Reading Diarydiary最新)・books
last update 2002.1.16

2002年1月前半のdiary

最新の日記インデックス
2001年 1月前・ 2月 3月 4月 5月 6月
7月 8月 9月 10月 11月 12月 >>
2002.1.1 2001年に読んだ本/『死神見習い修行中!』
2002.1.2 『イングリッシュ・ペイシェント』/『上と外 6 みんなの国』
2002.1.3 /『学寮祭の夜』
2002.1.4 差出人不明
2002.1.6 水漏れ
2002.1.7 水漏れ その2/『パンツァーポリス1935』
2002.1.8 強風注意報
2002.1.9 その本を買う理由
2002.1.11 掲示板、再設置
2002.1.12 /『赫い沙原 キターブ・アルサール』
2002.1.13 /『永久帰還装置』
2002.1.14 脳みそ溶けそう
2002.1.15 /『運命の剣 上』『運命の剣 下』
 2002.1.15(火)

 マーセデス・ラッキー(山口緑訳)運命の剣 上(創元推理文庫.2001.398p.880円+税 Mercedes Lackey "BY THE SWORD",1991)[Amazon][bk-1]、
マーセデス・ラッキー(山口緑訳)運命の剣 下(創元推理文庫.2001.414p.880円+税 Mercedes Lackey "BY THE SWORD",1991)[Amazon][bk-1]読了。「タルマ&ケスリー」シリーズとおなじ世界を舞台にした異世界ファンタジー。

 十四歳の少女ケロウィンは、母亡き後の館を切り盛りする主婦の役割を押しつけられていた。兄の結婚披露宴の日もケロウィンは台所で奮戦していた――ほんとうは、大広間で姫君として客の接待をしているべきなのに。しかし、締まり屋の父親が家政婦をおこうとしないので、きちんと整った宴をもよおすためにはケロウィンが使用人の指揮を執らねばならないのだ。
 和やかなはずの大広間から悲鳴が上がり、宴は侵入者によって乱暴に中断された。料理長や執事たちと台所で必死に戦いぬいた後、静かになった館でケロウィンが目の当たりにしたのは虐殺のあとだった。父親は招待客の多くとともに事切れ、兄は重傷を負っていた。そして、兄嫁になるはずだったディエルナは、賊たちに連れ去られていた。
 ディエルナを取り戻さなくてはならない。そうしなければケロウィンの家は破滅するだろう。だが、だれが? ケロウィンは身支度を整えて出発した。彼女がするしかないのだ。

 女魔法使いケスリーとシン=エイ=インの女戦士タルマのシリーズから約百年後の世界が舞台。
 ヒロインはケスリーの孫娘ケロウィン。ケロウィンが自分の人生を自分で決定する自由を求めて傭兵になり、さまざまな困難を乗り越えていく物語です。傭兵ケロウィンの半生記って感じでしょうか。
 彼女を取り巻く世界や人々の関係がとてもリアルに描写されていて、手触りや温度まで伝わってくるようなのはあいかわらず。読んでいてとても楽しかった。一気読みです。
 ただ、主役が剣士のせいか、「タルマ&ケスリー」よりも幻想色がうすれ、ちょっと読むと西洋歴史小説みたいですね。ワールやケスリーの所有する魔剣〈もとめ〉も登場するのですが、それは彩り程度という感触。とくに〈もとめ〉は、便利な小道具に成り下がった感じで、かなり物足りなかった。いっそ、出さなくてもよかったのではと思うくらい。
 それから、ケロウィンが恋と信条の狭間で悩み苦しんでいくところはこの話のポイントだと思うのですが、それを乗り越えたてきびしい現実でも受け入れて、前向きに生きていく…というふうに終わるのだと思っていたのに、なんかあまりにもまるく収めすぎのようなラストは不満です。
 現実をきびしく描いていたからこそ、ケロウィンの自立に説得力があったのになあ。全体的にはとても好きな本だけに、ちょっと残念でした。

