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2003年8月前半のdiary

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2003.8.5 梅雨明け十日か/『陰陽ノ京 巻の四』
2003.8.6 髪を切る/『フリップ村のとてもしつこいガッパーども』
2003.8.8 雨天中止/『時計坂の家』
2003.8.10 /『踊るベリー・メリー・クリスマス フルメタル・パニック!』
2003.8.12 夏風邪は長びく/『砂漠の花 II 青海流砂』
2003.8.14 それいけ!アンパンマン/『カオス レギオン 01 聖双去来篇』
それいけ!アンパンマン 2003.8.14(木)

 映画に行ってまいりました。子ども連れ妹の助っ人だったので、見たのは『それいけ!アンパンマン ルビーの願い』(苦笑)。
 じつはアニメ版『アンパンマン』ってちゃんと見たのは初めてでした。むかーし、初期の頃のマンガ版『アンパンマン』を見たことがありまして、そのときに「頭をひとに食べさせるなんて、なんて気持ち悪いんだ」と感じてしまった先入観がどうしてもぬけず、『アンパンマン』を敬遠しつづけていたのは私です。こんなことを考えるのは私だけかも、と思いつつ、見るたびに気持ち悪いんだもん。友人がテレビアニメを絶賛していたときには、私の感受性はどういう方向を向いているのだろうかとかなり不安になりましたが、たぶん、あの首入れ替えが生理的にだめなのです。

 でも、今回はなんとなくしか集中していなかったせいか(こんなにテレビ感覚で映画を観たのも初めて)、それほど不快感を感じずにすみました。最初のアンパンマンはもっと体型が細身で大人っぽくて、より人間ぽい感じだったけど、いまのアンパンマンはずんぐりむっくりでアンパンのキャラクターとして自立しているようなきがする。だから気持ち悪さが減ったのかもしれない。と、へりくつをこねてみる。

 e-honで注文した写真集MOTOKO『Day Light』[Amazon][bk-1]が届きました。

 冲方丁カオス レギオン 01 聖双去来篇(富士見ファンタジア文庫.2003.355p.620円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジー。『カオス レギオン0 招魔六陣篇』のつづき。

 雑誌連載の「在りし日の凱歌(うた)」と、書き下ろし中編「シャイオンの怪物」の二編を収録。このシリーズは最終的には『カオス レギオン 聖戦魔軍篇』へと収束する物語であるらしく、ノヴィアの成長を描きつつ徐々にジークとドラクロワの決戦へと至る過程に迫っていくものと思われます。
 今回は、ノヴィアが〈銀の乙女〉の資格を得る試験の話と、意外なところでノヴィアの出自が判明する話。

 全体的に雰囲気をあかるくしようという意図があるのだと思いますが、読んでいてなんとなく無理をして話を矯正しつつ書いているような印象を受けました。「こういう話だからこういう風にまとめなければ」と苦心しているというか、予定調和のために通る道筋までも規定通りにしようとしているというか。窮屈なかんじなのです。もっとどんどん書きたい方向に向かってすすんでいったらとおもうのですが、ゲームのノベライズとしてはそれは許されないのかもしれないな。

夏風邪は長びく 2003.8.12(火)

 じつは、梅雨明けと同時にひいた風邪が、まだ回復してません。
 喉の痛み、咳、鼻づまり…。とくに今回は咳がひどい。腹筋が。

 金蓮花砂漠の花 II 青海流砂(集英社コバルト文庫.2003.250p.476円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジー。『砂漠の花』のつづき。

 覇王として名をはせた父の跡を継いで大国カナルサリの女王となったカリュンフェイ。敵対するシルヴァスの公子シリスとの身分を偽っての恋は、従兄弟であるレンソールの裏切りによって悲劇を招いた。傷心をかかえながらも積極的に女王としてのつとめを果たしつづけるカリュンは、自分の暗殺を目論んだシルヴァスとの交渉に際し海軍に協力を求める。シルヴァスの内部を探るためにと女王が提示した奇策に、王宮に招かれた四提督は度肝を抜かれる。

 うーん。前巻よりもなにを目標に読めばいいのかわからない度が増している。
 恋なのか、覇道なのか。ヒロインの性格も揺れている気がするし、ストーリーもなんだかどっちつかずの感。文章は、相変わらず美しいですが。
 シリス関係のエピソードがどの方向に向かっているのか、それが読めないから宙ぶらりんな気がするのかもしれないです。この巻では、シリスはカリュンの孤独を象徴しているだけの存在で、ストーリーにあまり関わってこなかったから。だからよけいに話が分裂しているような気分になるのかも。ラストまで読んで、今後は唯一神を崇める部族の存在が、なにかの鍵を握っているのかもしれない、と思いました。

 文章ではインドっぽい印象を受けていた物語世界は、どうやら古代オリエント風だったらしい。たしかに、挿画のキャラクターがまとっている衣装のイメージはそんな感じ。

 2003.8.10(日)

