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2001.7.1 梅雨のはずですよね/『BIOME 深緑の魔女』
2001.7.2 昨日じゃなくて、よかった
2001.7.3 自分の限界
2001.7.4 我望冷凍睡眠(?)
2001.7.5 一緒に夕ご飯/『石ノ目』
2001.7.6 衝動的に/『天地のはざま』
2001.7.7 衝動的に その2
2001.7.8 /『赤目のジャック』
2001.7.9 注射針の刺さるとき
2001.7.10 PowerBook G3の電源アダプタ
2001.7.11 梅雨があけた
2001.7.12 強風注意報?/『チェンジリング 碧の聖所(ネウェド)』
2001.7.13 無題
2001.7.14 鈴木尚典は横浜の四番打者
2001.7.15 沈滞
2001.7.16 /『呪のデュマ倶楽部』
 2001.7.16(月)

 アルトゥーロ・ペレス・レベルテ(大熊榮訳)呪(のろい)のデュマ倶楽部(集英社.1996.396p.2600円+税 Arturo P'rez-Reverte "EL CLUB DUMAS",1993)[Amazon]ようやく読了。重厚な歴史の知識をつめこんだ、知的ミステリ。

 愛書家と書籍販売業者のために世界中を渡り歩き、目的の書物をみつける書物狩猟家であるルーカス・コルソは、文芸評論家ボリス・バルカンのもとに、デュマの手稿をもってあらわれた。友人から真贋鑑定を依頼されての訪問だったが、問題はもとの持ち主が首をくくって死を遂げたということだった。
 そして、トレドの億万長者で書籍販売業者、愛書家としても有名なバロ・ボルハは、『影の王国への九つの扉』という悪魔召還の古書の真贋鑑定をコルソに依頼する。
 二つの依頼を同時にこなしていこうとするコルソ。彼のまわりには不審なできごとがおこりはじめていた。

 はー、つかれた。途中で何度も中断し、眠ったりもしたので、どれだけ理解できたかわかりませんが、すごい情報量のおかげで知識が(一時的に)増えたと感じられる本でした。
 アレクサンドル・デュマの『三銃士』に関する、それはもういろいろ。そして悪魔召還というキリスト教にとっては極悪な書物や古書に関する、やはりたくさんのいろいろが、ふたつあわさって、錯綜した展開を生んでいます。たぶん、どちらかひとつの要素だけで展開したら、こういう雰囲気にはならなかったんじゃないかなー。目の前も足下も、すべてが霧の中という感じです。
 『九つの扉』についての推理部分など、とてもミステリーっぽいのですが、デュマにからんでくるところはなんとなくつくりものめいて現実から浮遊したようなかんじだし、コルソのあとをついてくる謎の若い女性のまとっている雰囲気がまたふしぎです。
 推理部分はきちんと解決するのに余韻をのこして終わるのは、そのふしぎに対する答えが暗示されてはいても明確には示されないからだと思うのですが。

 この本、きちんとそろっていたら本当に悪魔が召還できたのかなあ…。

 とにかく、『三銃士』とヨーロッパの古書に関するいろんな蘊蓄を読むのがおもしろい一冊。以前に書いたように『ナインスゲート』[書肆うさぎ屋]と改題されて文庫になっているので、もし興味を持たれたらそちらをどうぞ。

沈滞 2001.7.15(日)

 きょうは『呪のデュマ倶楽部』を読むぞと、気分的にははりきっていたのですが、いかんせん、体調がついてゆかず。
 どうして右半身だけむくむんだろう。むくんだところは例外なく痛いし。おまけにものすごくだるいぞ…。
 本を抱えながらがんばっていたのですが、どうにも集中できない。ちょうど帯広からのラジオ中継が始まったので、聞きながらちょっところがったら…いつのまにやら寝てた(^_^;)

