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2003年4月前半のdiary

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2003.4.3 こんなの十年ぶりか?/『レディ・ガンナーと宝石泥棒』
2003.4.4 とどめは五連敗/『錦繍打鈴(たりょん) 銀葉亭茶話』
2003.4.7 /『七王国の玉座 上 氷と炎の歌1』
2003.4.9 /『七王国の玉座 下 氷と炎の歌1』
2003.4.10 /『白い矢 黄金の拍車』
2003.4.13 /『銀珠(うんじゅ)綺譚 銀葉亭茶話』
今季初観戦(もしかしたらこれで最後) 2003.4.13(日)

 統一地方選挙の投票をしたあとで、横浜スタジアムへ横浜×ヤクルト三回戦を見に行ってきました。
 気象情報では横浜の気温摂氏二十二、四度なんて言ってましたが、あそこでは絶対に二十五度以上あったと思う。
 姪連れだったのだが、「あつい、あつい」と文句たらたらで試合なんかぜんぜん興味なし。アイスをふたつ、コーラを一杯、ポテトを一袋、お茶を一本買わされたのち、二回裏が終わったところで「かえりたい〜」とくねくねしはじめた。だからついてこなくていいと言ったのに。行く行く言い張るから仕方なく連れていったのに。
 けっきょく、孫のヒステリーに閉口した父親が三回裏終了後に先に連れて帰りました。試合は散々だったので、未練もなかった模様。私も七回裏終了後に帰途につきました。

 帰宅後、古木選手が本塁打を打ったことを聞かされる。私だって、ラミレスの本塁打を二本見たさ。五十嵐亮太の時速150キロ超のスピードボールだって見たもんね(負け惜しみ)。

 そうだ。球団歌のジャズバージョン『BayStars Jump』は聴きごたえがありました。『2003年度版応援歌CD』には収録されていないのだろうか。

 金蓮花銀珠(うんじゅ)綺譚 銀葉亭茶話(集英社コバルト文庫.1998.296p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。いにしえの朝鮮半島を舞台にした幻想恋愛譚「銀葉亭茶話」シリーズの五冊目。『錦繍打鈴 銀葉亭茶話』のつづき。

 春を迎えた銀葉亭のあるじ李月流に長白君がもたらした報せは、蝶々姫の転生である少女の「虎食八字」とよばれる不幸な運命についてであった。それを知った金剛山の守護と樹精の王を両親に持つ善華は、蝶々姫の運命の恋人・金楓英にしらせ、少女を助けねばと主張するが、李月流は「八字」は運命であるから動かせない、仙界の住人がいたずらに人界に介入するのは好ましいことではないと告げる。しかし、善華はかつての友を救うため、寂しく暮らす蝶々姫の転生、現在は銀珠の巫女と呼ばれる尹珠娜(ゆん・ちゅな)のもとへと向かう。

 虐げられた巫女である少女が、困難の果てに、人に対して特別な感情を持たぬようにしてきた自分の臆病さに気がつく、という話。
 人物の心を読みとり損ねるようなことはありえないというところまで、丁寧に描かれた文章で、大変読みやすく、かつ美しい印象が残ります。巫女の寂しい生活のありさまと、気むずかしい巫女を扱いかねる召使いたちの心情がしだいに変化してゆくのが、印象的でした。とくに珠娜の育ての親である老巫女の存在感が、すてき。
 しかし、立てつづけに読んできたせいか、そんなに念を押さなくてもと思うところもしばしば。それから、かつて愛し合ったという過去があるというだけで、出会っただけで恋に落ちてしまう「運命の恋」には、どうも素直に感情移入できないのでした。すでに夢見るお年頃じゃないもので。

 ところで、かつて人間になり損ねた虎が、仙力を得たうえで人をある程度食べると人間になることができる、という言い伝えが話の根幹をなしておりまして、そういう話が朝鮮にはあるのでしょうけど、どうして虎が人間になりたがるのか私にはわからなかったです。

ささいなことですが 2003.4.10(木)

 本日は乾燥しているせいか、ことのほか眼が乾きます。ドライアイ、憎し。

 まったくどうでもいいことなのだけど、テレビのニュースで「バグダッド」という地名が出てくるたびに、ちゃんと発音しているか、チェックしてしまうのは何故なのか。
 「バクダッド」だったり「バグダット」だったり「バクダット」だったりすると、ちがうじゃーん、と心の中で突っ込む。自分だって何度も言わされたら絶対に間違えると思うけど、やっぱりチェックはしてしまう。イヤな性格です、我ながら。
 そのほか、「女王」を「じょうおう」と発音されると、ぴぴぴと警報が鳴ってしまったりする。「じょうおう」は「上王」と脳内変換されるので、ものすごくイヤなんです。「女王」は「じょおう」だろう。ああ、嫌味。

