2001年10月後半のdiary
■2001.10.17 寝坊/
■2001.10.18 /『ちょーテンペスト』
■2001.10.19 /『マリア様がみてる チェリーブロッサム』
■2001.10.20 貧乏性の結末
■2001.10.21 ぐうたらな一日
■2001.10.23 集中したいのに
■2001.10.24 団体の圧力/『ネバーウェア』
■2001.10.25 物欲を刺激される
■2001.10.26 /『沈黙の破 櫻の系譜』
■2001.10.27 /『DIVE!! 3 SSスペシャル’99』
■2001.10.28 びっくり仰天
■2001.10.29 たのしかったけど
■2001.10.30 /『青衣童子』/『ささら さや』
■2001.10.31 厄日・交通編
今日は交通機関に祟られた日でした。
- 交通事故のために発生した渋滞で、バスが大幅に遅れた。
- 人身事故のために発生したダイヤの混乱で、電車が大幅に遅れた。
- 遅れてやってきたバスに乗ったら、降車ドアが閉まらなくなった。
二度あることは三度ある。ここまで立てつづけに出会ってしまうと、自暴自棄になって「次は何?」と待ち受ける気分になったりする。そうするとそれ以上のアクシデントには出会わないのでした。ちぇっ(?)。
バスのドアが閉まらなくなった件は、運転士が無理矢理手で閉じたのでその後が心配でしたが、次の停留所ではきちんと自動で動いていたのでよかったです。
復路もダイヤの乱れは乱れたままもどっておらず、移動にいつもの倍の時間がかかりました。空腹で倒れそうになって帰宅。
篠田真由美『聖杯伝説』[Amazon][bk-1]、読了しましたが、そんなわけで感想はあとで。
森真沙子『青衣童子』(ハルキ・ホラー文庫.2001.200p.520円+税)[Amazon][bk-1]読了。奈良時代を舞台にした幻想小説。
養老元(七一七)年の桜の頃。まだ十七歳だった私は、留学僧として遣唐使船に乗った。あわただしい決定であり、旅立ちだった。第八次遣唐使節の副使である藤原宇合の率いる船に乗り合わせた私は、権勢を誇る藤原の貴公子の姿に目を奪われた。
急遽出た欠員を埋めるべく選出された私は、訂正されずにいた前任者の名前をそのまま引き継いで名乗りつづけた。ひどい嵐に遭遇した船団にあり、ひとり経を唱えつづけたことから宇合に目を掛けられた私だが、とても本名を告げることはできない。私には複雑な事情があった。とくに藤原のものには素性を知られることのできない、事情が。
見知らぬ男性から託された古文書を現代文にうつしかえた物語、という体裁をとって意味深に描かれた小説。
カバー裏には「古代ホラーシリーズ」と銘打ってあるのですが、これってホラーなんでしょか。幻想的といえばそうかも…ですが、ぜんぜん怖くありません。ホラーというのは怖いものだと認識していたのですが。私が知っている限りで、いちばん近い味わいの話というと、木原敏江の『夢の碑』かなあ。舞台が奈良時代で登場人物は長岡良子って感じなのですが。主人公である私と藤原宇合の関係も、なんだか少女マンガっぽいし。
歴史小説としてはどうなのかは私にはわかりませんが、このページ数にしては、特別掲載ページ大増前後編スペシャルくらいの読み応えはありました。けっこうおもしろかったです。ただ、物語の枠である現在のくだりは、ちょっと無理があるような気がするんですけどね。
加納朋子『ささら さや』(幻冬舎.2001.326p.1600円+
税)[Amazon][bk-1]読了。日常的な連作ミステリー短編集。
五月のよく晴れた日、交通事故で死んでしまった俺。俺には少女みたいな風情のほうっておけない奥さんのサヤと、まだ生まれて三ヶ月にしか満たない一人息子ユウ坊がいる。とてもおとなしくあの世になんていけない。そんな気持ちのせいなのか、俺はこの世とあの世の境目に中途半端にとどまっていた。
ほんのりとあたたかい、加納朋子らしい本。
三人のおばあちゃんたちがとても愉快なのと、ユウ坊の成長過程がまざまざと目に浮かぶのが楽しかった(たまたま、ちかくに乳児がいることが大きい)。よくよく考えてみると、登場人物はだれもかれも誇張されていて、しかも善人ばかりで、かなり現実離れしているのですが、このやさしい雰囲気がすべてを許してしまいます。謎解きにウエイトが置かれていないところもよかったです。
きもちよく読める本。
通院日。
頸部レントゲン写真を撮影したり、血液検査をしたりしたわりに、会計も薬も早めに終わった。なんとなく嬉しくて、カメラ量販店に行って、USBパソコンライト(ノートパソコンにクリップでくっつけて、手元を明るくする。電源はUSBポート)を買ったり、OA用の椅子の座り心地を試すためにいちいち掛けてまわったり、パソコン本を物色したりしたせいで、時間はあっというまに過ぎ去り、けっきょく、いつもとかわらない時間に帰宅。
