くように興味がうすれ、なにかの折りに思い出しては、「手元にあるとうれしいよなあ」とため息をつくというパターンに落ち着く予定。

 スーザン・クーパー、等(角野栄子、市河紀子共訳)鏡 ゴースト・ストーリー(偕成社.1999.222p.1400円+税 Susan Cooper,Eiko Kadono,Margaret Mahy,Charles Mungoshi,Uri Orlev,Kit Pearson "FINGERS ON THE BACK OF THE NECK And others Ghost Stories",1996)[Amazon][bk-1]読了。1996年にIBBY(国際児童図書評議会)世界大会のために一国一作家、対象年齢十二歳のホラー短編集として出版されたアンソロジーから五編を選んだもの。

スーザン・クーパー「幽霊の話」
 「闇の戦い」シリーズ(評論社)で有名なイギリスの作家。都会から郊外へ引っ越した少年が幽霊と出会う話。最後に救いあり。

角野栄子「鏡」
 『魔女の宅急便』が有名な童話作家。
 検査のせいで半分閉所恐怖症になっている私には悪夢のような話でした。鏡の向こうの存在に対する合理的な説明がないのでよけいに気持ち悪かった。

マーガレット・マーヒー「首すじにおかれた指」
 オーストラリアの作家。岩波書店からたくさんの邦訳あり。
 罪人が悪夢に苦しむ話。因果応報。

チャールズ・ムンゴシ「山」
 ジンバブエの人々の八割が使用するショナ語か英語で書く、ジンバブエの作家。
 アフリカの民話をモチーフに書くことも多いと、巻末の紹介文に書いてあるとおり、民族的な記憶に根ざした恐怖の話。この少年たちが夜中にバス停をめざしている理由がわからないのも、気味が悪い。

ウリ・オルレブ「クジラの歌」
 ワルシャワ生まれのユダヤ人作家。ホロコーストの体験を描いた自伝的な作品を発表しているらしい。
 夢の中に人を連れていくことのできる能力を持った祖父と孫の話。ふたりの出かける夢の世界がなんなのかがミソ。
 この本の中で一番ファンタジー色のつよい話だとおもう。まわりの人間関係がぼかして書いてあるぶん、いろいろと深読みしてしまう。

キット・ピアスン「眼」
 カナダのエドモントン生まれの作家。
 繊細な少女が気味の悪い人形と出会う話。

 児童むけとはいいながら、後味のよい物ばかりでないのがちょっと意外でした。心から好きといえるような作品はなかったけど、「クジラの歌」の雰囲気は気になりました。

寒冷前線のむこう側 2001.6.25(月)

 暑い、というより、蒸し暑い。
 昨日の湿度をそのままに、気温だけぐんと上昇。毛穴からつねに汗がにじんでいるような状態で、かなり不快です。
 しかし、こんな状態でも梅雨が明ければ、「あのころの方が涼しくてよかった」と懐かしく思うことが予想されるので、ここでへたばったら思うつぼ(ダレの?)だと、気を取り直して生きてます。
 天気予報の気圧配置図を見て、寒冷前線の位置に一喜一憂する日々。
 寒冷前線の北側は、夏の私のあこがれの土地です。

 乙一天帝妖狐(集英社ジャンプJブックス.1998.230p.762円+税)[Amazon][bk-1]読了。ちょっと変わったホラー短編をふたつ収録。

「A MASKED BALL −及びトイレのタバコさんの出現と消失−」
 は、高校のひとけのないトイレの個室の壁で交わされる、奇妙な伝言形式の会話が、奇怪な出来事へと発展する、学校の怪談のようなお話。
「天帝妖狐」
 は、少年時代、コックリさんに自分の体をすこしずつでも与えることを代償に解放された男の話。
 二作とも先の読めない、奇妙な味わいの怪談でありました。ちっとも怖くはないのですが、後をひく読後感。とくに「天帝妖狐」は、題名から受けるイメージとはまるで違う話になっていて、著者独特の感性が新鮮でした。
 とてもおもしろかったです。

高湿度 2001.6.24(日)

 ぐんぐんと湿度が上がってきましたねー。
 これから十月まで、不快な季節がつづくのかー。
 食欲が落ちて、朝は低血圧気味です。しかも、寝冷えのせいで風邪気味。まだ、梅雨も明けていないのにこのていたらくでは先が思いやられます。どうして日本の夏ってこんなに湿度が高いの…。
 せめてなにか「スカッ」とするようなコトがないですかねえ。一試合三併殺打なんて、反対の極み。

