2002年2月後半のdiary
■2002.2.18 せっかく出かけたのに/『戦うボーイ・ミーツ・ガール フルメタル・パニック!』
■2002.2.19 アニメ版「フルメタル・パニック!」を見る/『三国志 二の巻 参旗の星』
■2002.2.21 行かなきゃよかった
■2002.2.22 狐につままれたよう/『嵐の獅子たち グイン・サーガ83』
■2002.2.24 これで終わりかー/『メタルバード 1 さあ、どこへ飛びたいか?』
■2002.2.27 低空飛行
■2002.2.28 /『夜ごとのサーカス』
アンジェラ・カーター(加藤光也訳)『夜ごとのサーカス』(国書刊行会.2000.504p.3200円+税
Angela Carter "NIGHT AT THE CIRCUS",1984)[Amazon][bk-1]読了。十九世紀末のロンドンからロシアへ。移動するサーカス団とその花形空中ブランコ乗りの奇想天外で猥雑で愉快でものがなしい、「ポップなファンタジー」。
1899年、十九世紀の切れっぱし。ロンドン、アルハンブラ劇場の楽屋で、アメリカ人の記者ジャック・ウォルサー(二十五歳)は、当代随一の空中ブランコ乗りフェヴァーズへのインタビューを試みる。六フィート二インチの大女は、背中の翼をひろげ、はばたきながら、のんびりとブランコからブランコへと飛び移る。自分は「卵からかえったのよ」とフェヴァーズは言う。はたして彼女は「事実(ファクト)か、つくり物(フィクション)か?」。
マジックリアリズム小説というのだとおもうのですが、虚々実々いりみだれ(どちらかというと虚のほうの割合が多く)、幻想も魔法も現実も同一線上に描かれるものがたり。こういうの、好きなんです。たいてい文章に密度があって、かなり読むのに体力を要するのであんまり頻繁には読めないけど。
背中に翼を持つ女空中ブランコ乗りが、自分の来し方を語る第一部。サーカス団のペテルブルクでの興業の顛末をえがく第二部。サーカス団のペテルブルクから日本への道中、シベリア横断鉄道で事故に遭う第三部と、大筋ではフェヴァーズと青年記者のラブストーリーになっているのですが、実際に読んでいるとそんなささいなことは忘れてしまいます。登場人物は多かれ少なかれ奇怪な個性か深刻な過去を背負っていて、かれらの歩んできた過去も、物語の中に随時挿入されてくる。フェヴァーズの過去に登場するフリークスたちの物語にも驚かされましたが、現在進行のサーカスの興業と同時に語られるサーカス団員の物語にはもっとびっくりさせられました。第三部のシベリアのシャーマンの話にはめまいがした(苦笑)。
物語の中に物語があり、物語とともに物語が進む。そんな奇天烈な小説です。
いままで読んできた日本の作家でいちばん近いのは池上永一でしょうか。時空的な広がりは及ばないけれど、人物描写には深みがある感じ。翻訳されたものの宿命で、微妙なニュアンスをきちんとうけとめるのが難しいのが残念。そういえば、おなじ著者の『ワイズチルドレン』[Amazon][bk-1]という本も、けっこう楽しかった記憶があります。例によって、内容は記憶の彼方ですが。
最近読書ペースが落ちているのはご覧のとおり。
それでも図書館や書店など、本がずらりと並んでいるところへ行くと、なんだかとっても読みたい気分になるのが不思議です。ついつい余計に借りたり、買ったりして、読みたい本はどんどん増えていく。けど、どうやら読み通すためのパワーが現在低下している模様。ゆえに読めない。そして、買った本は積んだまま、借りた本の三分の二くらいはそのまま返却していたりする。
あとは、返却期限間近に、もうこのまま返すのかと思いつつ手にとって、未練がましく読みはじめたら面白くて、でもやっぱり読み切れなくて、延滞を知りつつ、返却を延ばしたり。