脳みそ溶けそう 2002.1.14(月)

 母から風邪をもらった。
 喉の痛み、鼻水、鼻づまりでかなり不快な状態。酸欠で頭がぼーっとしています。
 マーセデス・ラッキー『運命の剣 上』[Amazon][bk-1]、読了しましたが、感想を書ける気分ではないのでまたあとで。

 2002.1.13(日)

 神林長平永久帰還装置(朝日ソノラマ.2001.462p.1800円+税)[Amazon][bk-1]読了。SF長編。

 ボルターとは、世界を勝手に作り替える能力を持った犯罪者。永久追跡刑事である「わたし」は、ボルター、フヒト・ミュグラを追ってある世界へと入り込んだ。だが、フヒト・ミュグラに介入された世界で、「わたし」は目覚める前にその世界の住人に拘束されてしまった。圧倒的に不利な状況を打開するために、「わたし」がとった手段とは…。

 高次の存在が世界に入り込み、勝手に改変する。住人はそのことをまったく認識できない。
 いかにも神林長平という感じの設定。本の途中までは永久追跡刑事である小鴨蓮角と、かれによって過去を改変された戦略情報局の女性ケイ・ミンとの、現実認識のすりあわせについやされています。この部分がとてもおもしろい。絶対に実証できない「事実」をどのようにして説明するのか。説明できない事柄を列挙するしかないんですよね。で、蓮角はケイ・ミンの過去認識のゆらぎを利用する。
 ケイ・ミンが半信半疑ながら蓮角のいう「事実」を認識していくうちに、マグザットという万能コンピュータの介入で派手なアクションに突入して行くんですが、この辺は「敵は海賊」シリーズにつうじるものがあります。
 個人的に驚いたのは、動的なストーリーになってからしばらくして、「映画なら、こういう展開になると主役の二人の関係はああなるけど、これまでの雰囲気からするとそれはないだろうな」とおもったすぐあとに、まさにそういうふうに関係が変化してしまったこと。それからのストーリーへ導くためには、どうしても必要な変化ではあるのですが、あんまり唐突だったのでびっくりしました。びっくりをひきずったままラストまで行ってしまったので、すみません、すっきりと納得できなかったです。おもしろかったんですけど。
 ケイ・ミンの所属する火星の戦略情報局の存在がとても格好よかったので、もっとこちらの人たちが出てきてくれたらなと思ったのと、「小鴨蓮角」や「美倉不比等」なんて名前はどこから出てくるのだろうと思ったのが、蛇足の感想。

 2002.1.12(土)

 朝香祥赫い沙原 キターブ・アルサール(角川ビーンズ文庫.2001.224p.438円+税)[Amazon][bk-1]読了。アラブ風異世界を舞台にした少年の成長物語?

 サハラー・アフマル――赤い沙原とよばれる砂漠のふちにあるオアシス国家エラーン。ディラムの領主トゥバーンの侵攻を受け、首府エルを包囲されたエラーン領主バドリー・イスマ・ジャウザーは、息子に告げた。今すぐ城を抜け、風の民アル・シャマル族の元へ行き、エラーンを救うために誓約の実行を求めると族長へ伝えろと。領主の四男アルセス・サディマール・ジャウザーは、アル・シャマル族出身の乳兄弟で従者のセレムとともに決死の覚悟でサハラー・アフマルへと踏み込んだ。エラーンを救うための援軍を要請をするために…

