2003年3月後半のdiary
■2003.3.18 /『カオス レギオン 聖戦魔軍篇』
■2003.3.21 ふたたびTTT/
■2003.3.23 古典再読/『プラムアイランド 上』/『プラムアイランド 下』
■2003.3.24 浴槽撤去/『風姫 地を護る者』
■2003.3.25 風呂を借りる/『カオス レギオン0 招魔六陣篇』
■2003.3.27 世界フィギュア/『蝶々姫綺譚 銀葉亭茶話』
■2003.3.28 開幕プロ野球/
■2003.3.31 曜日変更/『玉響に散りて 封殺鬼シリーズ25』
通院の日。
六週間ごとに行くようになってから相談内容が増えた。今回はドライアイを報告したら、シェーグレン症候群を指摘され、のぼせと多汗の相談に精神安定剤を処方され、装具の不具合には現物持参を要請された。この次から診察は木曜に変更。大学病院は移動が多くて困る。
前回行ったとき、改装中だった本屋が新装開店なっていたので、好奇心を起こして入ってみる。店内在庫検索機(?)があったので、ためしに「たに みずえ」で調べてみた(コバルトの棚が発見できなかったからです)ら、めちゃくちゃ待たされたあげく「大変混雑しているので、あとでやり直すように(意訳)」というダイアログが表示された。つかえないじゃん…。
うろうろ探しまわってようやく見つけたライトノベル系の棚はものすごく縮小されていた。きっとこれ系の本を買う場合は隣のビルの店舗へ行けというのだな。あそこも行くたびにレイアウトが変わってるのであんまり好きじゃないのだが。せっかく見つけたので以下を購入。
霜島ケイ『玉響に散りて 封殺鬼シリーズ25』(小学館キャンバス文庫.2003.236p.524円+税)[Amazon][bk-1]読了。平安の昔から生きつづけるふたりの鬼と陰陽師たちの活躍を描く伝奇アクションシリーズ。『黒白の絆 封殺鬼シリーズ24』のつづき。
敵の正体は見えたが、本家と中央の間の信頼関係は修復不可能なところまで壊れてしまった。その原因となったふたりの鬼をめぐっての本家内の諍いも、三家の決別にまで発展しかけるが、ある重大な出来事が事態を大きく変化させる。
いままで名前だけしか登場していなかった(たぶん。出ていたらスミマセン)人物の、送ってきた人生と存在の大きさが、しみじみとつたわる一冊でした。なんだかひといき入った、という感じです。これからは本家の関係も変化していくのかな。今回は佐穂子の保護者を気取る千冬君が生意気にも頼もしくて、楽しかったです。
図書館帰りに保湿用クリームを買うため繁華街へ。1500円の無添加クリームを購入し、駅へ戻ってくる途中、通り抜けた裏通りに開幕を祝う球団バナーの飾り付けが。そういえば、今日は開幕戦の日。最初に降り立ったメインストリートでも四年前は盛大に横浜BayStarsの文字が踊っていましたっけ。今日見たところでは、そんな気配はみじんもなかったけどね。
というわけで、帰宅後録画した世界フィギュアを見て、その後開幕戦横浜×阪神が始まるまでに一日の仕事を終えようと奮闘いたしました。
試合開始後はサッカー日本代表の親善試合と交互に見てましたが、比率は野球8:サッカー2。おかげでサッカーのほうは得点シーンをすべて見逃してしまった。けどいいの。勝ったから(横浜が)。井川相手にこの一勝は大きい。なにより、白星スタートというのが嬉しいです。
さあ、今年も始まった!