現在そのパターンにどっぷりつかりつつ読んでいるのが、アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』(国書刊行会)[Amazon][bk-1]です。どうしよう。面白いけど、一章ごとに息つぎしているのでちっともすすまない。
昨日のフィギュアスケートのエキシビションで、私のソルトレークシティー五輪はほぼ終わりました。
こういうお祭り的なイベントでは、やっぱりアイスダンスなどの「踊る」要素の強い種目の選手の演技がたのしいのですが、今回のいちばんはロシアのペア、ベレズナヤ&シハルリドゼでした。とても完成度の高い演技で、いろいろと細部に工夫が凝らされて見ていてとても面白かった。ベレズナヤがとてもかわいくて。もう一度見たいくらいです。
エキシビションは全体的にロシア勢が魅力的だったと思います。まあ、いちばん大勢出場していたわけですが。
もともと伝統的に表現力には定評があった上に、ここ数年サービス精神が相当向上していて、向かうところ敵なし、という感さえありましたね。
私としては、魅力的な演技が見られればそれでいいので、そういう観点からすると女子シングル金獲得者の演技はまだ青いなと。
ともあれ、ほぼ一日おきに楽しんできたイベントがもうないのだと思うと寂しいです。
若木未生『メタルバード 1 さあ、どこへ飛びたいか?』(徳間デュアル文庫.2001.194p.505円+税)[Amazon][bk-1]読了。「ハイスクール・オーラバスター」の著者のスペースオペラ開幕編。
新統合宇宙世紀〇〇九七年。最終大気圏内戦争の影響で人類は地球から宇宙へと生活圏を変化させた。ひろすぎる宇宙で頻発するトラブルに対処するために〈太陽系連邦軍(ソーラーフリート)〉に設置されたヴァーティクス・オフィサー、特殊認定士官。幼なじみのふたり、沢渡カイトとレイアード・ステッツェン・ズィー・ブレイクスターズが別名「宇宙のなんでも屋」の候補生として、初めて配属されたのは「メタルバード」。任務をさぼることを至上としている童顔のヘンな男が船長の、古びたポンコツ船だった。
奥付を見てちょっとためいき。そうか、夏に買ったんでしたね、この本は。
道具立ても設定もまさしくスペースオペラ。ヴァーティクス・オフィサーという存在が、いちばんそれらしい、かな。ですが、もっとも印象に残るのはキャラクターの発するエネルギーです。自信満々で大いばりする美形キャラ、レイアードって、ほとんどイズミだなあ。話は、世界とキャラクターと状況が紹介されて、さあ、というところで終わってます。これだけでは、まだなんともという感じ。
ソルトレークシティー五輪のフィギュアスケート最後の種目、女子シングルフリーをテレビ観戦。これで終わりだとおもうと熱が入ります。順位への興味が最後まで続きそうな滑走順でしたしね。
他の国際大会と比べるとミスの少ない演技をした選手が多くて、見ていて楽しかったです。でも、ショートプログラムのほうが出来はよかったかな。とくに最終グループは、メダルがかかっているせいか、けっこうミスが目立ちました。そのなかで、アメリカのサラ・ヒューズの演技はあっぱれ。まったく危なげなく、のびのびと滑っていて、表情からも最高の演技だったことが伺えました。だから彼女の金メダルは、順当だとは思います。
でも結果が出たときには「えー?」と思いました。だって、クワンが滑り終えた時点では、クワンが一位、ヒューズが二位だったのに。スルツカヤの採点が加わると、ヒューズ一位、スルツカヤ二位、クワン三位になるのは、やっぱり不思議。順位点のせいだと理屈ではわかっていても、気持ちはどうしてだろうと思ってしまいます。中継やニュースではなんども採点方法を解説してましたね(苦笑)。
それにしてもぽっと出てきた選手が金メダルをさらってしまうなんて、アメリカの層の厚さを知るとともに、スポーツの残酷さも感じました。あんなに金を欲しがっていたミシェル・クワンは、このあとどうするのでしょうかねえ。
