2003年1月後半のdiary
■2003.1.18 「にじ・そら・ほし・せかい」/
■2003.1.19 2002年ベスト/『LOVE WAY GLASS HEART』
■2003.1.21 /『航路 上』/『航路 下』
■2003.1.22 録れない理由/
■2003.1.24 夜更かしは禁物/『クリスマスのぶたぶた』
■2003.1.26 ぶつぶつ/『剣客商売 待ち伏せ』
■2003.1.31 欲とふたり連れ/
欲望につきうごかされるままに夜更かしをしていたら、見事に風邪をひきました。
体調悪くなったところで仕事がやってきて、自由時間が減り、だけどやっぱりやりたいことはやりたいので無理をして、また風邪を悪化させました。ことここにいたって観念し、欲望を我慢して早寝をすることに致しました。なので本も読めず。ゆえに日記も書けず。
間があいてしまうと、感想のない日記では申し訳なくて、つい「読んでから書こう」と延ばしてしまうのでした。でも、まだ読んでない。
早寝敢行のわりに風邪はいっこうによくならないのですが、タダ券を無駄にするに忍びず、映画館へ行ってまいりました。映画を積極的に観たいわけではなく、本心は「券を無駄にしたくない」。どこまでも貧乏根性に支配されている私です。
今回見たのは『ギャング・オブ・ニューヨーク』。上映時間が長くて早く帰りたいときには不向きと思ったのですが、ほかに見たいものもなかった。最近、タダ券で見に行く映画はこのパターンばかりです。
上映開始がちょい遅めの時間だったので、さきに本を買っておこうとしたら、一冊見つからない本があって三件も本屋をめぐってしまい、寸前に席にすべりこみました。予告編をしているときに大慌てでコンビニおにぎりにぱくつく私。あ、トイレに行く暇がない。
映画は重厚な雰囲気の時代物でした。ひとびとの体臭が漂ってきそうな臨場感。セットがすごいし、群衆シーンはど迫力。しかし、空がない。空間の広がりが感じられなくて、閉塞感のある画面だった。そしてストーリーは単純な復讐ものなのかとおもっていたのですが、そうではなく。最後はニューヨークがニューヨークとして存在するようになるまでの、産みの苦しみのようなものを描いていたようです。大きな時代の波を感じましたが、主人公のドラマがうやむやな感じになってしまったのがすっきりしなかった。けっきょくサンフランシスコには行かないの?
ダニエル・デイ=ルイスの存在感が随一。ファンの人には悪いけど、私はディカプリオの顔をどうしてもかっこよいとは思えないので、キャメロン・ディアスを見ている方が嬉しかったです。赤みがかった金髪ってはなやかに見えますねえ。とくに西洋時代物のくすんだ画面のなかでは。
しかし、本編よりも、おにぎり食べながら見た『二つの塔』予告編のほうが気になって…。ああ、DVDプレイヤーが欲しい。
以下を購入。
- 谷瑞恵『魔女の結婚 終わらない恋の輪舞』[bk-1]
- 須賀しのぶ『天気晴朗なれど波高し。 2』[bk-1]
- 橘香いくの『盗まれた蜜月 前編 有閑探偵コラリー&フェリックス』[bk-1]
- 漆原友紀『蟲師 3』[Amazon][bk-1]
最近、にわかに創作意欲が増してきて、暇さえあるとノートパソコンの前でぼんやりしている。
…ぼんやり……ああ、ぜんぜん手が動いてないですよ。あたまはけっこう働いていると思うけど。
ぼんやり時間に対して手が動いている時間の比率は、夜が更けるほどに高くなるのですが、そんなに夜更かししていたら、体の調子がおかしくなってしまう。私は日付が変わる前に寝ないとダメなヤツなのです。かなしいことに。そして十時間くらい寝る。こんなに寝てると、たぶんふつうのひとのより一日が短い。すぐに終わってしまう。そしてきょうも、何も進んでおりません。意欲の波がひいてしまわないうちに、少しでもかたちになってくれないものかしら。
表現のおかしな文章を切り張りしていると、どんどんリズムが悪くなっていくのに悲しくなって、そのうち胸が悪くなってくる。(それは空腹だからという噂も;)