おまけに、いつもより歩きまわったので、とーても疲れた。バカでした。
- 篠田真由美『聖杯伝説』(徳間デュアル文庫)[Amazon][bk-1]
- こばやしゆたか『iTunesっぽい生活』(ソフトバンク パブリッシング株式会社)[Amazon][bk-1]
- スティング『BRAND NEW DAY』(A&M RECORDS)[Amazon]
を購入。『聖杯伝説』は本屋に行って何も買わないのが悲しかったので。篠田真由美の本を買うのは、実は初めて。二冊目は、Macにタダでついてくる音楽を聴くためのソフトの活用本。最後のは音楽CD。下で「シールのCDを買うぞ」と宣言したのに売場になかったので、やはり買い逃していたスティングのを。買うと決めて出かけたときには、目的のものがなくてもなにか買ってしまうという癖が如実に出てしまった一日でした。
森真沙子『青衣童子』[Amazon][bk-1]を処方箋薬局で読了。つづいて電車内で『聖杯伝説』を読みはじめましたが、さすがに疲れて中断。残りの時間はうつらうつらしてました。さらに帰宅してよみかけの加納朋子『ささら さや』[Amazon][bk-1]を読了しましたが、もうだめです。感想はのちほど。
回転椅子の背がもげた。
もたれていた背中からひっくりかえって落ちそうになりました。怖かった(汗)。
この椅子の背が外れるのはすでに二回目のことです。ネジが勝手にゆるんでいくみたい。座り心地もたいへんに悪いので、これを機会に買い替えたいなーと思ったり。
しかし、この辺に椅子を安く売っているところなんて、あったっけ。
加納朋子『ささら さや』[Amazon][bk-1]を読みはじめました。
半日、椅子に座ってパソコンに向かっていたら、腰がガチガチになりました。毎晩ストレッチはしているんだけど、いい加減なのがまずいんだろうな、やっぱり。
森絵都『DIVE!! 3 SSスペシャル’99』(講談社.2001.198p.950円+税)[Amazon][bk-1]読了。青春ダイビング小説。『DIVE!! 2 スワンダイブ』のつづき。
富士谷要一は二学期のはじまりを翌日に控えた夜、コーチでもある父親からシドニーオリンピック代表に内定したことを知らさせた。不可解な知らせだった。代表選考会は来年の四月か五月に行われるはずなのだ。それに内定が下ったのは彼と、第一人者の寺本だけだという。選手枠は三名のはずなのに。
父親の言動からこの決定には複雑な事情が絡んでいることが察せられた。その事情の中身を知るにつれ、要一の中には釈然としないわだかまりが生まれる。
両親ともオリンピック選手で、ダイビング界のサラブレッドと目されている要一だが、ダイビングにはすべてをかけてきたという自負がある。オリンピック代表はかれの最大の目標だが、それは自分の力で勝ち取るべきものだった。しかし、オリンピック代表が選出されなければ、彼の所属するダイビングクラブは廃部に追い込まれることになる。クラブのリーダーとしての要一の立場からすると、この知らせは吉報のはずなのだ。だがそれでも…。
要一は頭痛を理由に練習を休むようになる。
マイナーな競技である飛び込みの世界でもがきつつ成長していく少年たちの物語、第三巻。
この巻は一巻の主役である知希のよき先輩、二巻の主役沖津飛沫の好敵手、ハンサムでクールな実力者とはたからは見られている、富士谷要一くんの、表には絶対見せたくないと思われる内面が描かれています。つまりかれというのは、格好悪いのが嫌いで無様な真似をさらすくらいなら人の何倍も努力するという、ものすごくええかっこしいの男の子なわけですね。自分が一番になるためにならすべてのものを犠牲にできる、けれど犠牲にしたものの価値は理解しているので、そのぶんさらに負けられないと闘志を燃やすわけです。
そのかれが、日水連のメダル至上主義のせいで、第一人者のライバル兼保険として代表に選出されたことへの反発と、けれどクラブの事情や飛び込み競技の現実を知らぬふりはできないという板挟み状態から、バランスを崩していくあたりは、ああ、スポーツものだわ、という感じ。
父親との微妙な関係とか、母親のあたたかい心遣いとか、高校生の世界が等身大で描かれているのはシリーズに共通しています。
日水連の前原会長の食えない人物ぶりがたのしかったです。
で、この次はたぶん、オリンピック代表選考会がメインになるんでしょうけど、だれが主役になるのかなあ。まさか夏陽子さん?
