2002年11月前半のdiary
■2002.11.3 薬のんでます/『聖竜師の誓い 上 ドラゴンファーム3』
■2002.11.5 『ショコラ』/
■2002.11.6 /『砂の覇王 9 流血女神伝』
■2002.11.8 一般外科外来/
■2002.11.9 ケーキ/『ラヴクラフト全集1』
■2002.11.10 日米野球/
■2002.11.13 バムケロカレンダー/『ヴァイキングの誓い』
■2002.11.15 「サイダーハウス・ルール」/
先週にひきつづき、映画。
購入済だった前売り二枚のうち、先週一枚消費したので、残りの一枚。妹は未だに風邪ひきなので参加できず。
今回観たのは「秋の名作映画特集」第二週目の『サイダーハウス・ルール』。これも原作(ジョン・アーヴィング『サイダーハウス・ルール 上』[Amazon][bk-1]、『サイダーハウス・ルール 下』[Amazon][bk-1])を読んでますが、主人公の名前を思い出せないくらい昔のことなので、あんまり影響はありませんでした。
舞台がほとんど孤児院とリンゴ農園に限定されているせいか、背景にひろがりが感じられないのですけど、おかげで寓話性は増しているようです。話も登場人物もだいぶ整理されていて、題名の意味がよくわかった、ような気がする。
リンゴ農園のあとつぎである少尉(名前忘れた)はもっともっと魅力的な人物だったような記憶があるのですけど(そんな気がする程度のあくまでぼんやりとしたものですが)、そうすると話が複雑になるのでおさえたのだろうかと思ったり。
目をみはるような映像とか、ショッキングなシーンとか展開とかとは縁がないけど、しみじみとしたものが残りました。好きとかすごいとかでなく、いい映画を観たなあというかんじ。
余裕を持って行動したはずなのに、やはり二日続けての外出はこたえました。昨日読んだ、森絵都『DIVE!! 4』[Amazon][bk-1]の感想はまたあとで。
生協で注文していた『バムとケロのカレンダー2003』[Amazon]が届きました。かきおろしの絵はないみたいですが、「カレンダーにはれるかわいいシールつき!」。姪にやってしまうのが惜しいです。もうひとつづり、買えばよかったかしら。
ローズマリ・サトクリフ(金原瑞人、久慈美貴共訳)『ヴァイキングの誓い』(ほるぷ出版.2002.327p.1600円
Rosemary Sutcliff "BLOOD FEUD",1976)[Amazon][bk-1]読了。10世紀のイギリスから北欧、ビザンティン帝国を股にかけていたヴァイキングの活動を背景に、自分の居所を求める少年の旅を描く歴史小説。
サクソン人の母とブリトン人の父とのあいだに生まれた少年ジェスティンは、両親を失い孤児となった。かれは継父の家から追い出され、さまよい歩いたのちに母とおなじサクソン人の部族で牛飼いとして生活するようになる。十五歳になったころ、牛の群もろともヴァイキングの襲撃を受けて捕らわれ、ダブリンで奴隷として売りに出されたジェスティンは、あるひとりのヴァイキングの若者の目に留まった。そうして主人となったトーモッドは、ジェスティンにとっても特別な存在になっていった。
サトクリフの主人公は、いつも、自分のいるべき場所を探していますね。この本は、義兄弟によってもたらされた血の復讐のドラマがストーリーを動かす大きな要因になっているけれど、そもそもジェスティンの旅は生まれたときから始まっている。「故郷とは、ともに歩むための絆のこと」だというかれの言葉は、読み終えたあとでもう一度眺めるとなるほど〜としみじみできます。
ところで、最初のうちは『ケルトとローマの息子』、途中からは『サトクリフ・オリジナル6 剣の歌』みたいだなあと、ちょっと思いました。読み応えと苛酷度(?)では、前者と後者の中間くらいという印象。
アメリカのメジャーリーグ・オールスターズがやってきて、日米野球が開催されています。
昨夜やっていたメジャーリーグ対読売ジャイアンツの試合は、見るに耐えませんでしたが、きょうの試合はそこそこ楽しかった。日本側が勝ったからというわけではなくて、ちゃんと双方のチームが勝利をめざして懸命に戦っている姿が伝わってきたのがよかったのです。
ところで昨夜も今夜も見るともなく一緒に見ていた母親がひとこと。
「今日の日本チームは、寄せ集めなの?」
ユニフォームがバラバラなので昨日のジャイアンツ単独チームとは違うらしい、ということを察しての発言だったそうですが、脱力しました。
「寄せ集め」にはなんか急場しのぎとか、数あわせとか、そういう場当たり的な考えなしのイメージがありますね。失礼だなあと思いつつ、みょうにツボに入ってしまいました。母親はあとで「選りすぐり」と訂正しましたが、そのあと全日本は「寄せ集め」と呼ばれつづけることに。
