2003年10月のdiary
■2003.10.5 /『イリヤの空、UFOの夏 その3』
■2003.10.7 /『蒼穹の昴 下』
■2003.10.9 /『プリンセス・ダイアリー』
■2003.10.14 5キロオーバー/『囁く谺』
■2003.10.17 ダイエット/『コーンワルの夏』
■2003.10.20 「地球ネコ」/『ベラム館の亡霊』
■2003.10.24 マンガを買う/『フェニモア先生、墓を掘る』
■2003.10.26 散歩と子守り/『安心できない七つ道具? フルメタル・パニック!』
■2003.10.28 /『プリンセス・ダイアリー ラブレター騒動篇』
■2003.10.28 秋の一日/
通院。
政見放送ばかりになってしまったラジオを聞きとばして家を出、乗換駅までたどり着いたら、「人身事故のためダイヤが乱れております」状態だった。交通情報、どうやら聞き逃したらしい。
ちょうどやってきた電車に乗ったまではよかったが、先行する列車がつまっているらしく、走っては止まり、止まっては走り。なかなか進まない。
結局、いつもの1.8倍くらいかかってようやくたどり着いた大都会。デパートの某球団応援感謝セールを目の前にして、しかし寄り道する時間はなく、昼食もとれないまま病院に駆け込んだら、今日は採血の日だった。
浮き上がってこない血管を看護婦さんがなんとか探り当て、針を突き刺したときに脳裏に浮かんだのは、先日ニュースで聞いた「採血用の真空針に細菌感染」。げっ。そして昼食前の腹ぺこ状態のためか、血の勢い悪し。いつもの二倍くらいの時間をかけて満たされた試験管の中の液体は、こころなし黒ずんで粘度が高いようなおもむきが。なんとなく、焦る私。
診察はまたも頸の話に終始する。頸椎が左側にえらく傾いている気がすると、先日撮ったレントゲン写真の記憶を元に訴えると、「もっとしっかりと頸を固定する装具をつくりましょう」と言われる。また装具。また一週間後。今度の装具はフィラデルフィアという名らしい。なにかの動物用装具にもそんな名前のものがあったような気がするが。夏場はどうしようもなく蒸れて気持ちの悪くなりそうな形状である。見本写真を見せてくれた装具屋さんにつぶやいてみる「暑そうなかたちですね」。装具屋「暑いんですよ」。「……」。代金二万円弱也。
あらためて、無駄遣いをやめようと思う、秋の一日。
といいながら、久しぶりに行った某カメラ量販店。また売場の配置が変わってる! 行くたびに電気製品の森のなかで遭難しそうだわ。
帰りに寄った応援感謝セールは、セール用の商品以外はあまり安くなってないようだったので、素通り。
壁井ユカコ『キーリ 死者たちは荒野に眠る』[Amazon][bk-1]、読みはじめ。
メグ・キャボット(金原瑞人・代田亜香子訳)『プリンセス・ダイアリー ラブレター騒動篇』(河出書房新社.2002.286p.1600円+税
Meg Cabot "PRINCESS IN THE SPOTLIGHT",2001)[Amazon][bk-1]、読了。日記形式で描くアメリカ版の青春コメディー。『プリンセス・ダイアリー』のつづき。
ミア・サモパリス。アルバート・アインシュタイン・ハイスクールの一年生のなかで一番ののっぽで、一番の貧乳。代数の成績は低空飛行。そのうえ、ヨーロッパの小国の王女であることが発覚して、未婚の母であるママは代数の先生と恋仲に。これだけでも大変な状況なのに、なんとママったら妊娠してしまった。どうして避妊しないのよ! しかも、あたしに誰かからのラブレターが! いったい、誰!?