個人的には、スルツカヤのショートプログラム並の滑りを期待していたので、そこが残念でした。
栗本薫『嵐の獅子たち グイン・サーガ83』(ハヤカワ文庫JA.2002.312p.540円+税)[Amazon][bk-1]読了。異世界大河ロマン「グイン・サーガ」シリーズの八十三巻目。『アウラの選択 グイン・サーガ82』のつづき。
月曜日に購入後、「フルメタル・パニック!」の後に三分の二ほど読みかけたのですが、疲れてしまったので延ばしていたら、どんどん後まわしにされて今日に至りました。このまま放っておくと忘れ去りそうなので、あわてて読了。
と書くと、つまらないのかと思われそうですが、今回、おもしろかったです。イシュトヴァーン関係でこんなにおもしろかったのって、久々ではないかと思う。あいかわらず台詞が長々しいですが、そこを通りすぎた後、あっと驚く展開が。いえ、もう書きません(^_^;)。
きのうはまたもフィギュアスケート(女子シングルショートプログラム)観戦で半日を費やしました。二週つづけて図書館行きをずらしましたが、テレビにはりついているので本も読めてないし、まあ、いいです。
「フルメタル・パニック!」はやっぱり届いてなかったけど、『三国志』のつづきが根こそぎなくなっているのに愕然。ついこのあいだまで潤沢に並んでいたのに〜。
それから皮膚科にも行って来ましたが…。患者取り違え事故はどうして起こるのか、その温床を見たような気分になって帰ってきました。
医者が患者の名前をまったく呼ばないのです。このことに気づいたのは、医者が「あなたは○○なんだから」と、私が一度も罹ったことのない病名を口にしたとき。なんと、医者は別人のカルテを見て診療をしていたのですね。
看護婦が出しておいたカルテを見ていただけと本人は言いたそうだったけど、名を呼べばすぐわかることだし、なによりその○○であるかないかというのは、皮膚科なんだから患部を見ればわかるだろう、とも思うわけで、ということはこの医者は「病気を診て、患者を診ない」でもなく、「カルテを見て、病気は診ない」医者だったのでした。患者を人間としてみない医者というのはよくいるけど、これはそれよりも下だと思うね。そして、間違えたのに謝りもせず、態度は大きいまんま。サイテー。二度と行きません。ああ、気分悪い。
出かけたついでに買った本。
- あしべゆうほ『クリスタル・ドラゴン 19』(プリンセス・コミックス)[Amazon][bk-1]
- 青池保子『修道士ファルコ 2』(ジェッッツ・コミックス)[Amazon][bk-1]
- 今市子『百鬼夜行抄 9』(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)[Amazon][bk-1]
- 『SFが読みたい! 2002年版』(早川書房)
「フルメタル・パニック!」を読んだ記念に、アニメ版を見てみました。
一冊しか読んでないのに、ものすごいネタバレになったらどーしよー、とおそるおそるだったのですが、奇跡的に(!)『戦うボーイ・ミーツ・ガール フルメタル・パニック!』の終盤の内容そのまんまで、うわー、私の容量の少ない一時記憶装置にまだ残っている台詞がどかどかと。絵はきれいですし、ASのバトルもけっこういい感じ。ただ、かなめちゃんの動画のほうの演技はもすこしなんとかならぬものかと思いましたね。苦しみに耐えて宗介に助言している感じがぜんぜんしなかった。声優さんががんばっているのでちょっと画面とちぐはぐ。宗介は無表情でもいいのですけどね。
全体的には読んだあとでなら見てもいいかなと思いました。だって、このあとは全部ネタバレ必至だし。そうするとほぼ見られないのと同じことですが。再放送でもしてくれない限り(^_^;)
北方謙三『三国志 二の巻 参旗の星』(角川春樹事務所.1996.320p.1553円+税)(文庫版[Amazon][bk-1])読了。『三国志 一の巻 天狼の星』のつづき。
