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2002年7月後半のdiary

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2002.7.19 つかの間の幸せ/
2002.7.21 ペインティング・ハイ?/『サトクリフ・オリジナル6 剣の歌』
2002.7.23 凪の不快感/『微睡みのセフィロト』
2002.7.25 /『魔女の結婚 月蝕に時は満ちて』
2002.7.26 図書館に行く/
2002.7.27 『横浜ベイスターズ選手別応援歌2002』を聴く(笑)/
2002.7.29 CDプレイヤー故障/『カエサルを撃て』
2002.7.31 室温摂氏三十度/『猫は郵便配達をする』
室温摂氏三十度 2002.7.31(水)

 七月最後の日。夏はこれからが盛りです(涙)。
 最近、蝉は真っ昼間より夕方からの方がうるさいです。そして、朝の目覚めはカラスの鳴き声で。一日中暑さと暑苦しさから逃れられません。

 リリアン・J・ブラウン(羽田詩津子訳)猫は郵便配達をする(ハヤカワミステリ文庫.2002.304p.620円+税 Lilian Jackson Braun "THE CAT WHO PLAYED POST OFFICE",1987)[Amazon][bk-1]読了。新聞記者が飼い猫にインスピレーションを得て事件を解決する「シャム猫ココ」シリーズ邦訳二十作目。『猫はブラームスを演奏する』のつづき。

 クリンゲンショーエン家の莫大な財産の遺産相続人となったジム・クィラランは、遺言に従ってピカックスに移り住むことになった。煩雑な手続きに知らない土地でのあらたな人間関係。クィラランの新生活は、それでも順調に滑り出したかのようだった。ところが、山のような郵便物の中からココがクィラランを導くのは、過去に屋敷で働いていたデイジー・マルという娘の行方不明事件。クィラランが好奇心に突き動かされて行動するうちに、あちらこちらで不審な事故が起こるようになる。

 暑さにぼんやりしながら読みました。
 南(シカゴ)の地獄の暑さに比べて、快適なピカックスの気候。という記述があるたびに、羨ましくて仕方ないんですけど。
 ストーリーは大したことないんだけど、コブ夫人のつくる料理の描写や、クィラランがたべる料理屋の食事なんかが、まったくどんなものだか想像できないのになぜか食欲をそそるのです。それから、ディナーパーティーでの二匹のシャム猫のしぐさがおかしかった。

CDプレイヤー故障 2002.7.29(月)

 『応援歌2002』を聴いてる途中で、CDプレイヤーがCDを認識しなくなりました。
 ついさっきまで「中根仁のテーマ」を演ってたのに、いきなり「no disc」ってなんなのよ。
 何年前に購入したかも覚えていないくらい過去から部屋にある電化製品ですが、使えないと非常に寂しいです。困るとか不便とかいうわけではなく、さびしい。毎日ガンガン音楽鳴らしていたわけでもないのに、音楽を流せないとこんなに生活に穴があくものなのね。
 故障の原因を求めて、SONYのページなどをふらふらしてみましたが、まったくわからない。こんなに古い機種のことなんか、どこにも載ってないです。あー、どうしよう。修理に出しても購入価格よりも高い費用がかかりそう(安物だったし)。買い換えか?

 佐藤賢一カエサルを撃て(中央公論新社.1999.398p.1900円+税)(新書版[Amazon][bk-1])読了。ガリアの諸部族をまとめて蜂起した若き王ヴェルチンジェトリクスと、ローマのガリア提督ユリウス・カエサルの戦いを描く、歴史小説。

 紀元前六三年冬。アルヴェルニア族の首長であり全ガリアの英雄ケルティルが、暗殺された。首謀者は実弟のゴバンチニオス。父親が火刑とされるのを呆然として見守るひとり息子のヴェルチンはまだ少年だった。父上の無念を、心に刻み込むのです。心細さに救いを求めた母親から放たれた厳しい言葉。ヴェルチンはすべてに裏切られた気分で怒りをつのらせた。正しいのは光の神ルーゴスだけだ。それならば正しい自分はルーゴスになれるはずなのだ。

 プロローグだけであらすじをまとめてみたのですが、わからん…。
 少年ヴェルチンが現実の裏切りにあって、父親と、あたたかな母親とを失って、理不尽さに怒るのはわかるんですが、どうしてそこから光の神ルーゴスに飛躍するんだろう。この思考過程が理解できない。
 釈然としないままに読みつづけ、そうするうちにこのことはすっかり忘れていたんですが、また始めに戻ってみると、やっぱりわからないという。自分の頭の悪さにため息。