バリー・ヒューガート『霊玉伝』[Amazon][bk-1]を購入。
池波正太郎『剣客商売 待ち伏せ』(新潮文庫.1993.318p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。江戸時代を生きる剣客親子の活躍を描く、連作短編シリーズ九巻目。七編収録。『剣客商売 狂乱』のつづき。
前巻にも感じたけど、前に読んだ話の別バージョン、みたいなのが増えてきたような。でもそういうパターンな話は読んでいて安心感があるのです。異色な「或る日の小兵衛」などはちょっとどう反応すればいいか戸惑ってしまう。これは男は過去の女を忘れないということなのでしょうか。かと思うと女が男によりかかっている「冬木立」みたいな話もあるし。今回はあんまりたのしめなかった。多分私は、このシリーズには痛快な話を期待しているのです。確かにそればかりじゃ単調になってしまうかもしれないけど。つぎに期待。
映画に行くつもりだったのだが、久しぶりに夜更かしをしたためか気が乗らなくて、図書館へ。
予約本が来てなかったので書架あさりに精を出している途中、手にした本が人情ものばかりなのに気がつく。人情ものとひとくくりにするのは躊躇われるものも、若干混じってはおりましたが。予定ではヨーロッパ中世ものでお勉強するつもりだったのに、どうしてこうなるの?
出かけた時間が遅かったので、そのまま本屋には寄らず、パン屋に寄って、昼食を調達。バスを途中下車して妹の家でそのパンを食べ、子守りをして、姪連れで帰宅。
その後、『千と千尋の神隠し』をやってることも気づかないほど、くたびれ果てることになる。風呂に入って、沈没。
矢崎存美『クリスマスのぶたぶた』(徳間書店.2001.142p.1200円+税)[Amazon][bk-1]読了。ぶたぶたシリーズのいまのところ最新刊?
クリスマスイブとクリスマス当日に、サンタクロース姿のぶたぶたと出会ってしまった女性たち(少女含む)のちいさなお話集。
いつもどおりに、楽しくておかしくて、あたたかでした。デートをすっぽかして肉体労働に目覚める女の子の話、すきだなあ。
この間から何度かビデオ録画に失敗したのを、テープが古くなってイカレてしまったせいだと理解していたのですが、どうやらそれは誤りだったようです。
先日、新しいビデオテープをセットして予約録画したテレビ番組(「そして音楽が始まる」@テレビ東京)を見ようとしたら、またも画面がうねうね。正視に耐えない映像がいっこう途絶えないばかりか、途中でブツブツと途切れたりもして、なんのために録画したの状態に。
ということは、これはデッキの録画機能がダメってことなのか。
再生機能のほうは、『ファミリーコンサート』連続再生で証明済みだし。テープダメ結論に達する前に何度もクリーニングをしたから、ヘッドの汚れということはないだろうしなー。
これはもう、買いかえの時期だよという天からの声なのでしょうか。修理に出すのが面倒なのでしばらく放置ということになりそうな予感が。
画面よれよれの番組のほうは、いちおう、音楽番組だったので突然ぶちきれるのを我慢してなんとか視聴できました。テレビ欄のサブタイトル(オリビアを聴きながら 杏里&亜美)を見たときは、世間にとっての尾崎亜美はいつまでも「オリビアを聴きながら」なんだなと思ったけど、予想以上に内容のある番組だった。よれよれ画面でなければもっとよかったんだけど。しくしく。
本屋で見つけられずにけっきょく注文してしまった、メリング『光をはこぶ娘』[Amazon][bk-1]が届きました。
一日、『航路』を読んでおりました。
コニー・ウィリス(大森望訳)『航路 上』(ソニー・マガジンズ.2002.414p.1800円+税
Connie Willis "PASSAGE",2001)[Amazon][bk-1]
コニー・ウィリス(大森望訳)『航路 下』(ソニー・マガジンズ.2002.434p.1800円+税