金蓮花『沈黙の破 櫻の系譜』(集英社コバルト文庫.2001.278p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。「学園呪術ファンタジー」、「櫻の系譜」シリーズの三冊目。『風花の序 櫻の系譜』のつづき。
生まれながらの憑巫体質のためにつらい生活を強いられていた栗花落砌(つゆり・みぎり)は、高校生になり陰陽師の家系の跡取り息子当麻杜那(とうま・もりくに)と出会ったことで、憑き物が浄化され、見違えるように元気になりつつあった。ふたりはお互いにはじめての友人として、ぎこちないながらも友情を育みはじめた。ところが、砌の祖母、櫻の巫女に仕える審神者(サニワ)であり、杜那を導く司である田所冬星は、ふたりの力が相互作用により大きくなりつつあることに懸念を覚えていた。
暗躍しようとしてしきれない田所氏と、「月の系譜」キャラクターの登場が今回の読みどころ。
砌の家庭の、というか砌の母の文子の微妙な精神のバランスを崩したくない田所さんですが、現状維持をつづけるかぎり、事態は悪くなりはしても、絶対に好転はしないでしょうねえ。それでも、べつの方法をとろうと思い切るのには、勇気がいりますよね。結果が凶と出た場合の責任をとる覚悟が必要だから。砌と杜那には、だから正面からは向き合えない。悪役に徹しきれない田所さんに同情します。
鈴音さんに「暁」と名づけられたヤツは大活躍でした。かなり迷惑な活躍でしたが。そして泉ちゃんや、乙姫も登場。つづきが楽しみです。ってもう出ているんだけど。
図書館帰りに久々に繁華街へ出た。
本を買うことが目的ではなかったので、なるべく行かないようにと思っていたのに、気がつくと陳列棚の前で品定めをしている自分がいたりする。
ローズマリ・サトクリフ『トロイアの黒い船団 サトクリフ・オリジナル4』[Amazon][bk-1]にとても心動かされたが、高いのと訳者とに躊躇してしばしたたずむ。挿画がきれいで、それだけで手に入れたい気分なのだが、図書館でハードカバーばかり借りてきたのでとても荷物が重いのだった。泣く泣くやめる。サトクリフは『オデュッセウスの冒険 サトクリフ・オリジナル5』[Amazon][bk-1]も出ていた。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズのクレストマンシー・シリーズもあったし、ほかにも山ほど読んでみたい本があったけど、「これ以上積読本を増やしてどうする?」という良心の声に諫められて帰宅。図書館で借りられるようにメモしておこう。
家に帰ってメールチェックをする。
bk1で「岩波書店・復刊児童書30冊!(秋)」という企画をやっているらしい。
おお、サトクリフの歴史ロマンがまた復刊されているじゃないですか!