 サトクリフとおなじようにローマ軍団と原住民の対立を描きながら、饒舌かつあけひろげな文章で描かれるこの本は非常にざっくばらんというか庶民的というか。読みやすいけれど、格調はあんまり高くないです。カエサルの描写なんて、こんなところまで書いてくれなくてもいいですと言いたくなるほどに現実的。
 そしてガリア王となったヴェルチンの方の描写も、暴力でしか自分を肯定できない孤独で不幸な若者として、やはり現代小説の登場人物だなあという描かれかたがされています。いっそ、かれは理解しがたい暴力の神のように描いてくれた方が、私の読後感はすっきりしたかもしれません。
 ハエドゥイ族から迎えた花嫁、エポナとの最後の別れのシーンは印象的だった。少女はすぐに大人になってしまうのね。

 ぐいぐいと引きずられるような力強い物語でした。非常にひきこまれましたが、ちょっとあちこちひっかかるところもある、そういう本でした。そうだ。『ガリア戦記』を読んでいたら、もっと楽しめたかも。持ってるけど、挫折してます(笑)。

『横浜ベイスターズ選手別応援歌2002』を聴く(笑) 2002.7.27(土)

 本日は本のこととはまったく関係ない話を延々としております。一昨日の日記に感想一冊分を書き足しましたんで、興味のない方はそちらへどうぞ。

 ダ・カーポの「ベイスターズを観にいこうよ」目当てで購入した一枚。
 1999年版を最後に遠ざかっていたので、中身もだいぶん変化しておりました。「選手別応援歌」というのは、文字通り、選手一人一人の応援歌(選手が打席に入るとスタンドで応援団が鳴らす、あれです)が収録されているわけで、所属選手が入れ替わるとどんどん収録曲も変わっていくものなんですね。

 CDを聞かないでいるうちにだいぶ耳慣れない曲が増えてきましたが、それでも中継を観ているうちにメロディーのおおよそは覚えるものです。しかし、応援団のトランペットで流れるそれと、スタジオ録音のそれとでは、印象が激しく違うので、笑い転げることしばしば。いやー、笑うことはなかろうとは思うけど。失礼ながらあんまりぱっとしないメロディーと思ってた曲が、ハードロック風アレンジで出現するとちょっと格好良く聞こえたりするのでつくづくパッケージは重要だと(笑)。
 作曲者や編曲者が年代によって違うので、以前のは昔のアニメヒーローのテーマ(すべてメジャー進行)みたいなのが多く、途中はちょっとマイナー進行がプラスされたヒーロー風。最近はそのハードロック風でつくられていて、そのあたりのギャップもなんだか可笑しい。メロディーラインが際だっていてスタジアムでのペット演奏ではえるのは、メジャーなヒーローだったりするんですが。
 個人的にいままで聞いてきた中で一番いい出来と思ってるのは、現在は中日に移籍した波留選手のテーマなんですが…。進藤選手(現オリックス)のや、ブラッグス選手のも好きだったなあ。メロディーが上昇して終わるのって、爽快感があるんですよね。もう聞けないのが寂しい。

 最近出てきた選手なのになぜか曲を知ってるのがあったりして、「おや?」と感じるのは、ドラフト上位指名で入団してしばらく芽が出なかった選手のだったりする。ドラ1、ドラ2は無条件でテーマをつくっていた時代があったのです。つくっただけでいなくなってしまった選手がいたりするのが、プロの厳しさか。
 今年のCDが6月発売になったのは、オーナーが変わったのと、選手が入れ替わり立ち替わりして一軍に固定されなかったから、どのテーマを収録するかで混乱したからではないかと、私は勝手に思ってます。

 ダ・カーポの曲は勝ち負けなんかに関係なく、ベイスターズを見に行くのがたのしいという、心温まる曲でした。その他、湘南シーレックス(横浜の二軍)公式ソングと公式テーマ(アドバイザーに山下洋輔氏)、横浜ベイスターズ球団歌と公式テーマ、応援歌「勝利の輝き」が収録された一枚。COCOの歌う「WINNING」が外されてるのがちょっと哀しい。来季を見据えての長大なオープン戦をたのしみながら聴くのに最適かと(苦笑)。