 図子慧閉じたる男の抱く花は(講談社.2001.366p.1700円+税)[Amazon][bk-1]読了。

 大学の謝恩会の夜。殺人事件のせいで検問がしかれ、ごった返す通りで、本荘祈紗は若い男に会った。泥酔した友人西田をたすけるふりをして言い寄る男は、きれいだが危険な雰囲気を漂わせていた。祈紗の警戒に気づいた男は、隠し持っていた銃をかすかに見せる。
 「もしかして、さっきの事件……」「そういうこと」
 西田を人質に取られた祈紗は、暴力的な男タキの言いなりに横浜までつかいに行かされる。そこで彼女に包みを手渡したのは、整った顔のきまじめそうな若い男だった。「天利」という表札のかかったその邸宅を逃げるように出た祈紗。待ちかまえていたタキは彼女をホテルに連れ込んだ。

 暴力的な男と繊細で紳士的な男、ふたりのあいだでゆれうごく女。それに国会議員の殺人事件と華道家元の内紛がからみ、暗く艶っぽいトーンで話は進んでいきます。
 とてもいろいろな要素を含んでいて、ジャンルに振り分けようとすると困るのが著者の作品のつねなのですが、この作品もバイオレンスやミステリのにおいを漂わせつつ、根本は恋愛小説なのではないかと思いました。
 他人の心はわからない。それでも理解できない他人を愛してしまう、孤独な人間の哀しみをせつなく描いています。
 輪郭がくっきりとしていて、容易に他者に中に踏み込ませない、殻のある人物描写がリアル。
 旧作『ガール』の雰囲気に似ているような気がします。図子慧作品ではこの『ガール』が一番好きなのですが、ずいぶん前の作品なので、もちろん、作品としての深みなどはこちらのほうがずっと上です。

 霜月書房の「最近のおすすめ」の棚に入れるに当たり、eSBooks!で検索してみたんですけど、分類が「ミステリー/男性作家」。?。
 ミステリーとして読むと、なんかはぐらかされたような気分になる話です。タキの存在を過大評価していると、結末が拍子抜けだし。ジャンル分けに悩まされるのは、こういうところ、なんですね。起きている事件は物語にとってというより、登場人物にとって重要な出来事という感じでおりこまれていて、ジャンル小説としてはいまひとつ、インパクトに欠けるので、やはり恋愛小説として読んだ方がいいと思う。そうすれば、もうすこし登場人物を等身大で見られるような気がします。

 ラスト、哀しいのはわかるけど、祈紗はいいとこどりでずるい、と思ってしまった。私は佐宗さんの方が好きです。

 2001.6.23(土)

 青井夏海スタジアム 虹の事件簿(創元推理文庫.2001.324p.620円+税)[Amazon][bk-1]読了。野球ミステリ連作短編集。

 亡き夫の跡を継いで東海レインボーズのオーナーになった虹森多佳子。超弩級の野球音痴で、場違いなほど優雅ないでたちでスタジアムにあらわれ、おっとりと一般席で観戦しつづける彼女が、スタンドでくりひろげられる事件の一部を見聞きしただけで、全容を推理する、安楽椅子探偵方式の連作短編集。

 野球がすきでミステリがすきな著者が、自費出版物として刊行した作品集を、文庫化したもの。

 ひとつの事件につき試合がひとつ、対応しています。登場人物はばらばらで、シリーズ通して登場するのは、謎のオーナー虹森多佳子ひとり。その彼女も、語り手ではなく、脇役としてさりげなく登場し、なりゆきで推理を披露したあとは強い印象を残しつつもすぐに退場してしまう。直接の関係はなきに等しいそれぞれの登場人物が、東海レインボーズという球団を間においてつながっています。
 チームのペナント争いの様がストーリーの後ろに流れていて、それがミステリの仕掛けと喧嘩せず、展開にもかかわりつつ、バックミュージックのように時間の経過も教えてくれる。この距離感がなんとなく好きです。正直、私は推理小説としてよりも、そちらのほうが読んでいて楽しかった。野球選手が主役のミステリよりも、ファンの実生活の感覚に近いからでしょうか。

 著者が野球好きであることは読んでいるとよーくわかります。弱小球団東海レインボーズの「性格設定」など、いかにもありそうでにやりとしました。打てども打てども点が入らない、非効率きわまる打線とか、なぜか優勝チームにだけは毎年勝ち越しているとか、最下位争いの相手にはやたらに弱いとか。まるで某球団の在りし日の姿を見ているかのようでした。
 著者は日本プロ野球をパラダイス・リーグとドリーム・リーグというふたつのリーグからあらたに設定していますので、実在のモデルはないと思うのですが、それでもなんとなく彷彿とさせるチームなどはあって、こちらもクスリ。
 レインボーズが優勝めざしてかんばるペナント終盤、ほんの少し過去の実体験を思い出して、胸が熱くなりました。

 というわけで、あんまり客観的な感想は出てきませんですみません。邪念が多くて、本の感想になってないような…。

絶版ばかり 2001.6.22(金)

