2003年12月のdiary
■2003.12.5 買い出し/
■2003.12.8 TTTのSEE/『千の翼の都 翡翠の怪盗ミオン』
■2003.12.13 一度にひとつのことしかできない/『今度はマのつく最終兵器!』
■2003.12.14 主役は高校生/
■2003.12.15 リフレッシュ/
■2003.12.16 記入見本と『ドカベン』/『イリヤの空、UFOの夏 その4』
■2003.12.21 /『宿命の囁き 上 〈ヴァルデマールの風 第1部〉』
■2003.12.24 /『宿命の囁き 下 〈ヴァルデマールの風 第1部〉』
■2003.12.25 注射針にチューブ/
■2003.12.26 年賀状/『今夜はマのつく大脱走!』
■2003.12.27 今年読んだ本/
■2003.12.28 年賀状2/『眠れる天使の園 サンク・ヴェリテの恋人たち』
■2003.12.29 2003年のあれこれ/
2003年もあと少しで終わり。今年は強烈な一年でした。その理由は、具体的には書けないのですが、とにかく、めちゃくちゃ精神的に疲労した一年だったなあと、しみじみ思います。とりあえず、今年のいろいろ。
DVDプレーヤーを買った+DVDも買った
二月のTTTの公開に先駆けて、LOTRのDVD見たさにDVDプレーヤーを購入しました。設置に関してすったもんだがありましたが、DVDを満喫。やっと世間並みにDVDを見る暮らしがやってきた、と喜んだのも束の間。今度はテレビの色合い調整機能がイカレてしまい、黄ばんだ画面で見るDVDは最悪という結論に達しました。このテレビは寿命だと、電器屋さんにいわれた。
ふと我にかえると、巷では地上波デジタル放送が開始され、デジタルチューナー付液晶テレビが花盛りです。しかし自宅周辺は当分その範囲から外れているため、いまテレビを買い替えるのは気分的にすすみません。放送が開始されるまでデジタルチューナー内蔵のテレビを買っても仕方ない。きっと放送開始の頃にはもっとお安く手に入るだろうしなあ。一番機能のシンプルなテレビを繋ぎに買おうか、買うならどの店がいいのか、うちのばかでかいテレビを引き取ってもらうためにはいくら必要なんだろう、と惑っているうちに年末までやってきてしまいました。来年はあざやかな画像でDVDを見られるようになりたいものです。
体調、精神状態浮沈つづく+ダイエット
ここ数年ずっと精神的な落ち込みがつづいていて、今年前半はすこし前向きな気分になったかなと感じていたのですが、後半に起きたあることをきっかけにどん底まで落ち込んでしまいました。そのためか体調もおかしくなり、無性に頸が痛く、腰痛も悪化。体調管理についていろいろと考えさせられた年になりました。
この歳になってしみじみと感じることは、「健康は何にも勝る宝である」ということ。病を得ると精神的な余裕もなくなりますが、なんといっても物理的金銭的な負担が大きいのです。そのことを思うと余計に精神的な負担も増す。私はもうほとんど完治は不可能な病気を患っているので、基本的な診療費と薬剤費は仕方ないとして、これ以上家計を圧迫しないためには、やはりよりよいレベルでの小康状態を保つようにしなければ、と考えました。
体力増進のための散歩とストレッチと筋トレ(ほんの申し訳だけど)をつづけるのと並行して、ダイエットを始めたのはそのためです。ダイエットは痩せるためではなくて、体の機能をすこしでも取り戻そうという試みの一環なのです。
しかし、やるからには少しでも体重が落ちると嬉しいし、体脂肪もがんがん減って欲しいと思うものです。そちらのほうの効果はあんまり上がっておりません。食事制限がほとんどなくて、ただおやつを抜いただけだから(苦笑)。むしろ、いろいろと考えて栄養をとるように心がけている分、以前よりたくさん食べているような(ちなみに十月後半に始めて現在までにおよそ一キロくらいです、減ったのは)。でも、腰痛はだいぶ改善してきたような気がします。毎日朝晩体重計にのるのが、体調管理のいい目安になっている模様。
創作を再開
かつて趣味でやっていたお話書きを、しばらくぶりに再開しました。そして、無謀にもサイトで連載なんてことも始めました。しかし、プロット立てられない人間が細切れに話を書いて公開しようなんて、どだい無理なのです。はやくも行き詰まりを感じてます。来年はもう少し身の丈にあった挑戦にしよう…(苦笑)。
読書関連
そんなこんなで、今年も本を読むペースはあがりませんでした。というか、去年よりも落ちてる。本を読まずに吐きだすだけだと、自分がやせ細っていくばかりだということをしみじみ感じた年でもあったので、来年はもう少しちゃんと読みたいと思います。でも、買う本は少なめにしようとも思っている。シリーズものの淘汰をしようと、買う作品をしぼり始めました。基準は……かなりいい加減ですが。
横浜ベイスターズ二年つづきで最悪
