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2003年6月前半のdiary

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2003.6.1 /『二人の眠り姫 暁の天使たち4』
2003.6.4 かかっているのは交通費だけですが/
2003.6.8 題名も知らない/『山羊座の腕輪(ブレスレット)』
2003.6.9 三周年前夜/
2003.6.11 げんなり/『炎の戦士クーフリン ケルト神話』
2003.6.12 /『バッカーノ!』
2003.6.15 体調悪し/『マルドゥック・スクランブル The First Compression−圧縮』
体調悪し 2003.6.15(日)

 最低気温が摂氏二十度を下らなくなって、毎晩寝冷えをするようになりました。肌掛け布団をかけて寝ているんだけど、寒いなーと思って気づいてみると、なんにもかかってない。かといってタオルケット一枚じゃ薄すぎて、蹴飛ばしはしないけどそれだけで冷えてしまう。
 朝、目覚めると喉がおかしくて、鼻も変で、からだがだるくて、血圧下がってるなあ…と思います。典型的な寝冷え風邪状態か。
 寝苦しさのゆえか、見た夢をやたらに覚えているし、それがまた不愉快な後味のものばかりだ。
 いまからこれでは、先が思いやられます。

 冲方丁マルドゥック・スクランブル The First Compression−圧縮(ハヤカワ文庫JA.2003.316p.570円+税)[Amazon][bk-1]読了。

 ルーン=バロット。未成年娼婦である少女は、マルドゥック市でも有数のショーギャンブラーであり、合法カジノを幾つも抱える経営者シェル=セプティノスに、焼き殺されそうになる。シェルは行き場のない彼女に市民登録証を偽造し、あらたな身分をあたえてくれた。その身分に疑問を抱いてはいけないと言われていたが、自分が何者なのかを確かめられずにいられるだろうか。シェルはバロットが自分のIDを盗み見ようとしたことを咎め、彼女を彼の乗用車ごと爆破した。
 「なぜ、わたしなの」重度の火傷を負ったバロットは、ドクターと呼ばれる男とネズミの奇妙な二人組に助け出された。かれらは告げる。彼女はマルドゥック市の定める人身保護条例、マルドゥック・スクランブル−09の適応を受けた。シェルは市のさまざまな背景にあるオクトーバー社のマネー・ロンダリング係だった。かれはバロットの偽造IDを利用して悪事のひとつを進行させていた。それはバロットの死で完成する。バロットは生きているだけでシェルの障害物となるだろう。事件を解決するための委任事件担当官として自分たちを指名して欲しいと。

 虐待されて生きてきた少女と、さまざまな武器に変化する事件屋ネズミの、スタイリッシュでハードでバイオレンスなストーリー。
 不運と苦難を堪え忍んできて、つねに「どうして自分なのか」という疑問を抱えているバロットと、兵器として誕生したが兵器としての自分を否定されたウフコック。
 華麗な筆致で描かれる遠未来の光景と、異形めいてすら見える登場人物(完璧に異形なひとたちも幾人か)。スピード感のあるアクションシーン。読みどころはたくさん。火傷から救うために施された処置のために、超人的な戦闘能力を持つことになったバロットが、手にした力を行使するうちに自分を見失っていく姿が圧巻でした。
 面白かったです。つづきが楽しみ。

 2003.6.12(木)

 蒸し暑いです。蒸し暑いというだけで、世界認識が変わる…。私は今日から悲観論者。

 成田良悟バッカーノ!(メディアワークス電撃文庫.2003.316p.570円+税)[Amazon][bk-1]読了。禁酒法時代のニューヨークを舞台にした、不死の酒をめぐる二日間の物語。

 複数の登場人物による多視点で展開する、群衆劇。裏組織“カモッラ”の構成員である少年フィーロと、ゆきあたりばったりの強盗犯カップルが、悪魔によってもたらされた“不死の酒”によって不死者となったセラードに仕える少女エニスと出会い、裏組織の争いと“不死の酒”探しに巻き込まれていく過程がテンポよく描かれています。画面切り替えが多い、映像みたいな雰囲気の作品でした。