キューバで行われているインターコンチネンタルカップでは、日本がドミニカを辛くも下したようです。横浜の古木選手は良くも悪くも活躍している模様。
ローズマリ・サトクリフ『ヴァイキングの誓い』[Amazon][bk-1]読書中。
風邪ひきさん大集合、てな感じでみんなで風邪をひいてます。
なかでも一番厄介なのが妹。よくなったかと思うとすぐに不注意で悪化させて、周囲に多大な迷惑をかけまくっている。
先週の土曜日、熱を出して寝込んだ妹の代わりに姪(四歳)を習い事まで連れていったとき、予想外に授業参観までさせられて、西武ライオンズ応援感謝セールに行き損ねた記憶はまだ新しい。
それでも、これは一度きりのこと。たまにはそういうのもいいかと思って引き受けたので、二週つづけておんなじことになるなんて、私の予想を超えてます。しかも、先週と違って私も風邪をひいているというのに…。
前日はやばやと就寝したので体力は戻ってましたが、風邪でぼんやり状態はあいかわらず。やる気を奮い立たせるために、なにか自分に飴をあげようと、帰りにチョコレートケーキでも食べてこようかと思いつきました。
それで姪に「帰りにケーキ、食べようか?」と言ってみたら、彼女は俄然行く気満々に。ちょっと失敗した、と思いました。途中で私の気が変わってそのまま帰りたくなっても、姪は食べなきゃ満足しないに違いないから。そしてすでに、私の気分はすぐに帰りたいモードに切り替わりつつあったのでした。
教室に姪を送り届けてから、スーパーのベンチに腰掛けて本を読んで時間を潰しつつ、「忘れろ、忘れろ」と念を送っていたのですが、授業の終わりに引き取りにいったら、教室から出てきた姪が開口一番「ケーキ!」
もしかして授業中ずっとケーキのことを考えていたのだろうか…
店で買って帰ればみんなでケーキが食べられるよ、と何度も謎を掛けてみましたが、「いま食べるの!」と譲らないので、けっきょく喫茶店に入りました。ケーキのケースを見た姪は、イチゴのショートケーキに釘づけ。ぜったい一切れ全部は食べないだろうと思っていたので、これも誤算でした。しかたなくチョコレートケーキをあきらめて、イチゴショートとブレンドコーヒーのセットと、オレンジジュースを注文。
その後、背が足りないので靴を脱いで椅子に正座した姪は、イチゴショートをばくばくと、ほとんど残さず食べ、残りをあてにしていた私がのさったのは、スポンジケーキの薄い残骸のみ。多すぎるのではと危惧していたオレンジジュースもぜんぶ飲みきって、とても満足したようす。よかったね、うれしそうで、と思いつつ、自分については釈然としないまま帰路に就きました。やっぱり、チョコレートケーキ、食べたかった気がする……。
H.P.ラヴクラフト(大西尹明訳)『ラヴクラフト全集1』(創元推理文庫.1974.318p.400円+税
Howard Phillips Lovecraft "THE SHADOW OVER INNSMOUTH AND OTHER STORIES")[Amazon][bk-1]読了。クトゥルフ(クトゥルー)神話の創始者ラヴクラフトの日本で編まれた全集の第一巻。
読んだのは図書館で借りた1986年刊の19版。現在の定価は400円じゃなくて600円です。活字が小さい上、訳に癖があってとても読みにくかった。その癖も、独特の雰囲気をかもす要因になっているような気もしますが。
収録されているのは、「インスマウスの影」「壁の中の鼠」「死体安置所にて」「闇に囁くもの」の四編。このうちクトゥルフ神話に属するのは多分、「インスマウスの影」と「闇に囁くもの」。
ストラウブ『ミスターX』を読んだときに、私はクトゥルーを読んだことがないと書きましたが、「インスマウスの影」を読んでいるうちに、そうも言いきれないのではと思いました。じつは栗本薫『魔界水滸伝』というのを途中まで読んだことがあります。あれも一応、クトゥルー神話をネタにした話でしたよね。インスマウス人というのがとても気味悪くて、あの話を読んでしばらくシラス干しが食べられなくなったのを思い出しました。なにゆえシラス干しなのかは、ここでは語りませんが。
そういうことで、「インスマウスの影」を読みながら、ここでほのめかされている異様な事件(と人間)にたいして、脳裏に妙にクリアな映像を描けてしまうのが、ちょっと興ざめでした。ラヴクラフトのせいではないのですけど。
やはりホラーはどうなってるかよくわからないから怖いのだなと思います。理解のできない物音や気配、存在、空気が、不快な方向にふれているのがホラーなのでは。すべてが明確でなお怖いホラーというのもあるかもしれないけど、雰囲気は楽しめないんじゃないかと思ったり。