昨年、これ以上はないだろうというどん底状態をさらしたベイスターズでしたが、まさか二年もつづけてこのような状況に陥ろうとは。去年より悪いことはないだろうと思っていたのに、成績的には去年よりさらに下でした。もう、どうせなら最悪の記録を塗り替えてしまえ、と思っていたのですが、シーズン100敗にはならなかった模様です(94敗もすれば充分です)。
ただ、ホームランがたくさん見られたので、気分的な試合の景気はそれほど悪くはなかったです。去年はじめじめと負けつづけてましたからねえ。これも使用球を変更したおかげでしょうか。こちらもかなり被弾していたので、それほど得はしていないような気もするんだけど、出るのと出ないのとではかなり違う。やっぱりホームランは野球の花だという認識を新たにいたしました。もう少し、ランナーのいる場面出てくれるとさらに嬉しかったんですけども。ホームランがこんなに多くて打点のこんなに少ないチーム、初めて見たよ…(汗)
イースタン・リーグで湘南シーレックスが優勝争いしていたのが、すこし明るい材料でしたね。来季は若手が活躍してくれるように願っております。
思い返すといろいろあった一年でした。来年はもっと前向きな年にしたいなと思います。
自分の年賀状、観念してつくりました。
途中、逃避してDVDを見始めたり、お絵かきをしはじめたりと脱線したので、かなり時間がかかりましたが。
失敗その一。自宅の郵便番号を間違えた(バカ)。一枚だけ試し印刷しているときに気がついて、あわてて数字を入れ替えました。
失敗その二。ハガキの裏面、いちめんに印刷してしまった。サインペンで文字を書くとインクではじかれてしまう。せっかくスペースを空けたけど、汚くなってしまうので添え書きを書くのはやめにしました。……てことは? ヤッホー、終わったぞ! ……年賀状だけだけどね。
橘香いくの『眠れる天使の園 サンク・ヴェリテの恋人たち』(集英社コバルト文庫.2004.262p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ラブコメディーシリーズ。『翼のない天馬 サンク・ヴェリテの恋人たち』のつづき。
ブローデル王国きっての切れ者と名高いリアンクール公ラウールと婚約者のシャロンは、国王の願いを断りきれず、首都ローランスで婚礼をあげることになった。夏の休暇で閑散としていた宮廷はにわかに活気づき、次代の社交界を牛耳るあらたなヒロイン登場かと、シャロンの噂に花を咲かせる。一方、先の王弟謀反事件にかかわり、ラウールによって煮え湯を飲まされたものたちは暗躍を始めた。
ラブラブカップルの巻き込まれる、お騒がせ事件簿。するすると楽しく読める、肩の凝らないお話。
ラウールのかつての女(?)ガブリエルに嫉妬心を燃やしつつ、その妹であるこまっしゃくれたコレットと仲良くなるシャロン。このふたりが、王弟謀反事件にからんでラウールに恨みをもつ一派のたくらみをさらに複雑怪奇に仕立て上げるところが、この話のミソ。それに田舎の美女誘拐事件という、猟奇な話がゴシック風な色を添えております。
コラリーとフェリックスの事件と違うのは、こちらの事件が直接間接に王権闘争と結びついているところか。たしか、ラウールとシャロンの子孫が後のブローデルの王家の血統になるんですよね…? そう思って読むと、このふたりの性格が微妙にテランスに受け継がれているような気がしておもしろいです。このシリーズの行きつく先は、ラウールの中枢復帰なのだろうか。
・Amazonでサーチ>>「サンク・ヴェリテの恋人たち」既刊
サボりにサボっていた読了本のデータベース入力を三ヶ月分やりました。といっても、今年は読んだ本自体が少なかったので、それほどの手間にはならなかった。十年前だったら、途中で嫌になってやめていただろうけど。
参考資料はこのサイト。すでに日付が全部嘘なのは仕方ないとして(すみません、サボっていたから実際に読んだ日付とはかなりズレが)、書誌情報に嘘が混じっているのには自分で頭を抱えました。それも見ただけでわかる大嘘を複数発見。実物を見ながら入力しているはずなのに、どうして間違えるんだか。おそらく、前日のデータを雛形として流用したときに書き換え忘れた、というのが実際のところかと思いますが(間違いを見つけたものはサイト内情報も書き換えておいたので、そのうち上書きされると思います)。まぬけすぎる自分が、ちょっと笑える。
それから、データには版数も入れてたのですが、サイトには初版の年しか入れてないんで、これももう、すっかりいい加減になってしまい、さらに、短編集の収録作品のタイトルもあるのとないのとが入り乱れて。もう、ぜんぜん資料としては信頼性のない、ほとんど役に立たないものと化しております。作る意味はどこに、という感じですが、いいや、私が自分で読んだ本がわかればいいんだから。
ちなみに、2003年に読み終えた本は、いまのところ134冊でした(十年前は370冊;)。ついでに今年のベスト本ページを作り始めましたが、数が少なくてベストと印象に残った本の線引きがうまくいかず、悩んだあげくに中断。パソコンの置かれた机も寒すぎる。