 ひさしぶりに霜月書房の品数を増やそうと思っていたんだけど、やっぱり「在庫なし・重版未定」ばっかで悲しいです。
 C.J.チェリイ「色褪せた太陽」シリーズとか、エレン・カシュナー『吟遊詩人トーマス』とか、デイヴ・ダンカン「力の言葉」シリーズとか、ティム・パワーズ『アヌビスの門』とか、ジョージ・アレック・エフィンジャー『重力の衰えるとき』とか、マリオン・ジマー・ブラッドリー「ダーコーヴァ年代記」とか、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『七年目の魔法』とか、R.A.マカヴォイ「ナズュレットの書」シリーズとか。(腹いせに書き連ねてみました)
 棚に入れるのは在庫のあるもの、取り寄せ可能なものを選びたいので、「絶版含む」のチェックをはずして、著者名で検索をかけているのですが、そうすると「該当なし」ばっかりなんですよー(T.T)
 あんまり引っかかってくれないので、あたまがくらくらしてきた。翻訳物ばかりだからいけないのでしょうか。
 谷瑞恵『夜想』がまだあるのがかえって不思議になってきました。
 ところで、キーボードで「夜想」と打つとかならず「野草」になってしまい、おもわず笑ってしまいます。

 アネット・カーティス・クラウス(柳田利枝訳)銀のキス(徳間書店.2001.224p.1400円+税 Annette Curtis Klause "THE SILVER KISS",1990)[Amazon][bk-1]読了。全米図書館協議会「ベストブックス・フォー・ヤングアダルト」、カリフォルニア・ヤングリーダー賞、サウスカロライナ・ヤングアダルトブック賞などを受賞した「ホラー・ロマン」。

 十六歳の少女ゾーイは、癌にかかって死に瀕している母親と看病疲れで自分の殻にひきこもってしまった父親との間に大きな溝を感じ、孤独な日々を過ごしていた。親友のロレインとの会話も、最近では滞りがちだ。いつも心の多くを占めている母親の死という出来事を、どう話題にしていいかわからないのだ。そのうえ、ロレインは父親の転勤で引っ越すことになってしまった。さびしさと怒りをもてあますゾーイは、夜中にひとりで公園に通っていた。そこで彼女は、暗闇から月のひかりのなかへあらわれた、黒い瞳と銀色の髪の美しい少年と出会った。

 母親の死に対する、家族のものがたり、だと思います。
 美少年サイモンのしょって立っている歴史としがらみと、血と暴力のためにホラー・ロマンになったんでしょうけど、基本的にはその要素がなくても成り立つ話のような気がしました。
 ゾーイの置かれている状況描写がリアルで、サイモンの持っている幻想的な要素がかなり押され気味です。サイモンがあまりに人間ぽいせいかなあ。ちょっと陰のあるティーンエイジャーにしか見えない。人間的な深みはあるけど、「超自然の存在」としての深みが感じられなかったです。
 ゾーイの成長物語としてはこれでいいのかもしれないけど、個人的にはサイモンを主役に据えた復讐プラス、ラブロマンスを読みたかったような。

週の前半 2001.6.21(木)

 ご無沙汰いたしました。
 月、火と一日中仕事でテキスト入力をしつづけ、水曜日は修理に出した装具を受け取りに先週に引きつづき病院に行ってきました。きょうも仕事ですが、一段落ついたのでようやく日記が書けます。

 とどこおりなく日々を過ごすためには越えてはいけない負荷の程度というものがあるとすれば、私の場合はそのレベルが一般と比べるととても低いです。
 今月は、暇がないというより、いつもよりかなり多めの負荷を毎日うけつづけた結果、体調、精神状態双方にかなり狂いが生じているような気がします。
 いつもしないことをするのも度を超すとストレスですが、いつもしていることができないことも、けっこうストレスのたまることだなー、と感じます。
 それに、図書館から借りてきた本の返却期限が迫っているのに、ほとんど手つかず、という状態もストレスです。
 ストレスを解消するためならばたまったことをすればいいのに、なぜか余計なことをしてしまう自分が悲しい。昨晩、衛星第一放送の阪神×読売戦を最後まで見つづけてしまったのは、その最たるものといえましょう。疲れて本も読めないなら、はやく寝ればいいのに。
 というわけで、図書館本は本気で読まないとやばいです。

 ところで病院帰りに

を購入。いずれもコミックです。『千の王国百の城』を読みながらかえってきました。充実した作品集でした。そのため、電車の中で読むには、ちょっときつかったです。一編読むたびにしんみりしちゃって。
 そのうえ、忘却のヒトである私は、かつて収録作「真珠とり」を読んで涙した記憶があるくせに、内容をカンペキにではないにせよ忘れ去っていたので、かなり複雑な心境でした。しかも、どこで泣いたかも思いだせないじゃないかー。あのころとくらべると感受性が大ハバに摩耗しているのでしょうが、私の体験はこのようにすべてが混沌となっていくのでしょうか。解説で大森望氏が言及なさっている『飛鳥昔語り』のほうは比較的記憶が残っているんだけどー。でも現物がないので確かなことかはわからない。

