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2001年12月前半のdiary

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2001.12.1 /『踊る王宮の午後 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』
2001.12.2 亜鉛不足?
2001.12.3 /『クリストファーの魔法の旅 大魔法使いクレストマンシー』
2001.12.5 /『砂の覇王 5 流血女神伝』
2001.12.6 風格すらただよう
2001.12.9 やりがいのない/『ペロー・ザ・キャット全仕事』
2001.12.10 /『魔女の結婚 聖なる夢魔の郷』
2001.12.12 未知の体験
2001.12.14 /『フォークランド館の殺人』
2001.12.15 /『落花の急 櫻の系譜』
 2001.12.15(土)

 金蓮花落花の急 櫻の系譜(集英社コバルト文庫.2001.222p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。「学園呪術ファンタジー」、「櫻の系譜」シリーズの四冊目。『沈黙の破 櫻の系譜』のつづき。

 渋谷駅前で起きた大規模な陥没事故は、世間の耳目をさらった。原因となった栗花落砌は、あまりにも大きな力を解き放った反動でか、昏睡状態に陥ってしまう。そんな折り、「サクラさま」と呼ばれる櫻の巫女、砌の祖母である鈴音が上京した。彼女は、砌の力によって大怪我を負った「鬼」に暁という名を授け、怪我を治癒させる。櫻の巫女がやってきたのは、砌の身を案じてのみではなかった。半世紀も前、対決ののちに封じ込めた「常世姫」の復活を知らされたがためだったのだ。当麻杜那は陰陽師として生きることがいかに苛酷で厳しいものであるかを、ようやく現実として感じ始めた。

 「月の系譜」のキャラクターたちがはっきりきっぱり悪役でご登場。鬼ではなく、ひとではないもの。死と混乱を願うわけではないが、結果的にそれが必要なもの。常世姫っていったいなんなんでしょうねー。「月の系譜」を読んでいたときにはわかったつもりになっていたのですが、そう問われると答えられない自分がここに(苦笑)。
 砌がずーっと夢を見て、生と死の狭間をさまよっているあいだ、杜那君は「現実」という名の厳しい世界を認識しはじめました。これが大人になるということでしょうか。精神的なゆれうごきがこまやかに描かれているところは、このシリーズの特徴ですね。自分ひとりで立たなければならない孤独の予感がしたとおもったら、いきなりそれが実現しそうで、たいへんです。おもいっきり、次巻(『薄氷の花伝』[Amazon][bk-1])へ「つづく」だわ。

 2001.12.14(金)

 ケイト・ロス(吉川正子訳)フォークランド館の殺人(講談社文庫.1998.624p.876円+税 Kate Ross "WHOM THE GODS LOVE",1995)[Amazon][bk-1]読了。十九世紀初頭のロンドンを舞台に社交界の伊達男ジュリアン・ケストレルが探偵役を演ずるミステリー『ベルガード館の殺人』につづく二冊目。事件は独立しているのでこれだけで読むことも可能。

 準男爵の跡取り息子アレクサンダー・フォークランドがパーティー中の自宅の書斎で殺害された。容姿端麗で社交上手、財産家の美しい妻をもち、才能も豊かな彼はひとあたりがよく、だれからも好かれていた。目撃者はいない。動機の解明が事件解決への鍵と見られたが、警察は階級社会の壁に阻まれ、捜査はゆきづまりをみせていた。アレクサンダーの父親で法廷弁護士でもあるサー・マルコムは、先に貴族の家庭内で起きた殺人事件を解決したことで有名になったジュリアン・ケストレルに調査を依頼してきた。サー・マルコムの誠実な人柄にふれて依頼を受けたジュリアンは、事件をしらべるにつれ、アレクサンダーのひととなりに疑問を抱くようになる。

 『ベルガード館の殺人』がとってもおもしろかったのでまた借りてみました。前作は冒頭からぐいぐいとひっぱるお話でしたが、今回は探偵役のジュリアンとともに事件を俯瞰し、そののちに内部に入り込んでいく、というふうに進むので、しばらくはのんびりゆったり。まず人間に出会う前に、供述調書なんかを読まされるので、えーちょっと今回ははずれなの?とすこしがっかりしました。が。
 サー・マルコムの案内でアレクサンダーの妻ベリンダ(二十歳そこそこの超美女)に出会うあたりから、俄然おもしろくなってきました。ページ数が多くなった分、導入に時間をかけたのでしょうか。サー・マルコムの人柄を強く印象づけることが目的だったのかなあと思います。