 賀東招二踊るベリー・メリー・クリスマス フルメタル・パニック!(富士見ファンタジア文庫.2003.366p.580円+税)[Amazon][bk-1]読了。SFアクションラブコメディーシリーズ「フルメタル・パニック!」の長編第五作。

 めちゃくちゃになった修学旅行の代わりに催されることになった、豪華客船での一泊二日のクルーズ企画。しかも日程は十二月二十四日。じつはクリスマス・イブはかなめの誕生日なのだ。例によって大げさなテロ対策をぶちあげて周囲の顰蹙を買いまくる宗介だったが、ミスリルの任務から帰ってくると突然クルーズには参加できないと言いだす。ひそかに自分の監視要員を呼びだしてミスリルの作戦予定を聞き出したかなめは、その理由が潜水艦トゥアハ・デ・ダナーンの艦長であり恋敵でもあるテッサと関係していると確信し、仲直りに懸命な宗介をことごとく無視する。クルーズ当日、クラスメートたちと船に乗り込んだかなめは、珍妙な集団によるシージャックに遭遇する。

 軽快なテンポですすんでゆくアクションラブコメディー。クリスマス編。
 ミスリル対アマルガムのシビアな敵対関係をふまえつつ、民間人を巻き込んでのお芝居のために本気を出せないミスリルと無能なアマルガムの末端要員に、能天気なアメリカ海軍のセイラー中佐がからんで大暴れ。要所は押さえつつ、雰囲気はあくまでコミカルにという感じで、楽しんで読めました。
 かなめとテッサ、そして宗介の三角関係にもついにケリが。もっと長びくかと思っていたので、ちょっとあっさりしすぎかなと思いましたが、コミカルさとバランスをとるためにはあんまりネチネチとした展開にはできませんですよね。テッサがいやらしい女の子になるのも、歓迎されそうもないし。
 個人的にはマデューカス副長の“変身”ぶりが楽しかった。とつぜん有能さを発揮して周囲が呆気にとられる、という展開が好きなんですよね。

雨天中止 2003.8.8(金)

 台風が接近している模様です。とはいえ、ワタクシの住んでいるあたりでは多少風が強い程度で、まだ雨もパラパラとしか降ってません。だから、横浜スタジアムでの横浜×中日戦が中止になった理由について、ヘンな勘ぐりをしてしまう。千葉マリンでのロッテ×西武戦は延長までやっていたので、なおさらです。

 図書館へ行って延滞本を返却。『SFマガジン』の今月号を斜め読み。ウィスコン(?)のレポートと関連づけてのフェミニズムSFの文章が興味深かった。とくにアメリカ人作家の(ああ、名前忘れた)「スター・トレック」のやおい小説についての論考。時間がなかったから、ちゃんと読めなかったけど。

 高楼方子時計坂の家(リブリオ出版.1992.344p.1800円+税)[Amazon][bk-1]読了。十二歳の夏休み、祖父の家に滞在した少女が不思議な体験をする話(ほのかな恋付属)。

 十二歳のフー子は、ほとんど行き来のなかった従姉妹からの便りに誘われて、母方の祖父の住む汀館の家で夏休みの一時を過ごすことを決意する。母親のあまりゆきたがらないその家は、だが、わずかな訪問の際にフー子の心に強い印象を残していた。緊張とともに祖父とお手伝いのリサさんの住む家を訪れるフー子。従姉妹のマリカは思い描いていたどんな女の子とも違っていた。従姉妹のふしぎな存在感に魅了されたフー子は、いっぽうでマリカと親友になることは不可能だと思い知る。そんなとき、フー子は階段の途中にある窓がじつは閉ざされた扉であることを発見する。窓枠にかかっている錆びついた懐中時計が、フー子の目の前でみるみるうちに変化してゆく。時計は大きく開いた白い花となり、気がつくと窓の向こうには別の世界が広がっていた。

 北の港町汀館。天使のからくり時計に出会ったところから、少女の夏休みには怪しい雰囲気が忍びよってきます。母方の祖父と、住み込みのお手伝いさんのもつ、感じはいいけど、気さくではない、不思議な雰囲気。従姉妹のマリカ。閉ざされた扉に、かけられた古い懐中時計。錆びついているはずの時計が変化したあとで現れる、扉の向こうの不思議な世界。亡くなった祖母のこと。時計を作ったロシア人の時計職人に関する不思議な話。
 夢や憧れは人の心にうるおいを与え、人生を豊かにするものだけど、自分以外の物に心を預けすぎることは幸せなだけではないのかもしれない。現実に生きていながら夢を忘れないことは、一度境界をまたいだ者にとっては辛いことかもしれないけれど、そのなかで生きていくことで成長できることもあるのではないか……と妙にまわりくどいことを感じてました。
 この世ならぬところへのあこがれ、その美しさと怖さを描いた、不思議な余韻の残るお話。いまはファンタジーでひとくくりにされてしまうけど、これは幻想小説と呼びたい気がする。児童書なんですが、もっと年が上のひとの方が楽しめるのではないかとおもう。