 2001.6.17(日)

 時間ができたのでもうすこし霜月書房に手を入れようと思ったのですが、「店長さん編集画面」にたどりつけない。休日なので混雑しているのでしょうか。

 スティーヴン・キング(雨沢泰訳)ドラゴンの眼 下(アーティストハウス.2001.318p.1886円+税 Stephen King "THE EYE OF THE DRAGON",1987)[Amazon][bk-1]読了。『ドラゴンの眼 上』のつづき。童話風ファンタジー。

 父王ローランド殺しの罪を着せられて「針の塔」に幽閉されたピーター。王位は弟王子トマスが継ぎ、魔術師フラッグは側近として力をふるいだす。デレイン王国は破滅への道をころがりはじめた。ピーターは、自分に有罪の宣告をした法務長官アンダーズ・ペイナに、母親のドールハウスと毎食時にナプキンを添えることを要求し、ペイナは不審に思いながらも自分の出した判決に絶対の自信がもてなくなる。

 このお話の核心はナプキン。食事の時に使うナプキンです。キングが書いたときには『ナプキン』という題だったとか。納得。こんなにナプキンが重要な役割を果たすお話は、読んだことありません。アイデアがユーモラスで、登場人物が真剣なのにおもわずクスリとしてしまいます。
 あとはフラッグという魔術師の存在感。フラッグの名前を頭の中でかたちづくったとたんに、気づかれてしまう恐ろしさ。たしかに指輪物語の冥王みたいです。それまで童話風の語りで矮小化されていたようなところがありますが、フラッグが「針の塔」をのぼってくるシーンはこわかった。
 ピーターの親友のベンと、農場の娘ナオミとハスキー犬のフリスキー、あと、法務長官ペイナとかれの執事アーリンの老人コンビもたのしかった。どのキャラクターもきちんと自分の足で立っていて、うわついたところのないお話でした。
 ラストがちょっとあっけなかったのと、ピーター王子の恋人というのが影も形も見せないのがちょっと不満でしたが、けっこう楽しめました。上巻よりおもしろかった。

さぼっていたような気分 2001.6.16(土)

 ファイルの整理。今回は、読書量が激減したのでファイル量も減ったし、作業量も減った。ラクだけど、あまり楽しくはなかった。充実感が得られなかったというか。まあ、しかたないんだけど。

 スティーヴン・キング(雨沢泰訳)ドラゴンの眼 上(アーティストハウス.2001.286p.1886円+税 Stephen King "THE EYE OF THE DRAGON",1987)[Amazon][bk-1]ようやく読了。

 古くからつづくデレイン王国には、凡庸な王様ローランドと、魔術師のフラッグという側近がいた。フラッグはローランド王をほぼ思い通りに操っていたが、生まれた王子ピーターは母親である妃サーシャのよい影響下でフラッグの喜べない優れた資質をあきらかにしつつ大きくなっていく。危機感にとらわれたフラッグは、ふたりめの子供の出産を迎えた王妃の産褥におもむく産婆にこっそりと耳打ちをする。

 スティーヴン・キングが十二歳の娘のために書き下ろした限定版の本を、一般読者のために手を入れて出版された本(の日本語訳)。装画はたむらしげる、文章はですます調で、子供向けの童話の体裁をとっています。
 内容も、上巻のうちは読み手の予想を裏切らない、かたどおりの展開を見せます。
 平凡な王様をあやつる悪い魔術師。王には愛され、魔術師にはうとまれるかしこい妃。賢明な王妃の資質をうけついだ第一王子と、凡庸な王に似た第二王子。魔術師の陰謀。
 すべてが終わったところにたって話を語る作者の視点が、「ものがたり」という感じに奥行きを与えているのかなと思います。はじめのところに物語の概略が示されているので、想像しつつ、確認しつつ読み進めるという感じです。「やっぱり」と思うところと「そうなのか」と感じるところと、両方ある。ありふれた筋書きでも内容の書き方でいろんな印象の話になるものです。とくに「善良な王子」ピーターと、「悪い王子」トマスなど、輪郭だけではない中身のつまった人物描写が現代的。

 先が読める展開であった上巻の終わりで、ピーターが予想外のことをし始めます。そういえば、ここまでは冒頭に書かれていたことを詳しく説明していただけのようなお話だったんだと、今気づきました。あいかわらず、鈍い人間です。このさきは、どうなるのという興味をつなぐ展開になっていくのでしょうか。


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