妹が年賀状を作っている間、子守りをつづけて疲労困憊。これでふたり分終了。
残りは自分の分だが……なんだか、もう嫌になってきた。
をつくりに、妹たちがやってきた。
疲れた。
年々、投げやりな年賀状になっていく。
喬林知『今夜はマのつく大脱走!』(角川ビーンズ文庫.2001.220p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界召喚ファンタジー「マのつく」シリーズ三冊目。『今度はマのつく最終兵器!』のつづき。
異世界の、略して眞魔国の第二十七代魔王となってしまった渋谷有利(高校生・男)。今度は鴨川シーワールドのイルカ、バンドウ君と握手の最中に流されて、三度異世界へとたどりついた。教育係のギュンターと“キャッチボール仲間”コンラッドが語るには、今回の問題は魔王にしか使いこなせない「魔笛」を持ったものが、無銭飲食で捉えられ、処刑寸前という話だった。有利は前王子三兄弟とともに、「魔王の名を騙る」不届きものと魔笛の行方を追うことになる。
通院の合間に読んだ本。
うーん、いつものことながらディテールがおかしい。話は大したことないんですが、ときどき吹き出すような文章が。この人の文章のギャグは、ずいぶん私の呼吸と合ってるんだろうなあ。
正直に言いますと、ストーリー展開ではいつもダレると感じるところがあって、そんなに面白いとは思ってないらしいことがなんとなくわかってきた。途中、飛ばしてもいいや、とおもうとこが何カ所かあるんですけど、飛ばしてもそれほど支障を感じないんですね。
有利の野球魂とギャグは好みなので、もう少し読んでみようかどうしようか、悩んでいるところ。
・Amazonでサーチ>>「マのつくシリーズ」既刊
クリスマスですが、通院。
持病とは違うんじゃないかとは思うけど、気になっていたことがあったので相談したら、血液検査を命じられました(あー、他の症状もあったのに、いうの忘れた;)。
取られる試験管の数は変わらなかったので、それはかまわなかったのですが(いや、検査料は高いのでその点は多いにかまうんだけど)、注射針が注射器に直接ではなく、細いチューブで繋げるようになっているものを初めて見まして、「おおー、こんなものがあるのか!」とひとつ新しい発見をした思いでした。しかし、帰宅して母親に話したら、「それは点滴のときに使用するものでは」と指摘され、なんだーとがっかり(苦笑)。
そういや、私は点滴を受けたことがほとんどありません。だから、看護士がパックを開いて注射針にチューブのついたものをひゅるひゅると取り出したときに、「へ?」と驚いたし、自分の肘の内側にちくりと刺された針から、すうっと血液がチューブを満たしていく様をながめて、なんだか不思議なものを見たような気分になったのでした。チューブの先には試験管の仕込まれた注射器があって、それはいつもとおんなじなんですが。
これで肘の開きが悪くなっても、しばらくは血管求めて手の甲だの手首だのを射されずにすむかもしれない。あれ、ものすごく痛そうなので、いやだなあと思ってたんですよね。
そういえば、最近、血液検査のたびに誕生日を尋ねられて、ちょっと面倒と思っていたんですけど、血液検査の取り違えから輸血用血液の血液型を間違えられたという事故があったことを知り、個人確認のためという言葉の意味をいまさらながらに思い知りました。だめだ、面倒なんて言葉を使っては。ダイエットのためにも(苦笑)
以下を購入。
- シャロン・シン『魔法使いとリリス』[Amazon][bk-1]
- 橘香いくの『眠れる天使の園』[Amazon][bk-1]
- 石堂藍『ファンタジーブックガイド』[Amazon][bk-1]
- 二ノ宮知子『のだめカンタービレ 2』[Amazon][bk-1]
マーセデス・ラッキー(山口緑訳)『宿命の囁き 下 〈ヴァルデマールの風 第1部〉』(創元推理文庫.2003.350p.840円+税
Mercedes Lackey "WINDS OF FATE",1991)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジーシリーズ「ヴァルデマール王国年代記」に連なる三部作、〈ヴァルデマールの風〉三部作の開幕編の下巻。『宿命の囁き 上 〈ヴァルデマールの風 第1部〉』のつづき。
ペラジリスの森に住まう〈鷹の兄弟〉の一部族、ク=シェイイナ族の見張りである〈暗き風〉は、一族の長老であり、父親でもある〈星の刃〉の変貌に苦悩していた。力の源である〈要石〉が破壊されて、魔物たちに対抗できなくなった一族は衰退の一途をたどっている。しかし、〈星の刃〉は魔法の力を手放した息子に辛く当たるようになり、どんな適切な助言にも耳を傾けない。ある日〈暗き風〉は、罠にはまって自滅しかけたダイヘリを救った〈変化の子〉ナイアラを助けた。〈変化の子〉の多くは魔法使いの所有物で、その身体にさまざまな変更を加えられている。ナイアラは虐待の限りをつくす主から逃げてきたという。その残虐な魔法使いの名は、〈隼殺し〉のモーンライズといった。