ハイテンションでつづく、「ストレスを内にためこみがちで、自己実現のできていない」ミアの、恋と騒動のストーリー。第二弾。
前巻でハイスクール一クールなハンサム、ジョシュ・リクターに手ひどい裏切りをされたミアは、親友リリーの兄マイケルを強く意識し始めてますが、「親友の兄に恋する利点と欠点」なんかを挙げつらねてひたすらため息。ママの妊娠・結婚がおばあさままで巻き込んで大騒ぎになる一方、ラブレターの主はひたすら暗躍するばかりでいっこうに正体を現さない。
ミアが有名インタビュアーからの取材を受けるところなど、いかにもかつての少女小説にありそうなシチュエーションで、楽しかったです。
今回は母方の祖父母も登場しますが、やっぱり最強は(アイラインを入れる手間を省くために刺青をしてる)おばあさまですねえ。おばあさまが出てくるたびに事が大げさになっていくのがおかしいです。
妹が安売りをしているちょっと遠目のスーパーに子連れで出かけるというので、お供としてついていきました。ダイエット中のくせに、やっぱり無目的な散歩ができない質なのは変わらずなので、歩く機会は歓迎です。
十一時にバス停で待ち合わせをして、起伏の激しい坂ばかりの道をバス停1.5個分くらい歩きました。空は雲ひとつなく晴れあがり、上着を着ていると暑いくらい。帽子を被っていかなかったことを真剣に後悔した。
自転車に乗ってきたがった姪は、妹にさんざん脅されてキックボードに変更したらしい。「だれがあとで自転車を押して歩くのさ。私はベビーカーを押してるのに」と妹。甥はベビーカーから「アバレンジャー、見たの」と懸命にアピール。「おもしろかった?」と尋ねると返事は鼻息荒く「ふん!」。
スーパーに入る前に、その近くの公園でちびふたりを遊ばせました(まるで犬の散歩のよう;)。遊びはほんのちょっとだけだよ、すぐにスーパーで買い物して、お昼ごはんを買って食べるんだよ、と言い含めておいたのに、ちっとも遊びを止めてくれません。「青のアバレンジャー」ごっこにうち興じる甥(それはアバレブルーというのでは)に、妹にリレーごっこをさせる姪(先日幼稚園の運動会でリレーをしたのが印象深かったらしい)。
なんども(私が)お腹が空いたと訴えて、ようやくスーパーに駆け込みましたが、そのころにはちびたちもお腹が空いて、不機嫌状態に。「だからいったのに!」と妹。さらに、家に電話を入れたら孫に会いたい母が、「うちにきて食べて」というので買ったお昼はお預けに。
帰りはもう少し近道をしましたが、昼食前にベビーカーで昼寝に突入してしまう甥に、キックボードを押して歩くのが嫌になってぐずる姪。「だからいったのに!」とまた妹。
結局、昼食をとったのは二時近くになってからでした。疲れた…。お腹が超絶空いていたので、ものすごい勢いで買ったおにぎりとサンドイッチを食べまくってしまいましたよ。ダイエットに効果があったのか、はなはだ疑問。
賀東招二『安心できない七つ道具? フルメタル・パニック!』(富士見ファンタジア文庫.2003.298p.520円+税)[Amazon][bk-1]、読了。学園ミリタリー・コメディー「フルメタル・パニック!」短編集の七冊目。コメディー短編六編収録。
都議会議員の視察から危険人物である宗介を隠蔽するために、学校中が一丸となる「穴だらけのコンシール」。
バスケ部のオノDこと小野寺孝太郎に誘われて、女子大生との合コンに参加することになった宗介。女子大生のひとりをテロリストと勘違いする宗介と、青少年の女性に対する夢と現実を描く「身勝手なブルース」。
風邪をひいた生徒会長林水敦信のようすをうかがうため、かれの住まいを尋ねた陣代高校生徒会が遭遇したのは、多国籍な住人の住む一風変わった洋館だった。「ミイラとりのドランカー」。