 昼寝をしたら存外すっきりとしたので、ようやく読書に身が入り、ページも半ばまでやってきてどんどんおもしろくなってきたところで、今度は外部からの圧力により中断を余儀なくされた。
 原因は子鬼、もとい姪が「ただいまー」といって遊びにきたから。
 つづきをしりたくて、なんとか読みつづけようとしたけど、レジ係ごっこをさせられながらは無理でした。(昨今のおもちゃのレジスターにはバーコード読みとり機がついている。ナルホド)

鈴木尚典は横浜の四番打者 2001.7.14(土)

 きのう、e-hon経由で近所の本屋に届いた紺野キタ『あかりをください』(ソニーマガジンズきみとぼくコレクション)[Amazon][bk-1][まいなーですけど書店]を買ってき(てもらっ)た。
 寝る前に布団の中でひらいたのですが、だれることなく最後まで、ここちよく読むことができ、なかなかうれしい一冊でした。ある一点を除いては。
 表題作「あかりをください」のヒロイン鳩ちゃんのよろこびでもあり、苦しみでもある、若い義父さんのなまえがっ。た、たかのり。尚典だってよー。名字は違うけどー。どんなにがんばっても仮名漢字変換ソフトの初期辞書には登録されていない、めずらしい読み方の、いつも「ひさのり」とかで入力している(登録しろよ)尚典が、こんなところに!
 と、ひとりでこころのなかで笑いころげた。
 どうやら、ツボに入ってしまったらしい。
 ページから一瞬視線がそれると、ふっとユニフォーム姿が浮かんでくるのにくるしんだ。
 読み終えてから寝つくまで、思い出しては含み笑いがもれてきた。
 おかげで本の余韻にしみじみとひたれなくて困った。余韻にひたっているにはちがいないけど、どう考えてもしみじみとはいえないよー。ああ、不幸。

 念のために書いておきますが、当のキャラクターと野球選手の間には、名前以外の類似点はまったくないようです。声は竹野内豊に似ていると評判ですが、朴訥フェイスだし(^_^;)。しかも…ああっ、どうして無死一、二塁で三振するかなあー。絶好のサヨナラ機にー!(悲鳴)

無題 2001.7.13(金)

 あづい…。それにこの風のつよさはなんとかならないものか。そういえば夏になると、いつも強風に悩まされているような気もするなあ。毎年恒例のことなら、我慢するしかないのか…。はうう。
 せめて扇風機くらいはあってほしい。自室で使っていたものを、持って行かれてしまったのがかなしい…。

 あたまが沸騰しそうなのに、なぜかサイトデザインのやり直しを何個もつくっては反古にしている。いや、こうしてぐるぐると同じことばかりしているのが、おかしいことの証明かも。手が痛い…。
 『チェンジリング 碧の聖所(ネウェド)』でうれしかったのは、〈輝きの野〉が寒かったこともあるかもー(^_^;)

強風注意報? 2001.7.12(木)

 朝から非常に暑いのに、風が強すぎて窓があまり開けられません。しかし、閉めきると地獄なので隙間程度にあけておく。部屋の中はほこりと砂でざらざらです。不快。

 妹尾ゆふ子チェンジリング 碧の聖所(ネウェド)(ハルキ文庫ヌーヴェルSFシリーズ.2001.371p.820円+税)[Amazon][bk-1]読了。ケルトの神話伝説と現代日本とが溶け合ったファンタジー、『チェンジリング 赤の誓約(ゲァス)』のつづきにして完結編。

 〈騎士〉リンとともに、意を決して異世界〈輝きの野〉へと旅立ったはずの美前。七年目の大祭を前にし、〈女王〉の命が危うい。彼女は〈取り替え子〉であり〈女王〉によって〈世継ぎの君〉とさだめられた。その存在をめぐって、いま世界は不穏な状況にあるという。
 〈取り替え子〉の帰還をいちはやく察して駆けつけた〈上王〉アェドの誘いをリンははねつける。どうやら、状況は事前に聞かされていたよりも複雑で、なおかつ、異なる意味を持っているようだった。