 話の内容についてはネタばれなしに語れないのがもどかしい。ところどころ、「そんなこと、現実にあるかなあ」と思う箇所もあるにはあったけど、十九世紀初頭という時代がカバーしてくれる感じ。メロドラマ風の大仰な展開は、現代でやったらリアリティー皆無ですが、時代物なら大丈夫というのとおなじでしょうか。

 それから、ジュリアンの複雑な生い立ちに関する情報が出てきたりして、探偵も立体的な人物として感じられるようになってきました。
 元スリでタラシの従僕ディッパーも活躍しますが、ジュリアンの友人(?)で美的感覚がすっとんでいるフェリックス・ポインターのキャラクターが好きですねー、私。

 で、けっきょく前作と同じように夜を徹して読んでしまったため、翌日、とてもつらかった。この次はこんな真似はしないように、寝る前に手にとるのは絶対にやめようと心に誓うのでありました。

未知の体験 2001.12.12(水)

 と申しましても、大方の人にとっては大したことではなくて、つまり、「コンビニで銀行振り込みをした」というだけのことなんですけれど(苦笑)。

 私は現代に生きている人間としては稀なほど、コンビニエンスストアと縁がありません。
 だって気軽に行ける範囲にないんだもん。一番近くて、徒歩十五分くらい? そこは全然生活圏内じゃなくて、バスの中から目にするようなところでして。あー、バスの中からなら、片道三店舗くらいは目にするなあ。

 最近、最寄り駅の構内にひとつ出店されたおかげで、ようやく人並みにコンビニのある風景に馴染めるようになって参りました。といっても、構内から出ればすぐにスーパーがあるわけで、たいていの物はスーパーで購入しているので、店舗内に足を踏み入れるところまではなかなか。

 というわけで、今回、とあるアプリケーションソフトのバージョンアップのお知らせが来たときにも、当然最寄りの銀行に振り込みに行くんだと思ってました。中身をみるまでは。案内書をみて、初めて知りました。コンビニで振り込むと、手数料がいらないなんて。(どうして?)

 さっそく、振り込み用紙を手に、コンビニに足を踏み入れました。
 コンビニで振り込むのって、買い物するのとおなじようにレジでするのねー、とか、振り込み用紙に印刷されているバーコードを読み込むだけだから、アルバイト店員にもできるんだー、とか、おのぼりさんのように新たな世界に感心しました。私を置きざりにして、世の中はどんどん進んでいるなあ、とか(苦笑)。

を購入。
 ラッキーの前後編は待望のヴァルデマール物で、ケスリーの孫娘が主人公。「クリセニアン年代記」は完結編なので(まずい、まだ前の巻を読んでいない…)。『プラネット・ラダー』は、最近マンガを読んでいないと愚痴ったら友人がすすめてくださった(このあいだ、すすめられて買った本、まだ読んでおりません。申し訳ありません)。遠藤淑子のは『SFマガジン』のレビューで見て、「遠藤淑子のSFってどんなだろう」と思ったあと、偶然売っていたのでなんとなく(笑)。なんか、いっぱい買ってしまったなー。きょうは雰囲気に流されやすい日だったようです。

 2001.12.10(月)

 谷瑞恵魔女の結婚 聖なる夢魔の郷(集英社コバルト文庫.2001.263p.495円+税)[Amazon][bk-1]読了。西欧中世ファンタジーシリーズ「魔女の結婚」の三作目。『魔女の結婚 運命は祝祭とともに』のつづき。

 古代ケルトの巫女だったエレインが千五百年後の中世に甦って三月。魔術師マティアスの弟子として修行しつつ、運命の人を捜して旅をしている。喧嘩をしつつ、つかずはなれずのはかどらない旅だ。
 エレインが盗賊団と出会ったときも、マティアスとは離れていた。こまった彼女は修行でようやくものにしつつある魔術で相手をしようとする。盗賊団のかしらは、どこかしら愛嬌のある若者であるウォルターだった。かれは魔術を見て、「ずっと、あんたみたいな女が現れるのを待っていた」と告げる。もしかすると、エレインの「運命の人」はかれなのだろうか?