陣代高校にはまれなヤンキーのひとり、時代遅れな不良装束の前田英二二年生は、じつは林水の送り込んだ生徒会のスパイだった。不良仲間に正体がばれそうになった前田を救うため、宗介たちが奮闘する「義理人情のアンダーカバー」。
用務員室で鍋を囲む、用務員大貫善治とかなめと宗介、そして椿一成。材料の買い足しに行ったかなめは、はずれの林で、数年前につかまった宝石強盗が隠した宝石を掘り起こすために奮闘しているところに出くわしてしまう。「真夜中のレイダース」
〈ミスリル〉作戦部長ボーダ提督の権謀術数の前に敗れ去ったテッサは、新年の休暇を過ごさねばならなくなった。場所はグァムと指定されている。自棄になったテッサは、訓練のためにメリダ島基地にやってきた宗介を問答無用で同伴し、グァムへと飛び立つ。はたして、ふたりを待っていたのはボーダ提督率いる悪のり一直線のとんでもない老退役将校たちだった。「老兵たちのフーガ」
前回の短編集同様、楽しかったのにあんまり内容を覚えていない…。脇のキャラクターがどんどん破天荒になっていく感じはしますが(用務員さんとか)。さらに、巻末に収録の書き下ろし「老兵たちのフーガ」を読みながら「テッサの休暇の話、まだ読んでないよなー」とぼやいたが、それじゃあ『あてにならない六法全書』の感想文は誰が書いたのさ。しくしく。
以上購入。
しばらく本を買うのを自粛していたんですが、『百鬼夜行抄』めあてに久しぶりに書店をうろうろとしているうちにとち狂いそうになりました。しかもマンガばかり。
マンガはずっと以前から自粛モードなのですが、ある日とつぜん新しい作品を読みたくなります。最近マンガ雑誌をまったく読まないので、あたらしいシリーズに手を出すのは賭けです。つまらないとものすごくショック。昔は絵柄買いでもあんまり外したことはなかったんですが、最近勘があてにならなくなってきた。やっぱり、最前線から遠ざかっているからでしょうねー。昨今のマンガにはとんと疎くなってしまった。
というわけで船戸明里『Under The Rose 1』[Amazon][bk-1]がものすごく気になったんですが、つづきもので判が大きいので保留。一冊だけなら迷わず買ってたんだけど。
Amazonで検索してて、『蟲師カレンダー2004』[Amazon]なんてのも出ることに気づきました。しかし高い…昨今のマンガカレンダーはみんなこんな価格なのか。
図書館帰りに本屋に寄った後、衣料品を求めてスーパーをふらふら。荷物が重くて、往生しそうになりました。
ロビン・ハサウェイ(坂口玲子訳)『フェニモア先生、墓を掘る』(ハヤカワ・ミステリ文庫.2001.396p.796円+税
Robin Hathaway "THE DOCTOR DIGS A GRAVE",1998)[Amazon][bk-1]、読了。開業医でありながら探偵を兼業する、四十間近の独身医師を主人公にした、コージー・ミステリ。
軽快な語り口ですらすらと読ませる、あかるくほのぼのとしたミステリー。
読んでみて自分は今、こういうものを求めていないんだとはっきりとわかりました。設定にかなり疑問を感じるし(予約を医師の副業の都合で勝手に変更されるなんて患者としては歓迎できないし、それで患者のことを思っているふりをされるのもなんだか嫌だが、まぬけな医者としてはそれでいいのか)、捜査方法は荒唐無稽な感じがしてしまう。うーん。もっと皮肉が効いていたほうが、私には素直に読めたのかも。素直な話なんですよね、雰囲気は悪くないと思うんですが。
被害者の死因などに関する推理部分は、医師としての専門知識が活用されていてけっこう楽しめました。アメリカ先住民の末裔である被害者の兄のキャラクターが印象的。
コージーミステリはもう私には合わないのかも。でも、ときどきふらっと借りてしまうんですよね。軽いものが欲しくなって。いままで読んできたシリーズものにはだいぶ食傷しているんだけど、他のシリーズならいいかもと思ってしまう。ハードボイルドはもう読む体力がない。