 この本を購入したいきさつは、2002.1.9に記してありますが、期待どおりのようで期待どおりでない、この微妙な読後感…。
 「キターブ・アルサール」という副題に感じとったのは、「この本にはアラブっぽいアイテムがたくさん出てくるに違いない」ということだった(ちなみにキターブというのはアラビア語で「本」の意味。)ので、まあ、これは当たっていたといえる。アル・シャマル族の風俗などアラブ遊牧民そのものという感じだし、主役の服装も、知る限りアラブの民族衣装に思えます。
 交易で栄えるオアシス国家エラーンの置かれている立場というのは、大ざっぱにいうと中国とヨーロッパに挟まれている中東の小国というかんじかな。
 とにかく、どこをとってもベースにそこら辺のイメージがあることは間違いないのですが、描かれている事物はそこから微妙に離れた異世界であるらしい。もっとも顕著なのは神さまの呼び方がちがうこと。さらにほかのこともすこしずつずらされていて、それは多分「異世界ファンタジー」に馴染むような方向に、なんだと思う。アラブからうける強烈な違和感の元をファンタジー風にアレンジしたといったほうがいいのかな。私は読んでいてなるほどと思いましたが、ときどき、ずらし方にぎこちないところがあって、この世界全体の法則性に疑問を感じるところがありました。たとえば、唯一絶対神を崇める世界で「死神」という概念があるものかどうか、とか。世界の説明はストーリーの流れに従って、というふうなので、全体が見えているわけではないので、確かなことはいえないのですが。
 こんなところにひっかかる読者は、多分私だけなんだろうなあと思いつつ、いちいち記憶と照らし合わせている自分が哀れ(^_^;)

 物語そのものは、祖国を奪われた王子が従者とともに落ちのび、砂漠の部族に庇護されながら修行をする、というパターンなんですが、主役がかなりおバカな他はキャラクターがけっこう生き生きしていて、おもしろかった。アルセスの教育係、隻腕のカウスなんかかなり魅力的です。(従者のセレムにあまりにアクがないのが不満でしたが。金髪碧眼の王子に仕える遊牧民出身のセレムといえば、成田美名子『エイリアン通り(ストリート)』を思い出さずにはいられません)
 文章に違和感を感じるところがあったのをのぞけば、まあまあ楽しめましたが、こんなに伏線だらけのいかにも「人気があったらつづきもの」というつくりは、どうにかならないものでしょうか。

掲示板、再設置 2002.1.11(金)

 プログラミングもなんにもわからないくせに、CGIを設置するのが好きだったりします。
 トクトクにサイトをつくったのが、そもそも、自分好みの掲示板を設置したいからという理由でした。しかし、トクトクでCGIを設置するためにはけっこういろいろと苦労をする必要があります。
 もちろん、自分でCGIをつくったりはできないので使用権フリーのものをお借りしてくるのですが、たいていのフリーCGIで説明されているパーミッションのとおりに設置すると、トクトクサーバーでは動きません。セキュリティーを強くしてあるためらしいのですが、ただですら「パーミッションて何?」状態の初心者では、かなり大変なことになりそうです。ここいらへんはトクトクのFAQをきちんと調べて、お勉強した上でするしかないでしょう。

 さらに、設置がうまくいってCGIがちゃんと動いても、まだ問題があります。当サイトの掲示板に一度でも書き込みなさった方にはおわかりと思いますけれど、トクトクサーバーでは普通に設置するとクッキーが効きません。設置当初には効いていた記憶があるのですが、いつのまにやらこうなっていました。しかし、素人の哀しさ、疑問には思ってもなぜそうなるのか、どうしたらよいのかというところにまでは踏み込めません。
 自分ですらほとんど書き込まない掲示板なので、ま、いーかとそのままずーっとほったらかしてきましたが、サイト開設当初に比べてトクトクもけっこう存在感がでてきたとみえ、あちらこちらのフリーCGIの設置説明に「トクトクの場合」という言葉がちらほら見受けられるようになって参りました。
 そんなサイトをいろいろと見ているうちに、「トクトクでクッキーを取得する方法」(@トクトク・サポマネ)なるページを発見しました。そして「CGI別クッキー取得方法」なる項目も。そこにうちの掲示板でも使用させていただいている「YY-BOARD」(@KENT WEB)の名前を見つけたとき、心は決まっておりました。よし、掲示板を設置し直そう。