前回の復刊では結局一冊も買わなかったのですが、今度はどうしよう…。
『王のしるし』[bk-1]だけでも欲しいなあ…高いけど。サトクリフの本が少年文庫に入ったら買い漁るのに。
アップル初のMP3プレーヤーiPodのQuickTimeムービーを見てみた。必要なくても欲しくなる製品。出てくる男たちの手がみんなでかいことを考え合わせると、私が持ったらそんなにコンパクトではないのかも知れないけど。ミュージシャンがなんかコメントをしゃべっているシーンなど、すべて英語なんで意味はまったくわからなかったけど、最後にシールが出てきたので、「そういや、まだ『ヒューマン・ビーイング』買ってない」ということを思い出した。出かけるたびに忘れているうちにすっかり記憶が薄れてしまったのだった。今度こそ。
寝過ごしたので図書館はやめて、午後から役所に行って来ました。
薄暗い建物の中に入ったところで甥のポリオ予防接種に行く妹とは分かれて別行動。
用件は装具のために支払った医療費を還付してもらう手続きをすること。
前回行ったときとフロアのレイアウトが変わっていて、やたらにまごついてしまいました。窓口の名前がまたわかりにくいし…。順番待ちの整理券をとらなくてはならないので、案内窓口に助けを求めようと思ったら、誰もいない。しかたなく、あちこちに掲げてある説明表示をためつすがめつしてようやくそれらしき窓口を特定。室内が暗くて、目がとても疲れました。
窓口の係の方は丁寧に応対してくださったので、ほっと一息。最近、市の職員の態度にはけっこう好感が持てます。マニュアルに沿ったことしか尋ねていないせいかもしれませんが。ただ、もうすこしわかりやすい名前にならないものでしょうか、窓口名。
はやくおわったのでおなじ建物内の保健所に行ったら、乳児だらけでした。両親や祖母と思われる年輩の女性などの乳児より多い大人と、乳児の兄姉の年代のちびどもがわらわらといて、ものすごい熱気。なかに入って探しまわる気力が持てず、部屋の隅っこでそーっと辺りをうかがいつづけました。
世の中にはこんなに赤ちゃんがいるのだなあと感心したあと、帰りのバスでは小学生の一団(三十名くらい?)がさわぎまくり、それが去ったと思ったら今度は高校生の一団(人数不明。高校の終業時間に重なってしまったらしい)が乗り込んできて、ちょっと疲れた一日でした。
学校に行かなくなってから、同じ年代ばかりで構成される集団からはものすごいプレッシャーを感じます。どうしてでしょうね。
ニール・ゲイマン(柳下毅一郎訳)『ネバーウェア』(インターブックス.2001.308p.2400円+税
Neil Gaiman "NEVERWHERE",1996)[Amazon][bk-1]読了。現実のロンドンの下にあるダークな地下世界を舞台にしたファンタジー。
リチャード・メイヒューは善良な一市民。ロンドンに出てきて三年目。会社に勤めてはいるがうだつが上がらず、ジェシカという美しい恋人がいるが、彼女には圧倒されていた。その日もジェシカと彼女の上司ストックトンとともに夕食をとるはずが、予約確認を怠っていたレストランには席がなく、仕事はうまくいかない。待ち合わせに遅れそうになり、ジェシカにせき立てられるように街路を歩いていると、アスファルトの歩道に怪我をした少女が倒れているのを見つけた。介抱しようとするリチャードに、ジェシカはそんなことをすれば婚約は解消だと言い放つ。しかし、リチャードは少女を自宅へと連れ帰った。まさか、それが自分の運命を大きく狂わせることになるとは思いもせずに。
なかなか進まずにこのまま返却してしまおうかと思った一冊。
しかし、半分を過ぎた頃から読むスピードが増して、真夜中に読了。おかげで思いきり寝過ごして図書館行きは延期した(苦笑)。
ロンドンの地下世界の話。地下に張り巡らされている地下鉄が「上」と「下」の接点になっているのでしょうか。『SFマガジン』のレビューを見て、地下鉄と地下世界というのに魅力を感じて借りてきたもの。ニューヨークの地下鉄に長期間暮らしていた話(題名、忘れた)みたいな感じかなと勝手に予想していたのですが、まるきり別物でした。あちらは埃と湿気まみれの色褪せた光景がイメージされたけれど、こちらの地下世界は猥雑で色鮮やかで、きらびやかで不潔で、暴力的で生命力にあふれている。とにかくダークで、ナンシー・A・コリンズの「ソーニャ・ブルー」の夜の世界みたいな印象でした。汚水溜まりのように淀んでいて、何が混じっているかわからない危険な感じとでもいいましょうか。