ファンタジーは軽くなくていいですが。
というのは『おかあさんといっしょ』の今月の歌です。初めて聴いたとき、NHKってすごいなあ、と思いました。こんな難解な歌を幼児番組で流すんだもんな。しかも、親しみやすさとはほど遠い、ちょっと異質な雰囲気のアレンジです。まちがっても『だんご3兄弟』のようにヒットしたりはしないと断言できるマニアックな曲。
子供にはどういうふうに受け取られているのか興味があったので、妹に会ったときに尋ねたところ、五歳児の姪と二歳児の甥はどちらもこの歌があまり好きではないようでした。やっぱり。とくに甥は怖がって、椅子の陰に隠れてテレビをのぞき見ているらしい。怖いもの見たさか(苦笑。
もしかしたら甥は、怖がりつつも楽しんでいるのかもしれないです。二歳児の心中を推し量るのは難しい。
アンドリュー・クラヴァン(羽田詩津子訳)『ベラム館の亡霊』(角川文庫.1999.500p.1000円+税
Andrew Klavan "THE UNCANNY",1998)[Amazon][bk-1]、読了。アメリカ人作家の描く、イギリスを舞台にしたゴシック・ホラー。
あらすじを書くと読み手の興味を削いでしまいそうな話。
イギリスの修道院にまつわる幽霊譚とB級ホラー映画、不死者と錬金術、カルト教団。ナチによって散逸した美術品。そんな要素をちりばめつつ、死期の迫る男と頑なな若い女性とのロマンスが描かれるのかと思いきや、奇矯な老女とその謎めいた過去が物語に大きなうねりを呼び込んできて、最後まで読むと最初思っていた主役は端役だったことがわかります。物語の雰囲気はホラーめいているのだけど、最終的にはミステリーかも。
著者はキース・ピータースンの筆名でハードボイルドを書いていた人ですが、直接心中や物事に切り込むのではなくて、周囲からじわじわと描いていくような作風だったと記憶しています。そういう、持ってまわったような書き方はホラーにはあっている気がする。途中の、恐怖をあおるたたみかけとか、危機的状況に陥ったところでの場面転換とか、キングみたいなねちねち感はないけど、雰囲気があります。半分を過ぎたあたりからすっかり話に引き込まれていました。おもしろかったです。
最終的にミステリーだといったのは、わりきれない、ぬぐい去れない不可解さみたいな、ホラーにつきものの後味の悪さとか、そういうものがあんまり残らなかったから。ラストが明るいわけではないんですけど、いちおう決着がついた、マニアックな連続ドラマの最終回、みたいな印象でした。そのマニアックな連続ドラマというのに想定しているものがあるわけではないんですが、なんとなく。
個人的には、オカルト雑誌『怪奇!』の発行人の老女、ハーパー・オルブライトと助手のバーナードのパートが読んでいて楽しかった。楽しいっていうと語弊があるか。興味深い、かな。
先日、「以前よりも体を動かしていないのに、以前よりお腹が空くのはどうしてだ」と叫んでましたが、理由は胃薬でした。消化剤だから、食べ物の消化がはやくなるんだ、きっと。
「五キロオーバーしてた」と妹に言ったら、「体重そのものはそれほど多くない」と指摘されましたが、問題なのは体重より体脂肪率ではないかと思うわけで。それは口にしたくないほど多いです。上半身に肉がついてないから痩せているように見えるけど、下半身はでぶなんだよ。しくしく。どうせなら、バストとかについてくれたら減らしたいとも思わないんですがね。そういうところにはつかないんですよね、贅肉ってのは。
で、パワーヨガは無理なので、気がついたときに腹式呼吸に励んだり、お茶するときにお茶請けを食べるのを止めたり、散歩の時にちょっとだけ運動を追加したりしてますが、先日『ためしてガッテン』を見てから一日に二度、体重計に乗ることにしました。番組では計測用の服を決めろと言ってましたが、面倒なので朝はパジャマで、夜はそのときどきの服装で計ってます。いまいち正確性に欠けますが、だいたい、朝と夜とでは一キロくらい増減があります。そして、三日で体脂肪が一パーセント減った模様です。どこかにトリックが潜んでいるような気がものすごくしますが、ここは純朴に信じてこれからも毎日計ることにいたします。