 駒崎優白い矢 黄金の拍車(講談社X文庫ホワイトハート.2002.216p.550円+税)[Amazon][bk-1]読了。十三世紀イングランドを舞台にした若者たちの物語。「足のない獅子」シリーズにつづく「黄金の拍車」シリーズ第二弾。『黄金の拍車』のつづき。

 騎士となり、現在はストックスブリッジの領主となったリチャードは、コーンウォール伯からの国王主催の馬上槍試合(トーナメント)への招待状を受け取った。コーンウォール伯エドマンドは前王弟の嫡男で、リチャードの素性を黙認した上でかれの後ろ盾となり、リチャードと従兄弟のギルフォードを騎士に叙任してくれた人物である。国王に近寄りたくない理由のあるリチャードだったが、コーンウォール伯には恩がある。未だに甲冑を持たないふたりの騎士は、物見遊山と決め込んで、少年トビーをお供にトーナメントの行われるリンカーンへと旅立った。

 昨日まで読んでいた本と道具立ては似ているのに、まったく雰囲気がちがう。話もキャラクターも軽快。たいへん読みやすかったです。
 このシリーズは、冒頭で事件の核心にいる人物の、名前を伏せた描写からはいるのがお約束。この人物が誰なのかがわかると、だいたい秘密は解明されています。今回は、半分はわかったけど、最終的にはちょっと驚いた。陰謀劇としてはささやかで、ふりまわされるリチャードとギルフォードにもあまり活躍の場はなくて、一番めだっていたのはコーンウォール伯の腹心サー・ウェイドの奥方レディ・エレインでした。アンジェラお祖母様を彷彿とさせる美女。これからのご活躍がたいへん楽しみです。
 ところで、馬上槍試合を楽しみにしてしまった私は、馬鹿でした(苦笑。忙しかったのはわかるが、甲冑も持っていないのか…このふたり。浮いたエピソードもぜんぜんないし、だんだん主役というより狂言まわしのようになってきたなあ。

新しい風呂場 2003.4.9(水)

 浴室工事がようやく終了。天井はバスリブになり、壁と床のタイルを貼り替え、風呂釜と浴槽も新しくなり、以前の風呂場とは様相が一変。とくに電気仕掛けになった風呂釜に戸惑っております。壁に取りつけたリモコンを操作するのが面倒。風呂の時にはメガネをかけていないから、よく見えないし。
 それでも、自宅で風呂に入れるのはとっても嬉しい。内風呂のない時代には暮らせないような気がしてきていた、軟弱な私。

 ジョージ・R・R・マーティン(岡部宏之訳)七王国の玉座 下 氷と炎の歌1(早川書房.2002.446p.2800円+税 George R.R. Martin "A GAME THRONES",1996)[Amazon][bk-1]読了。異世界ファンタジー「氷と炎の歌」シリーズの二冊目。『七王国の玉座 上 氷と炎の歌1』のつづき。

 要請されて“王の手”となったスターク家の当主エダードは、前任者であるジョン・アリンが王妃の実家ラニスター家によって暗殺されたことを確信し、その死の引き金をひいた事実をとうとう突きとめる。彼の妻ケイトリンは、息子ブランドンを襲った刺客から、かれを不具とした事故もラニスター家が関わっていたものと知り、剣の所有者であるティリオン・ラニスターを捕虜とした。大家ラニスター家の次男が捕らえられたことで王国の緊張の高まる中、国王ロバートは現実から目をそむけ、エダードの助言を聞き入れない。
 すべての係累とのつながりを断ち、夜警団(ナイトウォッチ)に所属することになったエダードの私生児ジョン・スノウは、行方不明者の捜索にいって戻らない叔父ベンジェンの無事を祈るが、壁の周辺では死者が甦り隊員に襲いかかるという出来事が相次ぐようになった。
 いっぽう、騎馬族の族長の子を身ごもった前王家の生き残りデーナリスは、七王国の王が彼女と息子を亡き者とする命令を下した事を知り、かつて一族が君臨した土地をふたたび自分のものとする決意を固める。