ここでいつもなら本のあらすじめいたものを書くのですけど、頭を抱える以外のことができそうもない(涙)。
すごく面白いんですけど、読んでるときはちゃんと状況も把握できてるんですけど、なにを書けばよいものやら。次々に舞台が入れ替わり、重要な視点人物も複数。それぞれに乱世で天下を取ろうと大望を抱いて奮闘している姿が、大胆に描かれている。展開がとても速い上に、文章そのものが削ぎ落とされたもので、余計なものがなんにもなくて。
「三国志」を一度でも読んでいれば、「あの人物のあのシーンあたりまで」とか書けるのだろうけど、素地がないのでそれも無理。
なので仕方なく、感想だけ書きますが。
「三国志」のヒーローって、やっぱり劉備なのでしょうか。なんかこのおっさんて、むさくて鈍くさくて、泰然自若とはしているようだけどつかみどころがなくて、シャープさに欠けるような…。
これまでのところ、一番ヒーローっぽいのは曹操のような気がする。それから若い孫策ですね。孫策と周瑜のふたりの活躍が楽しみ。
あと、一見ただの戦バカのような呂布と、愛馬赤兎とのエピソードは、しみじみしますねえ。
それにしても漢字変換がえらいめんどくさいぞ、中国ものは。
極寒のさなかの外出でも風邪をひかぬように必死で抵抗していたのに、風邪ひき姪の息を吹きかけられてあっけなく陥落してしまいました(T.T)。また鼻風邪。週末はサイテーな日々だった。
きょうは通院日でしたが、帰りに皮膚科にも行こうと目論見んでいたので、風邪ひきでもあることだしと、ほぼ一直線に行って、帰ってきました。ところがそれが仇となって、皮膚科の午前と午後のあいだの休み時間に突入してしまった。一時間半も時間をつぶせる自信がなくて、けっきょくそのまま帰宅。
帰り着いてから、今市子『百鬼夜行抄 9』[Amazon][bk-1]を買ってくるのを忘れたことに気づきました。栗本薫『嵐の獅子たち グイン・サーガ』[Amazon][bk-1]は買ったのに(涙)。
賀東招二『戦うボーイ・ミーツ・ガール フルメタル・パニック!』(富士見ファンタジア文庫.1998.344p.620円+税)[Amazon][bk-1]読了。「壮大なスケールで描くSFアクション・コメディ」(カバー折り返しより)シリーズの一作目。
陣代高校にやってきた転入生、相良宗介は、かなりの変わり者だった。黙っていればそれなりの容姿なのに、口をひらくと一般常識の通じないミリタリーおたく。そのうえ、ストーカー。つけまわされるはめになった千鳥かなめは、散々に宗介を罵倒しつつ、それでもなぜかかれをにくめない。宗介からは強い決意とひたむきさが感じ取れる。自分につきまとうのも、不純な動機からとはおもえないのだ。理解のできない理由で突然暴走している宗介が気になるかなめだったが、修学旅行で事件に巻き込まれ、その正体を知ることになる。
『三国志』はかさばる(借りてるのはハードカバー)ので、さくさく読めそうなこれを持参。おむらよしえさんがはまったとおっしゃるので(^^)、借りてみましたのですが。
さくさくどころか、電車内ですっかりのめり込んで読んでたので、終点に着いたことにもしばらく気づきませんでしたよ(恥)。
現実離れしたシチュエーションながら、設定もキャラクターの描写もしっかりしているし、話の展開はスピード感があってアームスレイブ(モビルスーツみたいな?)のアクションがかっこよい。さらに、気の強い美少女千鳥かなめと、朴念仁な相良宗介の関係がかなり楽しいです。定石通りの「じれったい恋愛」が「はじまりつつある?」という状況なのですが、その微妙な心理状態をそっとすくいとって描いている感じで。このスピード感と繊細さのバランスは、好きです。
面白かったので、つづきも借ります。ちびちび借りていけば当分楽しめそう。
姪と甥とを預かって、家の中が修羅場と化してます。
北方謙三『三国志 二の巻』[Amazon][bk-1]は、読む間がなくて遅々として進まず(T.T)