とりあえずこれ以上の脂肪の増加はなくなったと思うんだけど、それではダイエットとは言いがたいような(^_^;)
ロザムンド・ピルチャー(中村妙子訳)『コーンワルの夏』(日向房.1998.284p.1900円+税
Rosamunde Pilcher "VOICES IN SUMMER",1984)[Amazon][bk-1]読了。
三十過ぎて年上の男性アレクと恋に落ち、結婚したローラ。アレクには離婚歴があり、ローラは、自分の知らないアレクのいままでの人生に入り込めず、疎外感を感じていた。夏の休暇でアレクの旧友たちと旅行に行くことになり、夫も楽しみにしているのでローラも心待ちにしていた。ところが持病の悪化のため、簡単ではあるが手術をする必要があるとわかり、医者に旅行を止められてしまう。ローラは夫の楽しみを壊してしまうことへの恐れから、助言を求めて彼女を育ててくれた叔母のもとへと向かった。
由良さんに触発されてついにピルチャーを。じつは今までも幾度か借りては読まずに返却していた(苦笑)。
イギリスの田舎、といってもミス・マープルみたいな近所づきあいの密な感じではない、自然豊かな田舎を舞台にした、外国映画の小品のようなたたずまいのお話。
ヒロインのローラの心理に密着して進むのかと思いきや、切り替わる視点人物とともに起きている物事が多方向から語られる、意外にさらりとした風通しのよい話でした。ちょっとしたミステリー仕立てではあるのですが、事件そのものの謎にせまるというよりは、事件に対する人々の反応を描くことのほうが主眼のような印象。ミステリならねちねちと描きそうなところをさらりと流して、毒の少ない後味のよい物語に仕立てています。風変わりな一家の、ひと夏のできごとといった感じでしょうか。
コーンワル(ってコーンウォールとおなじですよね?)の風景の描写が、生き生きとしてうつくしくて好きです。知識不足で植物をひとつひとつ具体的に思い浮かべられないのが哀しいが。
夏の間、だらだらと過ごしていたら、下半身の脂肪がさらにさらに増えてしまった。普段着にジーンズを履かなくなってから脂肪は増加の一途をたどっている。昔より動かなくなっているのに、昔よりお腹が空くのは何故? シーズンが変わるたび、去年履いたボトムに足を通すときに感じるスリル(もしかして、もう履けなくなっているのでは)といったら。
情報番組でダイエット関連のことを放送するとたいてい見るのですが、『スパスパ人間学』の腹式呼吸ダイエットでは、なんとなく歌を歌えば脂肪が減るような気がしてきまして、CDをかけつつ腹式呼吸で声を張りあげ歌ったりしてみましたが、鼻が悪いので歌いながらだと腹式呼吸が苦しい(口から吐いて口から吸ってしまう)、ということが判明。声楽家になる資質はないみたいです(いえ、するのはダイエットです)。
それから『あるある大事典』でやっていたパワーヨガ。あれはないだろう、と思った。私の壊れた関節の可動範囲じゃ、あんな姿勢はできっこない。ダイエットが必要なのは健康人だけじゃない、と声を大にして言いたいです。もっと身体障害者にも無理のない範囲で簡単に効果のあがるダイエット法を発見してくれたら、拍手喝采だと思うんだけど。
という憤りは横においといて。
六年ぶりくらいに体重計にのってみた。体重が着実に増えているのはわかってましたが、具体的にどれほど増えたかを知りたくないというか、ようするに逃避していた。かつて病み衰えていたときの体重が記憶に残っているせいで、一般的な標準体重でもものすごく太ったような気分になるからさ(-_-;)