リチャードが助けたドアなる少女もふしぎですが、それを追いかけているヴァンデマール氏(うじ)とクループ氏(うじ)のキャラクターが強烈です。いつもバリバリとなにかを喰らっている。おぞましいけど、どこか滑稽。それから、ドアの父親に受けた借りを返すためにドアを助けるカラバス侯爵の胡散臭さ、ドアが護衛に雇い入れた焦げたカラメル色の肌をしたハンターの凛々しさ。天使イズリントンのこうごうしさ。リチャード以外の登場人物はみんな印象的でした。ネズミ語りとか、ヴェルヴェットの女ラミアとか、人外のキャラクターも存在感があった。
リチャードは、異世界へ渡る物語の主人公としては、ものすごく一般庶民的。なかなか適応できなくて地下世界のいちいちに反論を唱える姿が、笑いを誘うほどに哀れでした。でも、たぶんこれが普通の反応ですよね。そのおかげで地下世界の異質さが際だち、よりいっそう魅力的に感じられるのでしょう。
舞台に比べてストーリーはわりとありきたりというか、つまりはリチャードの、試練を経ての成長物語なのでしょうか。天使イズリントンの登場にかなりわくわくしたので(このあたりから読むスピードがあがった(笑))、そういう話だったの…というかんじでした。この分量でまとまる、最大限の話だとは思ったけど。
そんなわけでけっこう楽しみました。おかげでゲイマン原作のコミック『サンドマン』にも興味がわいたのですが、うーん、高い(汗)。
ニール・ゲイマンの『ネバーウェア』[Amazon][bk-1]を読んでいるのですが、どうも進みません。
つまらないわけではなくて、むしろイメージ的には面白く、読んでいて興味深くもあり、たのしくもあるのに、少し読んでぼーっとするということをくり返している。
なんでかなー。
最近、集中状態を持続するのがむずかしい精神状態なのはたしか。
突発的になにかやりたくなるのに、その「なにか」がしっくりといかないので苛つくことが多いです。それでどうしようもないことに時間を費やして自己嫌悪に陥ってます。
無駄なことをしているあいだに読めばいいのだと思いついて、また本を手にするのですが、やっぱり五ページもつづかない。
ストレスでしょうかねえ。はあ。
どうしよう、明日返却期限だよ。
昨日の疲れを理由にぐうたらに一日を過ごす。
本もほんのちょっとしか読まなかった。(返却期限が近づいているので、まずいよなーと思いつつ)
昨日はろくに見られなかった日本シリーズも、昨日よりはまともに見た。
横浜から移籍した投手二人の活躍に悲しくなる。押し出し死球に同点本塁打被弾とは…。
参加すると動物園の招待券がもらえるという植樹祭に、父と姪、妹と甥、そして母が参加するというので、仕方なくくっついていった。
植樹祭は市営の動物園内でおこなわれる市のイベントだった。
体力的に植樹などできそうもない私は、植樹祭のあいだ、やはり甥(生後七ヶ月)の世話をする妹と二人、会場の裏にある駐車場で無為に時間を過ごす。式典では市長が挨拶をしているのに、ベビーカーを押して駐車場(急ぎ整備されたと思われるじゃりじゃりの)をあっちうろうろ、こっちうろうろ。ようやくミルクの用意ができた妹に甥を返還すると、止めてあった車に手を伸ばしていたらしい彼の服の袖は、埃まみれになっていた(汗)。
十一時半に終わる予定の植樹祭がすこしばかり時間をオーバーして終わった後、車内で持参のおにぎりを食べて、動物園に出発。
空は青く晴れわたり、太陽は燦々と照りつけ、空気は乾燥し、気温はどんどん上がった。
すでに午前中の時点でいささか疲れていた私は、その後、三台のカメラ(コンパクトカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルコンパクトカメラ)をとっかえひっかえして撮りつづけてさらに疲労度を増していった。これだけ人間がいるのに、どうして独りで撮らなくちゃならないんだろう。ときどき疑問がわくものの、自分はまさにこれだけのために連れてこられたのだと自覚しているので、仕方なく作業にいそしんだ。
コンパクトカメラに入れた、母がイトコからもらってきたというフィルムが、シャッターを切るたびにひどい臭いを発するので、とても気持ちが悪かったのと。
DVDのバッテリーパックをフル充電する暇がなかったので、三十分も持たずに切れてしまったことと。
両手にカメラを持っているので、のどが渇いてなにか呑みたいと思ってもなかなか果たせなかったことと。