以下を購入。
夜中に放送される世界フィギュアを、録画して昼間見ています。予選からの放送なんて初めてじゃないかと思う。楽しいけどけっこう時間が長いので、他になんにもできない。先週はSEEを見ていたのだから、状況はたいして変わっていないのだけど。
男子シングルはプルシェンコがひとり違う次元にいる感じ。
実況アナウンサーのコメントに脱力。お願いだから「パパさんスケーター」という表現はやめてほしい。
金蓮花『蝶々姫綺譚 銀葉亭茶話』(集英社コバルト文庫.1995.252p.408円+税)[Amazon]読了。朝鮮半島を舞台にしたファンタジー「銀葉亭茶話」シリーズ三冊め。中編二編を収録。
ただ一度だけ出会った婚約者の死で淡い恋と未来を失い風精となった蝶々姫が、あらたな恋と出会ってただ一度で最後の決断をする「蝶々姫綺譚」。
孤独を怖れるあまり真実他人と心を通わせることができずにいた金剛山の守護、地仙姫(ちそに)が、自分の仕掛けた戯れのせいで父親を失った少女を育てることで変化してゆく「金剛山(くんがんさん)綺譚」。
中編であるせいか、これまで読んだ二作よりも焦点がはっきりとしぼられて、すんなりと同化することのできる話でした。文章がとても美しい。ときおり挟まれる視覚効果をねらったような書き方は、この人の文章には必要ないと思われるのですが。
浴室防水工事中で風呂が使えないため、夕方から妹宅までお風呂を借りに行ってきた。
勝手の分からない他家の風呂。入る前にしげしげと風呂釜を検分し、使い方を伝授してもらってから入りましたが、湯温調節がうまくできないくて、水のようだったり、熱湯だったりして、さあたいへん。しかも、姪が一緒に入るとダダこねたので、慣れぬ機能に苦闘しながらぺらぺらと話しかけるちびの相手をするはめに。もう、いちいち話しかけないでくれえ。それにいつまでも洗い場で遊んでいると風邪をひくよー。春がいまどこにいるかは天気予報の人に聞いてねー(とっさに波留ならいまロッテだよと言いそうに…)。
風呂はゆっくりのんびりと入るものだと思っていたが、どうやらそれは贅沢だった模様。くたくたに疲れて帰宅。
冲方丁『カオス レギオン0 招魔六陣篇』(富士見ファンタジア文庫.2003.286p.520円+税)[Amazon][bk-1]読了。『カオス レギオン 聖戦魔軍篇』の前日譚。
防備を固めるはずの辺境騎士団が敵に寝返り、鉱山都市ルールドは存亡の危機に立たされていた。〈銀の乙女〉として軍を率いていた母親の視る力を受け継いだはずの少女ノヴィア。だが彼女は大きな力を使いこなすことができず、みずからの視力をも失ってしまった。死を前にして母親が語った黒印騎士団(シュワルツ・リッター)の到来を待ち望むノヴィアの前に、現れたのはシャベルを担いだただひとりの騎士ジーク・ヴァールハイトだけだった。
〈銀の乙女〉ノヴィアが、母親から受け継いだ力を受け入れて、みずからふるうことができるようになるまでのお話。ジークの過去は物語の背景として語られますが、基本的にはノヴィアちゃんの成長物語と申せましょう。
月刊ドラゴンマガジンに連載された連作短編をまとめたもの。たいへんにオーソドックスな読みやすい話でした。充分楽しみましたが、普通すぎてすこし物足りない気も。妖精のアリスハートの存在理由がようやくわかったのが嬉しかったですが。
それにしてもジークの行く先行く先、ぜんぶ寝返っているんだもんな。すこしは自分の考えで踏みとどまる存在があってもよさそうなものだが。もしくは寝返ったと見せかけた味方とか。
浴室の防水工事がはじまりました。本日は浴槽と風呂釜の撤去。ゆえにこれから二週間あまり、自宅で風呂に入れなくなります。私の憩いの時間が〜。
七尾あきら『風姫 地を護る者』(エンターブレインファミ通文庫.2002.286p.640円+税)[Amazon][bk-1]読了。『風姫 天を継ぐ者』のつづき。
退魔師で天狗の素養を持つ少女、鳳ちはやは、信頼し慕っていた寮母が引き起こした事件のために心に傷を負い、もののけを見る視力をなくしてしまった。退魔師をやめようと決意するちはや。天狗に化生して夜行する自分にも気づかないちはやに、九尾の狐桜子は苛立ちを隠せない。
充実した一冊。ちはやの苦悩が全編に影を落としていて、読むのにすこし抵抗を感じるところが多かったですが、後味はよかったです。成長するために乗りこえなければならない痛みをきちんと逃げずに書いているという印象。でも、やっぱりスカッと爽やかなちはやを読みたかったですね。アクションシーンの描写もすきだったので。現在私は気分が低迷中。
購入したあとほったらかしていた、中野節子訳『マビノギオン』[Amazon][bk-1]をちびちびと読んでいます。
