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2002年10月後半のdiary

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2002.10.16 /『アクアリウムの夜』
2002.10.17 本を買う/
2002.10.18 e-S!/『水晶玉と伝説の剣』
2002.10.20 おとまり/『精霊の歌う夜 サンク・ヴェリテの恋人たち』
2002.10.23 さむーい!/『ミスターX 上』
2002.10.25 CD一枚で本は何冊/
2002.10.26 /『ミスターX 下』
2002.10.28 7200歩の果て/
2002.10.29 「ライトノベルファン度調査」/
2002.10.30 /『宝島 上 グイン・サーガ外伝17』
 2002.10.30(水)

 栗本薫宝島 上 グイン・サーガ外伝17(ハヤカワ文庫JA.2002.302p.540円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界大河ロマンシリーズ「グイン・サーガ」の外伝。

 ヴァラキアのイシュトヴァーンは、義兄弟の契りをかわしたランとともに、自分の船ニギディア号で呪われたクルドの財宝をさがす航海をしていた。大人は信用できないと言い捨てる二十歳になったばかりの頭が率いるのは、彼よりほんのすこし年上が数人いる程度の少年ばかりの船員たちだ。南ライジアの港に寄港したニギディア号。しばしの休息時に情報を求めて上陸したイシュトヴァーンとランは、ここが海賊クルドの最期の地であることを知らされる。

 グイン・サーガ外伝17冊目は、若き日のイシュトヴァーンの物語、上巻。時系列でいうと『マグノリアの海賊』のつづきになるのかな。明るい話なのかと思っていたら、けっこう暗くてやばい話でした。イシュトヴァーンに魅入られて熱に浮かされ、成りゆきまかせに航海に出たのはいいけれど…という感じで、ぜんぜん関連性はないのに、少年十字軍と『俺たちに明日はない』を思い浮かべてしまった。この行き当たりばったりさと薄情さはなにも突然あらわれたものではなくて、イシュトヴァーンという存在にはどうしてもついてまわるものだったんだなあと、しみじみしてしまいました。こういう人物が大望をいだくとまわりは迷惑しますね。

 話のテンポは、外伝のわりにかなり緩やか。セリフがなんだか舞台劇のようで、そう思ったとたんに地の文がト書きに思えてきた。場面切り替えは暗転。こんなに饒舌なト書きは、いくらなんでも存在しないと思いますが。

「ライトノベルファン度調査」 2002.10.29(火)