図書館に行く 2002.7.26(金)

 ああ、あつい。
 寝坊して、遅く家を出て、だらだらと回っていたら、いちばん暑い時間に外歩きをしなくてはならない事態に。
 うちの周辺はどうしてこう、影のない道ばかりがつづくんだ。アスファルトの照り返しが憎い。

 以下を購入。『砂の覇王』の表紙とあとがきが意味深です(笑)。

 2002.7.25(木)

 谷瑞恵魔女の結婚 月蝕に時は満ちて(集英社コバルト文庫.2002.276p.514円+税)[Amazon][bk-1]読了。中世によみがえったケルトの巫女の結婚願望ファンタジー。シリーズ五作目。『魔女の結婚 さまよえる水は竜の砦』のつづき。

 ケルトの巫女エレインを守るためにその身に聖槍を受けたステファン。折れた聖槍が体の中に残ってしまい、その後目を覚まさずにいる彼を救うため、魔術師マティアスとエレインは大賢者の助言を仰ごうと、万年雪を仰ぐ宿場町へとやってきた。治安の悪い町で宿から勝手に出歩くなと命じられたエレインだったが、ひとりで出かけてゆくマティアスが気になって後を追いかけてしまう。夜の町で彼女はふしぎな占い師と出会う。月の触が近づいている。世界がゆがみ、あやかしがふえる。ここはゆがみによって異界と繋がるところ。占い師はエレインに、彼女の将来にかかわる男はふたり。どちらを選ぶかが理想の幸福を得られるかの分かれ目になるだろうと告げて、消えた。

 かわいそうなステファン。
 マティアスのとーさんオズワルド、極悪ですてき。
 大賢者さま、一途。
 ああ、あつくて頭がはたらかん。あらすじも、もすこし短くしたいのに、どうにもまとまらないのよ。
 エレインとマティアスの距離は、一進一退をくり返しつつ、着実に縮まっているようです。すっと斜めからかわすようなラブシーンのさりげなさが好きです。
 月蝕でゆがんだ時空があちこちで繋がったりほころびたりしているところの描写がおもしろかった。あいかわらず、必要以上の説明はないんだけど、とても雰囲気があるんですよね。ところどころ、作者の都合でゆがんでいるのではと思ったりもしましたが。
 アートの持ってる竪琴の元の持ち主が気になる。
 メイシーちゃん、反射的にねずみを思い浮かべるので(そしてテーマソングがぐるぐるするので)他の名前にして欲しかったような。

凪の不快感 2002.7.23(火)

 風向きが変わる、あいだの凪のときがたまらなくつらいです。
 行き場をうしなった熱気が、重たくからだにまとわりついて、にじみ出す汗が蒸発せずに皮膚をじんわりとおしつつむ。その感覚が、いとわしい。
 窓が開けられないと思うくらいの強風でも、吹いててくれたほうがずっとまし。なぜって、どんなに強くても開けるから(笑)。

 冲方丁微睡みのセフィロト(徳間デュアル文庫.2002.188p.505円+税)[Amazon][bk-1]読了。「SFハードボイルド中編」。

 A.J.(アフター・ジャッジメント)〇〇一七年。スイス山間のホテルの一室で、世界政府準備委員会高官のひとりで経済数学者であるG・ベシエールが、三百数億個の立方体に“根断(シュレッディング)”されて発見された。第四次元感応者のしわざである。世界保安機構の捜査官パット・ラシャヴォフスキーは、感応者の教育機関であるヴァティシニアンから派遣された少女感応者ラファエル・リー・ダナーとともに事件の捜査に当たることになる。第三次元感覚者(サード)と第四次元感応者(フォース)のあいだにある憎悪が事件の背景にあることは明白だった。

 デュアル文庫ノヴェラシリーズの一冊。
 大長編(『ばいばい、アース 上』『ばいばい、アース 下』)の作者とも思えないほどに、コンパクトにまとめられたストーリーを楽しみました。無駄な説明も無駄な展開も無駄な描写も一切なし。それでいて必要充分以上のケレンがたっぷり。
 第四次元感応者の設定もおもしろいのですが、その能力の発現がとても視覚的。三百数億個の立方体になった犠牲者なんて、いかにもハリウッド映画にできそうです。
 大男の有能な捜査官と、凛とした少女感応者(とジャーマンシェパード)の組み合わせも、いかにもなんですが、お約束だけとは感じさせません。
 中編なので、ちょっとつっこみ足りないところもありますが、映画一本分くらいの気楽な読書にはいいのではないでしょうか。