とまあ、私ひとりに限ってもいろいろな不都合が発生しましたが、けっきょく、一日にふたつの用事を済ませてしまおうという貧乏じみた考えが、この日の根本的な誤りではなかったかと思う。
疲れて歩かなくなってしまった姪はベビーカーに乗せられ、ベビーカーに乗るはずだった甥は三人の大人にたらい回しにされ、私以外もみんな疲れ果てました。
土曜日だったため人手はとても多かったし、暑いし、埃っぽいし、最後のほうは動物はほとんど見ずに出口めざしてただ歩いてたという感じ。入り口と出口が別で遠く離れているので、どうしてもかなりの距離を歩かなくては出られない。いくらタダだからって、こんな行楽は無意味でしょう。きっとカメラも、ろくな画が撮れていないに違いない。
はー、しんどかった。
今野緒雪『マリア様がみてる チェリーブロッサム』(集英社コバルト文庫.2001.246p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。純粋培養のお嬢様学校を舞台にしたシリーズの九冊目。『マリア様がみてる いとしき歳月 後編』のつづき。
春四月。伝統あるカトリック系お嬢様学校私立リリアン女学園高等部に入学したばかりの二条乃梨子は、いささか憂鬱な日々を送っていた。じつは、乃梨子はリリアンに入りたくて入ったわけではなかった。わけあって第一志望校の試験を受けられず、滑り止めとして受けたリリアンに選択の余地もなく通っているのである。できるだけ学校関係の関わり合いを避けて大学にすべてをかけようと決心する乃梨子。クラスメートのお節介をかわすためにふらりとおとずれた学園内の桜の木の前で、「マリア様」と出会ったときから、乃梨子の学園生活は変化をはじめた。
という「銀杏の中の桜」は新入生二条乃梨子の視点で、同時収録の「BGN(バックグラウンドノイズ)」はおなじ話を紅薔薇のつぼみとなった福沢祐巳の視点で描いたもの。
あいかわらずこまやかな心理描写が少女の世界にぴったりとあってます。
さきの薔薇さま方が卒業したあとはあらたな登場人物が加わって、話に変化があって新鮮でした。
仏像大好き少女の乃梨子は、おとなしげと思いきやけっこうしたたかだし、きゃんきゃんした感じの瞳子は現実にそばにいられるとものすごく不快そうで、読んでいてもけっこう不快だったけど、書く側からすると楽しいんじゃないかなー。
もし、この子が祐巳の妹になるとするとかなり波乱の展開になりそうでたのしみです。
野梨原花南『ちょーテンペスト』(集英社コバルト文庫.1998.194p.400円+税)[Amazon][bk-1]読了。ファンタジーコメディー「ちょー」シリーズの六冊目は、ちょっと(いや、かなり)シリアス。
コバーリムでの事件が落着した一家は、ジオラルドの故郷であるトードリアの王宮で客分として毎日を平和に送っていた。魔法使いサリタ・タロットワークの元に訪れた同族のエデアが、彼の聞きたくない言葉を告げるまでは。
「ヌホが願いを叶える」「これが一族の仕事だよ、サリタ」
世界を守らなければいけない。かれはエデアに名指しされたジオラルドとダイヤモンドの愛息オニキスを呼び出す。ふたりがこっそりと山へ入った頃、トードリア王宮からはなぜかジオラルド一家の姿も消えていたのだった。
いつものテンポと会話が消えると、削ぎ落とされた硬い感じの文章が残り、むきだしの言葉に余裕がないような印象がつよいです。
たぶん、話がサリタの切迫した感情からはじまっているのと関係あるような気がするけど。
緊張感もせっぱ詰まるのもいいんですが、状況がなかなかつかめないことにはちょっと閉口。現況を生のまま提示したあとで、すこしずつすこしずつ説明していくのって、このシリーズでは定番と化していますけど、こう度重なると…。
でも、つづきが気になるからやっぱ借りるかも。
昨日、天気予報を見て出かけようかどうしようか、やっぱりやめようか、と迷いながら床についたせいではあるまいが、思いっきり寝過ごしてしまった。
出かけるつもりなら起きなければならない時間から一時間半も遅れて床から這い出してみると、雨はそんなに降っていない。
ということは、明日が大雨の日か?
とにかく雨降りの日に出かけるのがイヤな私は、それから大慌てで支度をして、なんとか一時間遅れで家を出ることに成功。
途中、小型犬を抱いたままバスに乗ろうとした女性に出会って、ちょっとびっくり。
運転士さんもあわてて、ケージにいれてきてくださいと断っていたが、あの人は犬を抱いてどこへ行くつもりだったのでしょう。動物病院?