最初からお行儀よく読むのが面倒になってきたので、解説やら索引やらから興味をひかれた話を拾い読んでるのですが、このあいだ読んだばかりのアルトス王の話(サトクリフ『落日の剣』)が出てきたりして面白いです。アーサー王ってウェールズ系の人だったのか。先にこっちを読んでいればもっと楽しかっただろうに。
それから前嶋信次訳『アラビアン・ナイト 1』[Amazon][bk-1]も索引解説中心で読みかけ。こちらは一度通して読んでいるはずだけど、やっぱりほとんど覚えていない。
ネルソン・デミル(上田公子訳)『プラムアイランド 上』(文春文庫.2002.446p.667円+税
Nelson DeMille "PLUM ISLAND",1997)[Amazon][bk-1]
ネルソン・デミル(上田公子訳)『プラムアイランド 下』(文春文庫.2002.410p.667円+税
Nelson DeMille "PLUM ISLAND",1997)[Amazon][bk-1]読了。
ニューヨーク州ロングアイランドの東端に浮かぶプラムアイランドには、動物免疫研究所があり、炭疽菌やエボラ菌などの危険性の高い細菌を扱っているため完全に隔離されていた。ある日、研究所に勤める若い科学者の夫婦が自宅で射殺されるという事件が起きた。ふたりには研究所から危険な細菌を持ちだしたという容疑がかかる。
療養中のニューヨーク市警殺人科刑事ジョン・コーリーは、地元警察署長に助力を請われ、捜査に協力することになるが。
文庫カバーに書いてあるあらすじもですが、はじめのうち細菌兵器やテロリストやなにやかやの疑惑が盛んにほのめかされるのに、この本の肝はそこにはないのです。全世界を巻き込んだ大事件を期待するとがっかりします。ネタばらしになるのでこれ以上書けませんが。ロングアイランドの光景や歴史的な背景が話と密接に結びついています。このネタ、アメリカ人ならロマンを感じられるのかもしれません。
私の印象は、事件の捜査に公的身分のないコーリーが、あちらこちらを不愉快にさせながら自分の正義を貫き通そうとする話。ねじれた減らず口と皮肉な一人称。味わい的にはハードボイルドか。最後のほうは冒険小説みたいですが。そういえば、冒険小説というのは公的な正義とはべつのところで個人的な決着を求める男の話でもあるんですよねえ。自分の正義のためなら法を犯すことなどなんとも思わない主人公に、アメリカ人の求める正義のありかたを見るようで、辟易させられました。主人公自身が勤務中に撃たれた後遺症に悩み、離婚し、友人を殺されたという、手負いのアメリカを彷彿とさせる設定なんですが。はあ。
このところの出来事でアメリカ人の倫理観がわからなくなってきたので、すこしの安心材料を求めて借りてみたんだけど、なんだかなーという気分。
『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』字幕版を、今度は友人とともに見てきました。世間はもしかしてもう春休み? 連休初日でしかもレディース・デイと来た日には、混雑しない方がおかしいというもの。上映一時間より前から並んだのですが、それでもすでにけっこう人がいて。でも館内ほぼ中央部ちょい後寄りの席をゲットできたのでよかったです。すっかり待ちくたびれてしまいましたが。
吹き替え版だと表情がよく見える利点がありますけど、字幕だと俳優の声が堪能できてまたべつの楽しさがありますね。一回見ていたので話の進行は頭に入っているし、それほど懸命に字幕を追う必要もなかったのでリラックスしてみることができました。おかげであとでたくさんの突っ込み話ができた。友人はすでに二度見たあとで、原作も読み返したらしく、いまだぼんやりしたままの私にいろいろと細かい情報を授けてくれました。
館内がとても暑くて汗だくになっていたら、その後、室温を下げようという意図の元に冷房が入ったので冷えまくって、途中お手洗いに立ちたくなって困った。ど真ん中にいたので外に出にくかったのと、つぎのシーンは見たい、ここを過ぎるとあのシーン、ああもうすぐ砦の攻防戦が……という具合で結局さいごまで我慢してましたが…。
あと、エントのシーンで私が反応したのは「これが最期になるだろう」(だったと思う。うろおぼえ)というセリフだったことが判明。
映画館を出て、駅ビルのトイレに駆け込む前にホッシーと出会ってしまった。どうしてここにいる、ホッシー。なにかイベントでもあったのか。
心優しい友人が、J.K.ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』[Amazon][bk-1]を貸してくださいました。ありがとうございます、Kさま。ゆっくりと読ませていただきます。
を購入しました。
e-honで注文した、久美沙織『聖竜師の誓い 下 ドラゴンファーム3』[Amazon][bk-1]が到着。