 お昼過ぎに宅配便で届いた本。暑さと時間を忘れて一気読みしました。
 読みはじめてからすぐに物語世界に押し流されたような感じで、「ここはもうすこしじっくり読みたいぞ」と思うところがしばしばあったのに、止められなかったです。
 「赤の誓約」の舞台はほとんど現代日本でしたが、「碧の聖所」はほとんど〈輝きの野〉(マーグ・ソルシュ)。著者得意の荘厳な雰囲気と存在感をもった異世界の描写に、登場人物の魂の輝きがくわわって、「別の世界を生きているひと達の話を読んでいる」至福の時間でした。

 前巻で美前にほのめかされていた、彼女の「存在の意味」は、あっというまに確たる後ろ盾を失い、宙ぶらりんになり、それから彼女は迷いに迷います。
 この紛争のほんとうの意味、世界のしくみ、ひとびとの思惑は、美前がじかに経験し、触れたことをもとに提示されるようになっているので、この間、めまいがしそうだった。俯瞰の視点がまったく差し挟まれず、美前の視点で一定しているので、徐々に視界がひらけていく感じです。
 しかし、興奮状態のあたまでそれはもうたくさんの情報を処理しようとし、しきれなかった私。読んでいる最中は、世界にどっぷりなので、いっこうにかまわないんだけど、水面からうかびあがってみるとこまかいところの記憶があいまいで…(^_^;)

 それから、秘められてきた世界のしくみ。私にはケルトの神話伝説について断片的にしか知識がないのですが、たんなる再話では終わらず、骨太で神話的なものになっているような気がします。文章自体にも以前より力づよさが加わったよう。
 どちらかといえば暗い翳りをおびた世界にひびく、音色のかがやかしさが印象に残りました。

 話と物語世界(現代からケルト世界へ、行って帰ってくる)から、メリングの『歌う石』がちょっとだけ思い出されましたが、うけるパワーがぜんぜん違う。人物たちの質感がまったくちがうのです。しばらくひたってしまいそうです。
 かなり冷静ではない感想でした。

梅雨があけた 2001.7.11(水)

 いまさらのようですが、気象庁が関東地方の梅雨明けを宣言した。
 人間が季節に線をひこうとしても、自然は勝手に動いてゆくのね。ああ、暑い。しかし、今日は今までよりも湿度が高くて、より夏らしい(つまり不快な)気候になってきた。しかも、風、強すぎです。とすると、気象庁の言葉も意外に当たっているのかも。

 二週間ぶりに図書館へ行って、予約本を受け取る。ほとんど忘れていた本が来て、驚く。いま、あんまり読みたい気分じゃないんだけど…。しかし、借りる。そしてまた、いつ届くかわからない本の予約をする。
 予約をするのに参考にさせていただいているのは、ウェブの書評サイトのいろいろ。見たとたんに興味をひかれ、そのまま予約へ直行となるのは、しかし、少数。メモも取らず、記憶を頼りにしているので、図書館まで出かけて検索をはじめるときに思い出せるかどうかが鍵です。
 今回は、『ナインスゲート』を最初に思いだして検索いたしました。
 「この図書館にはありません」と出ましたが、べつの館にはある。さいわい、予約は一件も入っていないようだし、すぐに読めるかも…と思いつつ、カードに記入しているとき、そういえば、ハードカバーでも出ていたということを思い出しました。
 ところで、この本がもっとも最近記憶されたのは、作家妹尾ゆふ子さんのサイト内ショップ「書肆うさぎ屋」を見たときですが、それ以前にも一度検索したことがあって、きっかけはやっぱり作家荻原規子さんのサイトだった。そのときは『呪のデュマ倶楽部』で検索したけど、貸し出し中だったのでそのままになっていたのですが。
 しかし、あのときは「貸し出し中です」と出てきたのであって、つまりそれはこの館の蔵書にあるということでは?
 もういちど『呪のデュマ倶楽部』で検索すると「この図書館にあります」表示が出てきたので、書架に探しにいき、発見。見たとたんに、すでに重い荷物を抱えていたのに借りたくなり、実際借りてきてしまいました。記入してしまった予約カードは、消しゴムを探したけど見つからないので、破棄。もったいない…。