ヴァルデマールの王女エルスペスと、〈鷹の兄弟〉の〈暗き風〉、性も立場も住んでいる世界も異なるふたりの視点からべつべつのストーリーが進んできたダブルプロットのお話がようやくひとつの流れとなるのは、下巻も真ん中を過ぎたあたり。
ですが、その間に魔剣〈もとめ〉が生まれたいきさつや、〈鷹の兄弟〉とシン=エイ=インの誕生した過去などが語られて、これまでシリーズを読んできた人には興味深いお話となっています。なるほど、だから創元推理文庫の刊行は、タルマとケスリーの話から始めたのですね〜。
仕組まれた展開に反発して我を通すエルスペスは、どうにも喧嘩腰が鼻につくし、彼女がカタ=シン=エイ=インに向かう展開はちょっと強引な気がしますが、鷲獅子(グリフォン)というまたとない友人や、〈絆の鳥〉ヴリーの助けがあるとはいえ、苦悩する〈暗き風〉に襲いかかる苛酷な運命には同情を禁じ得ません。なんて忍耐強いんだ。
このふたり、今後どういう関係になるのかしりませんが、どうなってもエルスペスが〈暗き風〉をふりまわすことは確実のような気がします。
・Amazonでサーチ>>「マーセデス・ラッキー」
マーセデス・ラッキー(山口緑訳)『宿命の囁き 上 〈ヴァルデマールの風 第1部〉』(創元推理文庫.2003.373p.840円+税
Mercedes Lackey "WINDS OF FATE",1991)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジーシリーズ「ヴァルデマール王国年代記」に連なる三部作、〈ヴァルデマールの風〉三部作の開幕編の上巻。
ヴァルデマール王国の世継ぎの王女エルスペスは、安全であるはずの城内でハードーン国のアンカー王から差し向けられたと思われる刺客に襲われた。これはヴァルデマールの伝説だった魔法からの絶対なる防御がもう効力を持たないか、少なくとも防御を突き破ることのできる魔法使いがあらわれたのだということを意味していた。長年魔法から離れているうちに魔法については完璧なる無知となってしまったヴァルデマールには、魔法攻撃に対抗する手だてがない。エルスペスは、ヴァルデマールのために働いてくれる魔法使いを探す旅に出ることを決意する。
創元推理文庫から出る「ヴァルデマール王国」ものとしては、傭兵隊長ケロウィンの話だった『運命の剣』から話が連続しています。しかし、社会思想社から出ていた『女王の矢』(〈使者〉タリアがヒロインだった)とも繋がっておりまして、こちらの話のネタバレがかなりある印象を受けました。とりあえず、翻訳でも魔剣〈もとめ〉の話をたどって、シリーズの根幹であるヴァルデマール王国に本格的に舞台が移ったということか。
『女王の矢』ではきかん気な少女という印象が残っているエルスペスが、いきなり登場。例によって前作のことなど忘れきっている私はヒロインの年齢に見当がつかず。そのまま今度は〈鷹の兄弟〉の〈暗き風〉の登場に、(〈鷹の兄弟〉って、どんな種族だったっけ…)とまたまた悩む。それに〈共に歩む者〉がどんな存在だったかも思い出せないしー。という忘れっぽい読者にはあんまり配慮されてない導入部で、この話から読もうという読者にはちょっと手強い話かもしれない…と思いました。文章はとってもわかりやすくて、舞台の細々とした約束事を飲み込んでしまうとはしばしに漂う雰囲気にウットリとできるんですけどねえ。
とくに〈鷹の兄弟〉の世界にはわくわくしました。〈暗き風〉と彼の〈絆の鳥〉森隼のヴリーの会話が楽しいです。マキャフリイ「パーンの竜騎士」の竜騎士とドラゴンとの関係を彷彿とさせる。ヴリー、かわいい。このシリーズは人間と人間以外の存在とのかかわり合いが親密なのがいいですね。人間以外といっても、ファンタジーにありがちな異界の生物や魔法の生き物だけではなくて、おなじ世界にそれぞれの役割を担って生きている、すべての生きとし生けるもの、という感覚。馬とか鳥とか。それが〈鷹の兄弟〉のシーンでとくに色濃く現れるような気がします
というわけで、つづき読みま〜す。
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郵便局に行ったのです。それで待ち時間に何の気なしに郵貯抽出金受領書(かどうかは定かではない。よく見てなかったので)の記入見本、というのをぼんやりと眺めていました。
銀行や役所なんかにもよくありますが、申請書やなにやらの記入見本には、ごくごく一般的と認識されているがためにその他大勢と変わりがないような、平凡な氏名が書いてありますよね。
銀行なら行名を氏にして、三菱太郎とか住友花子とか。役所なら地名が氏になっていて、新宿一郎とか横浜よし子とか。