 著者紹介の文章を見て、汀館は函館だったんだなと。そして主役のフー子ちゃんのモデルはもしかしたら、装画を担当されている著者のお姉さまなのかなとか勝手に想像。
 道具立て(時計とか魔術師とか港町とか人形とか?)のせいか、谷山浩子の歌をイメージさせられた本でした。

髪を切る 2003.8.6(水)

 夜中に寝つかれず睡眠不足でしたが、美容院に行って、髪を二センチばかり切ってもらってきた。
 二センチといっても床に落ちた髪の総量はそうとうなもの。美容師さんたちが幾度も「髪の毛多いわねえ」とくりかえされた。笑って「そうなんです」と答えていたが、髪が多くていつも苦労しているのは私のほうだ。

 長さはともかく、髪の量がずいぶん減ったので、ずいぶんすっきりした。髪の毛って、やっぱり保温効果があると思う。ふだんは気にもとめていないけど。

 ジョージ・ソウンダース 文 レイン・スミス 絵(青山南訳)フリップ村のとてもしつこいガッパーども(いそっぷ社.2003.94p.1600円+税 George Saunders and Lane Smith "THE VERY PERSISTENT GAPPERS of FRIP",2000)[Amazon][bk-1]読了。絵本。

 ガッパーは靴下の中に入ったイガイガに似ている。野球ボールくらいの大きさでオレンジ色をしていて、ジャガイモの芽みたいな目がたくさんある。ガッパーはヤギが大好きで、ヤギにくっついてはヒーヒーヒーヒーといつまでも鳴きつづける。するとヤギは眠れなくなってミルクを出さなくなるから、ヤギのミルクで暮らしをたてている村ではガッパーをヤギに近づけないように懸命になる。フリップ村ではガッパー駆除は子どもたちの仕事だった。ところがある日、ほんのすこしだけ頭のいいガッパーがあらわれて……

 皮肉なユーモアに満ちた大人の絵本。『くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話』[Amazon]と似た雰囲気だなあと思って借りてきました。画家がおんなじだった模様。
 ひとつひとつの文章にふくまれているユーモアのおかげで、とても楽しく読めました。
 ヤギへ愛情を押し売りするガッパー。現状維持にばかり心を奪われ、現実を見ようとしない父親。他人への共感を欠いて、自分の幸運をひたすら謳歌することしか考えない隣人たち。ひとり苦境に立たされた少女の臨機応変な態度。深読みすればするほど皮肉っぽい話です。

 「たくさんのひとたちがおなじことを大きな声でいっているからといって、それが真実とはかぎらない」
 真理は亡くなった人の一言の中にあることが多いよなあ…。

梅雨明け十日か 2003.8.5(火)

 梅雨明けと同時にいきなり暑くなって、熱帯夜の連続に寝冷え風邪をひきました。
 本日は蒸し暑さのあまり、目の焦点が合わなくなりました。
 毎年思うことですが「暑さよ、疾く去れ!(涙目で)」。

 ノートパソコンの液晶に、赤い縦縞が入りはじめる現象、しばしば発生中。これって暑さのせいなのだろうか。毎年夏になると起きるような気が。

 渡瀬草一郎陰陽ノ京 巻の四(メディアワークス電撃文庫.2003.278p.550円+税)[Amazon][bk-1]読了。平安朝の京野京を舞台に陰陽師たちの活躍を描くシリーズ四作目。『陰陽ノ京 巻の三』のつづき。

 ふいに命を落としてしまった十歳の少女、蓮。成仏しきれずに残った魂魄をみつけた道士の賀茂光榮は、池の“蓮”の命を借りて少女をおのれの式とした。夜の間だけ身体を保つことができるようになった蓮だったが、その仮の姿も“蓮”の花のつづくまで。病身の父親の看病にはそれで充分かと思われたが、蓮にはまだほかに未練の原因があったのだ。
 伯家の時継が慶滋保胤のもとに転がり込んできてしばらくたったある日、保胤の庵を賀茂光榮と住吉兼良がべつべつに訪ねてきた。訪問の理由をはぐらかす光榮。兼良の相談は弟の清良に憑いているという死霊に関することだった。

 えーと、読んだのは先週の木曜でした。巻の終わりに「絵草紙 訃柚」という掌編が収録されていまして、それが字体と字の大きさのために電車内では読みにくかったので後まわしにしたら、その後気候の激変に巻き込まれてなかなか読む気になれなくなって、いまごろになってしまったという。
 本編はたよりなさげな道士、兼良清良と、少女蓮の恋物語。時継のとんでもない物知らずが鍵となっております。蓮とならべると時継のキャラクターは別方向をむいてますが、それがないと話がなりたたないので仕方ないか。丁寧な話運びは健在。
 個人的には、光榮のひねくれ加減と、吉平と貴年のやりとりが読んでいて楽しかったです。


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