・妹尾ゆふ子『書肆うさぎ屋』...『うさぎ屋本舗』サイト内ショップ。「この一冊」コーナーの第一回めに『ナインスゲート』がとりあげられています。
・荻原規子『時の娘』...『空色勾玉』『西の善き魔女』などのファンタジー作家の公式サイト。

 ところで、[霜月書房]を点検しにいったら、『チェンジリング 碧の聖所』が注文できるようになっていたので、すかさず棚に入れました。Amazonはまだのようですが、[e-hon]でもできるみたい。うーむ。はやまったか。あ、でも、[bk-1]から出荷完了のメールがきていた。ま、いいか。手数料、なしだし。

PowerBook G3の電源アダプタ 2001.7.10(火)

 が加熱・発火の可能性があるので、Appleでは無償で交換に応じるらしいです。1998年5月から2000年3月までの期間に工場出荷された旧型PowerBook G3に付属していた、黒くて四角い電源アダプタ…私のとおんなじじゃないかい(^_^;)。たしかに通電しているときや、充電しているときは熱くなってるけど、発火の恐れだあ?

 アップルのサイトに行って、「ホットニュース」をクリックしたら…ありましたよ。電源アダプタ交換のご案内が。PowerBook G3のシリアルナンバーを入力すると、交換対象のアダプタかどうか判定してくれます。やはり、そうでした〜(T.T)。
 アダプタのメーカーやシリアルナンバーや、自分の住所氏名を入力して送信すると、交換受付が終了。十四日くらいで新しい電源アダプタが届くそうです。その後届いたメールによれば、届く日は運送会社から事前に電話連絡があるらしい。古い方はそのときに回収してくれるとのこと。

 メールマガジンで記事を見つけたときには、電話しなくちゃならないのかと思ったのですが、ウェブですべてが済んでしまい、ラクでした。よかった、よかった。

注射針の刺さるとき 2001.7.9(月)

 病院で採血をした。
 いつもは注射針を刺した瞬間、「チクッ」と痛み、その後はそれほどでもないのですが、今回のは刺した後もずっと「刺してるぞー、痛いぞー」と針が存在を主張しつづけ、抜いた後もしばらく痛かった(T.T)

 看護婦さんに「ちょっと(ほんとはかなり)、痛いんですけどー」と訴えたら、「すいません、もう少し我慢できますか?」ときちんと応対してくれたので、その点はよかった。試験管に三本分、血を抜いてしまうまで、針は抜いてくれなかったけど。

 以前訴えたときは、「何度も刺してると皮が固くなって痛くなるのよ」と、わけのわからない弁明を「私のせいじゃないんだからね!」という口調で主張されて、非常に気分が悪かった。
 あの看護婦は、歳がいってるわりに手際が悪かったので、おそらく病院事業拡張のために中途採用された人材で、勘を取り戻すために研修みたいなことをしていたのではないかと思う。つぎにいったときはいなかったので。

 2001.7.8(日)

 佐藤賢一赤目のジャック(集英社文庫.2001.306p.571円+税)[Amazon][bk-1]読了。西洋歴史小説。マガジンハウスから『赤目』として出版されたものを改題して文庫化したもの。

 十四世紀半ば、百年戦争のさなか、ポワティエの戦いでイギリスに敗れたフランス。戦争が終わるやいなや解雇された傭兵たちは、実りの秋を迎えていた農村を荒らしまわり、それは二年も野放しのままつづいていた。もっとも被害が深刻な北フランスのボーヴェ地方にあるペルヌ村も、その例外ではなく、殺戮と略奪の波に飲み込まれる。農家の若者フレデリは困難な状況を打開するため、流れ者の乞食坊主、魔眼の持ち主といわれ、気味悪がれていたジャックを村の聖堂に招待する。