 個人的には「禁酒法時代」というともっと派手で暴力的でゴージャスなのとか、ハードでストイックかつ熱いのとか(ユージン・イジーみたいな裏稼業に生きる男の友情とか)を期待し、錬金術師というとやはりもっと暗暗してどろどろしたのを期待してしまうので、ちょっと物足りない気分も。

げんなり 2003.6.11(水)

 ひきつづき、装具調整のための通院。当たって痛いところは前回とおんなじ。どうやら調整のために削ったせいで余計に当たりが強くなったらしい。使用素材の説明を受けたけど、よくわからなかった(苦笑)。以前のものと比べても形にはほとんど差がないのに、どうして当たるのだろう。装具屋さんも苦労しているので文句は言えないが、正直疲れた。今回は、当たるところに緩衝用の薄いパッドを貼りつけて一週間様子を見てから送り返すことになり、次の予約は再来週。しかし、診察通院がすでに来週にまで迫っていたのであった。休みたい〜。

 以下、購入。

 ローズマリー・サトクリフ(灰島かり訳)炎の戦士クーフリン ケルト神話(ほるぷ出版.2003.313p.1600円+税 Rosemary Sutcliff "THE HOUND OF ULSTER",1963)[Amazon][bk-1]読了。アイルランドに伝わるケルト神話の英雄クーフリン伝説の再話。

 いままでに何度かクーフリンの伝説を含むケルト神話を読んだことはあるのですが、エピソードが細切れなせいかどうも散漫な印象がありました。とくにクーフリン関係はぴんとこなかった。この本を読んで、初めてクーフリンの物語に感情移入ができたような気がします。

 クーフリンはアルスターの王女と太陽神ルグの間に生まれた、女と見まがうような華奢な美男子。高貴な生まれと恵まれた資質を持ちながら、その表情には運命を暗示するようにつねに悲劇性をおびた影が落ちている。刹那的に生き急ぐ英雄の物語ですね。ちょうど『八雲立つ』を読んでたので、樹なつみの描くまなざしの強い黒髪美少年を想像してしまいました。そう思って読むと美味しいシーンが目白押しです。さすがに、神話伝説は出し惜しみがない。大きなエピソードがさりげない出来事のようにどんどん披露されていくのに圧倒されます。

 一目惚れした美姫エウェルとのエピソードから、手柄を求めるために女戦士スカサハのもとへと修行へ行くエピソード。終生の友フェルディアとの出会い。女領主アイフェとの恋。どれもこんなに簡単に済ませてしまうにはもったいないエピソードだと思う。ところどころ、無理矢理つなげたようなところがあるけど(ディアドラとノイシュの悲恋のエピソードとか)、それも、話そのものの迫力の前に押し切られてしまう感じ。

 読みながら、ときどき既視感に襲われるのは、アーサー王伝説に似た話があるからですが、おそらく、こちらが元なんだと思います。「アイルランドの英雄争い」の最後のエピソードは「緑の騎士」の前半分にそっくりだし、クーフリンとアイフェの息子コンラはモードレッドとイメージが重なります。コンラはモードレッドのような性悪ではありませんが。
 本の前書きには、「今のイギリス人の先祖は、クーフリンを産んだ民族かベーオウルフを産んだ民族、あるいはその両方が混ざった人々である」と書いてありますが、まさにそのとおりに伝説も混じっていったのだろうなと推測。

 ところで、『ヴァイキングの誓い』の時にも感じたのですが、ほるぷ出版のサトクリフ本は装丁が地味。堅実に売りたいという意識の現れなのだろうか。もうすこし格調高くしてくれてもいいんじゃないかと思うけど。

三周年前夜 2003.6.9(月)

 六月十日にサイト開設三周年を迎えるので、またプロフィールの読書遍歴を更新することに。いい加減他の企画を考えたらどうかと思うんですが、考えつかないので。今度は大学編。三年かかってようやくです。なんと遅々とした歩みでありましょう。
 ここまでは通っている学校で区切ればよかったので比較的書きやすかったですが、このあとはどうやってまとめればいいんだろう。今から悩んでも仕方ないですが。来年、ちゃんとサイトをつづけていたら考えます。

題名も知らない 2003.6.8(日)