 クッキーを取得するための改造だけ施してアップすることもできたのですが、せっかくやるのだからもうすこしバージョンアップしようと思いました。まず、CGIの配布元でCGIの最新バージョンをダウンロードし、前述のページを見ながらクッキーを取得できるようにしました。そこで一度アップロードして、パーミッションを設定し、投稿テスト。クッキーが効いていることを確かめ、感涙しました。
 さらに、アイコン設置を簡単にするための「YY-BOARD用アイコンリストエディタ」(@できるCGI)なるCGIも一緒に設置。
 以前から目をつけていた掲示板用のアイコンを素材配布サイトからダウンロード。解凍して、アイコンリストエディタCGIをブラウザから呼び出して、アイコンをアップロード(おお、なんて楽ちん!)。もう一度投稿テストを試み、きちんと動くことを確認。これで当サイトの掲示板は生まれ変わりました(大げさ)。
 →生まれ変わった掲示板一見ほとんど変わっていないようですが、アイコンが使えるのをはじめ、いろいろと機能がアップしております。
 バージョンアップによりログの互換性がなくなったので、旧掲示板をじかには引き継げなかったのが残念ですが、アリスのアイコン(@Street Beats)も猫アイコン(@壁紙工房|蓮屋)も非常に気に入っているのでトータルでは大満足。
 しばらく各ページのリンク直しが追いつかないと思いますが、よろしくお願いいたします。

 朝香祥『赫い沙原 キターブ・アルサール』[Amazon][bk-1]読書中。

その本を買う理由 2002.1.9(水)

 2002年、初めての図書館詣で。年末年始にたっぷり余裕があったにもかかわらず、またも未読で返却本が複数…(T.T)。今年もまたこれをくり返しそうです。

を購入。
 朝香祥の本は一冊も読んだことがなくて、どんなお話を書く人かも知らないのに、背表紙の「キターブ・アルサール」という副題に目をひかれてつい手にとり、カバー折り返しの著者プロフィールで親近感を持ち、登場人物紹介の、おそらく主役と思われる少年に忠誠を誓う青年、の名前を見たあとではレジに向かっておりました。どんな話なんだろ?(^_^;)

強風注意報 2002.1.8(火)

 でも出ていたのでしょうか。ものすごい風が吹き荒れた一日でした。
 我が家では、ベランダにたてかけてあった板数枚が風にあおられて倒れ、窓ガラス一枚が粉砕。交換するのに八千円かかりました。

 それから、風とは関係ないとは思うけど、午後からまたもルーターに接続できなくなる現象が発生。設定画面がブラウザに表示されないので、IPアドレスを見てみたら、説明書とは似てもにつかぬ数値がずらり。先日の停電の影響かとも思いましたが、午前中はなんの問題もなく接続できていたので、それもないような。よくわからないままに、ルーターを接続しなおしたら治りましたが、このところ、ろくな事がありませんね。今年は厄年なのだろうか?

水漏れ その2 2002.1.7(月)

 ブレーカーが落ちて大騒ぎになった水漏れ騒動は、濡れた床をふき、ブレーカーを戻して、落着かと思われていました。
 しかし、今日になって、またあらたな事実が発覚しました。ある一室が水びたしになっていたのです。
 そこは今はほとんど使用されていない部屋。したがって、ほぼ物置と化しており、ふだんはあまり立ち入らないのです。盲点でした。
 床に敷いてあるカーペットが水を含んで変色。さわると湿っていて冷たい。その下の畳にもずいぶんしみこんでいる模様。大きめのスチールラックの上段に置かれた本は紙がふやけて太り(T.T)、中段のカセットデッキを傾けると、水がどわっと流れ落ちてくる…。
 たしかに、ブレーカーが落ちるほど水が漏れてきたのだから、ほんのちょっと床が濡れたくらいのはずがなかった。ほぼ一日後に発見したというのに、あちこちから水がぽたぽたと流れているのを見てなんとなく納得…している場合ではなかったです〜。

