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2003年7月前半のdiary

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2003.7.1 /『ヴェネツィアの青い天使』
2003.7.3 複合機の落とし穴/『双子幻綺行 洛陽城推理譚』
2003.7.4 雨上がりの朝/
2003.7.6 しょぼしょぼ/『マリア様がみてる 真夏の一ページ』
2003.7.8 /『プロフェシイ―大地の子― 下』
2003.7.11 『ミニミニ大作戦』/『楽園の魔女たち〜ミストルテインの矢〜』
2003.7.15 /『三つの冠の物語 ヒース、樫(オーク)、オリーブ』
 2003.7.15(火)

 ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)三つの冠の物語 ヒース、樫(オーク)、オリーブ(原書房.2003.230p.1800円+税)[Amazon][bk-1]読了。短編集。

 『族長の娘―ヒースの冠』ブリテンの少女が、捕虜となった他部族の少年が生け贄にされそうになるのを助ける話。
 『樫(オーク)の葉の冠』ローマ支配下のブリテンで、ローマ軍の衛生兵だった若者が、戦に怖じ気づいた旗持ちの若者と内密に入れ替わって軍功をたてる話。
 『野生のオリーブの栄冠』〈オリンピック休戦〉のオリュンピアで、オリンピックに出場するためにやってきたアテネとスパルタの少年たちの友情の物語。

 この短編集は日本で独自に編まれたものでしょうか。『山羊座の腕輪』と比べると統一感がうすい気がする。ひとつひとつは読み応えがありますが、読後感はばらついてます。個人的にはヒースの話の雰囲気がすき。樫の話は、『辺境のオオカミ』とすこし関連があるような。

『ミニミニ大作戦』 2003.7.11(金)

 突如晴れあがってもうもうと蒸気がたちのぼりそうな朝に外出。
 高校時代の友人と映画を観にいって、昼食〜お茶とおしゃべりをしてきました。
 観たのは『ミニミニ大作戦』【公式サイト】。金塊泥棒の話なんですが、これがけっこう軽快でかっこよくて、そんなことあるかいという映画ならではの仕掛けが満載で楽しかったのです。題名は大仕掛けな強奪計画にミニクーパーを使用するところからつけられたもの。たしか、原題は「イタリアの仕事」とかいうんだったような気がする。話の冒頭がヴェネツィアで、つぎにフィラデルフィアに移って、最後はハリウッドが舞台だったかな。友人は、車には興味ないけどミニに乗りたくなったと漏らしておりました。

 遊んでいるときは元気なんだけど、帰り着くとどっと疲れが表面化するんだよな…。肉体も疲れてるんだけど、精神的により疲れるような。人混みになれていないからでしょうか。神経が高ぶって眠れなくなったので、安定剤を飲むはめになってしまった。

 バリー・ヒューガート『八妖伝』[bk-1]を購入。

 樹川さとみ楽園の魔女たち〜ミストルテインの矢〜(集英社コバルト文庫.2003.286p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジーコメディーシリーズ十八冊目。『楽園の魔女たち〜天使のふりこ〜』のつづき。

 楽園の魔女たちに舞い込む依頼に妙なものが増えてきたのは、魔女たちをモデルにした小説が爆発的に売れているせいだった。直談判のため、出版元であるタイバーン兄弟社をたずねるファリスだが、情熱あふれる社長におされてなかなか話を切り出すことができない。
 いつぽう、楽園ではアシャ・ネビィの後任としてやってきた女騎士レティシアと、その部下たちが、エイザードを相手に奇妙な攻防戦を繰り広げていた。

 シリーズものが長くなると、シリーズならではの設定や、これまでのいきさつもかなり蓄積されてきているから、読むために前提とされるお約束が多くなるのは当然。と、わかってはいるのだけど、この本を読みながら私は自分の記憶力の貧弱さを嘆きつづけておりました。表面的なストーリーしかわかんない。楽園のめんめんのその時々のリアクションは楽しめるんですが、シリーズ全体のストーリーの先にあるものが推理できない。忘れてる。とてももどかしくて、困りました。このシリーズは一冊を単独で楽しむのは難しくなってきているな…。たんなる私個人の問題のような気もするけど。

 2003.7.8(火)

 エリザベス・ヘイドン(岩原明子訳)プロフェシイ―大地の子― 下(ハヤカワ文庫FT.2002.527p.920円+税 Elizabeth Haydon "PROPHECY",2000)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジー。『プロフェシイ―大地の子― 上』のつづき。三部作の中編の完結編。

