2001年6月前半のdiary
■2001.6.2 「最下位攻防戦」
■2001.6.3 /『ふわふわの泉』
■2001.6.4 /『仮想の騎士』
■2001.6.5 驚きよりも眠気
■2001.6.6 梅雨だ/『楽園の魔女たち 〜まちがいだらけの七日間』
■2001.6.7 不安定な大気/『サトクリフ・オリジナル3 アーサー王 最後の戦い』
■2001.6.8 セットアップ
■2001.6.9 サイト開設一周年
■2001.6.10 忘れもの
■2001.6.11 予約は午後
■2001.6.12 /『天使@fortune』/『ルアーの角笛 グイン・サーガ79』
■2001.6.13 チェックのワンピース
■2001.6.14 視野を広く
■2001.6.15 ウェブ巡回
さらに眠気をひきずりながら、きょうはウェブ巡回の日(勝手に命名)。
ひさしぶりに霜月書房の更新ができたのが、うれしい。このところ忙しくて月曜日に本を二冊あわてて追加した以外のことをしてなかった。そして…なんと一冊売れてました。びっくり。好きな本をならべることしか考えていなかったので、うれしかったと同時にかなり申し訳なくなりましたです。ちゃんとレビューも書かなくては…。どなたか存じあげませんが、どうもありがとうございます。値段からするとタニス・リーの『闇の公子』(ハヤカワ文庫FT)かなあ? どきどき。
最近、MacとWinそれぞれの画面での色表示の違いに悩んでいます。なんでかというと、サイトデザインを変えようかと思っているからなんですが。
Macの画面はWinにくらべるとかなり明るめ。おまけに液晶とブラウン管でもけっこう違いがあるんですよね。すると私の環境は二重にWinから遠ざかっているような。
やっぱり、多数派にあわせて設計するべきなんでしょうが、モニタの色を変化させて作業をするとすごく気持ち悪い。慣れの問題かもしれないけど。
いちど作りかけたトップページをあとでPC互換コンピュータの設定に変えて見たら、まるで意図と異なった色味になっていたので、失望しました。それから作業は滞ったまま、色の組み合わせだけを考えているのですが、どっちの環境でもきれいに見える組み合わせって、どうしたら見つけられるのでしょう。
ということを思いながら素材をさがしていたら、どきっとするほど長時間接続したままになっていた…。びびった。
今週はほとんど本が読めてなくて、月曜日に購入した岡野玲子『妖魅変成夜話』ですら、つづきがまだなんですが、いったいなんでこんなに読む時間がないのだろう。不満です。
基本的に体力がない人間なので、一度消耗すると復活するのに時間がかかります。
週に二回、外出しただけでへろへろになってしまうのは情けないのですが、これが現実なので受け止めざるをえません。そのうえ、仕事もつまっていたりすると泣きたくなります。というより、眠りたくなります。からだが眠りを欲しているのでしょう。ねむくてねむくて、あたまに霞がかかるってこういうことなのねー。
という状況でようやく原稿(というのは一点ものの取扱説明書のことなのですが)をプリンタに持っていくところまできたので、あとはプリンタにお任せして、ダウンロードしておいたファイルなどに目を通していたのですが。気がつくと、は、いかん、眠っては…
そのファイルというのは以前ご紹介した麻弥さんの「リンクに関するアンケート」の結果報告(労作です)。
世の中にはいろいろな立場があり、いろいろな意見があって、いろいろな感情もあるのだよなーと、うつらうつらしながらも思いました。
私はサイト運営に関しては「ど」のつくしろうとで、トラブルなどにはあまり縁のないほそぼそちまちまとしたことしかやっていないので、現実としてあまり考えたことのない問題でしたが、いろいろなことがあるものだなーとすこしこわくなってきたりして。
リンクに関する考えの違いは、属している世界(?)にも左右されそうです。
ふだん見ていても、書評系サイトと創作系サイトの全体的な肌合いの違いみたいなものは感じますし。書評に限らず情報のやりとりを目的にしているサイトと、表現の場としてのサイトの違いでしょうか。やはり、自分の分身のような創作物に対しては、防御反応が大きくなりがちなのでしょう。私も含めてですが。
正解などは出せない問題だと思いますが、前提として個々人の意識の違うことを認識しなければならないかなとは思います。視野を広くもとうということでしょうか。
図書館帰りに駅のホームで電車を待っていたら、妹から電話がかかってきて、姪のワンピースを買ってきてくれと頼まれた。
二週間ほど前に買った赤いチェックのワンピースがとっても気に入った姪は、毎日毎日、洗っても干しても、しまいこんでも、勝手に見つけだしてきて着ようとし、実際着てしまうので、せめて着替えを用意しようという気持ちになったらしい。
説明通りに売り場に行くと、姪が着ていたものそのまんまのものと、色違いのピンクと水色の三色があった。別の色を買ってくれといわれたが、ピンクと水色はどちらもいまいち。肌に映らないような気がして、ほかのデザインを見てみるが、そちらのほうはもっと合わない。いろいろと考えるのが面倒になったので、いわれたとおり同じデザインの色違いピンクを購入。税抜き1900円也。
しかしなー。なんでこんなに好き嫌いが激しいのでしょう。親が用意した服をそのまま着てりゃーいいのに、泣きわめいて抗議するのです。そのくせ、服を汚すことには無頓着なんだよね。平気で床に寝転がるし。気に入った服を雑巾にするまで着つづけるつもりなのでしょうか?