 昨日の疲れをひきずってて頭が働かないので、「ライトノベルファン度調査」でごまかすことに。やったのは昨日でした。長いですけど、面倒なのでそのまんま載せます。

 既読は300作品中 108作品です(平均は 46.86作品)
 1428 人中 104 位でした。

* レディー・ガンナーの冒険 (茅田砂胡 スニーカー)
* フォーチュン・クエスト (深沢美潮 スニーカー)
* ロードス島戦記 (水野良 スニーカー)
* 星の大地 (冴木忍 スニーカー)
* 風の歌 星の道 (冴木忍 スニーカー)
* 未来放浪ガルディーン (火浦功 スニーカー)
* 異次元騎士カズマ (王領寺静 スニーカー)
* 失踪HOLIDAY (乙一 スニーカー)
* きみにしか聞こえない CALLINGYOU (乙一 スニーカー)
* 月と炎の戦記 (森岡浩之 スニーカー)
* やさしい竜の殺し方 (津守時生 スニーカー)
* オルディコスの三使徒 (菅浩江 スニーカー)
* イリヤの空、UFOの夏 (秋山瑞人 電撃)
* ブギーポップは笑わない (上遠野浩平 電撃)
* キノの旅 (時雨沢恵一 電撃)
* 猫の地球儀 (秋山瑞人 電撃)
* 都市シリーズ (川上稔 電撃)
* コールド・ゲヘナ (三雲岳斗 電撃)
* ブラックロッド (古橋秀之 電撃)
* 陰陽ノ京 (渡瀬草一郎 電撃)
* リングテイル 勝ち戦の君 (円山夢久 電撃)
* ふわふわの泉 (野尻抱介 ファミ通)
* BIOME 深緑の魔女 (伊東京一 ファミ通)
* マリア様がみてる (今野緒雪 コバルト)
* 楽園の魔女たち (樹川さとみ コバルト)
* 破妖の剣 (前田珠子 コバルト)
* なんて素敵にジャパネスク (氷室冴子 コバルト)
* 流血女神伝 帝国の娘 (須賀しのぶ コバルト)
* 炎の蜃気楼シリーズ (桑原水菜 コバルト)
* 龍と魔法使い (榎木洋子 コバルト)
* キル・ゾーン (須賀しのぶ コバルト)
* ちょー美女と野獣 (野梨原花南 コバルト)
* 銀の海 金の大地 (氷室冴子 コバルト)
* ハイスクールオーラバスター (若木未生 コバルト)
* 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 (橘香いくの コバルト)
* 影の王国 (榎木洋子 コバルト)
* グラスハート (若木未生 コバルト)
* 天翔けるバカ (須賀しのぶ コバルト)
* 月の系譜 (金蓮花 コバルト)
* 星へ行く船 (新井素子 コバルト)
* 夢の宮 (今野緒雪 コバルト)
* 銀葉亭茶話 (金蓮花 コバルト)
* ヴィシュバ・ノール変異譚 (水杜明珠 コバルト)
* 東方ウィッチクラフト (竹岡葉月 コバルト)
* ハーツ ひとつだけうそがある (松井千尋 コバルト)
* 丘の家のミッキー(久美沙織 コバルト)
* クララ白書 (氷室冴子 コバルト)
* 魔女の結婚 (谷瑞恵 コバルト)
* 竜の眠る海 (金蓮花 コバルト)
* 四龍島 (真堂樹 コバルト)
* カナリア・ファイル (毛利志生子 スーパーファンタジー)
* 魍魎暗躍譚 (前田珠子 スーパーファンタジー)
* 夜想 (谷瑞恵 スーパーファンタジー)
* シインの毒 (荻野目悠樹 スーパーファンタジー)
* フルメタル・パニック! (賀東招二 富士見ファンタジア)
* 風の大陸 (竹河聖 富士見ファンタジア)
* [卵王子]カイルロッドの苦難 (冴木忍 富士見ファンタジア)
* ねこのめシリーズ (小林めぐみ 富士見ファンタジア)
* はじまりの骨の物語 (五代ゆう 富士見ファンタジア)
* 風の白猿神 (滝川羊 富士見ファンタジア)
* 天高く、雲は流れ (冴木忍 富士見ファンタジア)
* 必殺お捜し人 (小林めぐみ 富士見ファンタジア)
* メルサスの少年 「螺旋の街」の物語 (菅浩江 デュアル)
* 微睡みのセフィロト (沖方丁 デュアル)
* 吸血鬼ハンターD (菊地秀行 ソノラマ)
* 星のパイロット (笹本祐一 ソノラマ)
* ペリペティアの福音 (秋山完 ソノラマ)
* 電脳天使 (彩院忍 ソノラマ)
* リバティ・ランドの鐘 (秋山完 ソノラマ)
* 星虫 (岩本隆雄 ソノラマ)
* 天夢航海 (谷山由紀 ソノラマ)
* コンビネーション (谷山由紀 ソノラマ)
* ラストリーフの伝説 (秋山完 ソノラマ)
* 高天原なリアル (霜越かほる スーパーダッシュ、スーパーファンタジー)
* ヘルズガルド戦史 (霜越かほる スーパーダッシュ)
* デルフィニア戦記 (茅田砂胡 C・NOVELSファンタジア)
* スカーレットウィザード (茅田砂胡 C・NOVELSファンタジア)
* 西の善き魔女 (荻原規子 C・NOVELSファンタジア)
* これは王国のかぎ (荻原規子 C・NOVELSファンタジア)
* 桐原家の人々 (茅田砂胡 C・NOVELSファンタジア)
* 反風水師 (麻城ゆう C・NOVELSファンタジア)
* 風のケアル (三浦真奈美 C・NOVELSファンタジア)
* ウィーン薔薇の騎士物語 (高野史緒 C・NOVELSファンタジア)
* 女王陛下の薔薇 (三浦真奈美 C・NOVELSファンタジア)
* 十二国記 (小野不由美 X文庫ホワイトハート)
* 足のない獅子 (駒崎優 X文庫ホワイトハート)
* 女戦士エフェラ&ジリオラ (ひかわ玲子 X文庫ホワイトハート)
* EDGE 〜エッジ〜 (とみなが貴和 X文庫ホワイトハート)
* 斎姫異聞シリーズ (宮乃崎桜子 X文庫ホワイトハート)
* 法廷士グラウベン (彩穂ひかる X文庫ホワイトハート)
* チェンジリング 赤の誓約 (妹尾ゆふ子 ハルキ文庫)
* アルスラーン戦記 (田中芳樹 角川文庫)
* 悪霊シリーズ (小野不由美 ティーンズハート)
* 星界の紋章 (森岡浩之 ハヤカワ文庫JA)
* グイン・サーガ (栗本薫 ハヤカワ文庫JA)
* 処女少女マンガ家の念力 (大原まり子 ハヤカワ文庫JA)
* 封殺鬼シリーズ (霜島ケイ キャンバス)
* クリセニアン年代記 (ひかわ玲子 キャンバス)
* 六番目の小夜子 (恩田陸 新潮ファンタジーノベルス)
* ドラゴンファームシリーズ (久美沙織 ファンタジーの森)
* 真世の王 (妹尾ゆふ子 EXノベルス)
* ここは魔法少年育成センター (久美沙織 EXノベルス)
* 創竜伝 (田中芳樹 講談社ノベルス)
* 銀河英雄伝説 (田中芳樹 徳間書店)
* アップフェルラント物語 (田中芳樹 徳間書店)
* 幻魔大戦 (平井和正 集英社文庫)
* 月光界秘譚 (麻城ゆう ウィングス文庫&ノヴェルズ)
* 〈骨牌使い〉の鏡 (五代ゆう 富士見書房ファンタジーエッセンシャル)