その郵便局も、ひとつには地名太郎の法則が適応されていまして、まあ、普通だなあと思ったのですが、もうひとつの氏名を見て、ちょっと驚きました。
そこには、「氏名、岩鬼正美」って書いてあったんですよー。
ええっ、岩鬼? 岩鬼って、岩鬼ってあの岩鬼? 『ドカベン』の葉っぱ野郎のあの岩鬼正美?
もちろん住所は地元のもので、まあその番地は架空で存在しないんだろうとは思いますが、見ただけでどのあたりと推測できるところです。
たぶん、山田太郎と書こうとした局員がちょっとふざけてみた、ってことなんでしょうが、それから私は途中までしか読んでいない『ドカベン』のその後が気になって気になって、仕方ありません。
妹と二人して「自分では買いたくないけど読んでみたいマンガ」ベストワンに指定されているのがいつも『ドカベン プロ野球編』(というか、水島新司の野球マンガ全般)。とくに1998年の日本シリーズに興味あり。読み出したら止まらないと思う……(だから絶対に自分で買ったりしてはいけないのだ。いまAmazonで検索してみたら62件もヒットした;)。
たしか、岩鬼は山田の妹のサチコちゃんと仲よくなっているらしいという噂(笑)をどこかで読んだ覚えがありますが、もしかして、地元のあの住所にふたりで住んでいたら面白いなあ……などと、買い物帰りにひとりニヤニヤする私でした。(あれ、でも岩鬼はホークスに入団したんじゃなかったっけ?)
秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その4』(メディアワークス電撃文庫.2003.333p..570円+税)[Amazon][bk-1]読了。『イリヤの空、UFOの夏 その3』のつづき。
特殊状況下における、中学生の等身大青春ストーリー、完結編。
思い切った行動に出はしたものの、主人公はやっぱり普通の中学生で、どこまで行っても普通なまんま。その普通さがリアルな描写で際だつがゆえに、力足りなくて歯がみするしかない、どうにかしたくてもどうしようもできない限界が身にせまる現実として読み手にまで迫ってくるのですね。それは主人公だけではなく、ヒロインの周囲を固めていた、一見悪役のような大人たちにしてもおんなじです。世界を覆いつくしている閉塞感とは、自分の力が信じられない、無力感の裏返しなのかと感じました。
リアルであるがゆえにかなり苛酷な話でもありますが、読み終えた後で残るものは、けして悪くはありません。超絶ハードでビターだけど、これもやはり少年にとってはひと夏の恋の思い出って事になるんだろうなあ、と思った。
ヒロイン側から見たら、文字通り、命をかけて好きな人とその人の住んでいる世界を救う、壮絶な話になるんでしょうけどもね……。
部長が単にひょっこりと戻ってきてしまったところが、ちょっと残念でした(^^)
・Amazonでサーチ>>『イリヤの空、UFOの夏』全四巻
本日は高校時代の友人とお昼をご一緒するため、繁華街に繰り出しました。
時間の二十分くらい前についたので、ひさしぶりにのんびりと本屋の中を眺めてまわりました。
J.R.R.トールキン『終わらざりし物語 上』[Amazon][bk-1]、J.R.R.トールキン『終わらざりし物語 下』[Amazon][bk-1]の二冊を見つけて、ためつすがめつしましたが、このところ散々散財していたのでため息をつきつつ平台に戻し、そのあとも気になる本をチェックするだけにとどめました。
最後に『ハヤカワ文庫FT創刊25周年』のブックレットをゲットして、待ち合わせ場所に。
友人がネット検索で見つけてくれたイタリアンのお店でランチをとりながら、ひとしきりお喋り。その後、アフタヌーンティーの店に移動してふたしきりお喋り。友人その一にはプラハ旅行の写真を見せていただいて、一枚一枚について詳細に解説してもらいました(彼女は後で喉が痛そうでした。ごめん。調子に乗って(^_^;)) 友人その二は「社宅に住んでいる外国人ラガーマンの話」などを楽しそうにしてくれました。
食事もお茶も美味しかったし、ひさしぶりに家族以外の人と話ができたし、とても有意義な時間でした。精神的にかなりリフレッシュできて嬉しかったです。私は調子に乗って暴言吐きまくってフォローのしようのない内輪話までしてしまい、友人たちはさぞかし困惑したろうと思うのですが、嫌な顔ひとつせずにつきあっていただき、感謝しております。
友人に借りていた『ハリポタ』一巻とマンガ数冊をお返ししたら、『パイレーツ・オブ・カリビアン』[Amazon]DVDを貸してくださいました。いつもありがとうございます、Kさん。たとえぐるなびクーポン券を忘れようと、いつもあなたにお世話になっていることに変わりはありません(^_^;)。お土産もありがとうございました。
Mさんには『ハリポタ』三巻を貸していただきました。これで私は準備OKです(なんの?)。
帰宅して、さらに嬉しかったのは、外食したのに体重が増えてなかったこと!