そのあとすぐにタクシーに声をかけているところがバスの窓から見えましたが、タクシーには乗れたのだろうか。
図書館へ一直線に行って、また一直線に帰宅した。どうやら本降りになる前に戻ってこられたので一安心。傘はほとんど差さなくてすみました。ということは荷物になっていたということなんだけどさ。
せわしなく行動するととても疲れますね。野梨原花南『ちょーテンペスト』[Amazon][bk-1]を読みかけるものの、集中力がつづかず。
山田ミネコ「西の22」は、メディアファクトリーから出ている文庫の『冬の円盤』[Amazon][bk-1]に収録されているそうです。Kさん、情報ありがとうございました。
京極夏彦『百器徒然袋―雨』(講談社ノベルス.1999.478p.1150円+税)[Amazon][bk-1]読了。「妖怪」シリーズの探偵が大活躍、周囲が大迷惑する痛快活劇(?)。中編を三編収録。
「鳴釜(なりかま)」
奉公先のお屋敷で輪姦された姪、早苗を救うために知人の大河内に相談をした「僕」は、探偵を紹介される。「薔薇十字探偵社」という仰々しくも馬鹿げた名前の探偵事務所を訪ねた「僕」は、そこで奇天烈な個性を発揮する一味の面々と、エネルギッシュで傍若無人、無類の美形でありながらまったくそぐわない粗暴さで周りを省みずに突っ走る「探偵」榎木津礼二郎と出会ってしまった。
「瓶長(かめおさ)」
姪の件のお礼に「薔薇十字探偵社」を訪れた「僕」。榎木津のおかげで事件が解決したのは確かなのだが、それがどうも腑に落ちない。穏便にすむような事柄ではなかったのだから、あれでよかったのだ、とは思うものの、榎木津は事件を好んで拡大しているような気がしている。そのうえ、どうでもいいことを理由に探偵事務所へ行こうとしている自分のことも、よくわからないのだ。事務所にたどり着くと、榎木津は父親から「カメ」を探せと命令を受けていた。
「山颪(やまおろし)」
古書肆京極堂からあれほど言われたにも関わらず、「僕」はまたも探偵に近づかなければならなくなっていた。友人の紙芝居画家である近藤が、私立探偵をネタにするために榎木津のかかわりあったらしい事件を詳しく知りたいと、大根をよこして頼んできたのだ。探偵にじかに聞いても無駄なことは明らかなので、もっとも話のしやすそうな京極堂を訪ねることにした「僕」は、降り立ったもよりの駅で禅僧を待っているという本人と、それまで散々な噂を聞かされつづけてきた「作家」関口の二人に出会う。
もともとのシリーズもあらすじが書きにくいのですが、これもかなり難しかった。
いったいこれって、あらすじなんでしょうか(苦笑)。
この本はストーリーを追っているというより、地の文にいちいち笑っているといったほうが近い読み方をしていたので、印象に残ったことを書いてみたら、なんか筋とは関係ないことばかりになってしまった。
いつもは作家のうじうじした語りにうんざりするんだけど、この本の語り手「僕」は、榎木津にはいつも違う名前で呼ばれているし、他の人々は勝手な偽名をつけてしまうし、それにたいして抗議もしない、かなり流されやすい人物には違いないのですが、決定的に関口よりも明るい。それが読みやすさの原因のような気がします。
しかし、本を読んでいてこんなに笑ったのは久々。ひとりで黙読しているのに何度も吹き出して、端から見たら変人です。なんといっても探偵の奇行、奇弁が最高に可笑しかった。事件をひっかきまわして百倍くらいに膨れあがらせ、事件自体がもっているエネルギーというのか、そういうのを使い果たさせて無理矢理収束させるような解決の仕方です。推理小説ではなくて、まさに括弧付きの「探偵小説」。
榎木津は楽しそうだし、中禅寺もなんだかだいいつつ、なりゆきを見つづけているし、ということはけっこう面白がっているのでは。このふたりの異様な存在感に、ほかのひとたちは吸い寄せられている感じですね。怖いもの見たさなのかもしれない。
とくに「僕」。ときどきふと我に返って「どうして」と考えはするけど、けっきょく「一味」から離れられない。どころかずぶずぶと下僕の仲間入り(苦笑)。
みんなイヤだイヤだと口にしながら最終的には榎木津を愛しているのですねー。あー、たのしかった。