 ぼんやりしていたので、今確かめてみたら抜けているものがありました(七尾あきら『西遊記』)。途中で読まなくなってしまったのや、一冊しか読んでいないシリーズものがあったり。こういうのにチェック入れるのはちょっと申し訳ないような。でも入れたけど。…けっこう読んでるなあ。

 日本シリーズがものすごーくつまらない。私はアンチGだけれど、それを差しひいてもつまらない。西武ライオンズがシーズン中の横浜ベイスターズに重なってしまう。パシフィック・リーグの覇者としての気概をみせて欲しいです。四連敗だけは、勘弁して。

7200歩の果て 2002.10.28(月)

 通院のため大都会への旅。予約制なのに一時間半も待たされて、ぐったり。さらに血液検査の後、レントゲン撮影を命じられ、のち、MRI検査を薦められる。それだけは勘弁して〜。私はあの検査で閉所恐怖症を自覚したのです。といって泣きついたら、今回はといって無期延期してくれた。が、外科への紹介状をくれた(というか買わされた)ので、今度は外科に行かなければならなくなった。心配していた方の症状ではないらしいので、ちょっと安心しましたが。

 二軒もCD屋の前を通りすぎたのに、カードポイントを増やそうと欲張って店を限定したばかりに、谷山浩子『そっくりハウス』[Amazon]を購入できませんでした。売り切れです。その後の帰り道にはCD屋は存在せず。あんなところに行ったのに、CD一枚手にできないとは。悲しいので、目標としてもう一度ジャケットを掲げてみる。

 栗本薫『宝島 上 グイン・サーガ外伝17』(ハヤカワ文庫JA)[Amazon][bk-1]購入、そして読了。しかし、ものすごく疲れたので感想はのちほど。

 2002.10.26(土)

 ピーター・ストラウブ(近藤麻里子訳)ミスターX 下(創元推理文庫.2002.442p.940円+税 Peter Straub "MR.X",1999)[Amazon][bk-1]読了。モダンホラー。『ミスターX 上』のつづき。

 母親スター・ダンスタンの死期が迫っていることを感じたネッドは、大叔母たちの住む故郷に戻る。いまやかれは成長した大人の目で自分の属するダンスタンの一族を眺め、母親がかれを遠ざけようとしていたのは、父親だけではなく、血族たちからもなのだということを知る。母親は「エドワード・ラインハート」という名前を伝えて世を去った。ネッドは失われた自分であるロバートと邂逅し、父親の素性を探っていくうちに、いくつもの殺人に出会うようになる。