でも、ここらへんで現実を見なければと、つかんでゆさぶることのできる脂肪を見ながら決意したのです(ああ、我ながら醜い肉体だ…)。
結果。最軽時よりも五キロオーバーしていることが判明。この間、筋肉は減っても増えることはなかったと断言できるので、つまりはその五キロはすべて脂肪ということに…。お米五キロパックをくっつけて歩いているのね、私。どうりで歩くと息があがる(それは体力が落ちているせいです)。
真面目にダイエットしよう(T.T) やっぱり筋力アップが最善かしら。
ミネット・ウォルターズ(成川裕子訳)『囁く谺』(創元推理文庫.2002.530p.1100円+税
Minette Walters "THE ECHO",1997)[Amazon][bk-1]読了。イギリスの“ミステリの新女王”ウォルターズの緻密な構成の推理小説。
ロンドンの閑静な住宅街の一角。とあるガレージで、ひとりのホームレスが餓死しているのが発見された。ビリー・ブレイクと名乗っていたその男の正体は不明のまま、葬儀はガレージの持ち主である未亡人ミセス・パウエルの負担によって営まれる。ホームレスの取材をしていた雑誌記者マイケル・ディーコンは、ミセス・パウエルに行為の理由を問いただすため家を尋ねるが、反対にビリー・ブレイクが何者だったのかを調べて欲しいと訴えられる。
ひとりのホームレスの正体と、それにこだわる美しい未亡人の秘めた謎を追いかける記者の足どりをたどりながら、ちりばめられる複数の失踪者たちの情報。錯綜する事実に、関係者たちの複雑なかかわり合い。最後に明らかになるのは予想外とも予想通りとも思える過去からの残響。
たいへん緻密に組み立てられた推理小説で、私には最後まで読んでもわからない謎が多々残りました。冒頭に戻って情報をさらってみたりしたけど、とある女性の正体がわからん。きっと伏線を踏み越えてしまったのね。しくしく。
と書くと、なにやらしちめんどくさく生硬な話のように思われるかもしれませんが、事件の真相を探り出そうとする中年記者ディーコンに生活感があり、歴史があり、謎解きと並行して描かれるかれの生活のようすが興味深い。周囲の人物たちのにやりとさせられるような描写が楽しいんです。死亡したホームレスのビリーと親しかったという、自称十八歳(本当は十四歳)の少年テリーの愛嬌ある小悪党ぶりは、イシュトヴァーン@「グイン・サーガ」の若かりしころみたい。ディーコンの仲違いしていた母親との対面シーンはおもしろかったー。八十歳の引退した弁護士ローレンスおじいさんや、写真オタクでホモのバリーが、いろいろと問題を引き起こしつつもいつのまにか事件を推理する仲間になっていくのも楽しい。ちょい役かと思われていたグレッグ・ハリソン部長刑事(いや、最後までちょい役なんですが;)の人となりが、話とは関係ないところで次第に明らかになっていくあたりがなんとなく好きです。
結局、今回もミステリーを謎解きと関係ないところで楽しんでいた私でした。
メグ・キャボット(金原瑞人・代田亜香子訳)『プリンセス・ダイアリー』(河出書房新社.2002.300p.1600円+税
Meg Cabot "The Princess Daiaries",2000)[Amazon][bk-1]読了。日記形式で描く、青春コメディー。
ミア・サモパリス。ニューヨークで独身のママと暮らすハイスクール一年生。彼女の悩みは、身長が175センチもあるのに胸がぜんぜん大きくならないこと。学校一のイケメン、ジョシュ・リクターに片思いをしていること。数学が壊滅的に苦手なこと。しかも数学の先生がママといい仲になりかけている? ごく平凡な日常を送っているはずのミアだったが、ある日、突然とんでもない事実が判明した。ヨーロッパに暮らすミアのパパは、小国ジェノヴィアの王様だったのだ! 癌治療のために今後子供が望めなくなったパパは、ただひとりの血を分けた子供であるミアを跡継ぎにすることに決めてしまった。プリンセス教育のために厳格で強引なおばあさままでやってきて、ミアの生活はどんどん普通とかけ離れていくことに。