 先日読んだ吉川良太郎もノヴェラでしたが、このふたりはおなじようにスタイリッシュに未来を書きながら、味わいがまったく違いますね。あちらはまさにノワール。システムの裏や隅やこぼれたところの闇の猥雑さを感じますが、こちらはもっとまっとうというか健康的というか。ハードボイルドといわれると、なんか違うかなと思いますが。私はハードボイルドには体制外のイメージを持ってるので。

ペインティング・ハイ? 2002.7.21(日)

 一週間近く休んでしまった。このあいだ、たくさん本は読んだのよ、と言ってみたかったのですが、駄目です。暑さに負けて、ほとんどなにも読めませんでした。
 逃避にお絵かきをくり返してましたが、人さし指がバネ指になってもやめられないというのは、ちょっと異常かも。単調な作業に陶酔しちゃって、えんえんと色を塗りつづけたりしても苦痛じゃない。気がつくと不毛な時間を過ごしているなと。できあがったものを見て、ため息をつくことが多いです。暑くなると、人間レベルが一気にダウンしてしまいます。

 ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳)サトクリフ・オリジナル6 剣の歌(原書房.2002.394p.2000円+税 Rosemary Sutcliff "SWORD SONG",1997)[Amazon][bk-1]読了。九世紀のイングランド北方を舞台にしたヴァイキングの少年の成長物語。

 九世紀。十六歳のビャルニ・シグルドソンは、ノルウェーから兄を頼ってラーヴングラスの入植地にやってきたばかりだった。かれは自分の犬を蹴飛ばしたキリスト教宣教師の老人をいきおいで殺してしまった。白い救世主を崇拝する乳兄弟のために、弟の仲間をそこなわないという誓いをたてていた族長は、ビャルニに五年間の追放を言い渡す。

 美髪王ハーラルの王権拡張政策(?)で、ノルウェーからたくさんの豪族たちが北海の島々に進出していた時期の話。
 イングランドやアイルランド、スコットランド、ウェールズの沿岸地域に住んでいた人たちにとって、ヴァイキングは悪夢のようなものだったとおもわれますが、ヴァイキングたちにもそれぞれの事情と生活がかかっていたのですね。
 五年の追放刑を言い渡されたビャルニは、族長からもらった剣をヴァイキングの族長に捧げることによって生きてゆくことになります。強烈な個性を持つ族長たちに、それに負けない存在感を放つ女性たち。少年の体験する五年間は、かなり波乱に富んだ年月なのですが、装飾のない骨太な描写でうかびあがるのは、浮ついたところのない質実剛健な物語。
 ちょうどアイスランド移民も始まったころの時代を舞台にしているので、「左利きのビャルニのサガ」とでもいうような趣があります。ところどころ、あずみ椋『緋色(あか)い剣』[bk-1]を思い出しながら読んでました。

 1992年にサトクリフが亡くなった後、残されたほぼ完全な形の草稿をもとに、友人たちの手によって1997年に出版されたものだそうです。
 原書房の「サトクリフ・オリジナル」シリーズの中では、もっともサトクリフらしさにあふれた話。シリーズ共通しての訳語への神経のゆきとどかなさにはうっとおしさを感じましたが、物語世界の豊かさにだいぶ救われました。

つかの間の幸せ 2002.7.19(金)

 衣料品の買い出しに、午後から母と妹(+ふたりの荷物)と共にでかけた。
 午前中、あまりの蒸し暑さに全員へたばっていたのですが、スーパーに入ったとたんに生き返りました。それまで、いかに暑さに打ちのめされていたのかがよくわかりましたが、同時に、冷房の効いた室内で毎日過ごしている人には、地球温暖化はまったく身に差し迫らない、遠くの出来事なんだ、ということもよくわかった。
 そして、このまま冷房の使えない生活を続けていくと、早死にするかもしれないとも思った。暑さのストレスは相当なものです。昔は真夏日なんて滅多になかったのになあ>いつの話だ(^_^;)。

 買い物中はいつになく元気で、関節も予期していたほど痛まず、しあわせだったのですが、帰宅後は最低に体調悪かったです。やっぱり冷房は駄目だ(涙)。


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