 エレインが「偽運命の人」に目が眩んであとさき省みず事件の中に飛び込み、騒ぎを大きくしたあと、しぶしぶマティアスが助けに来る、というパターンが定着しつつあるようなシリーズ。
 どう読んでもエレインがマティアスを意識しているのは明々白々なのに、本人は気づいていない。無意識に表出する思いに、自分でとまどうあたりの描写が、少女小説していてとっつきやすい。ファンタジー要素は、もう少し全面に出てきてもいいんじゃないかと思うくらい、さりげないですが、けっこうきちんと書き込んであるので好きです。

 今回はマティアスの出生のかなり衝撃的な事情があきらかになりますが、こんな陰惨で爛れたような出来事をあつかっていながら、作品全体のトーンは暗くも濁ってもいないのは、独特なかろやかさと透明感のおかげでしょうか。エレインちゃんのキャラクターもあるかもしれない。おなじようなことをたとえば篠田真由美あたりが書いたら、とてつもなく重苦しいものになりそうです。読んでいて不快にならないのはとてもいいのですが、反面マティアスの背負っている物の大きさが過小評価されそうな気もして、ちょっと複雑。

 エレインのお子さまなキャラクターにも理由の裏付けがあって、さらにマティアスの暗い過去により生成された性格がどーんと重石になっていて、このふたりが意志疎通を果たすまでには、まだ相当困難なみちのりが必要だろうなあ、という気がいたしました。

 ところで、今回の事件の発端、盗賊団のかしらのウォルター君は、ほんとうにきっかけしか提供してなくて、あんまり存在自体に意味がなかったような。もっと強力なマティアスのライバル出現を待ってます(笑)。

やりがいのない 2001.12.9(日)

 しばらく間があいてしまいました。また仕事をしています。
 今回は急ぎだというので突貫工事。なのに元原稿は穴だらけ。身内の仕事はなあなあになっていけません。気をまわして、文章を直してやることにも飽きてきたしー。
 ストレスのはけ口を読書ではないところに見いだしていたら、返却日が近づいてきて焦っているところ。

 吉川良太郎ペロー・ザ・キャット全仕事(徳間書店.2001.366p.1600円+税)[Amazon][bk-1]読了。第二回日本SF新人賞受賞作。近未来のフランス暗黒街を舞台にした猥雑でスタイリッシュなSF。

 ソフトメーカーにつとめているジョルジュ・ペロー二十二歳。毎日のガレー船の船奴隷のような労働に疲れ、「肉体など、人肉なのだ」という言葉を心に刻んで、「クールでテクニカル」な境地に憧れていた。
 ペローはある日、知人のアルベールが経営する質屋で、小さな黒いプラスチックケースを手に入れる。中のディスクに入っていたのは、エジプト旧政府秘密警察の極秘盗聴システム『アヌビス』だった。サイバネ手術を施した動物を、通信衛星を介して遠隔操作し、視覚・聴覚情報をリアルタイムに転送する。その活動範囲は、地球全域に及んでいた。
 ペローは、アメリカンショートヘアの猫に憑依し、暗黒街〈パレ・フラノ〉に出入りする要人たちの強請を始めた。

 前代未聞の盗聴システム『アヌビス』や、人工愛玩動物や、そのほかのさまざまなSF的小道具がなければ、軽めのハードボイルドみたいな小説。題名やら登場人物やらその他、文章の一節などには、フランス文学関係のいろいろが仕込んであるらしいですが、私には猫に小判です(苦笑)。とりあえず、「ペロー・ザ・キャット」というのは「長靴をはいた猫」のことであろうくらいの推測はできるけど。

 むしろ、フランスの歴史地理的背景からアラブ系のさまざまが織り込まれている方が興味深かったです。エフィンジャーの『重力が衰えるとき』(ハヤカワ文庫SF・絶版)を思い出しました。あちらは完全に中東だから、フランス風味はないんだけど。フランスが舞台ということで『クリムゾン・リバー』[Amazon][bk-1]というのも思いついたけど、こちらはもっと非情でもっと救いがなくて。そうか、SFだとこういう世界に救いを見いだすことができるんだなあと、思った。現実に足のついた普通小説なら、この結末はあんまり歓迎できるものではないような気がするのですが(たぶん、シムノンが去ったあとは物語がつづかないだろうし)、SFだとこういうふうに終わらせられるんですよね。
 軽妙な一人称の語り口が、読んでいて楽しかったです。

 それとはべつに思ったのは、昔読んだSFと最近読むSFの感触の違い。
 小道具から未来感覚にあふれていて、世界が格好良く描かれているわりに、最近のSFは目線が上ではなくて、足下やその下へと注がれているような気がします。といって、今むやみやたらに明るい世界を描かれたとしても、相当工夫しないとリアリティーを感じられないだろうなとは思う。開放感のある世界が、小説の舞台としても絵空事にしか感じられない自分がなんだかちょっと寂しいのでした。

風格すらただよう 2001.12.6(木)