 なにを書けばよいものやらです。解説にあるとおり、この本は先入観なしに読んだ方が断然面白いと思う。
 凄惨な殺人犯で性格異常者であるミスターXとネッドとの関係や、生まれたときに失われたもうひとりのネッド=ロバートの異常な性質、エドガートンという地方都市の裏の歴史に奇妙にからまりあうダンスタン一族の秘密と、都市を牛耳ってきた実力者の美しい人妻との恋愛。さまざまな要素を取り込みながら基本線はホラー。エドガートンという都市に密接に結びついた伝説のような、雰囲気のある話でした。
 始めは異様さと惨劇ばかりが目についていたのですが、そのうちに主人公とともにエドガートンの通りをぐるぐると歩いているような気分になってきた。下敷きになっているらしいラヴクラフトのクトゥルー神話については、読んでいないのでなんともいえないのですが、話しに聞いた「暗くて異常で怖い」雰囲気がこういうものなら、ちょっと読んでみたいと思ってみたり。
 それにしても、危惧したとおり、読み終えた後で「え〜、どこでどうなってたの」となってしまったのが悲しい。

 出てくる人物、ほとんどすべてが悪人ですが、ネッドの大叔母ふたりとその連れ合いには苦笑させられるしかありませんでした。こういう無邪気でしたたかな老人って面白い。身内には欲しくないけど(笑)。

CD一枚で本は何冊 2002.10.25(金)

 読み方はちっとも進んでいないが、とりあえず読んだ本と読めそうもない本を返却すべく、図書館へ。
 『本の雑誌』の「積読の達人」(?だったっけ。どうも忘れっぽくて)の記事に少し共感。私の場合は、「借りた本を読まなくてもいいと思ったときから、自分は自由になった」ですが。それからネット書店員覆面座談会を読んでいるときに、なんだか手がかゆくなり、よく見たら蚊に刺されていた。なにゆえ、こんなところに蚊が…。
 そのまま、パン屋と本屋に寄って帰宅。4200歩くらい。
 ピーター・ストラウブ『ミスターX 下』[Amazon][bk-1]はまだ読書中。

 谷山浩子『そっくりハウス』[Amazon]が発売されたのをコロリと忘れてた。タイトル曲を放送しているNHK『みんなのうた』も未だに目にすることができない。タイムテーブルを調べてから見ればいいのはわかっていても、そこまでする気力はないのであった。でも、このジャケット、すんごくかわいい。月曜日には絶対買うつもり。
 そういえば、11月には尾崎亜美『PIA NOIR』[Amazon]も出るんだった。しかたない、これからは緊縮財政突入ね。

さむーい! 2002.10.23(水)

 午前中、美容院に行ったときとおんなじ格好で出かけた夕方の散歩。買い物でスーパーマーケットのなかをうろついているうちに、妙な気分になってきた。胃の下が重いようなにぶいような。
 行くたびに、ここは寒いよーと思っていたのですが、スーパーのなかって本当に寒い。生鮮食料品の鮮度を保つためにある程度はしようがないのでしょうが、菓子売場にいてもパン売場にいても総菜売場にいても寒いんですってば。このスーパーは規模がとっても小さいから、売場のほとんどは生鮮食料品売場だといえばそれまでですが。
 だから、自衛のためにいままでも少し厚着で行くように心がけていたのに、今日は午前中に出たときに抱いた「そんなに寒くない」という印象をあらためずに出かけてしまった。失敗です。
 なんか悪い予感がしたのでスーパーから逃げだし、外のベンチで休みました。しかし、いまも腹具合がおかしいです。ああいや。散歩で腹をこわすなんて。

 ピーター・ストラウブ(近藤麻里子訳)ミスターX 上(創元推理文庫.2002.470p.960円+税 Peter Straub "MR.X",1999)[Amazon][bk-1]読了。1999年度ブラム・ストーカー賞受賞のモダンホラー。

 放浪癖のある母親をもつネッド・ダンスタンは、少年時代のほとんどを里親のもとで過ごした。母親スター・ダンスタンはクリスマスには訪ねてくるが、誕生日にはけしてやって来ない。
 ネッドの誕生日には、悪夢がやってきた。そこでは黒衣の男が見知らぬ人々を惨殺してゆく。生まれたときに自分の一部が失われたという感覚とともに、それはネッドを他人から隔てた。母親はどうやらその原因を知っており、罪の意識から息子を遠ざけているようだった。大学入学と同時にネッドは説明のつかない精神の変調に襲われる。