 六月に入ったらもっと真面目に日記を書こうと思っていた、五月の下旬。六月になってみると、けっきょく、さらにのんびりペースに。本は読んでいるんですがペースが鈍くて(ある一冊をもう一週間以上読みつづけている。読み切れないかも)、感想書くに至らないのが現状です。はー。

 最近スーパーマーケットの総菜売場で流れつづけている「コロッケの歌(仮)」が、ふとしたはずみに頭の中でぐるぐるまわるようになってしまい、困っています。一般的に普及したほうのではなく、『おさかな天国』の二匹目のドジョウを狙ったようなやつです。テープが悪いのかデッキが悪いのか、音がクリアでないため歌詞が聞き取れないところだらけで、それがとても気に障る。総菜売場でフルコーラス聞き入っていても、やっぱり聞き取れない。歌詞がわからないと歌えないじゃん>歌うつもり?

 ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)山羊座の腕輪(ブレスレット)(原書房.2003.250p.1800円+税 Rosemary Sutcliff "THE CAPRICORN BRACELET",1973)[Amazon][bk-1]読了。父親から息子へと受け継がれていく山羊座の腕輪を軸に、ローマ支配下のブリテンを描き出す、連作短編集。六編収録。

 サトクリフの小説には“イルカの印章指輪”を受け継いだ男たちがしばしば出てきますが、この本は山羊座の浮き彫りを施した腕輪を幸運のお守りとして受け継いでいく男たちが主人公。背景は、ローマの支配が始まって二十年ほどのロンディニウムがイケニ族の叛乱によって滅ぼされる所から、ローマ帝国が東西に別れて弱体化し、ブリテン支配が終焉をむかえるまで。ローマ軍団の末端の一員としてブリテンの現実に向き合う男たちの人生の、流れていく時代を背景にした一瞬を切り取って描いているかんじ。
 当初はローマからやってきた男の血筋は、ブリテンで次第に部族民と交わるようになっていく。それはローマ軍団にはよくあることだったようですが、支配者と被支配者の関係が時とともに変化していく姿を具体的にあらわしているようです。
 短編なのでコンパクトですが、どの話にも表向きの筋とはべつに感じる深みがあって、それはやっぱり時代の流れというものかな。これまで読んできたサトクリフの著作のあれこれがいろんなところで関連づけられると言うか。歴史を元にして書いているということもありますが、サトクリフの作品はどこかでひとつに繋がっているような気がします。

かかっているのは交通費だけですが 2003.6.4(水)

 またまた装具のための通院。またしても合わないので再調整。装具屋さんが言うには、ふたつめ以降の場合、最初のものにからだが馴染んでいるので、すこしでも違和感があると気になるんだそうです。そして以前のものとおんなじものを作るのは不可能だと。まったくその通りだと思います。でも、つけてると痛くなるのは論外なので、やっぱり直しです。だから来週も…。疲れたよ、もう。長時間の電車移動でも本を読む気力も無し。

 最近、傘を持っていくと雨が降らずに無駄になるので、持っていかなかったら、案の定途中で降りだしました。ついてない。

 以下、購入。コバルトを買える本屋がなくて最寄りの駅まで帰ってきてようやくゲット。大都会に出ていく甲斐がない〜。

 2003.6.1(日)

 台風から変わった温帯低気圧の通過で、非常に蒸し暑い状態。夜になっても気温が下がらず、毎晩寝冷えして喉が痛いです。私、あたたかくなってからの方が調子悪いなあ。調子が悪くて、薬を減らす計画にちっとも取りかかれない。

 茅田砂胡二人の眠り姫 暁の天使たち4(中央公論新社C・NOVELS Fantasia.2003.210p.900円+税)[Amazon][bk-1]読了。『海賊王の帰還 暁の天使たち3』のつづき。

 いつもどおり、面白かったです。今回は真紅の彼女を目覚めさせる話。もう、この話の大目的はなんなのかとか、考えるのはやめました。こんなに規格外に強い人物ばかり出てくる話は、すでに神話・伝説のたぐいです。海賊王と女王の迫力に、リィたちまで圧されっぱなし。おなじだけ強ければ、やはり人生経験がものを言うのでしょうかね。


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