 「ジャックリーの乱」として知られる農民の蜂起を題材に、熱い血肉と魂の葛藤を描く、歴史小説。
 皮膚感覚に直接につたわるような文章は、翻訳を通してはつたわらないのかもしれないです。『王妃の離婚』を読んだときにも思ったことですが、これはまさしく日本語の小説です。舞台はフランスで、扱われているのも西欧史のできごとなのですが、人間の赤裸々な欲望と、あおられて行き着くところまでいってしまう暴力性が、日本人のことばで語られています。なまなましさに、辟易するところもありますが、その迫力はすごい。
 教科書の一行程度の記述では想像しようもない、現実の過酷さ、痛ましさ、苦しさが、せまってきます。
 ジャックリーの乱の首謀者とされるジャックは正体不明で、あるいは農民の総体を擬人化したものであるとさえいわれているらしいのですが、作者はしっかりとした肉体と人格をかれにあたえ、若者フレデリの視線を通して描いています。

 農民の暴力行為がエスカレートして、とめどがなくなっていくあたりの異様な雰囲気や、ジャックと因縁があるという領主の奥方、赤毛のブリジットの鮮烈な存在感など、ぐいぐいとひきこまれるおもしろさです。
 繊細なファンタジーや緻密なミステリーなどからすると、核心わしづかみのような荒々しさが新鮮に感じられます。
 が、私としてはどうも男性側からの感覚というか、思想というか、規範というか、そういうものが前提になっているような語り方が、けっこう鼻につきました。まあ、主役のフレデリが聡明とはいえ、カチカチのカトリックだし、歴史的事実として女性の立場が弱かったので仕方がないといえばそうなのでしょうけど、なんだか救われないんだよね。どっちのマリーも、ブリジットも。「しかたない」「そういうもの」で、あきらめつつ生きているような気がします。『王妃の離婚』での前向きさが、ここではなげやり。すべてを女性側の包容力に頼っているようで、あまり気分はよくなかった。
 それに、ジャックはなにを求めて武装蜂起を先導したのか、いまひとつわからなかったので、これも釈然としない理由でしょうか。たぶん私の理解不足なのでしょうけど。
 旅芸人のジェロームというキャラクターが、けっこうおもしろかった。美丈夫な道化かとおもいきや、意外に陰のある人物で。

衝動的に その2 2001.7.7(土)

 きのうやらかしたもうひとつのこと。それは、
 「Amazonのアソシエイト・プログラムに参加申し込みをしてしまった」。

 申し込みフォームに入力しながらも、あたまの中のそこここで「だいじょうぶなのか〜。ちゃんと使いこなせるのか〜。霜月書房だって、ちゃんと運営しているとは言い難いのに〜」と、こびとがいじわるくささやいていた。しかし、理性のふきとんだ私は、勢いに任せて「登録」ボタンを押してしまったのでした。
 直後に「アソシエイト・セントラルにアクセス可能」になってしまい「さあ、つくりましょう!!」と呼びかけられて、すぐに我に返りましたが。
 とにかく、正式な通知はあとでくるというので落ち着き、そのあいだに考えてみようとほっとしたのに、猶予期間はすぐに終了。なんとなれば、「正式通知」が、もう!、届いてしまったからです。はやすぎです。
 「いやいや、きっと他の方々にはこれがフツウなのだよ。フツウ。私の体内時計が油ぎれで軋んでいるだけなのだよ」だから、不安なんだってばー。

 というわけで、本人はなはだ心許ないまま、なし崩し的にスタートします。お勧めの本を手に取っていただく機会をもうける、というより、たんにページを書影で彩ってみたいがための試みのような気もしますが…。とりあえず、日記本文中の書名うしろに【Amazon】とつけて、その本のAmazonサイトのページにリンクをはってみました。このページだけですけど。なんか、視覚的にうるさいですね。他の方法を考えるべきかも。

 リンク作成方法などをながめつつ、いろいろと検索をかけて、その過程で社会思想社の現代教養文庫から出ていた本を思い出したので、霜月書房の「ファンタジー2」に数冊追加しました。
 Amazonのほうで検索した結果は、現代教養文庫ファンタジーをごらんください。ほとんど品切れに近い(書影もナシ)ですが、出版されてからずいぶん経っているので、よくぞまだ残っていてくれた、というのが感想です。やっぱり「お取り寄せ」ばかりですが…大丈夫ですよね?
 私はラッキーの『女王の矢』上下巻を探していたのですが、Amazonには下巻しかなくて。eS!Booksには二冊ともあったので、こちらに並べました。あとは井辻朱美さんの訳された『アレール姫の指環』[Amazon]と、神月摩由璃『幾千の夜を超えて』[Amazon]ですね。