 面白いのですが、なかなか読み進められない。文章にいちいちひたってしまう(自分比。もちろん何度も読み返したりはしてない)からでしょうか。物事の輪郭をほのめかしつつ、本質だけを伝えてくるような文章。この文章にやられて、『ゴースト・ストーリー』や「ココ」三部作を読みふけったのです。そしてまた、最後になっても話の全体像がつかめないのではという不安がもたげてきています。どうせ私の頭がわるいからなんだけどさ。いいの。読んでいるときは至福だから。しかし下巻はもう少しスピードアップしたいです。

おとまり 2002.10.20(日)

 昨日の昼過ぎからやってきた姪が、一晩泊まり、そのあいだずーっとふりまわされつづけ。かわいかったり、楽しかったり、おかしかったりするけれど、面倒だったり、うるさかったり、うっとおしかったりもするのだった。いずれにしろ、疲れることに間違いはない。とくにかん高い声であげる鳴き声(泣き声にあらず)。

 橘香いくの精霊の歌う夜 サンク・ヴェリテの恋人たち(集英社コバルト文庫.2002.292p.533円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界ロマンティックコメディー。『翠緑の森の騎士 ブローデル国物語』[Amazon]のつづき。

 若く有能なリアンクール公ラウールと婚約し、サンク・ヴェリテの森の館で生活するようになったシャロンを待っていたのは、ラウールの臣下たちの不満にみちた冷たいまなざしだった。かれらは成り上がり男爵の娘である彼女を、由緒正しいリアンクール公のお相手としてふさわしからぬ人物であると断定した。ことあるごとに嫌味と嫌がらせを受ける毎日。春を祝う精霊祭が近づきシャロンはラウールとのダンスを夢みるが、雲行きは怪しい。隠居したと言いつつ、ラウールはローランスの政治情勢に無関心ではいられないのだった。そんなある日、シャロンは侍女のジュリアのようすがおかしいことに気がつく。

 「有閑探偵コラリーとフェリックス」シリーズの百年前のブローデルを舞台にした、ロマンティックコメディー。大甘です。有能だけど堅物で朴念仁な王子さま(比喩)と、自由奔放、明朗闊達な破天荒娘のロマンスが、身分違いのちいさな恋愛事件とローランスの権力闘争から波及したラウール暗殺計画をからめて描かれてます。気楽に楽しめる少女マンガ風のお話。このカップルの関係は、ちょっと中山星香の『花冠の竜の国』を思い出させます。話の雰囲気も似ているかも。
 前作からずいぶん間があいてしまい、挿画の方の絵柄がずいぶん変化しているし、サブタイトルも変わったりしてますが、中身はぜんぜん変わっていない。むしろ、パワーアップしているような。ものすごく正統的なロマンスコメディーで、その度合いは「コラリーとフェリックス」以上かもしれない。シャロンがラウールにするお説教なんか、既視感だらけ。それが楽しいんだけど。

 ところで、わたしはこういう話がとても好きなのですが、ここまでひねりが少なくストレートだと、読んだあとに少なからず後ろめたさというか、罪悪感のようなものも感じてしまいます。こういう話の肝っていうのは、「男が権力を持っている社会」を前提にして成り立っている気がするので。現実がそうであることはさておき、それが安心して物語を楽しむ大枠だというのが、なんか居心地悪いんですよね。すごく楽しいのに、素直に余韻にひたれない。そんな自分が面倒。

e-S! 2002.10.18(金)

 忙しさにまぎれてながらく更新が停止していた霜月書房。ひといきついたし、本もすこしは読み出したから新しい本も入れられそうだし、と思って、しばらくぶりに店長メニューにアクセスしたのですが。ログインはできるのに中の機能を使用しようとすると「セキュリティーエラーです。暗号エラーです。」となってしまって先へ進めない。しかし、時には進めることもある。でもエラー表示は出っぱなし。
 そういえば、八月にもこういう現象がつづくので、嫌になって棚の入れ替えをサボるようになったのだった。
 いまだに改善されないところを見ると、これは私だけの現象なのかもしれない。とは思ったものの、いちおう、e-S!のメールフォームから問い合わせを出してみました。

 ヴィクトリア・ハンリー(多賀京子訳)水晶玉と伝説の剣(徳間書店.2002.416p.2000円+税 Victoria Hanley "THE SEER AND THE SORD",2000)[Amazon][bk-1]読了。異世界ロマンティックファンタジー。