 非常にわかりにくいあらすじ紹介で申し訳ない。これでもけっこう努力したんだけど、登場人物が多くてみんな魅力的なので、はしょるのが辛いのでした。
 いやー、ほんとに凄い話だ。
 架空歴史ファンタジーの体裁をとっているけれど、単純に歴史の流れを追うようなシンプルな話ではないです。複数の登場人物の視点で多面的に出来事が描かれていき、話が進むに連れて次第に世界のありようがわかってくるという構造。物事の表と裏が両方見えるだけではなくて、視点人物の個性と感情を通して語られる鮮烈なエピソードは、ひとりひとりの人生の一場面を切り取っているという印象。
 視点人物となるのはおもにスターク家の人々ですが、どの人物に焦点を合わせてもだれるところがまったくない(苛つくところはありますが。それは人物の個性が個人的に好かないからで、それだけしっかりと血肉をまとっている)。
 かつて七王国を統べたドラゴンの王とか、北にあって人々を護る長大な壁とか、森の子どもたちとか、なんだかどこかで聞いたような…と思ったら、解説でも触れられていた。そうです、イングランドの七王国とか、アーサー王伝説とかと道具立てが似ているのです。そのせいか、先日読んだサトクリフの『落日の剣』に肌触りが似ている気がした。しかし、この本の複雑さと苛酷さはサトクリフの上を行く。残酷な書き方はされていないのだけど、これでもかと痛みを伴う展開がつづくので、かなり気力を消耗しました。でも、たいへんに面白かったです。

 長かった夏が終わり、苛酷な冬の到来と共に未知の恐ろしい脅威の予感が重低音で不気味に鳴り響く中、王国の休戦状態はなしくずしとなり、戦乱の時代が到来した……ページを繰って悲劇が起きるたびに心の中で悲鳴をあげ、「冬がやってくる」というスターク家の銘言がくり返されるたびに、背筋がぞくり。感傷の混じらない重厚な文章が厳しい現実を淡々とつたえて、緊張感が途切れません。

 それにしても、デーナリス。彼女のパートだけまとめても充分にひとつの話になりそうだ。

 2003.4.7(月)

 ジョージ・R・R・マーティン(岡部宏之訳)七王国の玉座 上 氷と炎の歌1(早川書房.2002.446p.2800円+税 George R.R. Martin "A GAME THRONES",1996)[Amazon][bk-1]読了。苛酷な環境の世界で繰り広げられる権力争い。否応なしに巻き込まれた一族の波乱の運命を重厚に描く、厳しくハードな物語。異世界ファンタジー「氷と炎の歌」シリーズの一冊目。

 ふたつの季節しかない世界は、夏の終わりを迎えていた。冬の予感に北方では恐ろしい異形人の活動が活発となり、防波堤である壁の護り手夜警団(ナイツウォッチ)では熟練の兵士の行方不明が相次いでいた。
 かつての七つの王国のうち、北の王として君臨してきたウィンターフェルのスターク家では、当主のエダードが国王ロバート・バラシオンの訪問を受け、王の補佐役“王の手”の任に就くように要請されていた。エダードは自領と家族を愛しており、政治の中心に関わることを好まなかったが、幼なじみのロバートが妻である王妃の実家ラニスター家によって損なわれつつあるのを見過ごすこともできなかった。エダードは前任の“王の手”の死因に関する疑惑を胸に抱き、王都へむかう決意をする。
 いっぽう、ロバートたちによって滅亡させられた前王家の生き残りヴァイサリス・ターガリエンは、妹のデーナリスを騎馬民族ドスラク人の族長カール・ドロゴと娶せ、王権奪回のための軍事力を手に入れようと画策する。

 圧倒的な迫力とはこういうことを言うのでしょうか。
 手触りをともなった世界描写に現実的な血肉をまとった登場人物。冷徹に、感傷を排して描かれる、微塵も甘さのないストーリー。権力闘争の求める犠牲者は性別も年齢もおかまいなし。スターク家のひとびとが見舞われるつぎからつぎへの災難には、読んでいてあちこち痛くなりました。おかげでなかなか進まない。すごく面白いのに、読むのに体力が必要だ。

 老若男女、どの登場人物も存在感に厚みがあり、この世界にしっかりと根づいて生きている。
 悲劇の中心スターク家の面々も、たんなる善意の被害者というわけではなく、家族内の確執や相性の悪さ、意地の張り合いなどを抱えていて、ホームドラマの面もあったりします。これだけ壮大な権力闘争や陰謀や謎が渦を巻いているのに。すごい。王の手の激務にさらされながら、エダード公は妻との愛情や子どもたちのしつけにも心配りをしているのです。お父さんは大変だ〜。
 個人的にはスターク家の次女アリアと、兄に搾取されていたデーナリスの行方が気になります。それからラニスター家の小人ティリオン。それからそれからダイアウルフたち。