 やりだすと止まらない、この作業…。いかん。本を読まなくては。
 現在は、佐藤賢一『赤目のジャック』を読んでいるところ。世界史でやった「ジャクリーの乱」の話らしいです。

衝動的に 2001.7.6(金)

 暑さつづきにとうとう頭がイカレました。というか、自制心がふきとんだのでしょうか。
 bk1で本を買ってしまった。

 買ってしまった、というほど大げさなことかと、思われるかもしれませんが、オンラインショップでモノを買うというのがそもそも初めてなので、私的には大イベントです。
 これは、一週間に一度出かけるだけで廃人と化してしまう自分に、非常に不安を感じたせい。その不安の内容が、「こんなにへろへろだと、あの本の発売日に本屋に行けない!」というものなのはともかくとし、それなら、オンラインで買ってみるのもいいかもしれないと、思いついてしまったのであります。
 いちおう、自分でも店を持っているeSBooks!から始めて、いろいろと見てまわりましたが、目的の本の予約を扱っているのはbk1だけのようでした。
 しかも、現在bk1は、予約本が含まれる場合の注文は、配送料が無料。もう、ここにするしかないでしょう。
 つーわけで、注文するのに必要なことを、いろいろとしたわけです。利用する気もほとんどないのにユーザー登録をしていたのがあだになって、パスワードが思い出せなかったり、始めにわからないところをきちんと解決しなかったせいで、いちいちセキュリティー外のリンクへ飛んでしまっては、もう一度はじめからやりなおすことになってしまったり、あいかわらずの要領の悪さが身にしみましたが、なんとか、最後の画面までたどりつきました。はー。疲れたぞ。
 ちなみに注文したのは、妹尾ゆふ子『チェンジリング 碧の聖所』(ハルキ文庫)です。発売日の三日前まで予約できるらしい。つまり七月十日まで、ということか。

・著者ご自身の紹介サイト ■うさぎ屋本舗■ works/CHANGELING2

 たつみや章天地のはざま(講談社.2001.342p.1600円+税)[Amazon][bk-1]読了。縄文から弥生へとうつりかわる古代を舞台にしたファンタジーシリーズの三作目。『地の掟 月のまなざし』のつづき。

 アテルイが長をつとめるムラに、ワカヒコたちがやってきて一年が過ぎた。
 冬の最後の頃、ムラの男たちは山向こうへ交易のために出かけていく。自分たちが狩りでしとめた獲物の毛皮や、女たちがつくった細工物などを、塩と交換するためだ。
 ポイシュマとワカヒコは、カラス組からふたりだけクジでえらばれ、交易に参加することを許される。海辺にある塩のムラは、チェプモトという立派な長のもとで塩をつくって暮らしていた。彼らのもとにはあちこちのムラから人が訪れる。かれらは塩と引き替えに様々なものを手に入れていた。

 異質な文化をもつひとびとの衝突のものがたり。そのうち、和解にいたるのでしょうか。ここまでの展開では、かなり疑問。神様もひとびとの身近に実体としてあらわれます。
 主人公はポイシュマとワカヒコですが、人物としては今回、ヤタカが重要な役どころで活躍。こういう、実直で地味な人物が有能さを発揮する展開はすきです。ホムタは哀れ。かれはいろいろと屈託のある人物ですが、これだけ同情すべき要因があるにもかかわらず、まったく好きになれないやつだった。その分も哀れ度が増しています。