 川上稔パンツァーポリス1935(メディアワークス電撃文庫.1997.300p.544円+税)[Amazon][bk-1]読了。現実とは異なるテクノロジーの発達した世界の1935年のベルリンを舞台にしたSF。第三回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作。

 1920年、伯林。史上初の有人宇宙船ヴィルヘルム二号は、発射時に起きた事故のため、上昇起動をずれ、宇宙空間に飛び出していった。衛星軌道を周回するだけの能力しかない宇宙船の搭乗員独逸のもっとも有名な冒険家、フーバー・タールシュトラーセは、「人生最高の宝を見つけた」と言い残し、永遠の眠りについた。この事故のために宇宙開発は停滞を余儀なくされる。
 三十年代、世界には流体の結晶精霊石をもちいた機関が駆動機として普及していた。ヴァーグナー研究所の所長と副所長、パウル・ヴァーグナーとヴァルターは、精霊機関を使用して大気圏脱出が可能な超常識飛行戦闘艦カイザーブルクを完成させる。あくまで宇宙をめざそうとするかれらは、これを手中にしようとする独逸軍と真っ向から対決することになるが。

 午前中、美容院で読んだ本。
 店内にひびく有線の音楽で気を散らされながらの読書だったので、ストーリーを追うのが精一杯で、ディテールがほとんど頭に入っていませんでした。おかげであらすじ書くのにものすごく苦労した。
 とにかく、精霊機関とカイザーブルクが魅力的。それにつきます。テクノロジーが異なっていても、ナチスの台頭などの時代背景は現実とほぼおなじで、そのあたりをからめた展開もとくに独逸軍のオスカーさんのひととなりなどが、なるほどと思えました。が、ほかの人たちはどうもカイザーブルクに比べると存在感が劣ります。人間ドラマとしては、もうすこし物足りない感じもいたしましたが、けっこう楽しめたのでつづきも読んでみようかと思います。

水漏れ 2002.1.6(日)

 午後三時半くらい。掲示板に書き込んでいるとき、送信を押しても投稿ができない、というか投稿作業が止まらなくなったというかな状態に。
 いつまで待っても作業が終わらないので、中断しようとしたのですが、これもダメ。ブラウザソフトを強制終了しようとしたのも不成功に終わり、あとは強制再起動。
 再度ブラウザを立ち上げてみたのですが、今度は接続そのものができなくなっていました。
 なに? またトラブルなのー? と泣こうと思ったら、母親が電話が繋がらないという訴えが。
 それでだったのか? いや、電話とADSLはちがうはずだぞ?

 それぞれの元の機器の置いてある仕事場へ行ってみると、ルーターもモデムも電源が落ちていた。ついでに蛍光灯もつかない。電話の親機のランプが消えている。つーことは、停電? しかし、自宅のほうはちゃんと点いていた。パソコンだって動いてた。
 今日は仕事もしていないから、ブレーカーが落ちるほど電気を消費しているわけでもないのに、おかしい。原因が分からなくて右往左往する母と私(+一緒におたおたするのが楽しいらしい姪)。
 とそこで大発見。階上から水が漏れてきていたのです。それも大量に。(うちは集合住宅です)
 休みでヒトがいなかったことが災いし、発見が遅れてこうなってしまいました。それにしても、ブレーカーが落ちるほど水が漏れているのに、上階の住人はまったく気づかないというのも…。洗濯水を風呂場に流しているだけで水漏れするというのは、防水工事をやり直した方がよいのでは。

 というわけで、電気はブレーカーを戻すと復旧しました。上階のひとは謝りに来ました。

差出人不明 2002.1.4(金)