実はまだつづけているのだった、ダイエット…
陽当たりのよい部屋でぬくぬくとしながら、天皇杯サッカー三回戦、市立船橋高校と横浜Fマリノスの試合を見ておりました。なんとなくテレビをつけたら、目が離せなくなってしまったのです。
前半の半分過ぎから見始めたので、私はFマリノスが点を入れたシーンを全然見ていません。残りの時間だけを見たところでは、高校生たちの気負いのないひたむきなプレーばかりがめだつ試合でした。市船は最初から全力で走りまわっていたのでしょう、途中から足を攣る選手たちが続出していましたが、それでも延長戦の最後まで戦いきった。それも、同点のまま。
PK戦でやぶれはしましたが、わくわくするような試合を見られてよかったなあ、と思いました。そして高校生たちにはすごかったよーと言いたいです。
え? 私はいちおうFマリノスを応援しているものですが(笑)。最近あんまり熱心じゃないので、本日の試合のメンバーのほうが顔と名前が一致する選手が多かったりして(^_^;) 波戸選手には頑張って欲しいなとか(なんとなくファン)。
ハーフタイムに、フィギュアスケートのグランプリファイナルで村主章枝選手優勝の報が挟まれまして、「おお、今夜の速報番組は是非見なくては」と力が入りました。しかしその中継番組中、でっかいテロップが幾度も挟まれて画面が隠れる隠れる……。すみません、私、サッダーム・フセインが拘束されたことより、全画面でフィギュアを観たかったです(T.T) 『文明への道』も一時間ずれ込むしさ…。
この状況でトヨタカップを再延長の末のPK戦まで放送していた日テレに、ちょっと感心した。延長の延長なんて方式があったんですねえ。シルバーゴール方式とかなんとか、アナウンサーが言ってましたが。
ところで、こんなにいろいろと興味深いニュースがあったのに、明日は新聞休刊日なんですね。やはり重要ニュースは新聞で読みたいと思うのですが。
じつは趣味で創作をしています。この一週間、それに関したことに頭がすっかり支配されてしまい、他のことが日常含めておろそかになってます。いつも頭の半分以上が別の世界にあるので、それにすこしでも関係したこと、思考の必要のないことならできるんだけど、頭をまっさらにして別のことを考えなくちゃならないようなこと(たとえば、親戚へのメール書きとか)ができない。
DVDを見るとセットばかりに視線が行き、フィギュアスケートを見ても音楽を聞いて自分のイメージを追いかけているだけ。買い物に行くとぼんやり上を向いて空の色ばかりながめていたり、風呂に浸かっていると完璧にトリップして、どんどんお湯が冷えていくのに気づかなかったり。
なんでこんなに必死になっているんだろう、趣味だからこんなに懸命にやらなくてもいいはずなのにと心のすみでは思ってはいるのだけど、でも、いまはこれを吐きだしてしまいたい、という切迫感があまりにも強くて、もうどうしようもない。他のことをしていてもぜんぜん落ちつかないので、また舞い戻ってしまう。でも、うまくいかないのでそれはそれでやっぱり苦しい。
それがあまりにも長びくので、はやく終わりにしてしまいたいと焦り出すと、よけいに書き直してばかりになって頭はこんがらがってくるし。
年末なのに、使い物にならない私です。こんな状態では借りた本も返せない。
でも、来週にはケリを付けるぞ。年賀状もつくらなきゃならないし。
喬林知『今度はマのつく最終兵器!』(角川ビーンズ文庫.2001.222p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界召喚ファンタジー「マのつく」シリーズ二冊目。『今日からマのつく自由業!』のつづき。
渋谷有利。監督にたてついて野球部を辞めた熱血漢。しかしてその実態は、トイレの水に流されて行きついた異世界で魔王にされた、とほほな十五才である。今回は愛する西武ライオンズのデーゲームへと突撃する前に草野球での汚れを浄めるために友人といった銭湯で、またも謎の渦に流されて眞魔国へとたどりついてしまった。
眞魔国で待ちかまえていたのは人間たちの不穏な動きを訴える臣下たち。絶対に戦争なんか認めないと息巻いた有利は、他国を圧倒して戦を回避するため最終兵器魔剣モルギフを求めて旅立つことになった。