しかし、怖い雰囲気を余裕で楽しむ神経は、わたしにはあんまりない。怖くてうつくしいのはいいけど、怖くて汚いのはいやだなあとも思うし。後をひく怖さはたまにはいいけど、とても愛好家にはなれないなあとも思うのでありました。
収録作品の中では「死体安置所にて」のブラックな笑いがけっこう好き。
水曜日に風邪をひき、しかしやりかけたことを中断するのが嫌いな性格のままに散歩を決行し、その結果、悪化させました。木曜日は安静にしてましたが、睡眠中に鼻から喉に落ちてくる粘液のせいで安眠できないのが二晩つづき、鼻づまりもあって意識がもうろう。
という体調で、本日、紹介状を書いてもらった一般外科外来へゴー。なんてタイミングが悪いのだろう。しくしく。
予約なしの外来ということで、予想はしていたものの、待ち時間の長さにぐったり。
午前八時に家を出て、病院に着いたのが十時過ぎで、診察室に呼ばれたのが、十一時半すぎ。
それからX線検査をし、超音波検査をし、ふたたび診察室に入ったのが、午後一時半。
風邪でぼんやりしていたため、本はたいして読めなかったし(持参したのがラヴクラフトだったのも災いした気が)。ずーっと腰掛けてて体はだるい。いつ呼ばれるかと怯えながらのど飴を舐めつづけて空腹をごまかして。ついに呼ばれたときには、何個めかののど飴を口にほうり込んだばかり。なんて失礼な、と思いつつそのまんま診察室に入ったのは私です。
検査の結果は問題なし。お願いして胃薬を処方してもらい、これで高い市販薬ともおさらば。
目的は達しましたが、遠すぎです、この病院。大学病院なのに予約なしなのもどうかと思う。そのうえ、地価の高い立地条件のせいなのかなあと思われますが、ものすごく建物の中が狭苦しくて、入り組んでいて、わかりにくいし閉塞感感じまくりでした。看護士さんも検査技師の方々も先生もとても感じがよかったので、かなり救われましたが。
教訓。不用意に紹介状は書いてもらわない。
それにしても疲れたよー。風邪がさらに悪化しそう…。
須賀しのぶ『砂の覇王 9 流血女神伝』(集英社コバルト文庫.2002.300p.533円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界歴史ファンタジー「流血女神伝」シリーズの十一冊目。『砂の覇王 8 流血女神伝』のつづき。
エティカヤの第二王子バルアンの正妃としての自覚を強くしたカリエは、第一王子シャイハンのいるヨギナにやってきた。シャイハンの理知的で繊細な人柄とヨギナでの善政ぶりを知るにつれ、バルアンのためにと思いつめていたカリエの心に迷いがうまれる。いっぽう、バルアンはトルハーン救出作戦を成功させた後に、各地に伏せた自軍を蜂起させる準備をしていた。そして、みずからは皇帝と認められるための「オルの審判」を受けるため、極寒の高山オラエン・ヤムへと向かう。
うわー、終わったよ『砂の覇王』。ラストまで読んでため息ついてしまいました。これだけのページ数に、いったいどれだけの密度の話がつまっていることか。シャイハンなんて、ほとんどこの巻でしかちゃんと出てこないのに、翻弄されつつも自分の道を見いだそうとした、血の通った存在としてくっきりその姿が焼きつけられています。読む前に登場人物紹介のイラストを見て、「…プリンス?」と思ったことは、この際忘れます。
トルハーン救出作戦こそ、あっけなかったですが、バルアンのオラエン・ヤム登頂にまつわるエピソードなんて、これだけで一冊書けそうなくらい。ひとり待つムイクルの祈りのシーンは、涙出そうでした。
正直、話がこんなところまで進むとは思っていなかった。怒濤の展開なのに、現実の厳しさとあわせてファンタジーらしき神秘のかおりまで漂いはじめ、読みながらうなりつづけておりました。
すっかり消え失せるかに思えたエドまで登場するし。しかも、その登場が最後ですごく効いてるし。
ここまできて「流血女神伝」の半分なんだそうですが。いったいこの物語はどこまでいくのか、つづきがとても楽しみでございます。
巻末おまけ、挿画の船戸明里さんによる『砂の覇王 総集編』に大笑い。
今日は、子育てに煮詰まる妹の息抜きのために、いっしょに映画に行く予定になっていたのですが、ゆうべから摂氏38.5度の熱を出した甥のため、計画はなかったことになりました。哀れ、妹。
めずらしく前売り券を購入していたのと、目当ての映画が今週限りの上映ということで、私はひとりで観に行きました。許せ、妹。