 年賀状は、毎年のことですが、ぽつぽつと届きます。土壇場にならないと作業をしないのは、自分だけではないと慰められるのでかまいませんけど。
 しかし、差出人の住所氏名が書かれていない賀状には、かなり困惑。消印もないから、どこの局から着たものかもわからない。毛筆の賀状なんてはじめてもらったぞ。毛筆だと、筆跡が変わってさらにわからないぞ。うーん。年賀はがきが水戸の黄門さまというのが唯一の手がかりですね。茨城に知り合いはひとりしかいないので、一応見当はつけましたが、確証はありません。あと一週間くらいしてからもう一度考えるか。

 生協経由で購入したサラ・ブライトマン『CLASSICS』(東芝EMI TOCP-65933)[Amazon]が到着。美しい歌声を堪能。ふだんクラシックはまったく聴かないけど、サラ・ブライトマンのだけ別なのです。

 ところで、寒くなってからのような気がするのですが、スピーカーから出てくる音が小さくなった。ボリュームをそれまでの三倍くらいに上げないとちゃんと聞こえない。ラジオのアンテナの向きが変わったのかと思っていたのだけど、CDでもおなじだから、やっぱりスピーカーのほうに原因があるんだろうなー。接触が悪いのか。オーディオ機器は私の管轄外なので、ぶつぶつ文句を垂れつつ、そのまんま。ボリュームを上げると電気が余計にかかるんですよね、たしか。

 2002.1.3(木)

 ドロシー・L・セイヤーズ(浅羽莢子訳)学寮祭の夜(創元推理文庫.2001.718p.1320円+税 Dorothy L. Sayers "GAUDY NIGHT",1935)[Amazon][bk-1]読了。イギリス人作家ドロシー・L・セイヤーズのあまりにも有名な、貴族探偵ピーター・ウィムジー卿のシリーズの、たぶん十一作目。

 探偵作家ハリエット・ヴェインは、母校オクスフォード大学ののシュローズベリ・カレッジにおける学寮祭に出席することになった。過去に恋人殺害のかどで犯人扱いを受けたことのあるハリエットは、後ろめたさから母校を敬遠していたのだが、かつての友人からたってと頼まれて嫌といえなかったのだ。さまざまに憂鬱な現実を認めなければならなかったにもかかわらず、学寮祭はなかなかたのしい出来事になりそうだった。不愉快で汚らわしい落書きを構内で発見し、嫌がらせの手紙を受け取るまでは…。
 数ヶ月後、シュローズベリの学生監からハリエットに手紙が届いた。匿名の不愉快な手紙と悪戯が学内に横行しているのだが、犯人を捕まえるすべがない。もちろん、警察に助けを求めるなど論外である。事はカレッジの品位、ひいてはカレッジに関わる女性すべての品位に関わることなのだ。公にすることなどできない。ハリエットは、新図書室棟の開棟式にかこつけて、ふたたびカレッジを訪問することになった。

 女子大の寮で横行する個人攻撃や嫌がらせの手紙。いったい、犯人は何者で、なんのために悪さをしつづけているのか…。
 ピーター・ウィムジー卿が愛を捧げ、求婚しつづけるのをつねにはねのけてきたハリエット・ヴェインがこの本の主役。母校で起きる不愉快な事件の解決を依頼され、過去と現在に向かい合いながら、ハリエットは、仕事のこと、未来のこと、ピーター卿のことをさまざまに思いめぐらせます。
 だから、この本単独で読むのはちょっと苦しいかも。少なくとも、二人の出会い編である『毒を食らわば』[Amazon][bk-1]は読んでおくべきでしょう。できれば二人が事件を解決する『死体をどうぞ』[Amazon][bk-1]も。

 窮地を救った若者に一方的に惚れられたり、事件が手に余り、今度こそ助けを仰ごうとすると、ピーター卿とはなかなか連絡がつかなくなっていたり、ピーターによく似たピーターの甥に出会ったり。物語はハリエットが自分の気持ちをみつめなおし、ピーター卿との関係に決着をつけるまでを描いています。