 交易に関する考え方の違いが、ムラとクニの大きな違いをあらわしているのでしょうか。
 ムラの考えは、みんなでわかちあう。クニの考えは、自分がより多くもうける。
 ムラのひとびとには「みんな」として認識されるものが、クニのひとびとには「われわれ」と「相手」というふうに分割して認識されてしまいます。そして「相手」は往々にして「敵」とみなしてしまう。すごく被害者意識がつよいです。
 農耕をして富の蓄積が容易になると、意識はこうなっていくのかな。しかし、より多くもうけるというのは、交易を生業とする人々の考えだと思っていたので、すこし違和感を覚えたのですが、この時代にはまだそういう存在はなかったようですね。すくなくとも、日本には。

 このお話の神様はとても人間的なので、月のカムイの息子である亡きシクイルケが神として現れるのにも違和感はないのですが、個人的には神様にはもっと異次元的というか、超次元的な存在感があってほしいなーと思う。

 ストーリーにはほとんど触れないでここまできてしまいましたが、この次の巻でシリーズは終わりだとあとがきに書いてあります。半信半疑。

一緒に夕ご飯 2001.7.5(木)

 夕飯を食べているときに、食卓の陰に潜んでいた蚊に、左右のふくらはぎを四カ所もごちそうしてしまいました。
 そのうちの一カ所は、他のところの三倍くらいに証拠が広がっていたので、ここだけで三回口をつけられたのかも。
 それでなくてもあちこちかゆいのに、このうえ虫さされかい…(T.T)

 乙一石ノ目(集英社.2000.302p.857円+税)[Amazon][bk-1]読了。ホラー短編集。
 といっても、この著者の話の場合、「怖い」というより「ふしぎ」な「狐につままれたような」感覚のお話が多いようです。
 収録作品は以下の四編。
「石ノ目」
 表題作。隔絶した村の言い伝えに材をとった、この本の中ではもっともホラー色の濃い、「怪談話」。展開から「石ノ目」という妖怪はいない方向にすすんでいるのだと思っていたので、なんとなく居心地の悪い、そういう方向にいくのねーという感じの着地に、ふしぎな気持ちに。
「はじめ」
 子供が自分の罪をなすりつけるためにでっちあげた「はじめ」という名の女の子の存在が、いつのまにか予想外に大きなものになっていく話。
 「ウソ」が「ウソ」でなくなる過程と、「ウソ」にとっての「現実」とのつきあいかたなどが、とても興味深かった。
「BLUE」
 中国人の経営する骨董屋で、とても手触りのよい布をみつけたぬいぐるみ作家が、その日のうちにつくりあげた五体のぬいぐるみの話。
 人形ファンタジー。余り布でつくられたせいで不格好なブルーのけなげさにうるうる。
「平面いぬ。」
 中国人の彫り師に彫ってもらった犬の刺青が、「見ていないところで」動き出す。女子高生の不満の多い毎日が家族の病気をきっかけにして変化していく過程の、けだるいまんまの描写が、なんとなく好き。刺青犬ポッキーの活躍もユーモラスでありました。最後はけっこうしみじみ。

 あつくて本を読むために集中するのがつらい状況で、最初の「石ノ目」はちょっと取っつきにくかったかなと思います。個人的には「はじめ」の、幻想との境目がうすらいでいるような雰囲気が好きでした。

我望冷凍睡眠(?) 2001.7.4(水)

 梅雨はどこへ行ってしまったのでしょう。
 いや、この暑さはすでに夏としてもフツウじゃないです。
 暑さに対してたちむかう気力のない私は、「夏が早く来たって、秋が早く来るわけじゃないしー」「昔の夏はこんなに暑くなかったのにー」「33℃までなら許せるけどそれ以上は異常だー」と愚痴をくり返すのみ。
 ああ。
 夏の間だけ、コールドスリープに入りたい…。

 図書館行きはキャンセル。といっても予約しているわけじゃないんだけど。
 乙一『石ノ目』をようやく半分読んだ。

自分の限界 2001.7.3(火)

 きのう、涼しい、快適、らくちん、などと思って、すこし羽目を外しすぎたらしい。
 だる〜。
 身体がおもくて、関節はメキメキと音をたて、眠くてたまらない。
 あまりのだるさに、本を読む気力もない。はああ。
 自分の限界については、心得ているつもりだったのに。これを読み誤ってしまったことにも、がっくりーなのだった。