麻城ゆう『天使@fortune』(角川ティーンズルビー文庫.2000.221p.438円+税)読了。
掛川魔女子(まめこ)、通称マージョは大学四年生。就職が決まらず、就職活動ののために購入したパソコンのせいで経済状態も悪化。そこに親友の恋人タロサから「天使の運命相談室」というインターネットサイトの運営スタッフとしての誘いを受けた。マージョは女の子の必須アイテムと思われる占いには、まったく興味がない。親友の宮部瑠奈通称るーちゃんは、マージョとは反対のような人物で、当然占いにもご執心。タロサがるーちゃんを誘わなかったことに疑問を持つが、じつは占いサイトはタロサの師事する大学教授が学術統計をとるために運営しているベンチャー企業だったのだ。
採用面接の後でるーちゃんと携帯電話で連絡を取ろうとしたマージョは、いつになく動揺したるーちゃんの態度にとまどう。「私、十五分したら死んじゃうんだって。どうしよう」自分の寿命がわかる占いをしてもらったというるーちゃん。なんとかなだめようとするマージョとタロサだったが、寿命の刻限をすぎたとき、るーちゃんの返答は聞こえてこなかった。そして、だれか別の人物の悲鳴とそれにつづく声。『誰か! この人、死んでいるわっ!』
うーん。あいかわらず、奇抜なことを考えるひとですねー、麻城ゆうって。
ストーリーよりもアイデアで読み手をひっぱっている感じです。以前出した『満員怨霊 タロットカードは死を招く』(大陸書房、未読)をインターネット占いに変えて書き直したものらしいので、それほど薄っぺらな感じにはなっていないけど、最後の種明かしあたりでそれならもう少し書き込んでよと思ってしまう人物描写の浅さが、もったいない。
個々のキャラクターとかはわかりやすくて、ストーリーも読みやすいんだけど。しかし、とにかく理屈っぽいですよね。理詰めで進むから、突如感情のもつれとかが出てくると違和感を覚えるのかも。ファミレスの代金踏み倒しなんかが、ふっと出てくるような日常的な感性は好きですけど、個人的な感情に事件を収束させるような終わり方とは、相容れないような気がします。もっとあかるく終わって欲しかった。
栗本薫『ルアーの角笛 グイン・サーガ79』(ハヤカワ文庫JA.2001.286p.540円+税)読了。『ルノリアの奇跡 グイン・サーガ78』のつづき。
ひといきに読了。いつもこういう読み方をしているせいで、前巻の詳細を思い出せません。あらすじも、前提がわからなくて書けない
とにかく、これから「三国志がはじまる」というのにたまげるというか、あきれるというか。各国の状況が錯綜してきて、ますます記憶が曖昧になりそうな予感がしてこわいです。それにしてもケイロニアの健全さには救われます。パロは陰々滅々だし、イシュトヴァーンは殺伐としてどろどろだし、ケイロニアの宮廷(シルヴィア関係除く)が出てくるとなんとなくうれしい。
月一通院日。
きょうは予約が午後の二時半。装具の業者がこんな時間にしか来ないからです。家を出る時間にとても悩む。お昼ご飯を食べてから出ると間に合わないし。
時間が時間なので、行きの電車は空いていたが、座席があいているほどではない。ところが、親切な外国人女性がすっと席を立って譲ってくださった。外国人女性に譲っていただくのは二度目。とても自然なかんじなので、とくべつなことをしている意識はまったくないことがうかがわれる。こういうふうに譲ってもらうと、こちらも気分がらく。お礼を言ってありがたく座らせていただく。吊革や手すりにつかまるのが、特に最近は苦痛なので、元気を装うなんて無駄なことをやっている気力はありません。
おかげでできた時間で、麻城ゆう『天使@fortune』を読む。
たどりついた駅上の本屋で
- 栗本薫『ルアーの角笛 グイン・サーガ79』(ハヤカワ文庫JA)
- 図子慧『蘭月闇の契り』(角川ホラー文庫)
- 岡野玲子『妖魅変成夜話 2』(平凡社)
を購入。
「ところにより雷雨」という予報を真に受けて、折り畳み傘を持参、さらに装具もふたつ持っていたので荷物がおもーくなった。この上、今回は湿布薬ももらわねばならない。すこし暗くなる。