 アーチェルド国の国王カリードは武力を持って近隣に戦をしかけ、領土を広げることをくり返していた。伝説の剣に守られていた平和を尊ぶベランドラ国も、カリードの軍隊の前に滅び去った。父親の凱旋帰国を迎えるために飛び出していったカリードの一人娘トリーナは、土産として水晶の玉とベランドラの王子ランドンを与えられる。トリーナによって自由民となったランドンは、アーチェルドで戦士となる訓練を受けることになった。いっぽう、トリーナは水晶の玉の中に見える映像が、のちに本当のこととなることに気がつく。トリーナの予見で窮地を救われたランドンは、トリーナは予言者なのだと教えた。

 波瀾万丈のストーリーに彩られたロマンティックな物語。亡国の王子との淡い恋を自覚する前に裏切り者の策略にからめ取られてしまうヒロイン。自国を滅ぼした敵国の姫にくるしい恋をし、運命に翻弄されてどんどんヒロインからひきはなされてしまう、一途なヒーロー。児童書ですが、はっきりと少女向け。もうすこしキャラクターに色をつけて、ロマンス要素に華やぎを持たせたらコバルトあたりで出しても違和感ないんじゃないか。きっとこの分量では収まらないと思うけど。

 いつわりの殺人にいつわりの婚儀にいつわりの葬儀。ストーリーはめくるめくようにドラマティック。トリーナの水晶玉や、ベランドラの伝説の剣などの小道具がいろどりを添えています。このお話は、ヒロインの成長とロマンスというドラマの方に重点が置かれていて、魔法の呪器のあつかいはほんとうにタダの小道具。そういうところは、ちょっと物足りないのですが、これだけ楽しめれば文句はいいません。
 個人的には「王の中の王」グランヴェルレのダーミス王とその側近たちがお気に入り。

本を買う 2002.10.17(木)

 めずらしく二週間以内に図書館に行った。予約本が二冊しか来ていなかったので書架の間をふらふら歩いていたら、「借りてみてもいいかなリスト」の本が次から次へと発見されて、悩む。悩んだ末に、「借りるのはタダだ」とすべて借りた。ここに本日の私の精神状態が如実にあらわれていたことが、後で判明。

 繁華街に出て目当てのダイアナ・ウィン・ジョーンズの本を購入。そのとき、先日発売されたことを忘れていた本を思い出して、つい一緒に購入。ついで、妹に頼まれていたマンガを買いに別の店へいったとき、つい目についたべつのマンガも購入。

 つまり今日の私は理性が働かない状態だったらしいです。読書欲に関して。どんどん重くなっていく荷物に悲鳴をあげつつ、いっときの満足感にひたってしまいました。節約モードってあっけなく崩れてしまうものなのね。
 購入した本は以下の通り。

 2002.10.16(水)

 今日も散歩をしました。しかし最寄りの商店街まで行って帰って、たったの2410歩。上限8000歩なんだから、毎日つづけるのにはこれくらいでいいのだと思いつつ、それでいいのかという疑問も。歩幅はかなり広げているから、脚はけっこう疲れるんですが。

 稲生平太郎アクアリウムの夜(角川スニーカー文庫.2002.286p.600円+税)[Amazon][bk-1]読了。青春ホラー小説。

 高校二年になったばかりの土曜の昼下がり、友人の高橋が差しだしたチラシにはこう書いてあった。「驚異の科学魔術 カメラ・オブスキュラ」。ふたりで出かけた城址公園の野外劇場には、黒いテントが張られていたが、人の姿はほとんど見られない。異様に大きな耳をした案内人の説明ではじめられたカメラ・オブスキュラで映し出されるのは、ごく見覚えのある公園のようすだった。だが、やはりなじみの水族館があらわれたとき、ぼくたちは声を失った。そこには、あるはずのない地下への階段がたしかに存在していたのだ。それから、ぼくたちの悪夢は始まった。

 ううう、気持ち悪かった。土曜日の午後。公園での奇妙な見せ物。怪人。コックリさん。新興宗教。電波。夜の水族館。ブラッドベリと京極堂と『リング』が混ざったみたい。雰囲気のある小説です。
 登場人物たちがどんどん悪い状況に押し流されていくのを、いやいやながらも怖いもの見たさに読みつづけているような…ホラー小説としてはとってもまっとうな読み方をしてしまいました。夜中に読まなくてよかった。そして、高校生の時に読まなくてよかった(不可能ですが)。きっとしばらく後をひいたと思います。解説は篠田真由美。


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