昨日じゃなくて、よかった 2001.7.2(月)

 今日は妹のストレス解消につきあって外出。
 昨日より気温が低下し、湿度も低かったようで、だいぶ過ごしやすかったので助かりました。
 久しぶりの地下鉄に乗って久しぶりの映画館へ。周囲はそんなに変化していないのに、ふたりともすっかり道を忘れていた。出不精なのがバレバレです。
 『みんなのいえ』を観たのですが、気持ちよく笑えるコメディーで、妹の気分も晴れたもよう。
 私の方は、またも視力が落ちていることが認識されて、ちょっと暗くなりましたが。ロングでしか出てこない脇役の顔が識別できなくて、妹が「あれは誰それだよね」と言うたびに、「え、そうなの」とこたえるしかないという…。
 帰りにちょっとだけ本屋に寄り、『ラプソディ』の下巻[Amazon]を購入。ちょっとだけお茶をして、スーパーで姪の浴衣を買って、帰宅。

梅雨のはずですよね 2001.7.1(日)

 あまりの暑さに昼寝してしまいました。フェーン現象でしょうか。
 夜、摂氏二十五度前後で寝付けないのに、三十度以上でコロリなのはどうしてなのか。
 ハッと気づいたら、中日が一点追加していた。
 こんな気候でデーゲームをしているひとたち、スタンドでみているひとたち、尊敬します。
 とくにマウンドで投げているふたりの三十五歳。

 伊東京一BIOME(バイオーム) 深緑の魔女(エンターブレインファミ通文庫.2001.287p.640円+税)[Amazon][bk-1]読了。第二回ファミ通エンターテイメント大賞小説部門、入賞作品「深緑の魔女」を改稿、改題したもの。

 大地のほとんどを樹海が覆いつくす世界。人々は植物のふるう猛威と戦いながら日々をほそぼそと暮らしている。
 女としては珍しくフォレストセイバー(森林保護者)を生業とするライカは、パドゥーラという比較的新しく開かれた国にたどり着く。その周辺の生態系はバランスを崩して病んでいた。しかし、ここにはセイバーはひとりもいない。みな、「呪われて」死んだのだという。
 彼女は領主であるセメネスから、国の財源となっているバンクシアアイビーを食い荒らすバンクシアワームの異常繁殖を抑えるように、他の三人のセイバーとともに要請される。
 心を許さず牽制しあいつつ、虫を駆除する方法を模索するセイバーたち。ライカはこの事態の裏になにかがあると直感するが、やっかいごととは関わらずに自分の仕事をこなして出ていこうと考える。

 あつくるしい室内で読む、むせ返るような樹海の描写が、たまらない。汗がしたたり落ち、うぞうぞと虫がうごきまわる、湿度の高い、生物の気配の濃厚な世界。
 あちこちで題名を見かけたので借りてみました。読んでいる分には、細かい描写がリアルで、とてもおもしろかったんですが、しかし、はっきりいって、こんな世界には住みたくないぞ。

 それはともかく、ヒロインの自立して孤独な性格のせいか、プロフェッショナルな技術と観察眼と洞察力のせいか、女探偵もの(翻訳の)を読んでいるような気分でした。ワームの繁殖原因や行動を推測する過程や、そのあとのスナッパー(用心棒)フランとのつきあい方なども。
 そういう気分で読んでいると、後半の部分はちょっと甘いような気もします。
 他人に距離を置いて、けしてうち解けないライカの性格には、生まれが影を落としているのだけど、かけられた錠にぴったりと合う鍵がみつかったからといって、すぐさま扉が開かれてしまうのは、安易な気がしたのですね。生き死にがかかっているのだから、安易とはいえないかもしれないが。
 それと共通するかもしれないけど、ジジアのことも、もっと冷徹にしてほしかったかなと。
 そういうのはこのレーベルの対象年齢の求めるものとは違うだろうと、思いはしますが。


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