二時少し前に病院着。待合室で『天使@fortune』を読了。このつぎはどれにするか、悩んだ末に『妖魅変成夜話 2』を読み始め、半分ほど来たところで名を呼ばれる。すでに三時過ぎ。診察を終えるときに看護婦さんが「きょうは装具が混んでいるので、まだもうすこしお待ちくださいね」。暗転。
腰を据えて『ルアーの角笛 グイン・サーガ79』に手を出す。読む。装具に呼ばれて、持参のうちのひとつの修理をお願いする。費用いちまんなんぜんえん。次回に持参のこと。
薬局で処方された薬をもらい(買い)、一目散に帰宅。
なんとか座れた帰りの電車で『ルアーの角笛』をほぼ読み終える。とても蒸し暑い日だったので、冷房が効いているところでの痛みがきわだってひどかった。ひろうこんぱい。そしてけっきょく、傘に用事はなかった。おもかったのにー。
電車内での読書、二冊つづけてはやはり無謀でした。あとで頭が痛くなった。冷房のせいもあるとは思うけど。感想はあした。
パソコン環境はなんとかひと心地つきました。しかし、いろいろとデータのバックアップはとっているのに、漢字変換の辞書だけ、いつも忘れているのはどうしたことか。おバカになった辞書を鍛えるのは、けっこう面倒なのに。作家の名前などは特殊なものがけっこうあるので、誤変換率がかなり高い。今度はバックアップを忘れないようにしなくては。
スティーヴン・キング『ドラゴンの眼 上』を読み始めました。です、ます調で童話っぽい出だしです。
昨日はパソコンのセットアップと感想書きで一日終わってしまった。
あしたはサイト開設一周年。何度か事情で強制的に休まされたりしましたが、それでも一年つづいたことがとてもうれしいです。ここ数年、なにかを継続してやりつづけるなんてあまりなかったことですから。
なので記念になにかやろうと思っていたのに、漠然と考えているうちにパソコンが壊れてしまったので、何の準備もできませんでした。
せめてと「読書遍歴」に中学校編をアップしておきます。これはひとつき前くらいに書いておいたもの。
PowerBookG3のセットアップをする。何度めか、もう数えたくもない。
ハードディスクを交換されてきたのに、Powerキーを押してから「?」マークが出るのはなぜ? そのあとでおもむろにハードディスクを認識してくれているようだけど。ハードディスクの音もカラリカラリとしているし。結果としておかしくなるなら、はやいとこそうなって欲しい。同一故障の保証期間は九十日。
環境整備でやること。
OSの環境を自分仕様にする。いらない機能拡張をはずして、ダブルクリックの速度とか、年月日の表示とか、デスクトップとか、いろいろ調整。
それからアプリケーションソフトをインストール。さらに、バックアップデータをコピー。初期設定ファイルなどもバックアップしているので、基本的にソフトの環境設定はしなくても大丈夫。ウェブ接続の設定なども、今回はバックアップがあったから楽だった。たったひとつ、「TCP/IP」の設定だけがなくて、自分を罵りましたが。
あとは抗ウィルスソフトのアップデータとか、ディスク診断ソフトのアップデータとかをダウンロード。面倒。こういうときにブロードバンドにあこがれます。いままで古いMacプラス古いモデムで接続していたのと比べると、段違いに速いんですが…。ついでに誕生日の友人にカードメールを送っておく。霜月書房にもちょっとだけ新しい本を追加。おお、画面表示が速いぞ。
いちんち蒸しあつくて、仕事が手に着かない。
夏になる前からバテるのか?と少々うんざりしていたら、おやつ後に雲行きがかなり怪しくなってきました。
コンフェデレーション杯の会場は、試合開始直前からどしゃぶり。テレビ画面より遅れること、二十分ほどで我が家の周囲も滝のようにふりだしました。雷も鳴るし。
PowerBookG3がようやく帰宅しましたが、こんな状況じゃ、セットアップどころではない。
ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)『サトクリフ・オリジナル3 アーサー王 最後の戦い』(原書房.2001.266p.1600円+税
Rosemary Sutcliff "THE ROAD TO CAMLANN by Rosemary Sutcliff",1981)読了。『サトクリフ・オリジナル2 アーサー王と聖杯の物語』のつづき。三部作の完結編。