冲方丁『カオス レギオン 聖戦魔軍篇』(富士見ファンタジア文庫.2003.398p.620円+税[Amazon][bk-1]読了。異世界アクションファンタジー。ゲームとのタイアップノベルズ。
聖印歴七九四年。聖都ロタールにおいて、ただひとりで黒印騎士団(シュワルツ・リッター)を名乗るジーク・ヴァールハイトは、聖王より勅命を受けた。秘技の力に狂ったとされる、かつての枢機武卿、いまは聖王軍に公然と反旗を翻すヴィクトール・ドラクロワの真の目的を探れ。そして可能であれば即、誅殺し、かの者が盗み出した外典イザーク書を取り戻せ、と。招く者(レギオン)であるジークは、〈銀の乙女〉である少女ノヴィアとともに、戦争に生みだされた死者の弔いをつづけながら、理想と夢を語り合った友の行方を追いつづける。
うーん、おもしろかった。
ゲームとのタイアップ作品(同時進行で作成されたようなのでノベライズとは少し違うらしい)なので、正直どんなものだろうと思っておりましたが、杞憂でした。ゲームでのお約束の決めゼリフは連発しているし、女の子のキャラも定番だし、妖精キャラはどういう存在なのかわからないし、なのにぜんぜん不快じゃない。独特のスピード感のある文章で繰り出されるアクションの数々、しびれます。つぎつぎ出現する魔軍の兵士の奇怪な外見と、それとそぐわないドイツなのかケルトなのかアラブなのか不明なルビの振られる華麗な用語。雰囲気に左右される私のような人間はこれだけで嬉しくなってしまう。
ストーリー自体、敵となったかつての仲間は昔からの理想を曲がった形で実現しようとし、ヒーローは相手を友と認めるが故に命をかけてそれを阻止しようとする…という、まさにどこかで読んだことあるようなものなのですが。
やっぱり、文章ですね。ぐいぐいと読み手をひっぱってゆく。文章の力は偉大だと思った。戦闘シーンだけじゃなくて、節目節目にはさまれるセリフも、かなり決めゼリフっぽいです。これだけ取り出すとちょっと恥ずかしい。でも、この世界には合っていると思う。華麗に大まじめに正論を語って恥ずかしくない世界です。定番だからといって失望するようなこともなく、壮大な世界が語られたのちに期待どおりになった安堵感のようなものがある。読後感もさわやかでした。
ドライアイを少しでも和らげようとパソコンを見下ろすようにして作業するようにしている…のだが、気がつくとどんどん頭の位置が前のめりに下がってしまう。するとだんだん頸が痛くなってくる。
本日、久しぶりに見た患者団体の会誌によると、頸部の症状を悪化させないためにはなるべく頸を曲げないように、ということだ。前に傾いても、のけぞってもいけない。本を読むときは下に置かず前に掲げろと書いてあったが、パソコンはどうすれば。そしてドライアイ緩和との接点は。
コナン・ドイル(笹野史隆訳)『白衣の騎士団 上』(原書房.1994.300p.1800円+税
Sir Arthur Conan Doyle "THE WHITE COMPANY")[Amazon][bk-1]読了。シャーロック・ホームズの作者の描く、中世騎士活劇。
ビューリー大修道院で育ったアレインは、「二十歳になったら俗世での生活を一年送らねばならない」という父親の遺言を守るために、平和な修道院生活を離れることになった。兄を頼って恐ろしい外界での一年を過ごそうとするアレインは道中、おなじころ修道院を追放された青年ジョンと、大陸から皇太子の親書を携えて帰還したというイングランド弓兵エイルワードというふたりの人物と親密になる。
三回目の借り出しでようやく読み終えた…(何年越しだ)。
やはり昔々の作品なのでテンポになじめず、なかなか作品世界に入り込めなかったのが敗因。そうはいっても中世のロマンス物よりはずいぶん近代的なんだけど。
アレインが宿屋にたどり着いたあたりからようやく、これは歴史活劇とか物語とかではなく、コメディーなんだと思ったらすこしはかが行くようになりました。主人公のアレインはじめ、みな誇張された個性とオーバーアクションの持ち主なので。舞台劇のようでもあるけど、マンガのコマ割りなど思い浮かべると読みやすいようです。
なかでもサー・ナイジェルの身内の女性ふたりの個性が際だっていて好き。レディ・ローリングみたいな女性は、昔のロマンス物にはあんまり登場しないだろうな。
この間までサクソン人の侵略と戦うブリトン人の話を読んでいたのに、今度はサクソン人がノルマン人に支配されている。つぎからつぎへと大変な国ですねえ。地理的な関係なのか。
サー・ナイジェルの従騎士になったアレインが一団とともに海を渡ったあとで、どどっと出てくる歴史的重要人物(?)の中に、ドン・ペドロの名が。これは『アルカサル』のかれでしょうか。すごくイヤなやつに描かれてますが。
文中、注釈有りの印がついている箇所がいくつかあるのですが、この本のどこにも注釈そのものがない。下巻にまとめてあるのだろうか。新装版ではどうなっているのだろう。