Connie Willis "PASSAGE",2001)[Amazon][bk-1]読了。臨死体験の謎を探るSFサスペンス。
認知心理学者のジョアンナ・ランダーは、臨死体験の論理的な解明をめざし、デンヴァーの大病院マーシー・ジェネラルで臨死体験の聞き取り調査に走りまわっていた。彼女の問題は、マーシー・ジェネラルがとてつもなく入り組んだ構造の建物であること、ひっきりなしにポケットベルで呼びだされてページされること、いつもお腹が空いているのにいつもカフェテリアが閉まっていること、友人の看護婦が危険なERでの勤務をやめないこと、心臓疾患で苦しむ災害大好き少女メイジーのこと、そして、いつも患者のもとへ傲岸なトンデモ系ノンフィクション作家モーリス・マンドレイクに先んじられ、臨死体験を「神々しいあの世」で汚染されてしまうこと。
ある日ジョアンナは、人為的に引き起こした臨死体験中の脳の活動を記録するという研究を始めたばかりの神経内科医リチャードに出会い、研究への協力を求められる。被験者の聞き取り調査と分析が彼女の担当だったが、実験にはトラブルが続出する。
面白かったですー!
訳者あとがきにあるとおり、どんどん読みたくなる本です。途中でやめるとつづきが気になってしかたない。すべてを放りだして読みましょう。と言いつつ、私は四度も中断したんですが。やむを得ず。
真面目で感動的なお話ですが、コミカルに描かれているので、堅苦しさはまったく感じません。
臨死体験とあくまでも理性的に向き合おうとするジョアンナとリチャードに襲いかかる試練の数々は、光の神々と出会ってあの世からのメッセージを受けた云々の与太話を自信満々に押しつけてくるミスター・マンドレイクとその一党を代表に、とても迷惑だけれどなんだか滑稽。サスペンスのあとにコメディーとつけてもいいかなあと思うくらいに楽しいシーンがたくさんあります。
文学作品の引用もたくさんありますが、物語のすべてに暗喩が含まれていて、それがどんどん明らかになっていく最後のほうは、おお〜と思いながら読んでました。知識がないので読み落としたところがたくさんあると思うんですが、それはそれ、想像で補って読んでもおもしろかったです。
第一部から病院内をお腹を空かせながら歩きまわり、仕事や連絡に追われつづけるジョアンナの姿がたたみかけるように描かれているため、こちらもなんとなく忙しなくなっていたのですが、それもふくめて、ほんとうにすべてが一部の隙もなく構築されていたんですね。伏線だらけらしいです。らしいというのは、私にそれを求めるなということと同じ意味(私がやたらに共感していたのは、知っているはずなのに思い出せないものを、ジョアンナが一生懸命につかまえようとするところ)(笑。
とにかく、面白かった〜。
ようやく書き終えました、2002年私的ベスト。去年一年間に読んだ本の中から自分で気に入ったモノを並べるだけの企画で、(読み返しもせずに)いま残っている印象をコメントとしてつけてるだけ。なのに、えらい苦労しました。書名の抜き出しをやったのち、コメントをつけるまでにずいぶん時間が経ってしまったので、気分的なノリが悪くなっちゃったのが敗因ですね。一気に書きあげてしまえばよかったと反省。
作業をして、あーなんか目が疲れると思ったら、また充血眼になってました。鏡を見るのが怖い。
若木未生『LOVE WAY GLASS HEART』(集英社コバルト文庫.2003.242p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。青春音楽小説「GLASS HEART」シリーズの一冊。
「GLASS HEART」シリーズに出てくる「オーヴァーサイト・サイバナイデッド・クローマティック・ブレイドフォース」略してオーヴァークロームという音楽ユニットを軸とした枝物語の短編集。表題と副題、両方アルファベットというのは見にくいですね。五編収録。巻末にオーヴァークロームの年表があります。