 すみませんが、あらすじはパス。
 最初に書いた『ラプソディ』のあらすじと繋がらなくなってしまったような気がする……はしょりすぎたので。物語の最も中心に位置する「三者の予言」を抜かすべきではなかったと、いまさら後悔。
 表面に出ているラプソディ、グルンソル、アクメドの世界を救う三者としての活躍を軸にしたメインストーリーと、脇で進行するラプソディと失われた恋人の話、どちらに反応するかというと私は後者です、たいていの場合。そんなわけで、そちらを主にしてあらすじを書いたような気がするんですね。読み返すとそうでもないようなんですが。でも、恋愛を意識して読んでいても、この話の場合世界を救うメインのほうがずーっとおもしろい。この本の世界描写はとても好きです。それに対して、こんなに感情移入できなかった恋愛話はひさしぶり。ラプソディとかれと、二人きりで進行するシーンは、それがストーリーの根幹に関わることであっても飛ばしたくなる。この巻は、二人の絡みが多くてだんだんつらくなってしまったので、とうとう禁断の手段に出てしまいました。
 でも、やってしまってから、かなり後悔した。きちんと読まないと、世界の描写も生きてこない…(涙。バカでした。第三部(まだ出版されてはいなかったと思う)を読むのが今から怖いです。でも、たぶん読まずにすませることはないと思う。

しょぼしょぼ 2003.7.6(日)

 うう。またもや目がおかしいです。目薬を何度も差しているのに、疲れ目がとれない。原因ははっきりきっぱり、モニタの見すぎでしょう。このところ、仕事と趣味で延々とパソコン画面を見つづけているからなあ…。

 今野緒雪マリア様がみてる 真夏の一ページ(集英社コバルト文庫.2003.220p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。由緒正しいお嬢様学校に通う少女たちの物語。シリーズ十三冊目。『マリア様がみてる 子羊たちの休暇』のつづき。短編二つ、掌編ひとつ収録。

 「略してOK大作戦(仮)」
 来る文化祭における花寺学院高校生徒会との交流を前にしての懸案は、リリアン女学園の紅薔薇さま、小笠原祥子の男嫌いをどうするか。紅薔薇のつぼみである福沢祐巳は、花寺学園に通う年子で同学年の弟、祐麒との相談の結果、祥子に免疫をつけるために文化祭の打ち合わせよりも前に花寺の面々と顔合わせをさせようと動きだす。

 「おじいさんと一緒」
 山百合会の動向を探るべく奮闘する、新聞部部長山口真美は、前部長築山三奈子からある情報をふきこまれた。白薔薇姉妹が趣味の仏像鑑賞で知り合ったとある男性とデートをする、というのだ。待ち合わせ場所に最初に現れたのは、白薔薇さま藤堂志摩子。こっそりと様子をうかがうためちかくの喫茶店に入った真美は、変わった老人と相席し、そのまま志摩子の様子を見守りつづけることになる。

 「黄薔薇☆絵日記」
 黄薔薇さま、支倉令のつづる、従姉妹の黄薔薇のつぼみ、島津由乃との夏休み絵日記。

 祐巳ちゃんの弟、祐麒くんはいいこだなあ…。柏木さんと花寺の生徒会のあれこれをもっと読みたかった。新しい展開を期待していたのに、これだけで終わりになってしまうとは。ちょっとものたりなかった。
 白薔薇姉妹のお相手、志村タクヤくんの正体はみえみえですが、新聞部の奮闘ぶりがかなり滑稽でたのしい。
 黄薔薇姉妹…。

 世間では次の巻が発売されているのですが。私はこのまま一冊遅れで読みつづけることになりそうです。

雨上がりの朝 2003.7.4(金)

 ムシムシする中、ひさしぶりに図書館へ。通院つづきでご無沙汰でしたが、特別整理期間が挟まっていたので、延滞にはなっていないのだった。
 今度こそは借りてやると思っていた、ゴダードの下巻が貸し出し中で見つからなかったけど、『プロフェシイ』の下巻はあったので胸をなで下ろす。一度に上下巻借りるとボリュームのせいで読む気が萎えてくる本はバラで借りてます。

 『SFマガジン』の今月号を拾い読み。小川一水と幸村誠の対談を読んだあと、その足で繁華街へ出て『プラネテス』の一巻を購入(実は私、谷甲州の「航空宇宙軍史」が好きだった過去が)。
 本屋の改装は終わっていましたが、売場の配置換えで巡回ルートがすっかり狂ってしまいました。最後に児童書売場に寄ると、二度手間になる。組み直さなければ。

 借りてきた『マリア様がみてる』を読みましたが、感想はのちほど。
 以下、購入。

複合機の落とし穴 2003.7.3(木)

 我が家は狭いので、プリンタとスキャナが一体となっている、いわゆる複合機を使用しています。二つの機能を同時に使用することはほとんどないので、設置場所が少なくてすんで、プリンタとスキャナをそれぞれ買うよりも安いし、とってもお買い得。
 と、思っていたのですが、思わぬ落とし穴が。
 印刷用のインクがなくなるとエラーが出る。それはプリンタとしては普通なのですが、スキャナとして使用しようにも、エラーが出たままだと動かないんです。スキャンするのにインクが必要だと、この機械は訴える。いらないだろうと言っても、聞く耳持ちません。
 我が家の複合機は出始めた頃に購入したので、いま現在の複合機もこんなに強情かどうかは知りませんが、印刷は当分先だからとインクの補充を怠っていると、作業がてんで進まなくなってしまうことが。(あれ。このことはもう書いたことがあったっけ?)
 今回は補充するインクのストックが切れていたので、なにもできなくなりました。私はまったくかまいませんでしたが。急ぐ仕事をやっていたわけではないし。むしろ、丸一日モニタとにらめっこしなくてすんで、ラッキーてなもんです。