 甘甘の恋愛ものとはちょっとちがうところは、ハリエットの意識が1930年代に描かれたものとは思えないくらい、自立していること。しかも、事件の起きる舞台や事件そのものが、女性の人生についてのさまざまな問題を提示しているところでしょうか。自分らしく生きることのいかにむずかしいことか。障害はたんにまわりの環境というだけでなく、自分自身の狭い考えの場合もある。こうしたことがらを冷静に距離を置いて、しかし真摯に描いているので、物語に厚みがあります。(最後に犯人が動機をぶちまけるところは、ものすごい迫力だった。)

 カレッジの内部や、カレッジの女性たちの繰り広げる議論など、独特な世界の雰囲気が味わえるのも楽しい。オクスフォードの季節のうつりかわりに関する描写は、ちょっとくどいほど書き込まれています。よほど愛着があるのだなあと思いました。

 ピーター卿とハリエットのカップルは、ある意味理想の組み合わせです(というか、ピーター卿はハリエットを愛しているからこそ理想になったといえるかも)。理想的すぎて、現実味があまりないというか、実現しそうもないというか。でも、これは物語なんだから、うまくいってもらいたいものですね。

『イングリッシュ・ペイシェント』 2002.1.2(水)

 正月二日目は、例によってだらだらと過ごしました。
 午前中はドロシー・L・セイヤーズ『学寮祭の夜』[Amazon][bk-1]を読み、お昼を食べてからはビデオ録画しておいた映画『イングリッシュ・ペイシェント』を見、夕方からはずーっと『学寮祭の夜』を読みつづけ。

 『イングリッシュ・ペイシェント』は数年前に映画館で見たのですが、そのとき映像の美しさがとても印象に残っていて、もう一度映画館に行くほどではないけど、見たいなと思っていたのでラッキー。
 冒頭の、飛行機が砂漠の上を飛んでいくシーンは記憶どおりでした。風でつくられたと思われる砂の波が、強い光と濃い影のコントラストで浮かび上がるシーン。あと、覚えていたのは能天気なアメリカ戦車隊の行軍(^_^;)。ストーリーはただの不倫ものではない、国とひととの関わりのようなものも描いた深みのあるもので、とても見応えがありました。(それでも、大部分を忘れていた私)
 DVDで出ているのですが、現在定価4800円[Amazon]のが、2002年3月1日に2800円の廉価版[Amazon]が発売予定で予約受付中です。原作はマイケル・オンダーチェ『イギリス人の患者』(新潮社)[Amazon][bk-1]。

 恩田陸上と外 6 みんなの国(幻冬舎文庫.2001.214p.457円+税)[Amazon][bk-1]読了。『上と外 5 楔の抜ける時』のつづき。

 中南米のG国でクーデターに巻き込まれた楢崎一家。成人の儀を終えた練はニコとともに妹の千華子を探しにいく途中、史上最悪の大地震と火山噴火に遭遇する。冷静に自体を判断し、千華子をあきらめて引き返すべきだと諭すニコに、反発した練はひとりで通路に飛び出していってしまう。
 いっぽう、両親の賢と千鶴子は一回のフライト分の燃料しか残っていないヘリコプターを、現地の怪我人のために提供せざるを得なくなってしまう。

 やっと読めましたよ、最終巻。
 最後までどきどき。まるでサスペンス映画のようなシーンが続出で、とても面白かったです。
 G国のクーデターの内幕とか、みんなが移動していたわけとか、わからないことは山のようにあるけど、ま、いいんじゃないですか(笑)。登場人物の心情がすみずみまで納得できて、その点ではわだかまりはなんにもなく、ラストのニコの登場ににやりと笑って本が置けました。

2001年に読んだ本 2002.1.1(火)

 あけましておめでとうございます。
 当サイトも二度めの正月を迎えることができました。
 これからも、のんびりとマイペースでほそぼそやっていきたいと思います。できるだけ、長くつづけられればいいなあ。