アーサー王の伝説の国が崩壊していくものがたり。
アーサーと父違いの姉モルゴースとの間に生まれた不義の子モルドレッドは、悪意の化身のように描かれています。生い立ちが生い立ちなので、ひとりの人物としてみるならけっこう哀れな存在だと思うのですが…。でも、いちいちイヤなやつなんだよね。かれの心のよりどころって、アーサーを貶め、アーサーの築いたものを破壊することだけらしい。母親から吹き込まれた考えなのに、べつに母親を慕っているようでもないし。放置された子供なのでしょうか。私にはよくわからない。
アーサー親子の物語がそれほどなのに対し、ランスロットとグィネヴィアの話には力が入っています。不倫のために魂が救済されない(聖杯探索に失敗した)ことに深く傷つくランスロットと、愛を貫きたいグィネヴィア。建前の男と現実の女って感じですが(^_^;)。ふたりのストーリーがこの本の軸、ですね。そのせいなのか、マーリンがもう、まったくぜんぜん出てこない。回想シーンだけ。
三部作の中で、いちばんの力作という印象です。
訳文にもだいぶ慣れてきて、それほど違和感を感じなくなりました。けっきょく、購入したのは最初の一冊だけで、あとは借りて読んでしまいましたが。おもしろかったけど、手元に置いておきたいと思うほどではなかったなあ。質実剛健な語り方で、オーソドックスな筋を踏襲すると、枠のある物語は従来のイメージとあまり変わらないものになってしまうのか。原文を読むとまた違うのかもしれないけれど。
二週間ぶりに図書館へ行く。返却する本も重かったが、予約到着本がほとんどハードカヴァーで往生した。
なのに繁華街へ出かけた。忘れていたが、雨降りだったので「傘」というよけいな荷物もあったのでした。
- 樹川さとみ『楽園の魔女たち〜まちがいだらけの七日間〜』(集英社コバルト文庫)
- なかがわりえこ作、やまわきゆりこ絵『くまさん くまさん』(福音館書店)
を購入。
絵本はひとめぼれ。なつかしの『ぐりとぐら』の作者さんたちのかわいい本です。「2歳から」と印刷されていたので、姪用にと買ってしまいました。
おかげで持ちにくい荷物がさらに増えたけど
もうこうなったらと自棄気味にプリンタ用の紙とMOのメディア1.3GBも購入。
家までの道のりが遠かった…。
帰宅後、しごとのつづき。
樹川さとみ『楽園の魔女たち〜まちがいだらけの七日間〜』(集英社コバルト文庫.2001.252p.476円+税)読了。『楽園の魔女たち〜星が落ちた日〜』のつづき。シリーズ十四冊目。
粉々になってしまった「楽園」に師を残し、魔女たちは帝国内の自由都市ローカイドに「魔術師の館」を構えた。しかし、待っても待っても客は来ない。接待の練習ばかりに明け暮れる毎日に、蓄えは減ってゆくばかり。ようやくやってきたかと思われた客は、じつはだたの家出娘だった。倹約の日々を送りつつ、魔女たちは客の開拓に励む。
魔女たちのあたらしい生活のはじまり、ご紹介編というところでしょうか。
小さい笑いがとぎれなくつづく、つれづれ日記という感じ。魔女たちそれぞれに活躍の場がありますが、やはりサラと殿下の比重がおおきいような気がします。サラって、二重じゃなくて多重のひとだったんですね。
みなさん、すこしずつ立っている位置が変化してきていて、そのあたりがただのほのぼのコメディーとは違うところです。さみしい気もしますけど。
マリアの実務能力の高さと性格の落差には、いつも感嘆というか脱力というか。彼女とごくちゃんはあまり変わっていないような気がする。
ねむい…。
暑さと体調不良で眠くてしかたがないです。しかし、仕事をしなければ…。
友人あてのメールをなんど送ろうとしても「サーバーからのエラー」でだめだったり、その余波(?)でパソコンのエラーが頻発したり。大気が不安定なせいなのか、モニタが突然、一瞬だけ暗くなってみたり。
目の覚めるようなできごとには事欠かないはずなのに、やっぱりねむい。
斉藤直子『仮想の騎士』(新潮社.2000.226p.1400円+税)読了。歴史小説。
ロココ時代のフランス。騎士デオン・ド・ボーモンは、女と見まごう美貌ときまじめな気性の持ち主。故郷には身分違いの恋人クリスティーヌが待っており、一途な恋をつらぬくために出世を望んで国王ルイ十五世の従兄であるコンティ親王に仕えている。