正直に言うと読むのに苦労しました。ひとつの世界に馴染んだかと思うと、またあらたな世界にほうり込まれるというかんじで、いや、異世界モノではないんですが、しかし人間のこころの中というのはそれぞれに別の価値基準と感性をそなえた一種の異世界ではありますよね。それを律儀に再現しようとすればまったく別の地平が見えてくる。それがこの小説のなじみにくさの理由のひとつなんだとは思う。
女子高生西条朱音をヒロインとするテン・ブランクの話は、朱音ちゃんがわりと一般的な感性の持ち主だったのでうまく乗ってしまえば最後まで流されてしまうことができたのですが、こちらのメイン、オーヴァークロームの片割れである有栖川氏の感性はとても癖があって、やっと同調したと思ったときには話が終わってるのですよ。で、次の話は視点人物が別の人になっていて…。視点に同調しないと読めない体質なんで、これはとても疲れました。坂本君視点の話より疲れたです。感性の柔軟性というのにトシを感じるなあ…。
話を戻して、これは、オーヴァークロームの誕生から解散までを通して、真崎桐哉という特異な人物を複数の視点から語る一冊です。かれがどんなに特別な存在で、人の心をどんなふうにうごかすか。そこにいるだけで日常がハレになってしまうようなカリスマは、ナイフの刃の上に立っているようなギリギリのいまを、音楽を武器にしてようやく生きているように見えます。桐哉本人がほんとうはどんなことを考えているのか知りたいと思うけど、このまま謎のベール(笑)につつまれたままでいてくれてもいいんじゃないかとも思った。
朝食時に、『おかあさんといっしょ』でひさしぶりに「にじ・そら・ほし・せかい」(小峰公子・詩、吉良知彦・曲)という歌を聴いた。この曲は数ヶ月前の「今月の歌」だったんだけど、いやもう、番組の雰囲気から浮きまくっておりました。ふだんは「あさごはんの歌」とか「たこやきなんぼマンボ」「ゲンキマン」とかが流れてるのに、前後も「ぐーチョコランタン!」とか「だんご三兄弟あっというま劇場」とかをやってるわけだし(笑。でも私以外にも好きな人はいたらしく、リクエストをうけて再放送していたんですね。
おきぬけに吉良メロディーを耳にしたおかげか、にわかにZABADAKが聴きたくなって、押入の中からひっぱりだし、『私は羊』[Amazon]と『Decade』[Amazon]をローテーションしてました。ZABADAKやエンヤは精神が元気なときでないと聴けないから、いまはちょっと元気なのかも。
しらべてみたら「にじ・そら・ほし・せかい」は『SIGNAL』[Amazon]に収録されておりました。『おかあさんといっしょ』書き下ろしじゃなかったのね。
慣れないところに行って、慣れないことをすると、ものすごく疲れます。普段使いでない銀行で、普通預金からいくらか定期にしようとして、一時間以上ついやしてしまいました。
カーボン式複写紙は私の筆圧が弱くて下まで写らないから代筆を頼もうとしたら、本人が書かないとダメだから、書かなくて済む電話でやりませんかと行員に言われて、その言葉に従ったのはいいけれど、私は受話器を取るだけで緊張する電話嫌い。暗証番号を間違えたり、オペレーターの言葉が聞き取れなかったり、すぐに決断を要求されてパニックしたりして、大変消耗しました。
当分同じことはしたくないと思ったので、期間は長めにしたかったけど、この低金利時代にそんなことをしてはいかんと行員にたしなめられて一年に。うーん。
栗本薫『宝島 下 グイン・サーガ外伝17』(ハヤカワ文庫JA.2002.318p.540円+税)[Amazon][bk-1]読了。『宝島 上 グイン・サーガ外伝17』のつづき。
沿海州生まれのイシュトヴァーンが海と決別するに至ったみちのりを納得する物語。
題名は何かを得る話を連想させるものの、これは喪失と決別の話ですね。イシュトヴァーンが少年の無邪気さと海への憧れをなくす話。苦くて凄惨な話です。それでも、終わりはやっぱりイシュトヴァーンだなあと。人に期待させるだけさせといて、しらりと裏切ってみせるヤツ。