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last update 2002.1.2

ごく個人的な2001年ベスト

読了本リスト著者名索引
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管理人が2001年に読んだ中から選んだお気に入りの本。
「2001年に読んだ」というだけで、出版されたのは大昔の本もあります。それに十冊でもないし。順番にもとくに意味はありません。
下の著者名をクリックすると、その項目についての雑文に飛びます。

池上永一『レキオス』文芸春秋、『風車祭(カジマヤー)』文春文庫

 2001年の前半はひとり静かに沖縄ブームでした。その火つけ役がこの二冊。
 ウチナーグチのイントネーションがわからず、オバァたちはどんな雰囲気で話をしているのだろうと思っていたところで、実にタイミング良く『ちゅらさん』が始まった。「だからさァー」という台詞を聞いて、ひとりで喜んでました。(ドラマ自体もNHKの朝ドラにしては映像で語るシーンが多くて、登場人物それぞれに個性とドラマがあり、見ていて気分の良いあかるいドラマでした。あとのほうはダレたけど、それでもキャラクターのエピソードを見ているだけでうれしかった)
 『レキオス』も『風車祭(カジマヤー)』も、それまでよくわからなかった沖縄という土地のゆたかな内面を教えてくれたような気がします。

ケイト・ロス(吉川正子訳)『ベルガード館の殺人』講談社文庫

 十九世紀初頭のロンドンを舞台にした、密室、上流階級、愛憎劇のミステリー。
 科学的な捜査方法が確立する以前の時代なので、焦点はほぼ動機の解明に絞られてきます。知的な好奇心はそれほどみたされませんが、登場人物全員参加のどろどろした愛憎劇が、たくみにおりこまれていてどきどきします。
 事件を解決する役割を負わされたのは、社交界きっての伊達男と評判のジュリアン・ケストレル。かれの一風かわった存在感と生い立ちの複雑さも、このシリーズの魅力といっていいかと思います。
 三作目まで刊行されているのですが、著者はすでに亡くなっているため、つづきが出ないのがさみしい。そのまえに、三作目が図書館に戻ってくるのを待っておりますが。

オースン・スコット・カード(小西敦子訳)『奇跡の少年』『赤い予言者』角川文庫

 独立戦争の起きなかったアメリカを舞台にしたファンタジー「アルヴィン・メイカー」シリーズの一、二作目。
 架空の歴史を描いているのに、ずっしりとした重みや真実の厳しさを感じさせるものがたり。読んでいてときにつらく、せつなくなるけれど、途中でやめたりはできないおもしろさ。少年アルヴィンの成長の途中で刊行が止まっている(日本語訳のみ。アメリカではたくさん出ているらしい)のが悲しいです。つづきが読みたいー。

ロイス・マクマスター・ビジョルド『スピリット・リング』創元推理文庫

 ルネッサンス期の錬金術やなにやらをベースに、さらにオリジナルな設定をつけ加えて描く、少女の恋と冒険のファンタジー。ほんとうにあったことかと錯覚しそうな魔術師の制度など、じつに設定が巧みでリアリティーたっぷり。それが幻想と無理なくからみ、さらにストーリーが自然に流れていく。ヒロインと運命の相手とのほのぼのしたやりとりも楽しい、魔法のシーンもわくわくと楽しい。読んでいて嬉しい本でした。

妹尾ゆふ子『チェンジリング 赤の誓約(ゲァス)』『チェンジリング 碧の聖所(ネウェド)』ハルキ文庫

 新作が出てくれるととてもうれしい作家のひとり。『魔法の庭』が完結したあと出版社が倒産して、心配していたのですが、またべつのところから新刊が出るようになったのでうれしいかぎり。2002年は『異次元創世記』のつづきが出るそうなので、たのしみです(しかし、前作を覚えていない。どこにしまったかも(^_^;))。「夢語りの詩」も密かに待っているのですが、欲張りはやめよう。
 『NAGA』から純然たる異世界ものではなくなって、すこし方向がかわったのかなと思ったのですが、『〜碧の聖所(ネウェド)』は圧巻でした。異世界描写に美しさだけではなく、力強さが加わったような気がします。
 それと、これは記念すべきネット書店初購入の本でした。

小野不由美『黄昏の岸 暁の天 十二国記』講談社文庫

 待って待って、待ちつづけた末にようやく出た「十二国記」の新しい巻。
 期待に違わない、すばらしくおもしろい本でした。手にしただけで嬉しかったんですが、読んでいるあいだは至福の時だった。電車とバスの中だったけど(笑)。
 外伝を集めた短編集もよかったけど、やはり本編のつづきが待ち遠しいです。

冲方丁『ばいばい、アース』上下巻 角川書店

 先入観にとらわれてはいけない、ということをしみじみ感じた本。
 作者を知らなくても、本が分厚くても、二分冊でも、その結果高いのが二倍でも、おもしろいことには関係ないのです。
 でも、敷居が高すぎるとは思います、この本の場合…。去年の年末に店頭平積みされて、新聞に一回広告が出たのを見たか見ないかくらいの宣伝だったような気がするし。もうすこし手を出しやすい環境をつくってあげてほしかった。といっても、この内容にきちんとつりあった装丁であることは、確かだし。この本をいきなり文庫で出すというのも、ためらわれるよなー。
 物語は世界設定にSFのあるものの、一見ファンタジー。きらびやかな世界をヒロインとともに体験するのも楽しかったです。

上橋菜穂子『虚空の旅人』

 国産の児童文学系のファンタジーでは、いまいちばん好きなシリーズの最新刊。
 「守人シリーズ」で守られる側だったチャグム君の成長もさることながら、あらたな国や地方の登場で物語世界にさらなるひろがりが感じられた本でした。
 少しも無駄のない話の運び方と、知識に裏付けられた濃密な世界描写を堪能。

O.R.メリング(井辻朱美訳)『夏の王』講談社

 少女と少年が、現実の世界と異世界のあわいをゆききしつつ、生と死のあいだをゆれうごく、真摯でせつないファンタジー。
 霧に煙ったつめたい海のイメージが印象的。私は暗い話がけっこう好きです。ラストが悲惨でなければ(笑)。

トム・ホルト『疾風魔法大戦』

 現代によみがえったヴァイキングたちと、彼らが眠っているあいだに世界制覇を着々と進めてきた悪の魔法使いの王との戦いを描いた、ファンタジーコメディー。大昔の英雄たちの時代にそぐわない意識が非常に滑稽ですが、貶めているのではなく、気高さがちゃんと伝わってくるあたりがうれしかった本。

そのほかの印象に残った本 順不同

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