 これから下巻を読みまする。

とどめは五連敗 2003.4.4(金)

 図書館に読めそうもない本数冊を返却。(貸出期限が一週後の『七王国の玉座』は往生際悪くいまだ貸借中。)
 昼食を外で食べる約束をしたので、時間を潰すために閲覧室で本を一冊読了。きりがいいところまでと粘っていたら、約束の時間に間に合わなくなりそうになった。
 『子ども映画祭(?)』に行っていた母、姪、叔母、叔母の孫息子と合流し、ファミリー向けパスタの店に入り、ランチメニュー日替わりパスタを食す。
 置いてきぼりをくった甥のためにおみやげ(お風呂遊び用アヒル。別名「アヒル隊長(村長では?)」)を購入。100円ショップを覗く。
 タクシーで帰宅しようとしたが、人数的に無理のようなので私だけバスに乗る。
 途中下車して妹宅に寄り、甥を連れて帰宅。
 あとのことはあまりにも混沌として書きようがない。

 箇条書きすると大したことないんだけど、これだけのことをするのにどれだけエネルギーを費したことか。
 余裕がなくて、ずーっと目薬が差せず、つらかった。

 今年も中日戦は投壊なのか。横浜ベイスターズの皆さん、ぼちぼちやってください(-_-;)。

 金蓮花錦繍打鈴(たりょん) 銀葉亭茶話(集英社コバルト文庫.1996.232p.437円+税)[Amazon][bk-1]読了。朝鮮半島を舞台にした幻想恋愛譚「銀葉亭茶話」シリーズの四冊目。『蝶々姫綺譚 銀葉亭茶話』所収の「蝶々姫綺譚」のつづき。

 冬の終わりの銀葉亭にあらわれた娘の亡霊は、蝶々姫が生まれ変わった呉楓蘭(お・ぷんらん)の変わり果てた姿だった。あるじ李月流に「生き返らせてくれ」と泣いて頼み込む楓蘭。樹精・金楓英との愛にすべてをかけたのち、人として幸せな生をまっとうするはずだった彼女に何が起きたのか。

 図書館閲覧室(古びたソファの上)で読んだ一冊。
 前の巻は中編だからまとまりがよかったのかと思ったのだが、この巻はほぼ呉楓蘭の視点で書かれていてすっきりとしている。愛らしい彼女の繊細でみずみずしい感情が、ながれるような文章でうつくしく描写されていて、よどみなくひとつの物語として描ききっていると思います。自分の幸せを得るに懸命にあまり、他人を思いやる余裕のない、ひとびとの強(こわ)いけれど弱い心。そのためにゆがんでしまう人と人との関係を、哀しいけれど、救いようのない殺伐としたものとしては描かない、作者は優しい人なのだなあと感じます。
 しかし、正直言ってこのふたりの話をまだ書くの、とは思った。そういえば、転生して悲恋をくり返す、というパターンのマンガが昔あったような気がするなー。

こんなの十年ぶりか? 2003.4.3(木)

 創作意欲全開で別世界へトリップ中。気がつくと夜更かし。腕がだるくて、目も疲れてる。本が読めない。せめてジョージ・R・R・マーティン『七王国の玉座 上』[Amazon][bk-1]、『七王国の玉座 下』[Amazon][bk-1]だけは読んでから返却したいものです(非常に心許ないが)。

 茅田砂胡レディ・ガンナーと宝石泥棒(角川スニーカー文庫.2003.298p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。変態する異種人類と人類が共生する世界で、曲がったことが大嫌いな熱血美少女と、混血の面々が活躍する「レディ・ガンナー」シリーズの第三作。『レディ・ガンナーの大追跡』のつづき。

 前巻の事件で親しくなった異種人類の美少女ミュリエルの招待を受けて、ローム王国へ観光の旅に出発したキャサリン。折しもローム王国は慶事つづきで祭気分は最高潮。華やいだ雰囲気を楽しんでいたが、ミュリエルが友人エレオノーラの婚約を知らされたときから雲行きが怪しくなった。エレオノーラの自宅を尋ねるミュリエルにくっついていったキャサリンは、それが豪華客船にともに乗り合わせ、彼女の存在を知らずに恋人と駆け落ちの相談をしていた女性だと気がつくが。

 図書館のカウンター前の書架にあったので、つい借りてしまった一冊。
 程良くまとまった痛快娯楽小説です。まとまりが良すぎて、話も見えすぎ、他のシリーズより小粒な感じが。


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