 郵便局に行ったら、入り口の真正面に猫がいた。野良の白黒のブチ猫。
 雨を避けて庇があるところに待避しているようでしたが、それにしても、人の通り道を完璧にふさぐようにして座りこんでいるのにはびっくり。人が通るからといって脇に逃げたりもせず、かえって人間さまのほうが猫をよけて傘をたたみ、はばかるように横から郵便局へ入っていくのです。けして人が来ないわけではなく、数分間にひとりは出入りしているというのに、猫は堂々と位置をキープ。
 ときおり、姿勢を変えたり、あくびをしたりはしていたけれど、でんと居座ったまままったく移動する気配のないその姿は、いっそあっぱれというものでした。

 あとで家族に聞いたら、商店街を縄張りにして、さまざまな人から餌をもらってすっかり人間に慣れている猫だったらしい。子どもが手を伸ばすと、抱いてもらうために自主的によじのぼってくるのだとか。
 そういえば、隣を「きょうはなにもあげられないのよ、ごめんね、ブチちゃん」と通り過ぎていくおばあさんがいましたっけ。

 最近は、鳩も近づいても逃げていかないし、人間はどんどん舐められているような気がする。

 爪補修剤を購入。割れた爪を接着。これで着替えの度に細心の注意を払う必要がなくなった。ほっ。

 2001.12.5(水)

 須賀しのぶ砂の覇王 5 流血女神伝(集英社コバルト文庫.2001.268p.495円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界歴史ロマン「流血女神伝」シリーズの通しでは七冊目。『砂の覇王 4 流血女神伝』のつづき。

 ルトヴィア帝国皇太子の婚礼と戴冠式に出席するエティカヤの使節として帝都タイアークを訪れた第二王子バルアン。小姓として随行してきたはずのカリエだったが、バルアンは彼女を「正妃」である「カザリナ」として紹介する。行方不明のアルゼウス王子にうりふたつのカリエに、宮廷では血縁関係のある滅亡したギウタの皇女が生きていたと騒がれる。身に覚えのないことにふりまわされることに苛立つカリエ。しかし、親しい者たちへ危害が及ぶことを考えると、バルアンの思惑通りに事が運ぶのを黙ったみているしかないようだった。晩餐の席でバルアンの兄、第一王子シャイハンがカリエの身元を明らかにすると宣言して招き入れたのは、ユリ・スカナの僧侶サルベーンだった。

 国の名前と人物の役職名やら立場やらが大量に出てきたおかげで、かなりこんがらがってきました。読んでいるときにはスムーズなのに、いざ紹介文を書こうとすると、いちいち確かめないとわからない(苦笑)。
 あいかわらず、ジェットコースターなストーリー展開。物語はシビアに展開していくのに、あたたかさと明るさを失わない登場人物たちの描き方が、いいなあと思います。
 とうとう、いままでもほのめかされてきたカリエちゃんの身元が確定しましたが、ストーリー自体は事実をそれほど重く受けとめることもなく、カリエはカリエのまま、よりいっそうつよく前向きになっていくようです。エドはエティカヤ編では脇役という作者の言葉通り、どんどん出番が減っていく…。カリエの成長になにやらさみしげなのが、ちょっとかわいそうです。
 ルトヴィアの人たちの出番も、あっというまに過ぎていたなあ。
 このままバルアンのマヤラータ(正妃)になるのか、カリエ。サルベーンが話していた「ザカールの九九九番目の花嫁」という言葉が気になります。

 2001.12.3(月)

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(田中薫子訳)クリストファーの魔法の旅 大魔法使いクレストマンシー(徳間書店.2001.360p.1700円+税 Diana Wynne Jones "THE LIVES OF CHRISTPHER CHANT",1988)[Amazon][bk-1]読了。並行して存在する異世界を股に掛けて活躍する、「九つの命をもつ」大魔法使いクレストマンシーシリーズの二冊目。

 クリストファー・チャントは、互いに直接口を利かないほど仲の悪い両親に、ほとんど省みられずに暮らす少年。ロンドンの大きな館の最上階にある子ども部屋からはほとんど外へ出られず、子守役のメイドは始終入れ替わっている。クリストファーには話し相手がほとんどいないため、かれが夢の中で〈あいだんとこ〉と名づけた場所から〈どこかな世界〉と名づけたさまざまなところへ遊びにいっていることは、誰も知らないことだった。
 クリストファーの父親が事業に失敗すると、母親は兄であるラルフ伯父を頼った。クリストファーが夢の中で別の世界に出かけていることを知った伯父は、かれにとある実験をやってくれないかと持ちかける。銀貨をくれた伯父のことが好きになっていたクリストファーは、その申し出に胸を高鳴らせた。