一昔前の少女小説を彷彿とさせる、にぎやかで明るい青春コメディー。現代アメリカの風俗に彩られてはいますが、ヒロインのミアは親友リリーに「もっと自己主張をしろ」と叱咤される優柔不断なおとなしい少女で、ハンサムな上級生にあこがれ、その意地悪なガールフレンドにいじめられている、というホントにアメリカ? といいたくなるような設定(男性の胸板にこだわるあたりはアメリカだなあと思いましたが)。話の展開もキャラクターたちの個性も、みんな昔の少女マンガみたいで、それが今ではかえって新鮮だったりして。少し離れて見守るリリーの兄マイケルの存在になかなか気づかないミア、という展開も、まさにパターン。読み手のツボをいちいち刺激するようなストーリーが、ミアのはじけた一人称で語られる。この文章は久美沙織の『丘の家のミッキー』を思い出すなあ。読んでてたいへんに楽しかったです。
余談。少女の一人称語り文体、私が最初に読んだのは新井素子と氷室冴子をほぼ同時にでしたが、後年、『赤毛のアン』を書いたモンゴメリーの作品集を読んでいたときに、ものすごい既視感を覚えたことがあります。『マリゴールドの魔法』だったかな、ちがったかも。手紙形式の文章だったのですが、氷室冴子の『クララ白書』のしーのの手紙パートと呼吸が似ているような気がしたんですよ。ちゃんとつきあわせてみたわけではないので、確信はないのではありますが、氷室冴子はアメリカ家庭小説を愛読していたそうなので、もしかするとこのあたりの影響があるのかなとなんとなく思ったのでした。
浅田次郎『蒼穹の昴 下』(講談社.2002.220p.1800円+税)[Amazon][bk-1]読了。清朝の末期を舞台に瓦解してゆく帝国をめぐる人々の思惑と生き方を描く歴史物語。『蒼穹の昴 上』のつづき。
老仏爺(ラオフォイエ)と呼ばれて絶大な人気を誇る西太后慈禧と、その甥光緒帝は、お互いを家族として慈しんでいた。しかし、既得権を奪われることをよしとしない旧勢力と、親政をすすめて欧米列強に対抗しようとする勢力の軋轢によって、ふたりの関係は悪化しはじめる。宦官となり、西太后の側仕えとなった春児は、心ならずも旧勢力のために働くこととなる。
西太后の支配下にあった清朝末期の中国。国内情勢の不安定から欧米列強につけ込まれ、侮っていた小国日本にまで食い物にされそうになっている帝国をめぐり、国の根幹である政治体制の転換の難しさ、志を持つものたちの熱い心と若さ、現状にしがみつく老いたものたちのしぶとさと老獪さが描かれていたようです。
上巻で受けた物語という印象はかわらず。すべての登場人物とは距離を置いたままの文章がつづきます。主人公は大活躍するわけではなく(印象的なシーンを割りふられてはいるけれども)、後半は状況を説明するための新聞記者たちのほうが登場シーンが多いくらい。おかげで、清朝の置かれた状況はずいぶんわかりやすかったですが、春児の心情の移り変わりがなんだかよくわからないままで、そのことが物語の出発点だとおもっていた「春児の出世物語」をはぐらかされたような気分にさせられた。
結局、この話は乾隆帝の亡霊に見込まれた葉赫那拉(イェホナラ)の女の話だったのかしら。
ともあれ、小説自体はおもしろくてひといきに読みました。構成力はすごいと思う。でも、期待していた壮大な歴史小説とはずいぶんかけ離れた庶民的な人情物語だった気がする。なんというか、ものすごく非情な現実をうまくぼかして背景にし、親しみやすさをプラスして料理した、わかりやすい西太后の物語とでもいうか。
物語に中国の雰囲気があまり感じられなかったのがかなり残念でした。やっぱり、外国ものは現地の空気を感じさせてくれるものが好きですね。