 ところが、今じゃ事務用品の宅配なんてものがあるので、思いがけない休みはあっというまに終了。
 ASKULがその日のうちにインクを配達してくれました。明日来るんじゃなかったのか。しくしく。

 森福都双子幻綺行 洛陽城推理譚(祥伝社.2001.282p.1700円+税)[Amazon][bk-1]読了。中国唐朝初期。女帝である武則天につかえる少年宦官とその双子の妹が、洛陽城で起こるさまざまな事件を解決する、中国歴史推理譚の連作短編集。

 嶺南出身の馮香蓮(ふう・こうれん)は、洛陽城の女官。双子の兄、少年宦官である馮九郎(ふう・くろう)とともに聖神皇帝を称する則天武后のお気に入りだ。あるとき、宮城の庭の紅躑躅の花にそまった池の側で宮廷付きの女性歌手が殺されて発見された。杜鵑(ほととぎす)の初啼きとともに女官が死亡する事件がつづき、『杜鵑呪(とけんじゅ)』と呼ばれて怖れられていたおりの出来事だった。ほぼおなじ頃、皇帝の寵愛を受けるふたりの官吏が行方不明となった。皇帝より事件の調査を任じられた洛州長吏の李千里は、後見を務めている九郎に情報収集の一端を担わせる。

 元気な香連と、巨大な猫をかぶった皮肉屋九郎の、双子の活躍する歴史ミステリー。ずーっと昔にホワイトハートから出ていた著者の本(西洋風ファンタジーだったと記憶)を読んで、けっこう面白かったので、そのうち他にも読んでみようと思っていたのですが…いったい、あれから何年経ったのか(苦笑)。
 武則天の時代の豪華絢爛な宮廷が描かれる中で、栄華を極める王朝とは表裏一体の体制内の駆け引き、陰謀。それらが引き起こす事件に、女官と宦官として宮城に出仕する仲のよい十五歳の双子が巻き込まれて解決していく、肩の凝らない連作短編。
 幼いころから宦官となることを運命づけられていて、人に容易に心を開かない屈折した九郎と、天真爛漫で兄思いの香連のやりとりが楽しかったです。

 2003.7.1(火)

 サリー・ヴィッカーズ(加藤恵子訳)ヴェネツィアの青い天使(DHC.2003.422p.2000円+税 Sally Vickers "MISS GARNET'S ANGEL",2000)[Amazon][bk-1]読了。頑なに生きてきたイギリス人女性のヴェネツィアでの生活と、旧約聖書外典のトビト記をもとにした紀元前のイスラエルの物語が交互に織りなす、象徴にあふれた物語。

 厳格な歴史教師として生きてきたジュリア・ガーネットは、三十年来の同居人ハリエットの死に直面し、ヴェネツィアへの旅を敢行する。いままでの生活とは切り離された別の世界で、英語を勉強したいという少年や、観光でやってきた親切なアメリカ人夫婦、聖堂を修復するイギリス人の双子、そして知識豊かな男性カルロと出会ったジュリアは、いままでの自分の人生を別の視点で見直すようになる。とりわけカルロとの関係は、ジュリアに大きな歓びをもたらした。カルロとまわったヴェネツィアの宗教建築物や絵画への興味から、聖書のトビト記に興味を持つようになるジュリア。ところが、あることからカルロの親切の目当ては自分ではないと知り、ジュリアは大きな落胆を味わうことになる。

 以前、図書館の新着にあったものを一度借りて読みきれず、予約してもう一度借りた本。装画の天使の絵に惹かれて読みました。天使はラファエル。癒しの天使です。イギリスでは、「ハリー・ポッター」と争うベストセラーになった本らしい。出版社はDHC…ってあの化粧品のでしょうか。装丁が新潮社のシリーズに似てる。
 イギリス人のジュリアの物語と、トビト記を下敷きにした紀元前のイスラエルの物語が交互に展開され、まったく関係ないように思えたふたつの話が次第に重なるようになり、ラストに収束していく。ジュリアはトビトの物語を読み解きながら、自分の物語をも読み解いているんですね。こういう感じの話の場合、たいてい象徴は自分で読みとらねばならないので私は素通りしてしまうことがよくあるんだけど、この話は作中で説明してくれるんで非常にわかりやすかった。説明されるのを嫌う人もいるんじゃないかと思うんですが、その部分が謎解きめいていて面白かったので、この場合はよかったんじゃないかな。
 自分で自分を縛りつけていたジュリアが、さまざまな出来事を通して次第に解放されていく過程は、読んでいて気持ちがよかったです。
 聖母マリア像などの宗教芸術についての描写や、教会に足を踏み入れたときに感じる厳かさ、畏敬の念など、ところどころにある幻想を感じる品のある描写がよかったです。ゆったり気分で読みたい本だと思いました。

 ところで、イギリス人がイタリア(とくにヴェネツィア)へ行って解放される話って、多いような気がする。イギリス人にとってイタリアは憧れの国なのでしょうか。


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