超絶美形の臣下たちに振り回されつつ、魔王として雄々しく成長する(?)少年を描く、シリーズ第二弾。
前作とかわらず、すらすらと読めました。話は単純だけど、文章がいちいちおかしい。年上の美形と年上のナイスガイと年上のマッチョと一見年下だけど実は年上の美少年と、でてくるキャラクターはそこはかとなくボーイズラブテイスト(有利の憧れは前魔王のフェロモンバリバリ美女のチェチーリアさまですが)。ところどころで平和のためにするべきはなにかというシリアスなテーマをかいま見せつつも、あくまでもドタバタに冒険行は進みます。
ときどき文章の味付けが多くなり過ぎてダレるところもありますが、総じてテンポよく読めました。
現実の指導者たちがこんなにシンプルな考え方をしてくれたら、こんなに息苦しくならないかもしれないのに、と思ったり。
Amazonでサーチ>>「マのつくシリーズ」既刊
『ロード・オブ・ザ・リング二つの塔SEE』[Amazon]をちびちびと鑑賞中。本編を字幕版で一度観たのち、現在は日本語吹き替え版で見ております。
日曜日には『ハリー・ポッターと賢者の石』を見たんですが、子供と一緒だったのでまったく集中できず。
ところで、日本語吹き替え版って、声が(音が?)小さくないですか。なんかものすごくボリュームを上げないと台詞が聞こえないんですが…うちのテレビのせいだろうか。
樹川さとみ『千の翼の都 翡翠の怪盗ミオン』(角川ビーンズ文庫.2003.255p.495円+税)[Amazon][bk-1]読了。正体を偽る少女怪盗がヒロインの異世界ファンタジー。
かつて「千の翼の都」と呼ばれた場所には、《リャイ》と呼ばれる先住民族がいた。いま、《リャイ》を支配下に置いた人間たちは鬼と呼ばれる化け物の脅威にさらされている。
青年貴族であり巡検使隊長をつとめるジューロ・カイワンは、ルムラ(黒アゲハ)と呼ばれる神出鬼没の覆面怪盗を袋小路に追いつめた。しかし相手の予想外に小柄なことに油断をしてしまったのか、ジューロはまんまとルムラに手玉に取られて逃げられた。貴族を標的とした盗みをくり返すルムラとは何者なのか。屈辱に身を焼くジューロを夜の街に残し、ルムラが帰り着いたそこは、ジューロの屋敷。ルムラの正体はジューロの屋敷のとろくさい侍女ミオンだったのだ。
これって、ヨーロッパに「発見」されて蹂躙された時代の南米のような異世界を舞台にした、『超少女明日香』[Amazon](和田慎二著、とろくさい天然ほのぼのお手伝いさんが美少女戦士に変身するアクション少女マンガ……という説明でいいのかなー;)みたいだなーというのが、ワタクシの感想。
ミオン本来の性格は明日香よりも凶暴ですが、侍女としてとろとろとした演技をしているときの雰囲気とか、それをみて侮った相手をさりげなく手玉にとるところとか、孤独な少女に共感するところとか、既視感に身もだえしてしまいました。似てるよ〜、と思いながら読んでいたので、余計に似ているように感じたのかもしれないけど、でも、似てると思うのよ〜。ラストの雰囲気とかも〜。
お話は展開が速いわりに説明もそれほど過不足なく、スムーズに読めました。複雑な物語の背景を、読み手に身構えさせることなくするすると理解させてくれる構成は、やはりプロですね。ファンタジーとしてはこの背景をもう少し書き込んで欲しいと思いましたが、ミオンの物語としてはこれくらいでいいのかも。堅物のジューロとの、ものすごく不器用なロマンス(このあたりも明日香を彷彿とさせる)も楽しかったです。
Amazonでサーチ>>「樹川さとみ」
『マルドゥック・スクランブル』三部作(冲方丁著)[Amazon]、日本SF大賞受賞、おめでとう。
非常に寒い一日。晴れから曇りの予報に変わり、しかし、まさか雨は降るまい…などと勝手にタカをくくって出かけたら、かなり降られてしまいました。傘を持ってなかったため、図書館からバス停までの道のりでだいぶ濡れた。
予約本到着連絡を(またしても)もらってしまったので、今度は何冊届いているのだろうと戦々恐々としていたのですが、たったの一冊でした。取りに行くのが遅いのが悪いのはわかっているけれど、たったの一冊のために血税で電話掛けてるのかと思うと、ちょっとムッ。