 前作『魔法使いはだれだ 大魔法使いクレストマンシー』で大きな顔して出てきたクレストマンシーの少年時代のお話。
 クレストマンシーになるような運命の下に生まれてきた人物は、ふつうの人生は送れないのか、クリストファー少年もものすごく不遇な幼年・少年時代を送っているようです。自分に価値を見いだせないから命の消費にも無頓着なのでしょうか。ものすごい勢いで減っていく彼の命には、読んでいるこちらのほうがハラハラさせられました。
 寄宿学校についてのクリストファーの誤解や、実際にいってみたあとのシーンが、とても楽しかったです。
 あと、クリストファーの父方の親戚が出てきましたけど、この従兄弟や従姉妹が、キャットやグウェンドリン(グウェンダリン)の両親ってことになるのかな。よくは覚えていませんが。

 「クレストマンシー」の世界は、私にとってはファンタジーというよりSFに近い感じです。命あつかいの軽さからして、知的なゲームというイメージ。特異なキャラクターと独特な世界構築が軽快なストーリー運びとあいまって、ありきたりでない物語をつくりだしているなと思います。
 当代のクレストマンシー、ゲイブリエルも、ポーソン博士も、異世界の〈生けるアシェス〉である少女も、そしてなにより神殿猫のスログモーテンが魅力的でした。

亜鉛不足? 2001.12.2(日)

 親指の爪をひっかけて、2.5ミリほど横に裂いてしまいました。(もちろん、手の)
 もう、秋冬の年中行事となった感のつよい出来事ですが、何度やってもびっくりし、がっかりします。また補修剤を買ってこなくちゃー(涙)。ほんの一滴、二滴使用しただけでほとんど減らないのに、翌シーズンには乾燥しきって使い物にならないので悲しいのに。

 消沈しながら風呂に入り、出てきたところでテレビをつけると『発掘あるある大事典』で「亜鉛」の特集を組んでいた。亜鉛不足だと、爪の伸びる速度が遅くなったり、でこぼこしたりするらしい。思わず身を乗り出す。

 ここ数年間、毎年夏が過ぎると爪が伸びなくなる(こちらは足の親指)という異常な出来事もくりかえし体験しているのですが、医者は「そんな薬(爪が伸びるようになる薬か? よくわからない)はないから」と一蹴して、とりあってくれない。生活態度へのアドバイスがほしかった私は「はあ、そうですか」としらけて、それ以降、質問をする気力もなくしました。毎年爪は死に、その下から新しい爪が生え、重層構造になって圧迫され、さらに伸びづらくなるというくり返し。爪が汚いという以外に支障はないので、もう、ほとんどあきらめていたのですが、もしかして、これも亜鉛不足が原因?

 ちがうとしても、現代人のそれほどまでが亜鉛不足だというのなら、これから一生懸命亜鉛をとっても毒にはなるまいとおもいます。というわけで、亜鉛をとろうと決意しました。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『クリストファーの魔法の旅』[Amazon][bk-1]を読書中。

 2001.12.1(土)

 午後五時から放送予定だったNHK杯に合わせて予定を立てていたのに、中継がなくなってすっかり気が抜けました。けっきょく中継は午後11時15分からになったけど、そのあと12時半からの女子シングルフリーは、もう、つきあいきれなくなって(眠くて仕方ない)、寝た。そのまえにスポーツニュースで結果を知ってしまったせいもあるが。

 橘香いくの踊る王宮の午後 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険(集英社コバルト文庫.2001.282p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。『影の姉妹 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険』のつづき。異世界コメディーシリーズの十三作目。

 ブローデル国王テランスの母親、つまり王太后は、いつまでも身を固めようとしない息子をなんとか結婚させようとしている。レヴィストローク侯爵令嬢リゼットとの縁組が破綻した今、彼女がお妃候補として目をつけたのは、なんとコラリーだった。彼女は邪魔者と思われるフェリックスをコラリーから遠ざけるために、近衛士官であるかれに敵対国アルカイスとの共謀容疑をかけた。
 テランスはフェリックスに、身の潔白を証明するためにシュシナック逮捕を命令。いっぽうコラリーは、王太后の仕掛けた罠=お妃候補披露のお茶会に、なにもしらずに出席してしまう。

 今回はミステリ風味はうすれて、ストーリーはシリーズの結末へ向けて急展開(?)。コラリーが故郷のマリタンで思い返す、幼い日のふたりのエピソードがこの巻のメインでしょうか。三歳のコラリーの世話を否応なしにさせられる五歳のフェリックスには、他人事でなく、同情できました(苦笑)。うるさい三歳児ほど手の掛かるものはありません。
 フェリックスの母親関係の話が今後クローズアップされそうで、たのしみです。


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