涼しいはずなのに毎晩寝冷えをしている私。風邪が治らない。
秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その3』(メディアワークス電撃文庫.2002.220p.570円+税)[Amazon][bk-1]読了。青春SF。『イリヤの空、UFOの夏 その2』のつづき。
特殊状況下における、中学生の等身大青春ストーリーの三冊目。
今回はインターバルのような「無銭飲食列伝」を経て、何気なくつづいていた日常の終わりとクライマックス到来を予感させる「水前寺応答せよ」の前後編と、番外編「ESPの冬」を収録。
個人的には、浅羽を挟んで三角関係を構成していた晶穂と伊里野の女の対決を描いた「無銭飲食列伝」が大受けでした。かなり胸焼けしましたが(^_^;)
「水前寺応答せよ」で浅羽が一大決心をするシーンは、痛くて読み飛ばそうかと思いました。作者の皮膚感覚描写のリアリティーは群を抜いています。それにしても部長はどうなってしまったのでしょう。つづきが気になりますが、いつになったら読めるのやら。
あ、暑かったー。いきなり摂氏28度超。今回はもうすこし涼しい通院だと思っていたのに。やっぱりだらだらです。
しかし、世の中の人はもっと暑そうでした。「衣替えをしたら、もう半袖を着たりしない」と決めてる人ってけっこういるんですね。秋服にしたらニット、と決めてる女子高生とか。ものすごく暑そうなんですが。
喬林知『今日からマのつく自由業!』(角川ビーンズ文庫.2001.220p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。ギャグと正義の異世界召喚ファンタジー。
渋谷有利、十五歳。男。小柄だが妙なところで正義感が強く、負けん気も人一倍。そしてこの性格と名前とでひどく損な人生を送っている。ある日、学校帰りにヤンキーにからまれている同級生を救おうとして返り討ちにあった有利は、汚い公園の公衆トイレ(水洗)に流されて、気づいたときには中世ヨーロッパ風の異世界に飛ばされていた。
図書館の棚にあったので借りてきた。最近、あちこちで書名を見かけるので、ちょっと好奇心を起こしたのです。
文章はかるく、ノリで突っ走っている感じの一人称。ときおり状況がわかりにくいところもあり。設定は、既存のファンタジー王道路線を踏まえつつ、主人公が魔王として召喚される、というところがひねってある。キャラクターは美形男性揃いで、主人公支持派と反対派に分かれている。反対派の信頼を得て立派な魔王になっていくのが当分のストーリーの骨子かなあ、と想像するのですが、なんといっても、有利が野球少年であるところが私にはツボだったのでした。こんなに話のあちこちにプロ野球関係のネタがはいってるファンタジーなんて、読んだことないです(ないのが普通だ)。ハマの大○神とか、27はいい数字とか、ボールは正面に落として止めるとか、ライオンズブルーとか。一番ぐぐっときたのは「あの日の風。まだ屋根がなかった。」というフレーズ。もしかして、この舞台はいまの○武ドーム?
とにかく、有利の野球的思考が楽しくて。ときに野球のわざ(笑)で窮地を打開していくのも嬉しかったです。こんな読み方をする人間って、このシリーズを読むような層にはあんまりいないんだろーな。プロ野球っていまは微妙におじさんの見るものとされているし。だから、有利のちょっと古くさい正義漢めいた感じを演出するのにも役立ってるんだろうと。でも、作者は絶対にファンだね、と思ったら、著者紹介に書いてありました「心の底から西武ライオンズファン」。やはり。
というわけで、気に入ったのでつづきも借ります。このまま野球ファンタジー(嘘)でつづいてくれるかどうかは知りませんけど(フィギュアスケート関係は名前だけでしょうか)。