野心家の親王はデオンにスパイとしての素質を見いだした。スコットランド人ダグラス・マッケンジーとともに、国交のないロシアへ国王の親書を携えて赴くデオン。かれは女装してリア・ド・ボーモンと名乗っていたが、敵だらけのロシアで、ふたりは追っ手に追われつづける。逃走中にマッケンジーに馬車から突き落とされ、見捨てられたデオンは…。
日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。
これはルイ十五世統治下のフランスと敵対するロシアが主な舞台の、歴史のはざまに展開される権力闘争とそのなかで翻弄される美貌の騎士の悲喜劇めいた活躍を、軽妙な文章で描いたお話です。たぶん、そのころのヨーロッパの状況を知っているともっと楽しめるのでは。
無知な私でも聞いたことのある、カザノヴァやポンパドゥール侯爵夫人、サン・ジェルマン伯爵、ロシア皇太子妃エカテリーナなど、有名人がぞくぞく登場。関西弁を話すカザノヴァって、なんだか気のいいおっさんのようです。
権力闘争に寄生しながら暗躍する錬金術師のあやしげな存在や、ルイ十五世の底知れない無邪気さなど、「歴史の暗部」のような物語が展開されているのにも関わらず、文章のかろやかさがうわさ話を読んでいるような気分にさせて、すらすらと読めてしまいました。これまでの受賞作から、陰影にとんだ重厚な物語を想像していたので、かなり意外でしたが、けっこう好きです。こういうの。
ただ、ファンタジーとしてはちょっと? 錬金術の記述や、その実験などは道具としてはおどろおどろですが、雰囲気を醸すだけという感じだし、ラストは意表をつきましたが、驚きとしてはミステリーのもののような感触でした。けっきょく、不思議なのはサン・ジェルマン伯爵ご本人だけってことか。
野尻抱介『ふわふわの泉』(エンターブレインファミ通文庫.2001.254p.640円+税)読了。女子高生が主人公のあかるいSFほら話。
浜松西高校化学部部長の浅倉泉は、「楽をして生きたい」がモットーの化学好き。唯一の部員保科昶とともに文化祭に出展する「フラーレン」を合成しようとしていたとき、落雷にあって偶然「ふわふわ」とした物質をつくりだしてしまった。空気よりも軽く、ダイヤモンド並に硬い「ふわふわ」の実体は、「立方晶窒化炭素」。世の科学者たちが目の色を変える夢の物質だった。
泉と昶は昶の祖父に相談を持ちかける。かつて栄華を誇った実業家、現在も落ちぶれたとはいえ保科鉄工の経営者である保科清五郎の提案により、泉たちは「ふわふわ」のための会社、ふわふわ社を立ち上げる。女子高生社長、浅倉泉の名は、またたくまに全国に知れ渡った。
偶然発見した「ふわふわ」によって、一介の女子高生が非現実的なまでの成功者になっていく。「ふわふわ」を利用した技術革新がおもしろい。化学の説明なんかは八割方理解せずに終わってしまったような気がしますが。でも文章として納得できると読めてしまう
ものがたりとしての座りはあんまりよくないような気がしますが、アイデア満載のたのしいSFでした。南の島のひとたち、みんな宇宙をめざすのかなー。
「最下位攻防戦」をMXテレビで見る。
いつも思うのだけど、この言い方はすこしヘンなのでは。
「最下位」を攻めて守る戦いってことでしょ? 「首位」なら攻める価値も守る価値もあると思うけど、「最下位」ってそんなに大事なものかなあ。「五位攻防戦」のほうが、実質に近いような気がするのですが。これは屁理屈というものでしょうか。
それからもうひとつ。MXテレビって、阪神戦の中継が多いような気がするんだけど、どうしてだろう?
本の感想書き。半月ごとのファイル移動。霜月書房の模様替え(申し訳程度
過去日記にもくっつけてあるナビゲーションに新たなページへのリンクを付け加えるのが、けっこう面倒なのですよねー。去年の分はシカトしてしまおうかなと、ふと思う。わざわざindexファイルを入れていることだし、これを表にリンクすればいいのか…?
とにかく、いつものパソコンで作業ができないので、よけいにわずらわしいことが増えるのでした。
ほんとは仕事をしていなきゃいけなかったような気もするけど、気にしない、気にしない。