観たのは『ショコラ』。原作をひとつきほど前に読んでます。記憶があたらしいので、ついつい原作とくらべてしまう。マジカルな雰囲気がもっとほしいなーと思いました。チョコレートを作るシーンは、楽しかったですが。私は甘い物が全般的にとても好きとは言えないんですが、チョコレートはちょっと好き。苦いからだろうか。
川の流れ者ルーは、ジョニー・デップのイメージとちょっと違うような…。全体的に原作の辛辣さがうすれて、それぞれの人物にある言い訳がより肯定しやすくなっているような気がした。あとあじはよかったですけど、ちょっと物足りない気も。
映画館でもらった板チョコ一枚は、かわいそうな妹にお土産として進呈。
尾崎亜美『PIA NOIR』[Amazon]を購入。
先日受診したときにもらった抗生物質を、一日三回、飲みつづけているのですが、しだいに困った副作用が明らかになって参りました。だんだん腹がゆるくなってくるのです。
二日目くらいから自覚しましたが、そのゆるまり具合はどんどん度を増してきているので、このところ頻々とトイレに行かなくてはならず、ひじょうに面倒。痛いとか重いとか、そういう症状はないんですけどねえ。
抗生物質は途中でやめたり、減らしたりするとまずいんだろうなと思って我慢して飲んでます。あと一日分だ。
もうひとつ、薬関連。
胃薬がなくなってしまいました。残りが少なくなっていたので、今度の受診時に処方してもらおうと思っていたのに、検査やらなにやらでバタバタしたせいで、つたえるのを忘れてしまったのです。
最近、服用する薬の種類が増えているので、胃薬を飲まないとまずいよなあ。と思って、近くの薬局で「他の薬と一緒に飲む」ことを前提にして選んでもらったのですが、売薬って高い。わずか十二包で千三百円なり。四週間飲みつづけるのは気のすすまない値段です。こんど外科に行ったら出してもらえるかしら。
久美沙織『聖竜師の誓い 上 ドラゴンファーム3』(ハヤカワ文庫JA.2001.441p.740円+税)[Amazon][bk-1]読了。由緒正しいドラゴン牧場の跡取り息子フュンフを主人公に、竜と人間の交流、竜たちの目覚め、家族の和解を描く、異世界ファンタジーシリーズの最終タイトル。プランニングハウス刊『ドラゴンファームのこどもたち』を改題したもの。『竜飼いの紋章 ドラゴンファーム1』のつづきのつづき(おい)。
2を積読状態で保管してあるのですが、この巻を買ってすぐに読みかけたので、ついとばしてそのまま読んでしまいました。しかも、下巻はまだ買ってないという…。いいんです、再読だから。
今回は、すでにディーディーと結婚し一粒種を得て、牧場経営も順調に軌道に乗ったフュンフが、義父アズリアン氏主催の飛竜遠距離耐久レースに参戦する…というおはなし。
デュレント牧場の名誉をかけているはずなのに、おひとよしのフュンフは、いちいちほかのひとの世話を焼いたり、心配したり。レースに発生するさまざまなアクシデントを通しての、個性的な参加者との交流がたのしいです。そして、このレース、意外な方向に繋がっていくんですよね…たしか。これだけ忘れていれば、何度でも楽しめるよなあ、わたし。
上巻で一番好きなのは、滑空して進むコースに入ってすぐ。失敗すると海に落ちるということで、騎手も竜も緊張しきっているときに、フュンフとシッポがする「後押し」が劇的な効果を生むところ。
竜たちがかわいくて、読んでてとても前向きな明るい気分になります。だから私はへこんでいるとこのシリーズを読みたくなるのか…。
寒い。けっきょくほとんど読めなかった本を返却しに、図書館へ。
外へ出たら雨が本格的に降りだしていた。折り畳み傘は持っていたものの、ひらくと荷物になるからなるべく差したくなかったのに。
図書館で本を予約するときに思うのは、新刊見本があればいいのに〜ということ。
毎日ネットで新刊をチェックするまめさは私にはない。書評サイトで興味を持っても、すぐにメモを取ったりしない。そして図書館に着いてから『月刊ベイスターズ』なんかを読んでいると、頭に刻みつけたはずの一時記憶がいっきに脇へと押しやられてしまうのです。『サブリエル』[Amazon][bk-1]すっかり忘れてしまいました。
本屋で現物を見ているとどんどん思い出すし、読みたいものも増えていくのに…。増えすぎるからこれくらいでちょうどいいのかもしれないのですが。
『SFマガジン』でチェックしたもの。既刊、高野史緒『アイオーン』[Amazon][bk-1]。近刊、ジョージ・R・R・マーティン『七王国の玉座 炎と氷の歌1』上巻[bk-1]、下巻[bk-1]。
本屋でなんとなく面白そうと思った絵本、レイン・スミス,ジョン・シェスカ『くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話』[Amazon][bk-1]。
以下、購入したもの。