 とりあえず、2001年に読んだ本の中から選んだお気に入りのページ「2001年私的ベスト」をつくりました。
 読書量が減ったので、よかったと思う本を抜き出した分ほとんどという感じになりました。質的には読んだ量の少ないミステリーのほうが高かったような気がした。たぶん、ミステリの場合は刊行されてから時間の経過した、評価のある程度定まった本を選んでいるからだと思う。映画になった作品とかですね。
 でも、「面白いイコール好き」ではないところに、趣味というのは微妙なものだと感じます。というわけで、このリストは「あくまでも私個人が好きな本」ということを念頭においてご覧ください。

 樹川さとみ死神見習い修行中!(角川ビーンズ文庫.2001.254p.457円+税)[Amazon][bk-1]読了。叔父の借金のカタに死神に売られた少年が、嫌々ながら弟子として修行に励むうちに成長していく物語。

 十五歳の少年フィン・テルアは、叔父に王貨五枚で売られてしまった。ラスティ叔父が持ってきた覚え書きにはこう書かれていた。「天使像のそばのベンチでまつこと」
 ルナパークがやってくる広場の指定の場所でたたずむフィン。覚え書きに書かれていることが変化していることに気づいたのは、退屈しのぎにポケットから取り出してみたからだ。それからフィンは、普通ではない方法でルナパークの中に誘われ、めまいのするような方法で、「マスター」の住む屋敷に連れて行かれた。黒ずくめの服を身にまとい、仮面を被った「マスター」は言う。「世間ではわたしのことを死神と呼ぶが」フィンがいくら否定しても、それはうごかない事実のようだった。

 ルナパーク=移動遊園地から始まる物語は、どことなくかつて読んだ本のなつかしい雰囲気を漂わせていました。道具立てや設定、死者たちとの出会いなど、なんとなくアンデルセンの童話みたいだなあと(それも、昔テレビアニメーションでやってた『アンデルセン物語』のほうに近いような)。
 お話は、フィンともうひとり、死神に押しかけ弟子にきた少女マーリの、いがみあいつつの死神修行を軸に進んでいきます。

 ただ、最後まで読んでもなんだかすっきりしないのですよね。じつは、年末の28日に読み終えていたんですけど、釈然としない理由をつかめなくて感想が書けませんでした。いまでもよくはわからないんですが、これ以上考えても進展はないと感じましたので、現時点の感想を書いておきます。
 こういう感じの話って、予想通りの展開が心地よいですよね。この本も一見はストーリーはありきたりです。でも、期待どおりに進んでいるはずなのに、それと同時に起きているはずのフィンの心の変化に、うまく共感できなかった、ような気がする。
 それから、フィンが死神の屋敷に来なければならなくなった、そもそもの発端に作為を感じる点。「借金のカタに死神の弟子になる」という出来事自体が、なんか納得できなくて。死神がひとりの人間の借金を肩代わりするものなのだろうか。
 マーリの動機のほうは納得できるし、彼女の心境にも共感できるのです。すると、今度はフィンの存在がすべてマーリのためにあったような印象を受けてしまうのでした。
 で、思ったんですね、マーリを主役にすえたらもっとすっきりとした話になったのではないかと。
 マーリの視点から物語れば、フィンの運命が仕組まれたもののようでも、それほど気にならないような感じがする。乱暴でしょうか。
 皮肉を含んだフィンの語り口はけっこう魅力的ですきだし、話自体の雰囲気もすきなので、あとほんのすこしのところで釈然としない部分がなければ、もっと楽しめたのになと残念です。

 蛇足。「マスター」サイプレスのいつも人形を介して話す姿…どうしても『赤ずきんチャチャ』(彩花みん)のセラヴィー先生と重なる…(^_^;)。


Reading Diarydiary最新)・books

当サイトの画像および本文は管理人「ゆめのみなと」に著作権があります。
本サイト内の画像や文章の無断使用・無断転載はご遠慮下さい。
Copyright(c)2000-2002 Yumenominato. All Rights Reserved.