気を取り直して繁華街に出て、以下を購入。
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本屋に行くと、「そういえばあれも出ていた。これも、それも」ということになりやすいのですが、今回はDVDを買わなきゃと思っていたので、なんとかこれだけに留め、残りは頭にメモして帰宅しました。今度図書館で借りよう……覚えていたら。
帰宅して、『二つの塔』SEEの本編ディスク1を見ました。
未公開映像が加えられて、以前より話に深みが出たような。
ローハンの葬儀の場面で、エオウィンの歌が途中で途切れるのがもったいない〜。ファラミアがかっこよく見える〜。ホビットってやっぱり幼稚園児サイズなんだ〜(笑。
哀しいのは、色合い調整が壊れたうちのテレビだと、すべてが黄ばんで色褪せてみえることです(ガンダルフの長衣が生成のようだ)(T.T)。
NHKの『ためしてガッテン』を見ていて学んだこと。
涙の分泌量は、夜になると減る。
涙は、寝ているときはほとんど分泌されない。
そうか、だから朝起きたときが一番目がしぱしぱするのね!
どうして目医者はこういうことを教えてくれないんだろうなー。
トマス・ウォートン(宇佐川晶子訳)『サラマンダー ―無限の書―』(早川書房.2003.284p.2400円+税
Thomas Wharton "SALAMANDER",2001)[Amazon][bk-1]読了。「十八世紀のヨーロッパ、イギリスとカナダを舞台に展開する“愛と幻想の旅”」を描く、奇想天外な幻想小説。
十八世紀の半ばのケベック。イギリスとフランスの戦争に巻き込まれて廃墟となった街の破壊された本屋の店舗で、フランス軍の将校ブーゲンヴィル中佐が出会ったのは、職人のような姿をしているが貴族の品をただよわせる赤褐色の髪の美しい娘だった。破壊されなかった唯一の本をこれから読みたいのだといい、中佐は興味をひかれてそれはどんな本なのかと問う。「お話ししたら、一晩かかってしまいます」。ポケットサイズよりもすこし大きくて細長い、表紙は深緑に染めたアザラシの皮、ページは甲虫の翅鞘の下に折りたたまれた羽根のように薄い、論文であり、歴史書であり、小説でもある、どこから開いても、物語の初めと出会う本。その本について語るには、それに似た数冊の本にも言及せねばならない。娘はまず、仕掛けだらけのすばらしいお城ができたいきさつから語りはじめた。
本についての物語。
タイトルから想像するような派手な超自然現象はまったく出てきませんが、娘の語る枠の中身は、ふしぎで奇天烈で先の読めない、びっくり箱というか玉手箱というか、とにかく普通のお話とはぜんぜんおもむきの異なる展開がつづきます。普通じゃない世界で、普通じゃない人たちが活躍する、普通じゃないけど理知的で深淵なおとぎ話、とでもいったらいいのでしょうか。
のちにカナダとなるケベックでの幕開け、話の本当のはじまりのベオグラードでのオスマン=トルコとキリスト教軍の激突あたりまでは、まだ普通に読めるのですが、オストロフ伯爵の壮大な機械仕掛けの城がでてきたあたりで、これはとんでもない話だ…と気づきました。
歴史上の事実と嘘をないまぜにして現出させる、壮大な嘘八百。事実と虚構の割合は、もちろん虚構の方が圧倒的に大きいはず。ヴェネツィアからエジプトへ、それからいつのまにやらオーストラリア(?)へたどりついてその後は(ヨーロッパ人の夢見る)中国へ。舞台は点々と移り変わり、話のとんでもなさ度はどんどん増してゆきます。そしてそのとんでもない展開の中にさりげなく挟まれる、本についてのさまざまな考察。
ひとつひとつの文章を、どれも流さずに読みたいと思いながら読みました。
あこちこ理解のついていかない箇所もかなりあり、難解な本だと(私は)思うのですが、私は理解できなくても楽しいと感じて楽しんだので、それでいいのです。
こんなふうに感じて読む本は、イタロ・カルヴィーノ以来かも。カルヴィーノを読んだのはもうずいぶんと昔の話なので、この本とはぜんぜん違うかもしれないけど。